社会的養護施設第三者評価結果 検索

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第三者評価結果詳細
共通評価基準(45項目)Ⅰ 養育・支援の基本方針と組織 
1 理念・基本方針
(1)理念、基本方針が確立・周知されている。 第三者
評価結果
1 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。 b
【コメント】
 施設の理念や基本方針は、法人・施設が作成しているホームページ、パンフレット等の各種文書に明示されています。また、施設においては、職員会議で毎回唱和をして、職員への周知を図っています。
 今後は、子どもや保護者への更なる周知を図るなど、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
2 経営状況の把握
(1) 経営環境の変化等に適切に対応している。 第三者
評価結果
2 施設経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。 b
【コメント】
 今後は、施設を取り巻く環境、地域の子どもに関する状況や福祉ニーズ、潜在的な要保護児童に関するデータ等を収集、分析するなど、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
3 経営課題を明確にし、具体的な取組を進めている。 b
【コメント】
 項目2とも関連しますが、今後は、施設の経営課題を明確にし、施設全体でその解決に向けて組織的に取り組むなど、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
3 事業計画の策定
(1) 中・長期的なビジョンと計画が明確にされている。 第三者
評価結果
4 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。 b
【コメント】
 施設の中・長期的ビジョンを的確に記述した中長期計画が策定されています。現在は計画の第一期(平成27年度から31年度)の中間年に当たります。第二期に向けた見直しが求められます。
 今後は、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
5 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。 b
【コメント】
 中・長期計画の内容が反映され、当該年度の運営方針、施設整備計画、支援計画、食事計画、防災計画、保健計画、研修計画、行事計画が網羅された単年度の事業計画が策定されています。 
 今後は、具体的な数値目標を盛り込み、実施状況が評価できる内容にするなど、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
(2) 事業計画が適切に策定されている。
6 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。 b
【コメント】
 今後は、事業計画の策定、実施状況の評価および見直しの時期や手順を明確にした事業計画策定のための行程表を策定するなど、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
7 事業計画は、子どもや保護者等に周知され、理解を促している。 c
【コメント】
 事業計画書を冊子にしたものを施設ロビーのラックに置き、保護者等への周知に取り組んでいます。
 今後は、この項目の求める内容を踏まえた取り組みや工夫が求められます。
4 養育・支援の質の向上への組織的・計画的な取組
(1) 質の向上に向けた取組が組織的・計画的に行われている。 第三者
評価結果
8 養育・支援の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。 b
【コメント】
 今後は、養育・支援の質の向上に向けた取り組みを組織的に行なうなど、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
9 評価結果にもとづき施設として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。 c
【コメント】
 今後は、評価結果を分析、課題を明確にし、個々の課題についてその改善を組織的に実施することが強く求められます。
Ⅱ 施設の運営管理
1 施設長の責任とリーダーシップ
(1) 施設長の責任が明確にされている。 第三者
評価結果
10 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。 b
【コメント】
 施設長が自らの役割と責任を表明する場として、広報誌は法人発行の為、スペースが限られますが、ホームページの有効活用を検討することが考えられます。
 今後はこの項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
11 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。 b
【コメント】
 法人・施設にとって、コンプライアンスの取り組みは社会的な要請です。
 今後は、法人レベルでコンプライアンス・ガイドラインあるいは法令遵守マニュアル等を策定するなど、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
(2) 施設長のリーダーシップが発揮されている。
12 養育・支援の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。 a
【コメント】
 施設長自らが、子どもの養育・支援の質の向上に意欲を持ち、指導力を発揮しています。
 今後とも、この項目の求める内容を踏まえた更なる対応が期待されます。
13 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。 a
【コメント】
 施設長には、今後とも、経営改善や業務の実行性を高める取り組みに指導力を発揮するなど、この項目の求める内容を踏まえた更なる取り組みが期待されます。
2 福祉人材の確保・育成
(1) 福祉人材の確保・育成計画、人事管理の体制が整備されている。 第三者
評価結果
14 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。 b
【コメント】
 社会福祉施設にとって、人材の確保・育成は極めて重要な課題です。
 今後は、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
15 総合的な人事管理が行われている。 b
【コメント】
 今後は、人事基準の策定やキャリアパス制度の導入などによる総合的な人事管理の体制構築を目指して、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
(2) 職員の就業状況に配慮がなされている。
16 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。 b
【コメント】
 法人・施設として、年に一回の職員のストレスチェックを行うなど、職員の心身の状態の把握に努めています。
 今後は、働きやすい職場作りを目指して、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
(3) 職員の質の向上に向けた体制が確立されている。
17 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。 c
【コメント】
 今後は、「職員一人ひとり」という観点で、年度当初の目標設定、中間面接等による進捗状況の確認、年度末の達成度評価、次年度の目標設定というPDCAサイクルでの職員育成の仕組みの構築が求められます。
18 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。 b
【コメント】
 今後は、教育・研修計画の策定に当たって、この項目の求める内容を踏まえた対応が望まれます。
19 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。 b
【コメント】
 今後は、「職員一人ひとり」という観点に立った研修機会の提供、新任職員への組織的なOJTの実施など、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
(4) 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成が適切に行われている。
20 実習生等の養育・支援に関わる専門職の教育・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。 a
【コメント】
 児童福祉施設にとって、実習生の受け入れは、次世代の人材育成に留まらず、子どもが多くの人と触れ合う機会の提供、施設運営の透明性の担保などの観点からも重要です。 
 今後とも、この項目の求める内容を踏まえた更なる取り組みの充実が期待されます。
3 運営の透明性の確保
(1) 運営の透明性を確保するための取組が行われている。 第三者
評価結果
21 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。 b
【コメント】
 法人・施設運営の透明性を確保するために徹底した情報の公開は不可欠な取り組みです。
 今後は、より一層の情報公開を行うなど、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
22 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。 b
【コメント】
 今後は、公正かつ透明性の高い施設運営を目指すために、第三者性が担保された外部の専門家等による、事務、経理、取引等のチェックを受けるなど、この項目の求める内容を踏まえた対応が望まれます。
4 地域との交流、地域貢献
(1) 地域との関係が適切に確保されている。 第三者
評価結果
23 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。 a
【コメント】
 子どもたちが地域の人たちとの日常的な交流を持つことは大切です。
 今後は、この相互交流を更に深めるため、この項目の求める内容を踏まえた様々な工夫や取り組みが望まれます。
24 ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。 b
【コメント】
 施設にとって、ボランティアの受け入れは、養育・支援の補助的役割だけでなく、子どもたちへの多くの人とのふれあいの機会の提供、施設運営の透明性の確保等々の観点からも重要です。
 今後は、この項目の求める内容を踏まえた対応が望まれます。
(2) 関係機関との連携が確保されている。
25 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。 b
【コメント】
 施設が事務局機能を担っている「子ども”わいわい”ネットワーク茨木(市域の民間主導の地域子育て支援ネットワーク)」を通して多くの関係機関・団体との密な連携が図られています。
 今後は、子どもの個別な状況に合った内容の個別資源リスト(子ども個人別の資源カルテ)を作成するなど、この項目の求める内容を踏まえた対応が望まれます。
(3) 地域の福祉向上のための取組を行っている。
26 施設が有する機能を地域に還元している。 b
【コメント】
 「子ども”わいわい”ネットワーク茨木」の活動を通して、施設の持つ機能を地域に還元する取り組み(各種子育て研修会、子育て相談会等)を実施しています。
 今後は、災害時における施設の役割の確認を含めて、この項目の求める内容を踏まえた対応や取り組みが望まれます。
27 地域の福祉ニーズにもとづく公益的な事業・活動が行われている。 a
【コメント】
 「子ども”わいわい”ネットワーク茨木」の活動を通して、その構成団体等から得られた地域福祉ニーズに基づく公益的な事業・活動を実施しています。
 今後とも、この項目の求める内容を踏まえた更なる取り組みの充実が期待されます。
Ⅲ 適切な養育・支援の実施
1 子ども本位の養育・支援
(1) 子どもを尊重する姿勢が明示されている。 第三者
評価結果
28 子どもを尊重した養育・支援の実施について共通の理解をもつための取組を行っている。 a
【コメント】
 「体罰や不適切な関わりのセルフチェック」「人権侵害チェックシート」等を用いて、職員自らが子どもを尊重した養育・支援を行っているかを定期的に評価する取り組みを行っています。
 今後は、この項目の求める内容を踏まえた更なる取り組みを期待します。
29 子どものプライバシー保護等の権利擁護に配慮した養育・支援の実施が行われている。 b
【コメント】
 前回の第三者評価の指摘を受けて、プライバシーチーム(検討チーム)が子どもの意見を基にプライバシー保護マニュアルを策定しました。
 子どもの権利擁護を念頭に置いた日々の養育・支援は行われていますが、その基となる規程・マニュアルが未整備です。
 今後は、子どもの権利擁護マニュアルを策定するなど、この項目の求める内容を踏まえた対応や取り組みが望まれます。
(2) 養育・支援の実施に関する説明と同意(自己決定)が適切に行われている。
30 子どもや保護者等に対して養育・支援の利用に必要な情報を積極的に提供している。 a
【コメント】


 入所のしおりは子ども用・保護者用を準備し、適宜見直しています。また、入所予定の子どもや保護者へも、施設の写真を準備するなどていねいな説明をしていることを確認しました。
 今後とも、この項目の求める内容を踏まえた更なる取り組みが期待されます。
31 養育・支援の開始・過程において子どもや保護者等にわかりやすく説明している。 b
【コメント】
 項目30と関連しますが、施設入所時には丁寧な説明、情報提供を行っていますが、子どもや保護者等からの同意が取られていません。
 今後は、インフォームド・コンセントの考え方に従って、子どもや保護者等からの書面による同意を残すことが求められます。
 今後は、この項目の求める内容を踏まえた対応や取り組みが望まれます。
32 措置変更や地域・家庭への移行等にあたり養育・支援の継続性に配慮した対応を行っている。 b
【コメント】
 措置変更や家庭復帰に当たっては、その子どもの養育・支援の継続性に配慮することが必要です。養育・支援の継続性に配慮した文書を、全てのケースに準備することが望まれます。
 特に、里親への委託変更に当たっては、より詳細な内容の記載が求められます。
 今後は、この項目の求める内容を踏まえた対応や取り組みが望まれます。
(3) 子どもの満足の向上に努めている。 第三者
評価結果
33 子どもの満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。 b
【コメント】

 

 各行事後のアンケートをはじめ、子どもとの個別面接や、子ども会への出席をし、子どもの思いを聴き取り、子どもの満足の向上を目的とした仕組みを整備し、取り組んでいます。
 今後は、この項目の求める内容を踏まえた更なる取り組みの充実が望まれます。
(4) 子どもが意見等を述べやすい体制が確保されている。
34 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。 b
【コメント】
 苦情内容と解決結果については法人のホームぺージ上で公表されています。
 今後は、苦情対応について、この項目の求める内容を踏まえた対応や取り組みが望まれます。
35 子どもが相談や意見を述べやすい環境を整備し、子ども等に周知している。 b
【コメント】
 項目34と関連しますが、今後は、子どもや保護者が相談や意見を述べやすくする工夫や配慮を行なうなど、この項目の求める内容を踏まえた対応や工夫が望まれます。
36 子どもからの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。 b
【コメント】
 今後は、現状の相談や意見への対応の流れを整理し、マニュアルにまとめるなど、この項目の求める内容を踏まえた対応や工夫が望まれます。
(5) 安心・安全な養育・支援の実施のための組織的な取組が行われている。 第三者
評価結果
37 安心・安全な養育・支援の実施を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。 b
【コメント】
 全体としてリスクマネジメントの体制が不十分です。
 今後は、事故対応の手順(マニュアル)を策定するとともに、収集しているヒヤリハット事例を分析し、発生予防に繋げるなど、子どもたちの安心・安全な生活環境づくりを目指して、リスクマネジメント体制の整備が望まれます。
38 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。 b
【コメント】
 今後は、現行のフローチャートに具体的な行動等を加えた「感染症対応マニュアル」を策定することなど、この項目の求める内容を踏まえた対応や取り組みが望まれます。
39 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。 b
【コメント】
 近い将来に予想される大規模災害に備えて、子どもたちの安全の確保のため、この項目の求める内容を踏まえた対応が望まれます。
 特に今後は、火災に限らず大震災を想定した防災計画を策定するとともに、地域との合同の防災訓練を実施することが望まれます。
2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の標準的な実施方法が確立している。 第三者
評価結果
40 養育・支援について標準的な実施方法が文書化され養育・支援が実施されている。 c
【コメント】
 養育・支援マニュアルが未整備です。児童養護施設運営指針の各論の項目に対応した施設における日々の養育・支援の標準的な実施方法の文書化(養育・支援マニュアルの整備)が強く求められます。
41 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。 c
【コメント】
 項目40と関連しますが、養育・支援マニュアルを策定する際には、この項目の求める内容を反映させることが求められます。
(2) 適切なアセスメントにより自立支援計画が策定されている。
42 アセスメントにもとづく個別的な自立支援計画を適切に策定している。 b
【コメント】
 自立支援計画は、「自分で作る自立支援計画」を基に、各職種によるアセスメント、チーム会議を経て組織的に策定されていますが、心理職の参画が確認できません。
 「自分で作る自立支援計画」は、子どもの意見表明を保障する取り組みとして評価できます。
 今後は、策定段階に心理職を加えるなど、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。
43 定期的に自立支援計画の評価・見直しを行っている。 a
【コメント】
 自立支援計画の評価・見直しのプロセスでは、心理職も参加した振り返り会議を行い組織的な対応をしています。
 今後とも、この項目の求める内容を踏まえた更なる対応が期待されます。

(3) 養育・支援の実施の記録が適切に行われている。
44 子どもに関する養育・支援の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化さている。 b
【コメント】
 パソコンの導入により、子どもの日々の養育・支援にかかる情報は職員間で共有されています。
 今後は、記録作成マニュアル等を策定して職員間での記録内容や書き方に差が生じないよう配慮するなど、この項目の求める内容を踏まえた取り組みや工夫が望まれます。
45 子どもに関する記録の管理体制が確立している。 b
【コメント】
 児童福祉施設は多大な個人情報を扱っているという現状を鑑みて、法に準拠した「個人情報保護規程」を策定するとともに、子どもの記録の取扱、保管、保存、廃棄および提供等について定めた個人情報取扱規程の策定が求められます。
 今後は、個人情報の取り扱い等について、この項目の求める内容を踏まえた取り組みが望まれます。

内容評価基準(41項目)A-1 子ども本位の養育・支援
(1) 子どもの尊重と最善の利益の考慮 第三者
評価結果
A1 社会的養護が子どもの最善の利益を目指して行われることを職員が共通して理解し、日々の養育・支援において実践している。 a
【コメント】
 自立支援計画票の振り返りが半期ごとに日々のミーティングの中で実践されて、支援状況の確認が行われています。
A2 子どもの発達段階に応じて、子ども自身の出生や生い立ち、家族の状況について、子どもに適切に知らせている。 b
【コメント】
  児童相談所と連携し、発達の状況に応じて比較的早期から保護者の協力を得ながら、ライフストーリーワークに取り組んでいます。こうした早くからの日常的な取り組みは、子どもの安心・安定した生活につながっています。
(2) 権利についての説明
A3 子どもに対し、権利について正しく理解できるよう、わかりやすく説明している。 b
【コメント】
 権利ノートや「子供の家ルール」により、お誕生会での個別説明やCAPプログラムによる学習の機会を定期的に設けています。
 更に、前述のルールの掲示にとどまらず、子ども会といった全体の場で、子どもが権利を意識化していく取り組みが望まれます。
(3) 他者の尊重
A4 様々な生活体験や多くの人たちとのふれあいを通して、他者への心づかいや他者の立場に配慮する心が育まれるよう支援している。 b
【コメント】
 「もしもしカード」を利用した子どもからの意見や相談に対して、送迎や就寝時等の日々の生活場面で個別に向き合う時間を大切にしています。このような子どもが大切にされる体験が、職員との信頼関係を高めています。
 更に、施設の基本方針にある「人との関わる力」を育てるために、日々の生活場面でグループの力を利用した取り組みが望まれます。
(4) 被措置児童等虐待対応
A5 いかなる場合においても体罰や子どもの人格を辱めるような行為を行わないよう徹底している。 a
【コメント】
 就業規則等において子どもへの虐待の禁止と制裁処分が明記され、「業務態度振り返りシート」で虐待の具体的な例示がなされ、また、虐待への対応手順についてはフローチャートで示されています。
A6 子どもに対する不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 a
【コメント】
 措置児童虐待の発生予防対策として、虐待をチャイルド・マルトリートメント(不適切な関わり)としてとらえ、全職員が「業務態度振り返りシート」や「体罰や不適切な対応のチェックシート」を定期的に記入・提出することで、人権侵害やマナー及び体罰など不適切な関わりへのセルフチェックをしています。
 また、子ども達にも職員の不適切な対応を例示した「子供の家ルール」を掲示しています。こうした取り組みは高く評価できます。
A7 被措置児童等虐待の届出・通告に対する対応を整備し、迅速かつ誠実に対応している。 b
【コメント】
 全国児童養護施設協議会「児童養護施設における人権擁護のためのチェックリスト」による人権侵害防止点検事項報告が、定期的に全職員から施設長へ直接に提出され、被措置児童等虐待のセルフチェックによる届出と発見の場合の通告の仕組みがあり、高く評価できます。
 なお、通告者が不利益を受けない規定を整備することが望まれます。
(5) 思想や信教の自由の保障
A8 子どもや保護者等の思想や信教の自由を保障している。 a
【コメント】
 宗教法人を母体とする施設ですが、職員や入所児童に対し、信教の自由は保障されています。
(6) こどもの意向や主体性への配慮
A9 子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、そこから分離されることに伴う不安を理解し受けとめ、不安の解消を図っている。 b
【コメント】
 入所にあたっては、事前見学や入所日の職員との顔合わせによる安心感や好きな食べ物、持ち物への配慮のほか、入所初期の添い寝等のきめ細やかな対応が行われています。
 さらに、分離体験への回復をすすめて施設生活に定着していく上では、アドミッション期のケアとして、適切な支援プログラムの策定が望まれます。
A10 職員と子どもが共生の意識を持ち、子どもの意向を尊重しながら生活全般について共に考え、生活改善に向けて積極的に取り組んでいる。 b
【コメント】
 子どもの生活に関することでは、ルールをなくしていく方向で取り組んでいます。また、子ども会議では生活改善に向けた話し合いに取り組んでいます。
 子どもが主体的に検討し自己決定していくプロセスを大切にした取り組みの更なる充実が望まれます。
(7) 主体性、自律性を尊重した日常生活
A11 日々の暮らしや、余暇の過ごし方など健全な生活のあり方について、子ども自身が主体的に考え生活できるよう支援している。 b
【コメント】
 行事への参加や生活時間の過ごし方などは、子どもの意見や自由を認めています。特に、支援学校の子どもがアルバイトで地域とつなげていく取り組みが進められています。
A12 子どもの発達段階に応じて、金銭の管理や使い方など経済観念が身につくよう支援している。 b
【コメント】
 自立生活訓練棟がなくなったため、調理実習程度の訓練プログラムを実施するにとどまっています。
 それに替えて、近隣の法人所有のマンションの1室を利用することで、アフターケアでサポートしています。
(8) 継続性とアフターケア
A13 家庭復帰にあたって、子どもが家庭で安定した生活が送ることができるよう復帰後の支援を行っている。 a
【コメント】
 家庭支援専門相談員を中心に家族再統合に向けた支援が入所直後から開始されていて、家族再統合に向けた積極的な取り組みをしています。   
 家庭復帰にあたっては、子どもの課題など保護者や地域の支援機関と情報共有をして、連携しながらアフターケアを展開しています。
 なお、退所児童フェースシートには、課題に加えて、当面の支援方針やその具体的な手立て(援助内容)などを記入して、支援者が共有していくことが期待されます。
A14 できる限り公平な社会へのスタートが切れるように、措置継続や措置延長を積極的に利用して継続して支援している。 a
【コメント】
 自立に向けた支援が必要な場合には、積極的に措置継続や措置延長を実施しています。
A15 子どもが安定した社会生活を送ることができるようリービングケアと退所後の支援に積極的に取り組んでいる。 a
【コメント】
 リービングケアやアフターケアについては、担当職員と主任が連携して実施しています。また、施設の行事へOBを招待したり、正月の帰省も受け入れています。
A-2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の基本 第三者
評価結果
A16 子どもを理解し、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止めている。 b
【コメント】
 子どもが作る自立支援計画票の作成支援を通じて、子どものニーズの把握と共有をしています。
 利用者アンケートでは、「話しやすい職員がいる」と答えた子どもの割合が増加しています。
A17 基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援している。 b
【コメント】
 「子どもが作る自立支援計画票」の作成支援を通じて、子どものニーズの把握をしています。また、夜、目覚めたときの対応については、隣室の子どもの協力もあり、ある程度の対応体制は整えられています。
 そして、就寝前や送迎、買い物の同行時を、個別対応の大切な時間として活用しています。
A18 子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障している。 b
【コメント】
 常に主体的に行動させてみるという姿勢で見守り、失敗を恐れずに取り組めるように支援がなされています。
A19 発達段階に応じた学びや遊びの場を保障している。 b
【コメント】
 未就園児については、自由保育を中心にしながらも、発育上の個別な課題への対応にも取り組んでいます。
 更に可能な範囲で、子どもの一般的な発達的課題に対する設定保育プログラムの導入が望まれます。
A20 秩序ある生活を通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援している。 b
【コメント】
 それほど機会が多いとはいえませんが、地域のスポーツ大会や行事のほか、大阪児童福祉事業協会アフターケア事業部が主催するソーシャルスキルトレーニングにも積極的に子どもたちを参加させ、交流することで、それなりの社会的ルールの習得につながっています。
(2) 食生活
A21 食事は、団らんの場でもあり、おいしく楽しみながら食事ができるよう工夫している。 b
【コメント】
 鍋やホットプレートを使った料理にしたり、お誕生日リクエストメニューなどで楽しい食事になるように演出が工夫されています。
 更に壁飾りを増やしたり、食卓にテーブルクロスか、指定席なので個別のランチョンマットを敷いておくなど、何かちょっとした工夫で、明るく楽しい雰囲気を盛り上げることが望まれます。
A22 子どもの嗜好や健康状態に配慮した食事を提供している。 a
【コメント】
 地域小規模施設のホーム調理については、ホームリーダーが献立と調理を担当していますが、週1回のペースで本体施設の栄養士のチェックがなされています。
 また、「もしもしポスト」の横に「リクエストメニューボックス」が設置してあり、個別のオーダーに対応するとともに、食事の盛り付け量も一人一人個別に配慮されています。
 地域小規模施設においては、本体施設の栄養士によるさらなるバックアップ体制の充実が期待されます。
A23 子どもの発達段階に応じて食習慣を身につけることができるよう食育を推進している。 b
【コメント】
 栄養士は、「児童養護施設及び児童心理治療施設における栄養管理研究会」に所属し、知識や情報の共有をして専門性やスキルアップに努めています。
 また、食後の跡片付けや食事マナーについて、調査日の夕食の様子からも、子どもたちにとって良き食習慣が身についていました。
 ただ、調理体験やおかしづくりなど増やしていくことが望まれます。
(3) 衣生活
A24 衣類が十分に確保され、子どもが衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援している。 a
【コメント】
 衣類等の購入にあたっては、年2回衣類のチェックのもとに買い物に同行して、予算の範囲内で子どもの好みのものを購入するなど、衣類の購入や選択及び管理について、適切な対応がなされています。
(4) 住生活
A25 居室等施設全体がきれいに整美されている。 b
【コメント】
 玄関には、鉢植え等の花が飾られて明るい雰囲気になっています。共用部分や居室内は、よく清掃や整理整頓され、清潔にされています。
 大舎ではありますが、一斉放送による案内の取り止め、居室での食事可能など家庭的な状況への改善に取り組んでいます。
 しかしながら、建物周囲の植栽、廊下や居室ならびに食堂の壁面等の利用についてはやや寂しい状況が見られ、破損個所の修復は行っているもの、修繕や張り替えまでに至っていない箇所も一部見られましたので、より明るく、温かみのある生活環境への改善に向けて工夫することが望まれます。
A26 子ども一人ひとりの居場所が確保され、安全、安心を感じる場所となるようにしている。 b
【コメント】
 小規模グループケアの中長期計画が立てられていますが、現状は、大舎制で居室は3~4人部屋が大半を占めています。
 しかしながら、ハード面の限界はありますが、小規模グループケアを目指して、談話室を開放しておやつを食べたり宿題をしたりとリビング的な利用をしています。
 大舎制であっても、より家庭的な生活空間を工夫し提供していくことが望まれます。
(5) 健康と安全
A27 発達段階に応じ、身体の健康(清潔、病気、事故等)について自己管理ができるよう支援している。 b
【コメント】
 子どもの安全について、自転車利用や交通ルールについて自己管理できるように手厚く配慮しています。
 また、不審者対策については、CAPプログラムや学校との連携で対応ができていますが、施設内外の危険箇所等の把握が十分でありませんので、子どもが危険から身を守るための情報提供と必要な対策が望まれます。
A28 医療機関と連携して一人ひとりの子どもに対する心身の健康を管理するとともに、必要がある場合は適切に対応している。 b
【コメント】
 入所児童の保健衛生・医療に関しては、健康診断の実施や服薬チェック、感染症対策等の健康管理については適切に取り組まれています。なお、掲示物で医療担当者による情報提供はなされていますが、さらに子どもの疾病や外傷ならびに必要な応急手当、メンタルヘルス等の知識やスキルについて、学習できる機会の充実が望まれます。
(6) 性に関する教育
A29 子どもの年齢・発達段階に応じて、他者の性を尊重する心を育てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設けている。 b
【コメント】
 子ども版のほか職員版のCAPプログラムによるワーク学習等を通じて、性教育や他者への尊重に関する学びを重ねて職員意識は高まってはいますが、年齢、発達に応じたカリキュラムの作成は未着手であり、職員自身の対応のノウハウの習得の取り組みでは十分とは言えません。
(7) 自己領域の確保
A30 でき得る限り他児との共有の物をなくし、個人所有とするようにしている。 b
【コメント】
 大舎制における集団生活においては、物理面での「自他の境界線」の確保に限界はありますが、所有物では個別に収納スペースを確保しています。
 また、保護者等との面会時にアルバムを一緒に見ることで、自己形成の促進を図っています。
A31 成長の記録(アルバム等)が整理され、成長の過程を振り返ることができるようにしている。 a
【コメント】
 アルバムの整理にあたっては、入所前の写真や家族の写真も含めて整理しており、職員とともに可能な限り、保護者とともに一緒に成長を振り返る機会を大切にし、児童相談所とライフストーリーワークに向けて連携を進めています。
(8) 行動上の問題及び問題状況への対応
A32 子どもの暴力・不適応行動などの行動上の問題に対して、適切に対応している。 b
【コメント】
 子どもの暴力については、加害側の子どもへのケアも継続的に対応しています。
 更に、そうした暴力場面での職員の援助技術として、セカンドステップやCSP(コモンセンス・ペアレントトレーニング)等の研修やほか、職員のバーンアウト等の防止のためにメンタルヘルスの取り組みが望まれます。
A33 施設内の子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組んでいる。 b
【コメント】
子ども間の暴力等の人権侵害事案が生じた際には、被害者支援には各グループの担当職員が当たり、個別対応職員は、加害者支援に回るという組織的対応をしています。
 発生予防対策としては、CAPプログラムや行動の振り返り支援で対応をしていますが、
 更に、適正な職員配置やヒヤリハットの分析による発生予防への取り組みの充実が望まれます。
A34 虐待を受けた子ども等、保護者等からの強引な引取りの可能性がある場合、子どもの安全が確保されるよう努めている。 a
【コメント】
 保護者からの強引な引き取り行動に対して、子どもを生活の場である2階へ避難させるとともに、保護者の侵入を防ぐ対応を予定しています。
 更に、しっかりと子どもの安全をいかに守るのか、シミュレーションを始め不審者対応とともにマニュアル化が期待されます。
(9) 心理的ケア
A35 心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行っている。 b
【コメント】
 常勤心理士が子どもへのセラピーはもとより、グループごとに年2回のケースカンファレンスでのSV(スーパーバイズ)に加え、「心の理解」と名づけられた職員研修に積極的に関与することが定着しています。
 また、自立支援計画票の心理的支援については、常勤心理士が合議の際に内容チェックをしています。
 なお、保護者等への助言援助については実施しているものの、心理士から子どもの変化等の情報を直接伝えられてはいませんので、必要に応じて心理士が同席し、子どもの情報提供を行うともに保護者への心理的支援をすることなどが望まれます。

(10) 学習・進学支援、進路支援等
A36 学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行っている。 b
【コメント】
 学習塾の利用や学習ボランティアの活用など、基礎学力の向上に努めています。学習については、居室のほか中学生などは会議室等を利用することで対応しています。
A37 「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援している。 a
【コメント】
 子どもが自分の思い描く将来に向けて自己決定し進んで行けることを目指し、進学や就労に向けて必要な情報提供とともに奨学金や生活資金といった経済的な情報を提供しながら、子どもの最善の利益に沿った自己決定ができるように支援しています。
 中退等の子どもについても、担当職員が自立に向けて支援し、アフターケアを主任職員が対応する体制を整えています。
A38 職場実習や職場体験、アルバイト等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組んでいる。 b
【コメント】
 職場体験や職場実習については、施設の取り組みとして法人内の高齢者施設や地域の企業へのアルバイトにとどまっています。伝統ある施設として後援会の活用や大阪児童福祉事業協会事業等との連携などにより、体験先の開拓が望まれます。
(11) 施設と家族との信頼関係づくり
A39 施設は家族との信頼関係づくりに取り組み、家族からの相談に応じる体制を確立している。 b
【コメント】
 入所当初から家族再統合を最優先課題に、保護者の意向や現状と子どものニーズを把握しながら、家庭支援専門相談員を複数配置して積極的に取り組んでいます。
 なお、家庭支援専門相談員については、求められる専門性や業務内容を踏まえて、支援の仕組みと役割分担を明文化することや、外泊後の不適切な関わりへのチェックの仕組みの充実が必要です。
(12) 親子関係の再構築支援
A40 親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組んでいる。 b
【コメント】
 児童相談所と連携し支援方針を共有しながら、家庭支援専門相談員を中心に面会や家庭訪問等により家庭支援に取り組んでいます。
 なお、家族再統合の支援は家庭復帰だけがゴールではありませんが、自立支援計画票の中で何を目指すのか必ずしも十分に反映されていません。
 また、地域交流研修室等を利用した親子生活訓練などの支援が少ない状況ですが、養育スキルのアップや親子関係の修復や改善を目指して、家族療法等による専門的な支援が望まれます。
(13) スーパービジョン体制
A41 スーパービジョンの体制を確立し、職員の専門性や施設の組織力の向上に取り組んでいる。 a
【コメント】
 職員に対するスーパービジョンは、日々の業務の中での基幹的職員や副主任によるものやピアカウンセリングのほか、定例的に心理士や法人参事により重層的に実施されています。
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