社会的養護施設第三者評価結果 検索

子どもの家

第三者評価結果詳細
共通評価基準(45項目)Ⅰ 養育・支援の基本方針と組織 
1 理念・基本方針
(1) 理念、基本方針が確立・周知されている。 第三者
評価結果
1 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。 a
【コメント】
・法人理念・施設基本方針は、リーフレットに明確かつ分かりやすく書かれており、施設玄関に掲示されている。
・理念や基本方針は、職員会議等において周知と共有に努め、職員の行動規範となっている。
・施設に来所される子どもの保護者には、入所のしおり(保護者用)等を配付のうえ丁寧な説明を行っている。子ども家庭センター止まりの保護者については、制度上施設からの資料等の直接配付や説明は事実上不可能となっている。
2 経営状況の把握
(1) 経営環境の変化等に適切に対応している。 第三者
評価結果
2 施設経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。 a
【コメント】
・社会福祉事業全体の動向は、法人本部ないし施設において行政・所属団体や行政も参加する地域ネットワーク活動(子どもわいわいネットワーク茨木)等を通じて収集・分析し、法人の施設長会議や施設の職員会議で共有のうえ文書化している。
・施設で受け入れ対象となる子どもに関する全国及び地域におけるデータ等の収集に努め、施設の経営環境や課題抽出に活かしている。
・施設が対象とする子どもの推移や養育・支援に関わるコスト等については、毎月定期的に把握し分析している。
3 経営課題を明確にし、具体的な取組を進めている。 a
【コメント】
・施設の経営課題や問題点については、施設の中長期計画「家庭的擁護推進計画」、令和5年度事業計画や令和4年度事業報告おいて開示のうえ具体的取組方針を記載し、法人理事長から施設職員に至るまで共有している。
・法人及び施設での目下最大の経営課題は、人材の確保と育成の継続であることを施設長会議や職員会議を通じ、法人理事長から施設職員に至るまで認識している。
・人材の確保と育成については、中長期計画の中に、人材育成方針・人材確保の方策・小規模かつ地方分散化に伴う職員体制の整備が示され、計画的な取り組みが進められている。
3 事業計画の策定
(1) 中・長期的なビジョンと計画が明確にされている。 第三者
評価結果
4 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。 a
【コメント】
・中長期計画は、2019~2029年度までの10年計画が策定されており、今年度は前期の最終年度となる。計画は、「家庭的擁護推進計画」と題され、理念や基本方針に沿った大舎制から小規模・地域分散化並びに高機能・多機能化への推進が図表を使い分かりやすく策定されてる。
・計画には、具体的な成果目標が示され、その進捗等が客観的に評価できる内容となっている。今年度は既に3か所の小規模施設全てが稼働するなど計画通りの進捗となっている。
・計画は、3年毎に見直しが行われており、2024年度には国策の見直しに伴う計画改訂が見込まれている。
5 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。 a
【コメント】
・令和5年度計画は、中長期計画を踏まえ具体的内容が記載され、運営方針、設備投資、(子ども)支援、食事、防災、保健、研修、委員会活動、行事の9項目と多岐にわたり、各項目とも詳細な計画となっている。
・単年度計画には、詳細な収支予算書と事業活動計算書が添付されている。
・事業計画は、数値目標や具体的成果が設定されており、進捗や達成度が客観的に把握できる。年度末には、事業報告書を作成しており、令和4年度の事業報告書は、A3横長用紙で8頁にも及ぶ詳細な記載となっている。
(2) 事業計画が適切に策定されている。
6 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。 a
【コメント】
・次年度の事業計画策定作業は、毎年2月の職員会議にて着手し、リーダーが各職場の意見や実情等を集約・反映させ、主任クラスで策定した骨子を、施設長が法人理事会に報告し、了承を得る手順となる。その後、事業報告書を作成し事業計画を確定のうえ、4月の職員会議やミーティングにおいて職員への説明と周知を図っている。
・コロナ禍にあっては、職員会議等が開催できなかったことで計画の策定に職員の参画が不十分な時期もあったが、現在では払拭されている。
7 事業計画は、子どもや保護者等に周知され、理解を促している。 b
【コメント】
・事業計画を施設玄関に掲示しているものの、子ども・保護者等への周知や理解促進には不十分といえる。
・事業計画の主たる内容については、子ども会議やイベント来園時に保護者等に伝えるように努めている。
・事業計画の要点について、分かりやすい資料の作成や周知・説明につき一層の工夫と取組を期待する。
4 養育・支援の質の向上への組織的・計画的な取組
(1) 質の向上に向けた取組が組織的・計画的に行われている。 第三者
評価結果
8 養育・支援の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。 b
【コメント】
・養育・支援の質向上への取組が日常適切に行われているが、個々の取組に意識してPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを廻す体制を取り入れることを期待する。
・養育・支援の質向上への取り組みに、「業務振り返りシート」や「不適切なかかわりのセルフチェック」等のツールを利用した振り返りを行い、結果を職員会議(グループミーティング)で共有し分析している。
・第三者評価を継続的に受審しており、特に前回指摘された事項の多くの点で改善に向けた取組と成果が見られた。引き続き積み残しの継続的な改善を望む。
9 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。 a
【コメント】
・養育・支援の質向上への取組の評価は、職員間で共有し分析のうえ文書化している。
・前回の第三者評価結果の改善策の一つとして、処遇特別3委員会(虐待防止・性教育・アドボカシー)活動を立上げ養育・支援の質向上への組織的活動を開始した。
Ⅱ 施設の運営管理
1 施設長の責任とリーダーシップ
(1) 施設長の責任が明確にされている。 第三者
評価結果
10 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。 b
【コメント】
・施設長は、4月の職員会議において、施設の経営・運営に関する方針と取組を明確にし職員への周知を図っている。なお、広報誌は法人発行のもので法人傘下の40事業所のトピックス記事が中心で、傘下の施設長が登場することはない。
・施設長は、「業務分担表」において自らの役割(14の業務項目とその内容)を文書化し、職員に周知している。
・「管理規定」、「業務分担表」には、施設長の権限委任につき明確な規定は見られなかった。令和5年度事業計画に策定予定の「子どもの家災害対策計画」及びBCP(事業継続計画)には明確に規定することを望む。
11 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。 a
【コメント】
・施設長は、養育・支援の質の現状につき、施設内の巡回、職員・運営会議への参加のほか主任・リーダー会議の内容把握に努めるなど、定期的・継続的な評価と分析を行っている。また、職員の教育・研修の充実を図っている。
・施設長は、職員が毎年4月に作成する「目標管理シート」の内容をリーダー・主任と共有し、職員の定期的な面接のほか必要に応じて随時個別面接も行なっている。
・施設長は、職員の模範となるよう自己研鑽に励み、職員からの評価も高い。
(2) 施設長のリーダーシップが発揮されている。
12 養育・支援の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。 b
【コメント】
・施設長は、養育・支援の質の現状につき、施設内の巡回、職員・運営会議への参加のほか主任・リーダー会議の内容把握に努めるなど、定期的・継続的な評価と分析を行っている。また、職員の教育・研修の充実を図っている。
・施設長は、職員が毎年4月に作成する「目標管理シート」の内容をリーダー・主任と共有し、職員の定期的な面接のほか必要に応じて随時個別面接も行なっている。
・施設長は、職員の模範となるよう自己研鑽に励み、職員からの評価も高い。
13 経営の改善や業務の実効性を高める取組に指導力を発揮している。 b
【コメント】
・施設長は、経営改善や業務実効性の向上を目指し、法人本部と協働のうえ人事・労務・財務等の適格な運用と分析を図っている。
・施設長は、子どもの養護・支援の充実と働きやすい職場を目指し、加配制度等を援用し職員増を実現している。
・施設長は、施設内に虐待防止・性教育及びアドボカシーの各委員会を設置し、自らも参画することで適切な対応を図ることを目指している。これら委員会における活動が、今後一層充実することを期待する。
2 福祉人材の確保・育成
(1) 福祉人材の確保・育成計画、人事管理の体制が整備されている。 第三者
評価結果
14 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。 a
【コメント】
・必要な福祉人材の確保・育成は、中長期計画「家庭的養護推進計画」の中で、人材育成方針・人材確保方策・小規模かつ地域分散化に伴うスーパーバイズ体制対応として具体的に示されている。
・人材確保は、実習生やボランテイアの宿直アルバイトやパートタイム雇用への取り込み、保育士・心理士育成校からの新卒採用や専門職にこだわらない多様な人材の採用等の工夫が見られる。そのための魅力的な職場環境の整備に努めている。
・処遇改善加算に基づき職員のキャリアアップを積極的に行い、可能な限り加算職員を配置している。
15 総合的な人事管理が行われている。 b
【コメント】
・法人・施設の「期待すべき職員像」は、「家庭的擁護推進計画」(中長期計画)の中で5項目を挙げている。新任職員研修においても周知され、法人・施設が大切にしていることが分かる。
・毎年、職員一人ひとりが「目標管理シート」を作成し、自己評価と課題を振り返る仕組みが定着している。
・目標管理やキャリアパス制度を明確にし、現状のゆるやかな人事管理から、職員の頑張りや貢献度が適正に評価され、職員のモチベーションを高める総合的な人事管理につなげる取組を期待する。
(2) 職員の就業状況に配慮がなされている。
16 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。 a
【コメント】
・労務管理責任は施設長にあることを「業務分担表」で明確にし、施設長は職員の「ワーク・ライフ・バランス」に配慮した取組を行っている。また、安全衛生委員会が有効に機能しており、ストレスチェックの実施や産業医による相談等が行われている。
・職員の有休取得や時間外勤務等のデータをICT(情報通信技術)で把握し、職員の就業状況を関係者が定期的に確認している。
・職員の福利厚生は、主として互助会が企画実行する日帰り旅行・観劇・スポーツ大会(3年間コロナ禍で中止)のほか、既に再開している法人の秋華祭・文化発表会などがある。
(3) 職員の質の向上に向けた体制が確立されている。
17 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。 a
【コメント】
・法人・施設の「期待すべき職員像」は、「家庭的擁護推進計画」の中で明確にしている。
・毎年4月に職員一人ひとりが「目標管理シート」による目標を作成している。職員の目標は、直接の上長であるリーダーか管理職(施設長・主任)が共有している。9~10月に上長が職員の中間面接を実施し、目標の進捗度を確認し必要に応じ職員の相談に乗る。期末には、職員が自己評価と課題を振り返り目標の達成度が確認が出来る。
18 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。 a
【コメント】
・法人・施設の「期待すべき職員像」は、「家庭的擁護推進計画」の中で明確にしている。
・法人の研修委員会において、年度別・施設毎に詳細な研修計画が作成されている。研修は、階層別(初級・中級・リーダーと管理職)、職種別(心理職・栄養士と調理員)があり、内部・外部研修を含め約50の研修が用意され、職員一人ひとりに合った研修を受講することで養育・支援の質向上と魅力ある職場づくりを目指している。
・研修計画は、毎年研修内容とカリキュラムの評価と見直しを行っている。
19 職員一人ひとりの教育・研修等の機会が確保されている。 a
【コメント】
・個別職員の知識・技術水準・専門資格取得状況等のデータは施設事務所にて一元的に管理している。
・職員間の連携は良好で、新任職員に対するOJTや本園の職員が小規模施設の宿直に入るなど個別支援を行っている。
・職員一人ひとりが教育・研修に参加できるよう、法人・施設が受講対象研修一覧を示し、研修参加への推奨を行っている。また、研修の開催要項などはデータで職員と共有し、受講希望の有無等を都度確認している。
・施設内でスーパービジョン体制を確立し、職員の専門化や組織の向上に取り組んでいる。
(4) 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成が適切に行われている。
20 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。 a
【コメント】
・施設では、保育士と社会福祉士向けの実習プログラムを用意し、複数の養成校から毎年多くの実習生を積極的に受け入れ(令和4年実績 54名)、将来の社会福祉専門職の育成、子どもが様々の人と触れ合い関わる機会の提供及び職員の仕事のやりがいを感じあらたな刺激につなるなどの効果が期待できる。
・実習生を受け入れる職員に対しては、研修を受けた社会福祉士が指導を行っている。
・実習生の所属校とは、実習の前後・期間中を通じ担当教諭と連携を密にすることで実習の効果が上がるよう努めている。また、養成校との実習懇親会等に施設から参加し交流を深めている。
3 運営の透明性の確保
(1) 運営の透明性を確保するための取組が行われている。 第三者
評価結果
21 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。 b
【コメント】
・法人・施設の理念や基本方針等は、施設のリーフレットに分かりやすく示し一般に配布するとともに、「第三者評価受審結果」、「事業計画」、「事業報告」と共に施設玄関に掲示している。
・法人概要・事業所・相談窓口や情報開示等がホームページや広報誌「華」で社会・地域に広く開示している。
・施設の概要は、法人のホームページ(HP)に施設の一つとして紹介されているが実質的内容は貧弱のため、現在全面改訂を企画・作業中である。施設HPの早期完成を期待する。
22 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。 a
【コメント】
・法人と施設で「経理規程」を整備し、施設では小口現金等の出納と記帳担当を分けトラブルの未然防止を図っている。
・「管理規程」、「業務分担表」等で職務分掌と権限を明確に規定し、各規程は職員がICTにより常時閲覧可能で、相互牽制が働く仕組みとなっている。
・法人本部における内部監査及び外部監査が定期的に実施されている。
4 地域との交流、地域貢献
(1) 地域との関係が適切に確保されている。 第三者
評価結果
23 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。 a
【コメント】
・事業計画の地域貢献項目に「子ども達がさまざまな人とかかわる機会を設ける…」とあり、子どもと地域との交流を深める施設の姿勢を明示している。
・施設や子どもへの理解を得るために、自治会役員会を施設食堂の場を提供し開催している。また、コロナ禍で一時中断しているが、本園の隣接グランドに櫓(やぐら)を組み納涼祭りを盛大に開催し地域住民を招待している。
・学校の友人達が子ども達と一緒になって、グラウンドでバスケットやフットサルを楽しむこともある。
24 ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。 b
【コメント】
・事業計画の中に積極的にボランティア受入れの基本姿勢を明示している。(令和4年受入れ実績 25名)
・「ボランテイア受入れマニュアル」を整備し、受入れにかかわる手順等を記載している。また、施設の行事にボランティアを招待し懇親の場を設けており、子どもとの交流を深めている。
・子どもが通学する地域の学校とは、職員が学校行事に参加したり教師との交流会を持つなどの取組を行っているが、基本姿勢を明文化したものは見当たらない。地域の学校教育等への協力にかかわる基本姿勢の明文化を望む。
(2) 関係機関との連携が確保されている。
25 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。 a
【コメント】
・施設や子どもにかかわる地域の必要な社会資源のリストを作成し、職員間で共有し日常的に活用している。
・府各地の子ども家庭センターを担当者の写真入りで事務所前に掲示し、子ども・保護者等や職員が活用している。
・「子どもわいわいネットワーク茨木」(施設は、南部ブロック事務局を担当 )、茨木市要対協(要保護児童対策地域協議会)や里親支援、こども自立支援等の関係諸機関と連携し、児童虐待防止や子育て支援に取組んでいる。
(3) 地域の福祉向上のための取組を行っている。
26 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。 a
【コメント】
・施設が南ブロック事務局を担っている「子どもわいわいネットワーク茨木」の活動(子育て研修・相談等)を通じて、地域の福祉ニーズや生活課題等の把握に努めている。
・施設は、地元の自治会活動に積極的に参加することで、地域の具体的な福祉ニーズの把握に努めている。
・委託事業である里親支援機関(B型)として、里親支援専門相談員を配置し地域の新規里親の普及に努めている。
27 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。 b
【コメント】
・「子どもわいわいネットワ-ク茨木」の南部ブロック事務局として、子育て支援活動を行った。(令和4年実績:役員会・研修会・子育て支援活動等の開催)
・里親支援機関として、地域の里親家庭・ファミリーホーム等の支援及び委託児童への相談支援を行い、入所児童1名を里親家庭へ委託した。
・児童養護施設卒園者への支援を行った。(卒園生30名に家庭訪問や来園、電話等で再就職支援、学生生活の支援、卒園生の子育て相談、その他生活全般の支援を実施)
・地域の防災対策や被災時に支援を必要とする住民に対する宿泊場所の提供など支援の取組を期待する。

Ⅲ 適切な養育・支援の実施
1 子ども本位の養育・支援
(1) 子どもを尊重する姿勢が明示されている。 第三者
評価結果
28 子どもを尊重した養育・支援の実施について共通の理解をもつための取組を行っている。 a
【コメント】
・施設の基本方針「子どもとつながる、つなげる」に、子どもと職員・家族・地域・里親など様々の人との関わりの中で社会全体で子どもの養育を支援するという、子どもを第一に考え尊重する姿勢と取組が明示されている。
・子どもを尊重した養育・支援の基本姿勢が、基本方針のほか「業務振り返りシート」、「不適切なかかわりのセルフチェック」等の各種ツールや処遇マニュアルにより標準的な実施方法として確立している。
・子どもの尊重や人権への配慮につき、職員は各種研修会等で学び、振り返りを行い必要な対応を図っている。
29 子どものプライバシー保護に配慮した養育・支援が行われている。 a
【コメント】
・[子どもの家プライバシー保護について」の冊子を作成し、子どもへの説明と施設の一部に掲示している。
・プライバシー保護について、子どもへは「入所のしおり」を配付し、職員には「直接処遇マニュアル」、「不適切なかかわりのセルフチェック」、「業務振り返りシート」にてプライバシー保護の確認を定期的に励行している。子どもが「イヤ」と言ったことは基本的に行わないことを職員に徹底している。
・本園は、老朽化しているがユニット化の推進による一部設備の更新や子どもから指摘のあった個所等については、都度点検のうえ必要に応じて手直しなどの対応を行い、プライバシー保護が実現出来る施設を心掛けている。
(2) 養育・支援の実施に関する説明と同意(自己決定)が適切に行われている。
30 子どもや保護者等に対して養育・支援の利用に必要な情報を積極的に提供している。 a
【コメント】
・施設で子どもや保護者に対応するため、リーフレット・入所のしおり(子ども用・保護者用)、施設や活動状況の写真を掲載した「子どもの家アルバム」等の資料を用意し、丁寧な説明を心掛けている。
・いずれの資料も写真を多用したり、大きい文字を使用したり、文章の漢字にルビ(ふりがな)を振ったり、幼児にも分かりやくする工夫がされている。
・見学にも対応し、子どもや保護者等の施設が行う養育・支援について主体的に選択できるよう配慮している。
31 養育・支援の開始・過程において子どもや保護者等にわかりやすく説明している。 b
【コメント】
・入所に当たっては、子どもや保護者等が現状を可能な限り認識し、施設が行う養育・支援内容について主体的に判断し自己決定出来るよう説明や対応に工夫を行っている。
・養育・支援の開始や過程においては、子どもや保護者等の同意を得たうえで、その内容を書面で残している。
・意思決定が困難な子どもや配慮を要する保護者等は実際のケースでは少ないと思われるが、かかる場合を想定したルールを設定し、ルールに沿った適正な説明と運用を図ることを望む。
32 養育・支援の内容や措置変更、地域・家庭への移行等にあたり養育・支援の継続性に配慮した対応を行っている。 a
【コメント】
・養育・支援の内容変更に際し、従前の内容との著しい変更や不利益が生じないよう配慮している。
・施設の退所に当たり、子どもと一緒にアセスメントシートを作成のうえ相互で確認を行い、それぞれがアセスメントシートを保管することで養育・支援の継続性を担保している。
・家庭への引取り・里親委託及び施設移行時に、子どもの引継ぎ文書を作成した。施設の退所後、必要時に施設担当者名と連絡先を説明し文書を手渡している。
(3) 子どもの満足の向上に努めている。 第三者
評価結果
33 子どもの満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。 b
【コメント】
・子どもの満足度については、子ども会議への職員参加、個別面談、行事後のアンケート実施や日常の養護・支援の中で把握に努めている。子どもの満足度把握については、アンケート調査の実施など一層の工夫と定期的・継続的取組を望む。
・把握した子どもの要望等については、職員・運用会議で共有し内容を検討のうえ必要に応じ運営に活かしている。
・子どもの自主性に任すことが多いが、子ども間でトラブルにならぬよう普段から成り行きを注視のうえ、必要な場合には介入することも必要と思われる。全職員が子どもの動きを引き続き良く見守ることを期待する。
(4) 子どもが意見等を述べやすい体制が確保されている。
34 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。 a
【コメント】
・苦情解決委員会を設置し、受付担当者・責任者・第三者委員(2名)や「意見箱」の設置等が、法人HP・施設内の掲示や「入所のしおり(保護者用)」等にて公表されている。子どもに対しては、「子どもの家ルール」、「入所しおり」や「もしもしBOX」、「きくよちゃんBOX」等で、意見や苦情をすくい上げやすい環境を整備している。
・苦情等については、職員間で共有し改善に努めるとともに、申し出人に対するフィードバックを行い、プライバシーに配慮したうえで内容を公開している。
35 子どもが相談や意見を述べやすい環境を整備し、子ども等に周知している。 a
【コメント】
・子どもが相談したり意見を述べたりするには、施設内に掲示してある「子どもの家ルール」や入所時に配付される入所のしおりに「困ったときは、職員さんに声をかけてね。誰でも大丈夫」、「話しづらいことも手紙で書いてみて」と子供に呼びかけている。
・子どもが書いた手紙は、1階の「もしもしBOX」や、2階の子ども達の生活スペースに設置した「きくよちゃんBOX」の設置でより意見を伝えやすい工夫と配慮が見られる。
36 子どもからの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。 b
【コメント】
・職員は日常の活動において、子どもが相談しやすく意見を述べやすいよう、誰にでも相談できること、意見箱の設置場所を工夫するなど意見の傾聴と適切な相談に努めている。
・相談や意見の記録方法や報告の手順、対応策の検討など統一した手順書かマニュアルの整備を期待したい。
・相談や意見への検討に時間を要する場合のフィードバックや意見を養育・支援に活かす取組を行っている。
(5) 安心・安全な養育・支援の実施のための組織的な取組が行われている。 第三者
評価結果
37 安心・安全な養育・支援の実施を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。 b
【コメント】
・事故対応マニュアル、緊急時対応マニュアルを設定している。
・定期的に「安全点検シート(外構、施設内)」「マイリスクシート」「ひやりはっとミニ」などの点検シートを提出している。
・職員全員が点検シートを作成し集計分析の下、主任会議で議題にしている。PDCAサイクルを利用した改善策・再発防止策が話合われている。
・安全委員会を設け有効に働いているが責任者が定められていない。責任者を定めてリスクマネジメントに関する明確な体制の確立を望む。
38 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。 a
【コメント】
・特に新型コロナウイルス感染症については「慶徳会感染症対策委員会」を設置し、法人の下「感染症の予防及びまん延防止のための指針」を設け予防対策を適正に行いながら、平常のサービスが提供できるよう取り組んでいる。
・「感染症・食中毒対応マニュアル」を設置し、感染症・食中毒予防対策講習研修を行っている。感染症等についての勉強(食品と感染症予防について)は職員会議で行っている。
39 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。 b
【コメント】
・「慶徳会災害対策マニュアル」を設置し「事業所災害対策計画」を作成している。
・災害対策マニュアルを設置し子ども及び職員の安否確認のため、携帯通信アプリを使った連絡方法を構築している。
・大阪府主催の毎年9月1日に行われる「訓練一斉開始」訓練に参加して、非常時の体制を確認している。
・外出の機会の多い高校生・児童らとも、同じように緊急時の連絡手段を構築している。
・消防訓練と共に災害時の食料や備品を備蓄し、管理者が定められている。
・BCP(事業継続計画)計画「子どもの家災害対策計画」の策定が進められている。令和6年の実施に向けて順調に進められることを期待する。
2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の標準的な実施方法が確立している。 第三者
評価結果
40 養育・支援について標準的な実施方法が文書化され養育・支援が実施されている。 a
【コメント】
・法令遵守、個人情報保護、ハラスメント防止、苦情解決などの運営規定・マニュアルが整備されている。
・「直接処遇マニュアル」で標準的な実施方法を示し、毎年見直し改定がなされ4月の職員会議で配布し説明している。
・毎年職員研修計画(初級・中級、リーダー管理職、専任)を作成し、研修受講対象者の管理がされている。
・年間2回「業務振り返りシート」で標準的な実施方法にもとづいた支援が実施されているかどうかを確認している。
・インタビュー形式で職員二人が交互に支援の有り方を尋ね、業務態度の評価や自己反省につなげている。
41 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。 a
【コメント】
・「直接支援マニュアル」は年度末に見直し新年度へ反映させている。
・新年度に向けて、「自立支援計画」「訪問調査」「自立支援計画上半期評価」「次年度引きシート」などもとに見直し検討している。
・自立支援計画の作成から評価までの手順表を用意し職員の間で統一をはかっている。
・自立支援計画作成時には、子ども一人ひとりが職員と話し合いながら「自分で作る自立支援計画」を作っている。
(2) 適切なアセスメントにより自立支援計画が策定されている。
42 アセスメントにもとづく個別的な自立支援計画を適切に策定している。 a
【コメント】
・子どもの担当職員とフロアリーダーは自立支援計画を作成し、施設長を責任者としている。計画は措置機関の子ども家庭センターへ提供している。
・支援計画には完成に向けて施設と子ども家庭支援センターへ相互の取組を収集している。点検の時期が定められている。
・「こころの理解」研修を実施し、心理職、里親担当、自立支援担当と直接処遇職員が参加し、児童らのアセスメントを実施している。
43 定期的に自立支援計画の評価・見直しを行っている。 b
【コメント】
・自分で作る自立支援計画は上半期・年度末に評価を行っている。
・見直しには担当職員・フロアリーダを中心に次年度児童引継ぎシートを作成し、子ども家庭センターに意見を求めている。
・児童支援に関する書類はすべて文書ソフト(アイリス)で管理し、全職員が閲覧可能とし共有している。
・緊急の場合には変更する準備は有るが、組織としての仕組みを定めていないので、緊急時対応計画の実施に向けて仕組みを定められることを望む。
(3) 養育・支援の実施の記録が適切に行われている。
44 子どもに関する養育・支援の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。 a
【コメント】
・文書管理ソフト「アイリス」の活用し、ケース記録、OJTファイル、施設内研修情報の一元化をしている。
・直接処遇マニュアルに準じて、新任教育にOJTマニュアルを準備し記録の内容チェック添削をしている。
・自立支援計画作成から評価までの手順書を作成し、年2回業務振り返りシートを利用して詳細に指導をしている。
・館内ICTネットワークを使用し、全職員が職務に応じて情報を共有している。
45 子どもに関する記録の管理体制が確立している。 b
【コメント】
・「法人文書取扱規程」に保存すべきすべての文書が明記され、保存年数が決められている。
・個人情報保護規程には 不正利用や漏えいについての禁止を明記している。
・職員は個人情報保護の研修を受けている。子どもには日々の養育の中で伝えられており、自分のプライバシーは守られていると多くの子どもは感じている(アンケート結果)
・さらに不適切な利用や漏えいに対する処遇について就業規則等に明記されることを望む。
・保護者には個人情報の内容を伝える機会は少なく、機会を捉えて積極的に伝える工夫を望む。
内容評価基準(24項目)
A-1 子どもの権利擁護、最善の利益に向けた養育・支援
(1) 子どもの権利擁護 第三者
評価結果
A1 子どもの権利擁護に関する取組が徹底されている。 a
【コメント】
・権利擁護研修としては階層別(初級・中級・リーダーと管理職)、職種別(心理職・栄養士と調理員)や近畿児童養護施設研修や児童養護施設職員研修があり参加をしている。
・人権擁護・人権侵害の防止のための点検事項を定め、業務振り返りシートやひやりはっとミニ、業務の振り返りをチェックしている。また全国社会的養護施設協議会が行う「人権擁護に対するチエックリスト」を利用し権利侵害防止・予防に努めている。
・浄土真宗を母体とし「本山参拝」「花まつり」「修正会」などの行事は有るが、入所時に宗教の自由を説明しており、子どもの思想を縛るものではない。
・入所時のしおりには「困った時には」何でも話せることを明記し伝えている。今回の第三者評価で参考にした子どもアンケートでは多くの子どもが「ここでの生活は暮らしやすく安心できますか?」との問いに「はい」と答えている。
(2) 権利について理解を促す取組
A2 子どもに対し、自他の権利について正しい理解を促す取組を実施している。 a
【コメント】
・法人の年1回の全体人権研修が有り、新任研修に権利擁護を入れ、心理職など専門に応じて研修を受けている。職員会議で人権研修について半期ごとの計画を話し合っている。
・子どもは、こども児童相談所から権利ノートが渡されており施設でもそれを継承している他、毎年職員・子どもが、CAP講習を受けている。年齢に合わせたニーズに対応し、子どもの身についていることを、講習後の子どもの振り返りシートで確認している。
・「もしもしあのね、先生聞いて」カードや子ども調査を通じて意見を促し理解しようとしている。
・各フロアのメンバー構成は幼児、小中学生、男女、障害の有無も含め総合的に考慮し、日常生活の中で職員の配慮の下、適切に対応している。
(3) 生い立ちを振り返る取組
A3 子どもの発達状況に応じ、職員と一緒に生い立ちを振り返る取組を行っている。 a
【コメント】
・子どもが担当職員と「自分で作る自立支援計画」を作っているが、そこには施設で取り組む生い立ちの整理を入れている。
・子ども家庭センターと共同で、成長を見きわめ、状況やニーズに合わせたライフストーリーワーク(生い立ち整理、自分史、絵本や年表)づくりをしている。
・施設での在籍が長い子どももいる。記録としての写真を個人アルバムに整理し、いつでも見られるように置いている。アルバムから取り出して自分の机に飾っている子どもがいる。生い立ちの整理の大切さを職員は理解している
(4) 被措置児童等虐待の防止等
A4 子どもに対する不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 b
【コメント】
・被措置児童等虐待対応マニュアル、緊急事態(被措置人権侵害など)対応マニュアルを設置し、虐待と権利擁護研修を全職員に入れている。
・就業規則の懲戒の項には児童福祉法第47条の3の規定に違反した時を明記している。
・年2回不適切な関りのセルフチェックを全職員に実施し、処遇の見直しを促している。
・子ども用に「被措置児童等虐待について」を作成し、子どもに虐待に対する意識と正しい認識を示している。
・子どもと職員の意思疎通は良く『「いやだなあ」「困ったなあ」に対する施設以外の大人と話すことが出来る出来ない』以外は、満足感があり困っていない現状が理解できたが、組織として施設以外に訴えることが出来る環境であることを知らせるための努力を期待する。
(5) 支援の継続性とアフターケア
A5 子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、不安の軽減を図りながら移行期の支援を行っている。 a
【コメント】
・入所時に担当職員(決まっていれば)が初めから関り、施設内外の写真アルバムを見せながら「入所のしおり」の説明をしている。
・日用品に子どもの名前を入れ、ここが居場所であることを説明している。同フロアの子ども達も自然に受け入れている。
・居場所の伝えられない子どもも入所前の友達、関係者に手紙を送ることが子ども家庭センターを通して出来ている。
・退所前から「自分で作る自立支援計画」の中で話し合いを進め、生活の希望を聞き不安軽減や希望実現に向けた支援をしている。
A6 子どもが安定した社会生活を送ることができるようリービングケアと退所後の支援に積極的に取り組んでいる。 b
【コメント】
・「自分で作る自立支援計画」の中に中高生には「退所に向けての課題」を書く欄を設け、本人と職員が共有して継続的に取り組んでいる。
・退所時はユニットリーダー、担当職員、自立支援専門員などが、退所時アセスメントシートを用いて話し合っている。子どもに自覚を促し、自立するためのスキル確認を丁寧にしている。
・近隣のアパートと賃貸契約を結び、リービングケア、アフターケアに活用している。
・退所後のトラブルがあれば、自立支援コーディネーターだけでなく、施設長、元担当職員ほか施設全体で対応している。
・社会に出た当事者コミュニティーの支援機関や、自立支援を助けるNPO機関などが出来ている。アフターケアの必要がある子ども達に多くの情報を入れてつながりを求める応援を期待する。
A-2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の基本 第三者
評価結果
A7 子どもを理解し、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止めている。 a
【コメント】
・心理職員と施設内研修「心の理解」を実施している。
・子どもの処遇問題について子ども家庭センターと共有し、口に出して言えない子どもの声を担当のケースワーカーに伝えている。
・毎月グループ毎の子ども会議を行い、生活のルールや要望について話し合っている。
・子どもたちは毎年自分のための自立支援計画を作成しながら、職員と自分の意見が言える関係を続けている。
A8 基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活をいとなむことを通してなされるよう養育・支援している。 a
【コメント】
・事業計画に「子どもの生きる力を育み、その生の営みを大切にする。」と明記し、職員全体で子どもの自主性を見守る支援をしている。
・日常生活に自由時間・余暇時間を多く取り、担当職員・ユニットリーダーのサポートを受けながら、子どもの希望を取り入れることが出来る範囲を話し合っている。
・子どもの特性を見きわめ、話合いの中から褒めて育てる、一緒に考える、趣味を極めるなどの支援を通じて子どもの欲求の充足の多様な姿が見受けられた。
・夜間子どもが目覚めた際、大人の存在が感じることができるように職員がリビングで就寝する等、安心感に配慮した取り組みをしている。
A9 子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子ども自身が自らの生活を主体的に考え、営むことができるよう支援している。 a
【コメント】
・決まりや禁止をできるだけ少なくし注意しつつも、ほめる言葉を交えることで施設の意図を伝える努力をしている。「暮らしやすいです」「何か起こった時に、直ぐに相談に乗ってくれる」など利用者アンケートでの評価は90%、80%と好回答である。
・がんばりカードを作って達成感を持たせ、賞状を額に入れて部屋中に飾り、趣味のアニメの収集に没頭させることで束縛感を和らげ、希望に沿ったおやつ作りを買い物から一緒にして満足感を持たせるなど、一人ひとりの個性と主張を受け入れるようにしている。
・ユニット化に伴い近年被虐待児、要注意児童が増えている事や、高学歴を目指す子どもの環境づくりと担当職員のテリトリーが増えている、対策としてユニットをまたぐリーダーを配置し、スーパーバイサー制を取っている。
・令和11年までには全ユニット化を行い、寄り添い体制を進める計画がある。
A10 発達の状況に応じた学びや遊びの場を保障している。 b
【コメント】
・支援計画作成時に於いて、子ども自身の作る支援計画を担当職員と話し合いながら完成させ、専門職の意見を入れ、前年度の課題を整理して職員会議で話し合い、子ども家庭センターとの意見交換の上、課題を取り入れ今年度の計画を実行している。
・幼少期の絵本・読み物・遊び道具が手の届くところにあり、利用しやすい配置となっている。また幼稚園に通っている。
・施設自体には子ども達の成長につながる共有物は多くはないものの小中学生はタブレットで動画を見たり、高学年は自室に相当量の私物を所有し、自由時間の行動範囲は広く外部施設を利用できている。
・学習塾・地域のクラブへの利用はある。コロナ感染症が続いたことも要因であると察するが、ボランティアが活用されることは少ない。施設内で活動するボランティアは、施設の活性化に繋がることを考慮し新しい形でのボランティア利用の検討を期待する。
A11 生活のいとなみを通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援している。 b
【コメント】
・入所時に基本的な生活ルールを説明し、フロア会議で話し合いながら、担当職員を主に日常生活習得に向けての一つ一つをタイミングよく知らせるようにしている。言い聞かせではなく、その子に分かる話し方と繰り返しのコミュニケーションをすることを心掛けている。
・日々の身体状況の保持、清潔の維持に気を付けている。お風呂での身体の洗い方、生理用品の使い方などを(幼児向けには絵を入れて)トイレや浴室に貼り出している。
・近隣に大規模商業施設が有り、飲食店などにアルバイトをしている。アルバイトや地域のサッカー教室・放課後キックベースなどを通して社会性を習得しているかを担当職員が見守っている。
・各フロアーに要支援児、気になる子が入居している。担当職員はその子に合わせて何に気をつけたらいいのかを話しながら支援している。
・高校生から携帯電話が許可されており、SNSを管理するよう注意をしている。中学生から携帯電話の要望が多く出ている。現在では当たり前のこととなりつつあるので、当施設でもどのようなリスク管理がいるかも含めて職員間で話し合い、子どもへ説明の機会を持つことを望む。
(2) 食生活
A12 おいしく楽しみながら食事ができるように工夫している。 b
【コメント】
・小規模では子どもたちは、美味しい食事を楽しい雰囲気の中で、周囲とコミュニケーションを取りながら食べることができている。
・アルバイトやクラブ活動、または塾に通っていてみんなと違う時間帯に食事をする子どもにも、食事の適温提供への配慮と工夫が行われている。
・給食委員会を設けている。小規模の食事提供について、栄養士、調理職員も積極的にかかわっている。担当職員と栄養士でメニューを決め栄養の偏りに注意している。
・調理実習は子どもからのリクエストも貰い進めている。誕生日の希望食や「手作りおやつ」を提供している。
・現在の大舎制支援が一部残っている。食堂は広く小規模ユニットの家庭的な歓談は難しいが、令和11年までには全ユニット化を行い、寄り添い体制を進める計画がある。
(3) 衣生活
A13 衣類が十分に確保され、子どもが衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援している。 a
【コメント】
・子どもたちは決められた予算の中で衣料購入の機会がある。年に数回みんなで出かけて好きな服を買ったり、中高生になると自分で好きな衣服を買うことができている。幼児以外は各自、自室で管理している。
・衣生活を楽しんで自己表現している。今は小学生からファッションやオシャレに興味を持つ子が増えていることも考慮して基本姿勢に禁止を少なくして見守っている。靴に趣味があるという子どもの下駄箱は満載であった。
・穴が開いているなどの繕い物や、TPO、季節感が気になる時には気付き次第声掛けをしている。補修は出来る子どもには声掛けをする。小さい子どもの場合は職員が補修をしている。
(4) 住生活
A14 居室等施設全体がきれいに整美され、安全、安心を感じる場所となるように子ども一人ひとりの居場所を確保している。 b
【コメント】
・子ども達が身につけるものや日常的に使用するものなどは個人所有としており、能力に応じて居室の整理整頓ができている。共有場所は職員が子どもと共に清掃をし、施設全体の美観が維持できるように援助を続けている。
・小規模施設は築年数が新しくハード面の設計も行き届き家庭的な雰囲気である。本園は建物も築年数がたち修理箇所が増えて来ているが、優先順位をつけて維持している。破損した設備や家具什器は必要に応じて修繕している。大舎制では相部屋の子どもと共に相談しながら個人の空間づくりを考えている。
・今後小規模ユニット制に全面移行する計画が有り、子ども達の住生活が豊かになることを期待する。
(5) 健康と安全
A15 医療機関と連携して一人ひとりの子どもに対する心身の健康を管理するとともに、必要がある場合は適切に対応している。 b
【コメント】
・年2回定期的に行われる健康診断の結果は、個人ファイルで管理されている。子どもの健康状態や発育・発達状態を把握し健康管理に努めている。
・薬は職員がまとめて管理して服薬のチェックを行い、飲み忘れや渡し忘れが発生した際は記録し誤薬ミスの再発防止に努めている。
・特別な配慮を要する子どもには、専門医療機関と連携し、服薬や食事の管理が行われている。子どもの成長発達に伴って自分で健康管理ができるような支援をしている。
・発育途中の子ども達の健やかな成長を願い、医療や健康に関して知識を深めるための研修を望む。
(6) 性に関する教育
A16 子どもの年齢・発達の状況に応じて、他者の性を尊重する心を育てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設けている。 a
【コメント】
・当園の方針として、年齢・性別を超えた縦割りのフロア構成としている。あらゆる年齢に健全な環境を配慮する必要があり、性教育委員会を設置し今年のテーマを(他者との距離感、入浴について)として職員に啓発している。
・発達に即して高校の男女別説明書(月経・妊娠・性感染症)を用意し、「高校生の男の子たちへ」「高校生の女の子たちへ」の特別注意事項を用意し、事例には個別で納得するまで話し合い指導をしている。他の子供に影響を及ぼす特別の事例には子ども家庭センターと連絡を取り、解決に向けて連携して取り組んでいる。
・人権侵害と共に不適切な関りのセルフチェックリストで職員に自己の振り返りをさせて職員の意識の向上を図っている。
(7) 行動上の問題及び問題状況への対応
A17 子どもの暴力・不適応行動などの行動上の問題に対して、適切に対応している。 a
【コメント】
・事例には「緊急時対応マニュアル」(フローチャート)にそって、施設全体で対応している。
・「子どもを加害者にも、被害者にもしない」ことを基本姿勢に、双方に職員が寄り添って対応している。
・民間団体「ひとつぶのたね」が実施する「子ども暴力防止プログラム」の職員ワークショップに参加している。心理士も含めて子どもの心の背景と原因を探り、再発防止策を検討している。
A18 施設内の子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組んでいる。 a
【コメント】
・全員が年1回のCAP講習を受け、子どもたちのトラブル予防の一助になっている。
・暴力事例が発生したときは被害児童のケアはもちろんのこと、加害児童にも個別担当職員が中心になり施設全体で対応している。原則的に子ども家庭センターに報告して、連携して解決にあたっている。
・発生予防のために職員はマイリスクのチェックとネグレクト研修を受け、ひやりはっとミニを提出し日常の些細と思われる事例なども見直しをしている。
(8) 心理的ケア
A19 心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行っている。 a
【コメント】
・心理療法士が3名いる。心理的ケアが必要な子どもに対して、プレイルームが準備され心理治療が行われている。
・対象とする子どもの選定や治療の継続については職員会議で報告検討され、職員全体の意見を反映した判断をしている。子ども家庭センターとの連携がある。
・診断結果はリーダー主任会議で報告相談し、支援計画に反映されている。
・保護者へは子どもの様子を報告しているが、さらに定期的に助言・援助をされることを望む。
・心理職へのスーパービジョンは出身の大学へ通うなど、週一回予定を開けている。
(9) 学習・進学支援、進路支援等
A20 学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行っている。 a
【コメント】
・学校とは担当職員やユニットリーダーが、定期的な連絡と情報を共有し個別に細かな連携をとっている。
・子どもたちの学習は小規模は各部屋やリビングで、大舎では学習室が用意されている。宿題などの提出物や忘れものについては、小学生の間は職員が連絡帳を確認しながらチェックを行っており、中学生以上は自主性にまかされているが、発達に遅れのある子どもも多いので、宿題や忘れ物など、その子の発達に応じて個別の対応をしている。
・施設内学習にベネッセを利用し、基礎学力向上を目指している。中学生が1名支援学校へ、小中支援学級には8名通っている。
A21 「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援している。 a
【コメント】
・将来のことは、小学生のうちから「自分で作る自立支援計画」で毎年積み重ねをしている。
・中高生はより具体的に希望を聞いて、親、子ども家庭センター、本人の考えを尊重しながら、一緒に検討し、そのうえで自己決定に至るように様々な資料や情報が渡されている。
・今年大学に受かった子どもは、進路については塾や学校の担任と、そのための奨学金などの環境は施設の職員と話し合って決めたという。施設での自主性を重んじた養育支援が生かされている。結果措置延長を行って支援を継続することとなった。
・就労しながら施設入所を継続したり、中学校卒業後支援学校に通う子ども達の将来も支援しているる
A22 職場実習や職場体験、アルバイト等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組んでいる。 a
【コメント】
・アルバイトをすることは、社会の仕組みやルールを知る機会として捉え、近くの大規模商業施設や、老人ホームの調理、一般企業の障害者枠を利用した働き先を推奨している。
・退所後の生活準備や携帯電話代の支払いの資金作りのために、アルバイトを応援し(アルバイト入金用通帳を開設)、知り合いの事業主が新しくマスク作成の仕事を始めた時には、希望する子どもが働きにいった例もあった。
・18歳になり、実際の就労に活かすためと、社会に出た時の身分証明としての役割でもある事を説明し自動車免許を取得した子どももいる。
(10) 施設と家族との信頼関係づくり
A23 施設は家族との信頼関係づくりに取り組み、家族からの相談に応じる体制を確立している。 b
【コメント】
・子ども家庭センターと連携して、定期的に保護者と話し合いの機会を持つように努めている。家庭訪問にも同行し子どもの様子を伝え信頼関係構築をはかっている。
・子ども家庭センターと連携して、面会、外出、一時帰宅を実施し、そのあとの子どもの変化などには、担当職員を中心に施設全体で適切なフォローを心がけている。
・現在3名の家庭支援専門相談員がおり、子どもの担当職員などとともに積極的な活動を行っているが、相談員の役割を明確にしたものはない。
(11) 親子関係の再構築支援
A24 親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組んでいる。 b
【コメント】
・今年度開設された小規模施設には、親子交流のための和室を設け、面会時に活用している。
・家庭支援専門相談員は設置されているが、専任ではないということもあり、子ども家庭センターと主任が中心となって家族の再構築に向けて面会や一時帰宅を通し、家族との関係修復に向けている。
・現在は家庭支援専門相談員は専任ではないので、その役割の明確化については曖昧である。業務を見直し、専門職としての位置づけを確立させることを望む。
前ページに戻る