第三者評価結果詳細 | ||
---|---|---|
共通評価基準(45項目)Ⅰ 養育・支援の基本方針と組織 | ||
1 理念・基本方針 | ||
(1) 理念、基本方針が確立・周知されている。 | 第三者 評価結果 |
|
① | 1 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。 | b |
【コメント】 ・理念・基本方針をパンフレット等に記載し、玄関に掲示して周知を図っている。 ・理念は、法人の使命(仏の誓い)と目指す方向(時代に即応した福祉)を示した内容となっている。 ・施設の基本方針は、職員の行動規範となる具体的な内容(子どもとつながる、子どもをつなげる)となっている。 ・月に一度の職員会議で、「法人理念」と大阪付児童施設部会が制定した「倫理綱領」を職員全員で唱和している。 ・基本方針は「入所のしおり」で周知されているが、子どもの入所理由の約4割が虐待によるもので、施設に来園できない保護者に対する説明に工夫を望む。 |
||
2 経営状況の把握 | ||
(1) 経営環境の変化等に適切に対応している。 | 第三者 評価結果 |
|
① | 2 施設経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。 | a |
【コメント】 ・法人全体として経営状況は、半期ごとに開催する法人理事会で確認と分析を行っている。 ・社会福祉事業全体の動向は、月1回開催される大阪府の児童施設部会、年1回の施設長研修で把握・分析している。 ・地域の状況については、地域の団体と虐待防止ネットワーク「子ども”わいわい”ネットワーク茨木」を構成しており、情報共有を図っている。 ・養育・支援のコスト分析等は、毎月の法人正副施設長会議で行っている。 |
||
② | 3 経営課題を明確にし、具体的な取組を進めている。 | b |
【コメント】 ・経営課題や問題点は、中長期計画と毎年の事業報告で明らかにしている。 ・施設の経営状況や改善すべき課題については、法人理事会に報告し、役員間で共有している。 ・人材育成などにおいて課題が多くあること等、経営状況や改善すべき課題を施設の運営会議などで職員に周知している。 ・地域小規模施設の改修と増設の具体的な取り組みが進められている。 ・人材育成についても業務振り返りシート等各種施策を講じているが、継続・発展させることを望む。 |
||
3 事業計画の策定 | ||
(1) 中・長期的なビジョンと計画が明確にされている。 | 第三者 評価結果 |
|
① | 4 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。 | a |
【コメント】 ・令和2年3月に「家庭的養護推進計画」を策定、大阪府に提出している。その中で理念や基本方針の実現に向けた目標を明確にしている。 ・中・長期計画は、地域小規模児童養護施設の増設など経営課題や問題点の解決・改善に向けた具体的な内容になっている。 ・中・長期計画は、前期・後期に分けて、数値目標や具体的な成果を設定している。 ・中・長期計画は平成26年度に策定し、29年、令和2年に見直しをしたものである。 |
||
② | 5 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。 | a |
【コメント】 ・令和2年度事業計画には、中・長期計画である「家庭的養護推進計画」に示されている内容を反映している。 ・単年度の計画は、実行可能な内容となっており、特に「家庭的養護の推進」については、「施設内小規模グループケア」を年度当初から開始している。 ・計画は、設備整備計画や支援計画など項目別に策定し、支援計画には、中高生男児らの自立に向け必要なスキルが身につくよう支援すること等、具体的な成果等を設定している。 |
||
(2) 事業計画が適切に策定されている。 | ||
① | 6 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。 | b |
【コメント】 ・年度末に事業報告を策定し、職員会議の意見を反映して法人理事会に報告し了解を得た後、事業計画を策定、職員に配布して、職員会議やミーティングの場で職員らの意見を集約して確定している。 ・事業報告、事業計画の作成を職員が参画して行っているが、現場の意見の集約が十分ではない。特に今年度においては新型コロナウィルス感染症拡大の影響から、4月に職員会議を実施しなかったため、事業計画の説明が十分行われなかった。 ・事業計画が職員の理解を得て進められるよう、会議や研修会で十分説明することを望む。 |
||
② | 7 事業計画は、子どもや保護者等に周知され、理解を促している。 | b |
【コメント】 ・事業計画は、玄関に掲示して周知している。 ・事業計画の大きな項目については、子どもには子ども会議、保護者には保護者会で説明している。 ・子どもや保護者などに分かりやすい資料を作って説明することはできていない。 ・保護者には、毎月子どもの様子等を知らせる手紙を送っているが、その中に事業計画について分かりやすい資料を作って説明する工夫を望む。 |
||
4 養育・支援の質の向上への組織的・計画的な取組 | ||
(1) 質の向上に向けた取組が組織的・計画的に行われている。 | 第三者 評価結果 |
|
① | 8 養育・支援の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。 | b |
【コメント】 ・養育・支援の質の向上に向けて、「業務振り返りシート」、「体罰などの不適切な関わりの具体的な例示とセルフチェック」を使って、職員自ら確認をしている。 ・職員のセルフチェックの結果は、管理職で共有され、施設長や主任が個別面談を行っている。 ・前回の第三者評価の結果については職員会議で周知しているが、その分析・検討については不十分である。 ・第三者評価の結果についても分析・検討し、事業計画に反映することを望む。 |
||
② | 9 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。 | b |
【コメント】 ・職員の自己評価を分析した結果は、事業報告に記載し、事業計画に反映している。 ・事業報告、事業計画は職員の参画のもとで策定し、被措置児童等虐待の発生予防から再発予防等、総合的な体制が整備されている。 ・前回の第三者評価受診で改善が求められた課題に対する対応について、組織的・計画的な取り組みができていない。 ・第三者評価で求められた課題について、計画的な改善の取り組みを行うことを望む。 |
||
Ⅱ 施設の運営管理 | ||
1 施設長の責任とリーダーシップ | ||
(1) 施設長の責任が明確にされている。 | 第三者 評価結果 |
|
① | 10 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。 | b |
【コメント】 ・施設長は、自らの施設の経営・管理に関する方針と取り組みについて、4月の職員会議で表明し周知している。 ・施設長は、自らの役割と責任について、広報誌などの媒体を使っての表明等は行っていない。 ・施設長の役割は「管理規定」、「業務分担表」において明確にし、周知している。 ・「慶徳会災害対策マニュアル」に沿って「子供の家災害対策計画」を策定し、施設長の役割と権限を明確にすることを望む。 |
||
② | 11 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。 | b |
【コメント】 ・施設長は、遵守すべき法令等を十分に理解していて、利害関係者との適正な関係を保持している。 ・施設長は、職員に対して経理規定、法令順守規定等を周知し、虐待やセクハラの防止、公正な経費処理、個人情報の保護等、法令順守の具体的な取り組みを行っている。 ・施設長は、大阪府の施設長研修に参加して能力の向上に努めているが、さらに法令順守の観点での経営に関する研修に参加することを望む。 |
||
(2) 施設長のリーダーシップが発揮されている。 | ||
① | 12 養育・支援の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。 | a |
【コメント】 ・施設長は、養育の質の向上について、施設内諸会議、職員会議、運営会議、主任会議、リーダー会議などに自らも参加して現状を把握し、評価・分析を行っている。 ・施設長は、「子ども一人ひとりが安心して安全に生活できる」を基本に子どもの立場で考え、施設内諸会議で職員の養育・支援の質の向上に向けて自らの思いを伝えている。 ・施設長は、職員との面談、教育・研修の充実に力を注ぎ、職員に対して細やかな助言を行っている。 |
||
② | 13 経営の改善や業務の実効性を高める取組に指導力を発揮している。 | b |
【コメント】 ・施設長は、毎年の事業報告で人事、労務、財務等を分析している。 ・施設長は、毎年の事業計画で理念基本方針の実現に向けて、人員配置、職員の働きやすい環境整備等を明示して取り組んでいる。 ・経営の課題については運営会議や職員会議等で検討されているが、施設全体としての取り組みが不十分である。 ・経営の改善や業務の実効性を高めるため、職員が参加する具体的な体制を構築することを望む。 |
||
2 福祉人材の確保・育成 | ||
(1) 福祉人材の確保・育成計画、人事管理の体制が整備されている。 | 第三者 評価結果 |
|
① | 14 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。 | a |
【コメント】 ・必要な福祉人材や人員体制に関する基本的な考え方、福祉人材の確保や育成に関する方針は「家庭的養護推進計画」に・人材育成方針・職員確保の方策・小規模かつ地域分散化に伴うスーパーバイズ体制として記載し確立している。 ・必要な福祉人材や人員体制については「家庭的養護推進計画」で具体的に計画している。 ・社会的養護処遇改善加算計画書に沿って、職員の処遇を改善するとともに職員育成やスーパーバイズ体制を整備する活動を実施している。 |
||
② | 15 総合的な人事管理が行われている。 | b |
【コメント】 ・「期待する職員像」は、「家庭的養護推進計画」に「対象者の人権を大切にできるひと」等記載し明確にしている。 ・「期待する職員像」は新任研修で周知しており、「業務振り返りシート」で定期的に確認し、その内容を管理職やリーダーなどで共有している。 ・人事基準の昇進・昇格等を明確化することができていない。職務に関する成果や貢献度等を評価する基準を策定すると共に職員等への周知されることを望む。 |
||
(2) 職員の就業状況に配慮がなされている。 | ||
① | 16 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。 | b |
【コメント】 ・労務管理に関する責任体制を「業務分担表」で明確にし、取り組んでいる。 ・職員の勤怠データをPCで管理し、職員の就業状況を把握している。 ・ワークライフ・バランスを配慮し働きやすい職場を目指している。子育てで退職した職員が復職して活躍している。 ・職員の心身の健康と安全の確保については法人の「ストレスチェック制度実施規定」に沿って取り組む姿勢はあるが、さらに有効に活用することを望む。 |
||
(3) 職員の質の向上に向けた体制が確立されている。 | ||
① | 17 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。 | b |
【コメント】 ・「期待する職員像」を「業務振り返りシート」で明確にし、職員には新人研修で周知している。 ・職員は「業務振り返りシート」で自らの業務を評価して、職員としてあるべき姿を認識している。 ・毎年9月~10月に管理職が職員と面接して、「業務振り返りシート」に基づいて職員の悩み等を共有している。 ・職員は「業務振り返りシート」で自らの職務を確認しているが、PDCAサイクルを利用したシートの有効活用を目指し、目標管理制度を構築することを望む。 |
||
② | 18 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。 | b |
【コメント】 ・「家庭的養護推進計画」の人材育成方針に「目指すべき職員像」(対象者の人権を大切にできる「ひと」等)を掲げている。 ・職員の勤務年数等に合わせた研修一覧表(職員研修計画受講対象研修)を作成し、研修計画にもとづき、教育・研修を実施している。 ・平成27年に制定した「職員体系研修計画」に沿って実施されているが、定期的な見直しや改正は直近できていない。定期的に計画・内容やカリキュラムを見直すことを望む。 |
||
③ | 19 職員一人ひとりの教育・研修等の機会が確保されている。 | b |
【コメント】 ・職員の能力や適性を把握し、職員の状況に応じた人事配置を行っている。 ・大阪府社会福祉協議会の研修には、知識や技術習得のために職員が積極的に参加できるよう配慮している。 ・地域小規模施設には本園の職員をスーパーバイザーとして配置し、職員育成に努めている。 ・職員のニーズに合わせて「OJTプログラム」に取り組んではいるが、十分に実施できていない。実施記録はリーダーが作成しているが、実施記録にもとづいて「OJTプログラム」を実施することを望む。 |
||
(4) 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成が適切に行われている。 | ||
① | 20 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。 | b |
【コメント】 ・実習生の養育・支援に係る専門職の研修・育成に関する基本姿勢を「実習要綱」で明文化している。 ・実習中には、専門職種の特性に配慮して「社会的養護の子ども達」のケーススタディを行っている。 ・実習生については、学校側と連携し、令和元年度は29名受け入れた。 ・実習生の受け入れ担当が決められていて、認定前実習、追加実習、更新実習の受け入れが行われている。 ・実習指導者に対する研修が不十分である。実習の効果を上げるために、実習指導者に対する研修を行うことを望む。 |
||
3 運営の透明性の確保 | ||
(1) 運営の透明性を確保するための取組が行われている。 | 第三者 評価結果 |
|
① | 21 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。 | b |
【コメント】 ・施設の理念や基本方針、養育・支援の内容は「パンフレット」、「子供の家の紹介」に公開している。 ・「第三者評価受診の結果」は玄関に掲示しており、常時閲覧可能にしている。 ・法人のホームページには、法人の理念等の情報が適切に公開されているが、法人のホームページから参照できる「子供の家のページ」は施設紹介にとどまっている。 ・「子供の家のページ」を活用し、施設の養育・支援の内容、事業計画、事業報告等を適切に公開することを望む。、 |
||
② | 22 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。 | b |
【コメント】 ・施設における事務、経理、取引等に関するルール、職務分掌と権限・責任は「管理規定」、「経理規定」、「業務分担表」で明確にされている。 ・内部監査は定期的に行われ、外部の専門家による任意監査も適宜行われている。 ・監査の結果は理事会及び評議員会に報告され、関係部署に改善を指示している。 ・施設の小規模化が進めば職員への周知が不可欠である。職員への周知を徹底することを望む。 |
||
4 地域との交流、地域貢献 | ||
(1) 地域との関係が適切に確保されている。 | 第三者 評価結果 |
|
① | 23 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。 | a |
【コメント】 ・地域との関わり方については「事業計画」の中で「子供の家が地域の一員として馴染んでいくよう努める」と明確にしている。 ・地域のボランティアの積極的な活用や、地域の子育て支援の事業に取り組んでいる。 ・施設のグランドでは年に一度納涼祭りを実施し、地域住民が参加している。 ・日ごろから地域の人達に挨拶をしてコミュニケーションを図り、子ども達が様々な人と関わる機会を設けている。 |
||
② | 24 ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。 | b |
【コメント】 ・事業計画に「ボランティアの積極的受け入れを行う」ことを明文化し、支援者の開拓を進めている。 ・ボアンティア受け入れについて、登録手続き等を記載した「ボランティア受け入れマニュアル」を整備している。 ・定期的に活動するボランティアが増え、子ども達との交流が深まっている。 ・小学校の先生と年2回交流会を行っているが、地域の学校への協力について明文化したものはない。明文化して取り組むことを望む。 |
||
(2) 関係機関との連携が確保されている。 | ||
① | 25 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。 | a |
【コメント】 ・地域の社会資源を明示したリストを作成している。 ・茨木市内の子育て支援機関と虐待防止のためのネットワーク(子ども”わいわい”ネットワーク茨木)を作り、定期的な連絡会やイベントの開催などを行っている。 ・施設長が茨木市要保護児童対策地域協議会のメンバーになり、地域の状況の把握に努めている。 ・「里親支援専門相談員」を配置し、地域の里親家庭の支援、新規里親の開拓及び里親制度の普及に努めている。 |
||
(3) 地域の福祉向上のための取組を行っている。 | ||
① | 26 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。 | a |
【コメント】 ・地域の虐待防止ネットワーク「子ども”わいわい”ネットワーク茨木」の中で、研修や講演会を開催し、福祉ニーズの把握などに努めている。 ・今年度から「子ども”わいわい”ネットワーク茨木」の本部事務局を担っている。 ・施設として地域の自治会活動に積極的に参加し、法人事業への参加をアピールすることなどにより、地域の福祉ニーズや生活課題等の把握に努めている。 |
||
② | 27 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。 | b |
【コメント】 ・「子ども”わいわい”ネットワーク茨木」の南部ブロック事務局として地域の関係機関・団体と連携して、児童虐待防止に関する様々な研修や講演会などを行い、子育て支援活動を行っている。 ・地域防災へ参加しているが、近隣住民と連携した取り組みが不十分である。「子どもの家災害対策計画」を作成中であり、地域の安全・安心のための備えや支援の取り組みを行うことを望む。 |
||
Ⅲ 適切な養育・支援の実施 | ||
1 子ども本位の養育・支援 | ||
(1) 子どもを尊重する姿勢が明示されている。 | 第三者 評価結果 |
|
① | 28 子どもを尊重した養育・支援の実施について共通の理解をもつための取組を行っている。 | a |
【コメント】 ・法人の理念や施設の基本方針には、子どもを尊重した養育・支援の実施を明示し、「パンフレット」等に記載している。 ・子どもを尊重した養育・支援の実施について「業務振り返りシート」、「体罰などの不適切な関わりの具体的な例示とセルフチェック」を策定し、職員自ら確認をしており、被措置児童等虐待防止については職員会議等で毎年理解を深めている。 ・子どもの尊重や基本的人権の配慮について、職員研修「虐待と権利擁護」を実施している。 ・事業報告に「子どもの権利擁護」について把握・評価して、事業計画で必要な対応を図っている。 |
||
② | 29 子どものプライバシー保護に配慮した養育・支援が行われている。 | b |
【コメント】 ・プライバシーについての明確な規定はない。 ・プライバシー保護の内容について、職員は「不適切な養育についてのセルフチェック」や「業務振り返りシート」で共通理解をしている。 ・子どもの生活の場では、子どものプライバシーを守れるよう設備等の工夫が行われている。 ・「不適切な養育についてのセルフチェック」にプライバシー保護の項を設けることを望む。 |
||
(2) 養育・支援の実施に関する説明と同意(自己決定)が適切に行われている。 | ||
① | 30 子どもや保護者等に対して養育・支援の利用に必要な情報を積極的に提供している。 | a |
【コメント】 ・理念や基本方針、養育・支援の内容や施設の特性等を紹介した「パンフレット」、「子供の家の紹介」、「入所のしおり」や「子供の家アルバム」などの資料を準備している。 ・各種資料は、言葉遣いや写真・図・絵を使って誰にでもわかる内容になっている。 ・施設に入所予定の子供や保護者等には、これらの資料を使って情報提供を行っている。 ・見学等の希望にも対応している。 |
||
② | 31 養育・支援の開始・過程において子どもや保護者等にわかりやすく説明している。 | b |
【コメント】 ・子どもが自分の状況に理解を深めるため、「自分でつくる自立支援計画」を子ども自身が作成している。 ・「子ども自身を権利主体として尊重すること」を施設の基本方針としており、子どもや保護者等の自己決定を尊重している。 ・特殊学級に通う子ども、精神障害を抱える保護者等、意思決定が困難な子どもや保護者への配慮は困難であると思われるが、ルール化して適切な説明、運用を図ることを望む。 |
||
③ | 32 養育・支援の内容や措置変更、地域・家庭への移行等にあたり養育・支援の継続性に配慮した対応を行っている。 | b |
【コメント】 ・養育・支援の内容の変更にあたり、従前の内容から著しい変更や不利益が生じないよう配慮し、子ども家庭センターと協働して児童や保護者へ説明を行っている。 ・退所した子どもたちには、担当職員が定期的に家庭訪問を行い、連絡を取って必要な支援を行っている。 ・措置変更については適宜個別に行っているが、手順などを定めた文書などがない。 ・養育・支援の継続性に配慮した手順と引継ぎ文書を策定することを望む。 |
||
(3) 子どもの満足の向上に努めている。 | 第三者 評価結果 |
|
① | 33 子どもの満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。 | b |
【コメント】 ・子どもの満足に関する調査として、人権侵害に関するアンケートを定期的に行っている。令和元年は2回実施した。 ・子どもへの個別の面談を行い、要望を聞き取っている。 ・職員が子ども会議に出席し、子どもの満足を把握している。 ・把握した結果を職員会議・運営委員会で検討し、職員間で共有化している。 ・人権侵害事案等の発生はないが、引きつづき、子どもから施設や職員に対しての意見・要望の把握に努めることを望む。 |
||
(4) 子どもが意見等を述べやすい体制が確保されている。 | ||
① | 34 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。 | a |
【コメント】 ・玄関に苦情受付の担当者等を張り出しており、意見箱を設置している。 ・「入所のしおり」に第三者委員などを記載しており保護者へ周知を図っている。 ・事務所カウンターには「もしもしBOX」を設置し、子ども達が「もしもしあのねカード」を記入し投函できるようにしている。 ・「子どもの家ルール」を施設の複数個所に掲示し、苦情の出し方や担当者を明記している。 |
||
② | 35 子どもが相談や意見を述べやすい環境を整備し、子ども等に周知している。 | b |
【コメント】 ・子どもが相談したり意見を述べるには「担当の職員か苦情解決担当者に教える、言いにくいことはもしもしカードに書く」ことを「子どもの家のルール」に記載し、施設内複数個所に掲示して、子どもたちに周知している。 ・保護者には「入所のしおり」に「苦情等の受付について」の項に苦情受付担当者、意見箱第三者委員等を記載し、周知している。 ・相談しやすい物理的環境配慮について不十分である。意見を述べやすいスペースの確保に配慮することを望む。 |
||
③ | 36 子どもからの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。 | b |
【コメント】 ・職員は、日々の養育・支援において子どもと話し合い、意見の傾聴に努めている。 ・意見箱「もしもしBOX」を通じて子どもが意見を述べる機会が増え、解決に向けて話し合っている。 ・子どものニーズや現状を把握するため、令和元年度に「子どもアンケート」を2回実施した。 ・相談や意見を受けた際の手順を定めたマニュアルを、実体的に運用している手順等を要約し、運用マニュアルに整備することを望む。 |
||
(5) 安心・安全な養育・支援の実施のための組織的な取組が行われている。 | 第三者 評価結果 |
|
① | 37 安心・安全な養育・支援の実施を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。 | b |
【コメント】 ・事故発生時の対応と安全確保について、「事故対応マニュアル」、「緊急事態対応マニュアル」などによって対応の手順を明確にしており、事務所等に掲示している。 ・子どもの安心と安全を脅かす事例について、日を決めて「ヒヤリハット」を出し合い、職員会議で報告・共有している。 ・安全確保・事故防止に関する研修(事故防止とリスクマネジメント)を実施している。 ・「リスクマネージャーの配置」や「リスクマネジメントに関する委員会の設置」などの体制整備が不十分である。体制の確立を望む。 |
||
② | 38 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。 | a |
【コメント】 ・感染症対策については、「感染症・食中毒対応マニュアル」を作成し、責任と役割、体制や手順などを明確にし、職員に周知徹底している。 ・毎年、感染症等についての勉強(食品と感染症予防について)を職員会議で行っている。 ・「感染症・食中毒対応マニュアル」に基ずき、感染症の予防策が適切に講じられ、感染症が発生した場合の対応が適切に行われる仕組みができている。 |
||
③ | 39 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。 | b |
【コメント】 ・法人の「災害対応マニュアル」に沿って、緊急時の職員体制が構築されている。 ・子ども及び職員の安否確認のため、LINEを使った連絡方法を構築している。 ・外出の機会の多い高校生・児童らとも、同じように緊急時の連絡手段を構築している。 ・「子供の家災害対策計画」の策定が進められている。 ・「事業継続計画」(BCP)は策定されていない。「事業継続計画」を検討・策定することを望む。 |
||
2 養育・支援の質の確保 | ||
(1) 養育・支援の標準的な実施方法が確立している。 | 第三者 評価結果 |
|
① | 40 養育・支援について標準的な実施方法が文書化され養育・支援が実施されている。 | b |
【コメント】 ・「直接処遇マニュアル」が標準的な実施方法として活用されている。毎年4月の職員会議で全出席者に配布され、変更点などを確認、説明している。 ・年間2,3回「業務振り返りシート」で標準的な実施方法にもとづいた支援が実施されているかどうかを確認している。 ・「直接処遇マニュアル」は2,3ページの簡単な内容で、幼児から大人に近いすべての子どもの処遇に関することにふれられてはいない。その他のことは大阪府社会福祉協議会が平成24年に出した「児童福祉施設援助指針」を参考にしているとのことであるが、自分たちの施設に合った「直接処遇マニュアル」の内容が充実していくことを望む。 ・マニュアルには子どもの尊重や権利擁護、プライバシー保護に関わる姿勢を明示されることを望む。 |
||
② | 41 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。 | a |
【コメント】 ・「直接支援マニュアル」は毎年年度末に見直しされている。 ・見直しにあたっては「自立支援計画」「訪問調査」「自立支援計画上半期評価」「次年度引きシート」などをもとに検討している。 ・子どもと職員との話し合いの中で変更された項目(例えば、生活時間、お小遣いの金額など)なども必要があるものは、文書に反映されている。 ・自立支援計画の内容によって、標準的な実施方法(直接処遇マニュアル)が変更している。 |
||
(2) 適切なアセスメントにより自立支援計画が策定されている。 | ||
① | 42 アセスメントにもとづく個別的な自立支援計画を適切に策定している。 | b |
【コメント】 ・アセスメントは「子どもが作る自立支援計画」「自立支援計画上半期評価」「次年度引継ぎ表」などを参考にしているが、明確な「アセスメントシート」はなく、関係者が協議する場もない。 ・「自立支援計画」は子どもの担当職員が作成しフロア内で協議し、リーダーが確認したものを主任が目を通して、最終的に施設長が責任者として印を押して正式な計画書としている。 ・職員は自分の属するフロアの子の計画書は知っている。全員の子どものはファイル化して置いてあるがあまり見る機会はないようである。 ・心理担当や栄養士も含む全職員が参加する検討会議で全員の子どもの計画書が周知されることを望む。 |
||
② | 43 定期的に自立支援計画の評価・見直しを行っている。 | b |
【コメント】 ・6か月ごと担当職員やフロアリーダーが支援計画の評価、見直しを行い、変更点がわかりやすいように赤字で訂正、加筆されている。 ・主任、施設長が確認して作成された「自立支援計画」はファイルにして置かれているが、全職員に特に周知する手順などはないが手順を明確にすることを望む。 ・年度の途中で大きな変更するべき事柄があった時に見直しの支援計画は作られていないが、今年度から導入されたPC管理ソフトの活用により、作成・変更された自立支援計画が誰でも見られるようなシステムが早く出来上がることを期待する。 |
||
(3) 養育・支援の実施の記録が適切に行われている。 | ||
① | 44 子どもに関する養育・支援の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。 | b |
【コメント】 ・記録は毎日の「ケース記録」のほかに健康に関するもの、生活に関するものなど様々あるが適切に記録されている。記録の仕方は先輩職員から新入職員にOJT で指導されて統一したものなるようにしている。 ・毎朝のミーティングはその日出勤している、心理担当や栄養士を含む全職員が参加し情報を共有している。 ・PCソフト「アイリス」が最近導入されて、記録の整理や重要事項の伝達が細やかに行えるなどの効果があったが、さらに活用が進み、必要な情報が必要な場所に的確に届く仕組みが整備されることを期待する。 |
||
② | 45 子どもに関する記録の管理体制が確立している。 | b |
【コメント】 ・「法人文書取扱規定」に保存すべきすべての文書が明記され保存年数が決められている。 ・個人情報保護規定には 不正利用や漏えいについては禁止は明記されているが、禁止事項に対行為が行われた場合の対処についても明記されることを望む。 ・職員は個人情報保護の研修を受け守られている。子どもには日々の養育の中で伝えられており、自分のプライバシーは守られていると多くの子どもは感じている(アンケート結果)が保護者には伝える機会は少なく積極的に取り組んではいない。取り組み強化を望む。 |
||
内容評価基準(25項目) |
||
A-1 子どもの権利擁護、最善の利益に向けた養育・支援 | ||
(1) 子どもの権利擁護 | 第三者 評価結果 |
|
① | A1 子どもの権利擁護に関する取組が徹底されている。 | a |
【コメント】 ・事業計画の中に子ども自身を権利主体として尊重し、子ども一人ひとりが安心して安全な環境の整備や養育に努めると明記されている。 ・全濃く社会的養護施設協議会が行う「人権擁護に対するチエックリスト」や施設独自に作成した「不適切な関わりについてのチエックリストや「業務振り返りシート」などで意識を高め権利侵害防止や予防に努めている。 ・今回の第三者評価で参考にした子どもアンケートでは多くの子どもが「ここでの生活は暮らしやすく安心できますか?」との問いに「はい」と答えている。 |
||
(2) 権利について理解を促す取組 | ||
① | A2 子どもに対し、自他の権利について正しい理解を促す取組を実施している。 | a |
【コメント】 ・子どもは毎年CAP講習を受けている。講習はわかりやすく、楽しく、子どものニーズにあった内容になっていて、子どもの身についていることが、講習後の子どもの振り返りシートで確認できた。 ・職員は子どもの学習の前に学習会を持ち、その年に受講する子どもの特性やニーズに合わせた内容を主催者側と打ち合わせをしている。 ・「子どもの家ルール」には子どもにわかりやすい言葉で暴力の禁止が書かれていて、子どもの目につきやすい箇所に貼って伝えている。 ・子どもの生活場所は縦割りの年齢構成になっており、大きい子が小さい子の面倒を見ることは日常自然に行われている。 |
||
(3) 生い立ちを振り返る取組 | ||
① | A3 子どもの発達状況に応じ、職員と一緒に生い立ちを振り返る取組を行っている。 | a |
【コメント】 ・「自分で作る自立支援計画」では、子ども自身に入所理由や家族のことを尋ねる欄があり、子どもの発達状況に応じた生い立ちの整理は毎年年度初頭に方針を立てている。 ・時期は小学4年生時の子ども家庭センターの調査を基本にしているが、子どもの状況により、もっと早くから取り組む例もある。 ・子ども家庭センターや心理士を含むカンファレンスで検討した内容は職員会議などで共有し事実を伝えた後の適切なフォローにつなげている。 ・「生い立ちブック」は職員の手で丁寧に作成されており、子どもたちは自分で管理してみたい時に見ている。 |
||
(4) 被措置児童等虐待の防止等 | ||
① | A4 子どもに対する不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 | b |
【コメント】 ・子どもたちには「大切なお約束」の中で、大人からの暴力があった時の対応がわかりやすく書かれてあり、生活場所の各所に貼られて小さな時から徹底して取り組まれている。子どもアンケートでは中学生以上ではほぼ全員が外部に通告できることを知っていると答えている。 ・子どもに対する不適切なかかわりについての対応と処分は就業規則に明記されている。施設独自で策定した「不適切なかかわりについてのチエックリスト」は児童の処遇場面での具体的な例示があり通告義務があることが明記されているが、届出者、通告者が不利益を受けることがないことにも触れたチェックリストにする事を望む。 |
||
(5) 子どもの意向や主体性への配慮 | ||
① | A5 職員と子どもが共生の意識を持ち、生活全般について共に考え、快適な生活に向けて子ども自身が主体的に取り組んでいる。 | a |
【コメント】 ・生活単位ごとに「子ども会議」を持ち、む子どもたちが自分たちの生活全般について主体的に考えられるような支援を目指している。 ・「自分でつくる自立支援計画」には生活、対人関係、学習、心の状態について自分で考えて(小さい子は職員と一緒に)現状と頑張ることを記入する。幼児も頑張ることを決めて励み表にしてシールをはり、目に見えるようにしている。 ・施設内の行事はだんだん少なくし子どもが自由に余暇時間の過ごし方を選べるようになっている。子どもは地域や学校のクラブ活動に参加したり、友達と遊んだり、お小遣いで好きなものを買ったり、自由度の高い生活が営まれている。 |
||
(6) 支援の継続性とアフターケア | ||
① | A6 子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、不安の軽減を図りながら移行期の支援を行っている。 | a |
【コメント】 ・入所に関しては主に施設の写真を見せて入所後の生活をわかりやすく説明し、退所には「自分で作る自立支援計画」の中で早い時期から退所時期や、生活の希望を聞き不安軽減や、希望実現に向けた支援をしている。 ・週末里親、季節里親を含めて、里親委託を積極的に行っており、委託後も担当職員や里親支援専門相談員らが協力して親の相談にのるなど、支援を継続している。 ・アフターケア記録に家庭復帰したケースや必要に応じて家庭訪問をしていること、地域の関係機関とカンファレンスを行い児童には施設の行事案内を行っている。 |
||
② | A7 子どもが安定した社会生活を送ることができるようリービングケアと退所後の支援に積極的に取り組んでいる。 | a |
【コメント】 ・「自分で作る自立支援計画」の中に中高生は「退所に向けての課題」を書く欄があり、課題を本人と支援者が共有して取り組むシステムがあり、有効に機能している。 ・今年度より自立支援コーディネーターを配置し、退所後の相談窓口になり、継続したアフターケアが強化された。退所後のトラブルがあれば、自立支援コーディネーターだけでなく、施設長から元担当職員ほか施設全体で対応している。 ・里帰りを勧めており、空き部屋の余裕のない現状でもなんとか工夫して宿泊も歓迎している。 |
||
A-2 養育・支援の質の確保 | ||
(1) 養育・支援の基本 | 第三者 評価結果 |
|
① | A8 子どもを理解し、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止めている。 | b |
【コメント】 ・子どもの心の状態は日ごろのかかわりの中で知るほか、「自分で作る自立支援計画」「子ども調査」、心理士からの情報など様々なことから理解しようと努めている。 ・施設内で「心の理解」というカンファレンスを持ち心理士からの見立てや情報を得たり、特に難しい事例では子ども家庭センターの心理士の助けを借りて子どもの心の状態を理解し適切な支援に結び付けようと努力している。 ・子どもアンケートでは職員との信頼関係が持てている子が多く取り組みが理解されているが、多様な環境の下で生い立ちを持つ子どもたちの心に沿うように継続した取り組みを期待する。 |
||
② | A9 基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援している。 | b |
【コメント】 ・利用者アンケートでは「ここが安心できるところである」「信頼して話しやすい大人がいる」との答えが高率である。 ・生活の決まりは「大切なお約束」の中に3項目(暴力、性的接触、金品の借り貸し強奪)の禁止事項があるほかはなるべく禁止を少なくして自分で考える方針で、自由度は高い。 ・幼児には特に寝かしつけの時間を大切にして3人体制で行っている。夜間の人員配置を規定より多くして子どもの近くに居られるように配慮している。 ・しっかりと取り組んでいるが、子どもとの信頼関係の構築は重要な課題なのでこれで十分ということではなく、さらに関係性が深まっていくような支援を期待する。 |
||
③ | A10 子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障している。 | a |
【コメント】 ・子ども自らが自分の言葉で意見を言えるようになることを支援の重要柱に考えている。 ・決まりや禁止をできるだけ少なくし怒る場面を減らし、ほめることを多くしている。利用者アンケートでは「あなたの良いところをほめてくれますか」ほかそれに関する質問の答えに「はい」が非常に高いことから実践の成果が現れている。 ・お小遣いの使い方も自由で仮に月初めに全額使ってしまっても、子どもが失敗に気づいて改善に向かうような支援を心がけている。 ・職員は断続勤務制により朝、夕に厚くなるようにしている。 |
||
④ | A11 発達の状況に応じた学びや遊びの場を保障している。 | a |
【コメント】 ・施設内の養育は幼稚園児から自分で「頑張ること」を決めてそれを、課題として発達に合わせ、個別のプログラムで行われている。 ・本、玩具、などは豊富にある。サッカーができるグランドがあり、小規模では野菜作りのできる庭もある。自分の部屋で熱帯魚を飼育している子もいる。 ・子どもが習い事を希望した場合はできるだけ希望を叶えているが、送迎などの問題でできないときは納得できるように説明している。 ・幼児は通信教育(ベネッセ)で就学前教育を中高生は大学生家庭教師(ポプラ)の利用などで学びを支援している。 |
||
⑤ | A12 生活のいとなみを通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援している。 | b |
【コメント】 ・本年度から小規模ケアが3か所になり、自主的に基本的生活習慣や生活スキルが身につく環境が以前よりも整備された。 ・施設内の行事を少なくし、地域の中で活動する機会を多くしている(地域スポーツクラブ、習い事など)。む ・子どもの自転車使用について定期的な「交通安全教室」は実施できず、グランドで個別指導を行っている。持病がある子どもには自分で服薬や食事の自己管理ができるような支援を目指している。 ・スマホは初めに施設長が指導して保護者として一緒に買いに行く。職員は外部研修でSNSの取り扱い指導を学んだり対応しているが、まだまだ、試行錯誤中である。さらに取り組み強化が望む。 |
||
(2) 食生活 | ||
① | A13 おいしく楽しみながら食事ができるように工夫している。 | b |
【コメント】 ・大舎では食事時間は決まっていて、全員が食堂に集まって、(幼児は別室)感謝の祈りをしてから、いただきますをして食べ始めているが、中高生ではあまり厳しい縛りではないように見受けられた。遅くなった場合は自分でレンジで温めている。 ・食堂の隣の厨房で作っているので、温かい美味しい食事がいただける。2階の談話室内のキッチンで時々調理実習やお菓子作りなどもしているが、機会は十分ではない。小規模では調理を手伝う機会は日常的にある。壁に食育の記事なども見られた。 ・嗜好調査、誕生日のリクエスト献立、行事食、対面提供など楽しい食事の工夫がある。 ・大舎の食堂は現在は感染予防を第一になっているが、終息の折には、子どもに栄養や行事食のいわれなどを知らせる食育に関する掲示物など食堂らしい楽しい雰囲気の場所になることを期待する。 |
||
(3) 衣生活 | ||
① | A14 衣類が十分に確保され、子どもが衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援している。 | a |
【コメント】 ・子どもたちは決められた予算の中で自分で好きな衣服を買うことができ、十分な量が用意されている。 ・衣生活を楽しんで自己表現している。今は小学生からファッションやオシャレに興味を持つ子が増えているが「キレイになることはいいことだ」を基本姿勢に禁止を少なくして見守っている。 ・洗濯は中学生からは自分ですることになっているが、発達に差があるので、個々に合わせて適切な支援をしている。小学生以下はキレイになって畳まれた洗濯物を保管場所から自分の部屋に持ち帰ってタンスにしまうことになっている。 |
||
(4) 住生活 | ||
① | A15 居室等施設全体がきれいに整美され、安全、安心を感じる場所となるように子ども一人ひとりの居場所を確保している。 | b |
【コメント】 ・現在地域小規模は2か所あり、どちらも本体からも近くよい環境のもとで、小規模の特質を活かした養育が実施されている。 ・今年度から本体内に小規模グループケアが開始されて、本体には33名が幼児、男子、女子のグループに分かれて生活している。幼児は11名が一部屋、中高生はほぼ一人部屋、その他は4人から2人の相部屋になっている。建物も築年数がたち修理箇所が増えて、修繕が追いつかない現状もある。 ・課題は認識されて、できることは改善に向けて努力されているが、ハード面の困難はある。今後小規模化の計画が進んでよりよい環境が整備されるであろうと期待する。 |
||
(5) 健康と安全 | ||
① | A16 医療機関と連携して一人ひとりの子どもに対する心身の健康を管理するとともに、必要がある場合は適切に対応している。 | a |
【コメント】 ・子どもは年2回の定期検診をうけ、種々の記録により適切に管理されている。できるだけ母子手帳の情報も取り入れて予防接種記録に役立てている。 ・特別な配慮を要する子どももいるが、専門医療機関と連携し、情報を関係者で共有し服薬や食事の管理が行われている。子どもの成長発達に伴って、自分で健康管理ができるような支援をしている。 ・施設に看護師はいないが、法人の看護師からの情報発信があり、本年度は新型コロナウイルスの学習会を受講し、伝達講習で共有し感染対策を行った。 |
||
(6) 性に関する教育 | ||
① | A17 子どもの年齢・発達の状況に応じて、他者の性を尊重する心を育てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設けている。 | b |
【コメント】 ・「子どもの家ルール」で「友だちの体のプライベートゾーン(下着でかくれるところ)をさわりません。友だちのベットに入る。こともダメ」と書かれており、幼児からそのことを教えている。 ・具体的な対応では小さい子には、聞いてきたときに絵本を使って教えたり、問題のある子は子ども家庭センターの保健師に来てもらって個別指導してもらったり、資料をもらってワークしたりしているが、基本的には学校と子ども家庭センターの性教育を優先している。 ・発達途上の子どもを預かる施設としては、独自のカリキュラムを用意し、より積極的な取り組みを期待する。 |
||
(7) 行動上の問題及び問題状況への対応 | ||
① | A18 子どもの暴力・不適応行動などの行動上の問題に対して、適切に対応している。 | b |
【コメント】 ・事例には「緊急時対応マニュアル」(フローチャート)にそって、施設全体で対応している。「子どもを加害者にも、被害者にもしない」ことを基本姿勢に、双方に職員が寄り添って対応している。 ・心理士も含めて子どもの心の背景と原因を探り、再発防止策を検討している。 ・職員は「暴力防止プログラム」の外部研修を受けているが、自施設でも起こりうる事例を想定した内部研修会を持ち、全員で援助技術のスキルアップをはかっている。 ・適切な対応はされてはいるが、さらにスキルアップを目指して取り組むことを期待する。 |
||
② | A19 施設内の子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組んでいる。 | b |
【コメント】 ・現在小規模ケア3か所(6人×3)幼児、女子部、男子部に分かれている。個室であったり、相部屋であったりするが、適切な配慮のもと、構成されている。 ・全員が年1回のCAP講習を受け、子どもたちのトラブル予防の一助になっている。 ・暴力事例が発生したときは原則的に子ども家庭センターに報告して、連携して解決にあたっている。被害児童のケアもちろんのこと、加害児童にも個別担当職員が中心になり、施設全体で対応している。 ・発生予防のための死角などの施設内点検その他は行っているが、十分ではないと自己評価している。十分な対策を望む。 |
||
(8) 心理的ケア | ||
① | A20 心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行っている。 | a |
【コメント】 ・敷地内の別棟に独立したセラピールームがあり、必要な子どもはセラピーを受けているが生活空間とは違う非日常性が、子どもの心によい影響が見られるという。 ・心理士は必要に応じてカンファレンスに参加し、見立てや助言を行い、担当職員がたてる、自立支援計画の心理面の計画作成に役立っている。 ・定期的に「心の理解」という心理士と直接処遇職員との連絡会をもち、セラピーの報告と援助方針を共有している。 ・常勤心理士が身近にいるので、すぐ相談ができ日常的にも助言がケアに役立つ例が多い。 |
||
(9) 学習・進学支援、進路支援等 | ||
① | A21 学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行っている。 | b |
【コメント】 ・学校とは定期的な連絡会を持つほか、個別に細かな連携をとっている。毎年度初めには新任教師を招き施設を理解してもらうようにしている。発達検査の内容なども、子ども家庭センターの職員と一緒に伝え、子どもを理解してもらいうことに努めている。 ・発達に遅れのある子どもが多いので、宿題や忘れ物など、その子の発達に応じて個別の対応をしている。学習支援も大学生の家庭教師(ポプラ)を採用するなど1;1の支援を重視している。 ・空スペースが少なく、相部屋の子どもが一人で落ち着いて学習する環境作りは難しいが取り組みを期待する。 |
||
② | A22 「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援している。 | a |
【コメント】 ・将来のことは、小学生のうちから「自分で作る自立支援計画」で考えるような仕組みがある。中高生ではより具体的に希望を聞いて、親、子ども家庭センター、学校と相談して最善の進路選択を支援している。 ・今春高校卒業して大学に進学する子どもと面談して、進路決定のための経済面、生活面、精神面などが十分に的確に支援されたことが確認できた。 ・高校中途退学者への支援や進学、就職した子どもの生活が安定するように退所後も直接的な支援や、見守りをしていることが記録されていた。 |
||
③ | A23 職場実習や職場体験、アルバイト等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組んでいる。 | a |
【コメント】 ・職場実習や職場体験は学校の分担で施設では、多少なりとも賃金が伴うアルバイトを高校生に奨励している。自分でアルバイト先を探すのが困難な場合は施設が手助けして系列の作業所や老人ホーム、一般企業の障がい者枠の利用などで働き先を開拓し、施設全体で応援している進行中の例がきかれた。 ・。退所後の生活準備や電話代の支払いの資金作りや社会体験のために、アルバイトを応援し、知り合いの事業主が新しくマスク作成の仕事を始めた時には希望する子どもが働きにいった例もあった。 ・18歳になれば、実際の就労に活かすためと、社会に出た時の身分証明としての役割でもある事を説明し自動車免許の取得を目指している。 |
||
(10) 施設と家族との信頼関係づくり | ||
① | A24 施設は家族との信頼関係づくりに取り組み、家族からの相談に応じる体制を確立している。 | b |
【コメント】 ・家庭子どもセンターと連携して、定期的に保護者と話し合いの機会を持つように努めている。家庭訪問に同行し子どもの様子を伝え信頼関係構築をはかっている。 ・子ども家庭センターと連携して、面会、外出、一時帰宅を実施し、そのあとの子どもの変化などには施設全体で適切なフォローを心がけている。 ・現在2名の家庭支援専門相談員がおり、子どもの担当職員などとともに積極的な活動を行っているが、相談員の役割を明確にしたものはない。他の専門職(里親、自立支援、個別対応など)も同様で、明確にした文書化を望む。 |
||
(11) 親子関係の再構築支援 | ||
① | A25 親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組んでいる。 | b |
【コメント】 ・子どもひとり一人の親子関係再構築の形を家庭センターとその家族とともに考え、親子に適したプログラムを無理なく進めている。関係機関と連携して丁寧な支援を実施しカンファレンスを重ねた結果、昨年度2名の家庭引き取りができた。 ・連絡の途切れている保護者には家庭訪問や電話連絡などで積極的に子どもとの関係回復に努め、その取り組みは高く評価できるが、現在ハード面で親子訓練室の場所がなくなり、それに関する活動が制限されていることは残念である。今後の家庭的養護推進計画の実行に期待する。 |