社会的養護施設第三者評価結果 検索

わこう

【1】第三者評価機関名 (株)中部評価センター
評価調査者研修修了番号 SK2021147
SK2021149



【2】種別 児童養護施設 定員 36名
施設長氏名 德田 義盛 所在地 静岡県
URL http://wakoukai-net.com/wakouryou/
開設年月日 1955年07月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人和光会
職員数 常勤職員 50名 非常勤職員 9名
有資格職員 児童指導員 7名 保育士 20名
里親支援専門相談員 2名 家庭支援専門相談員 2名
施設設備の概要 (ア)居室数 25室 (イ)設備等 台所・リビング・ダイニング・風呂・トイレ・洗面所・洗濯場
(ウ) 宿直室・事務室・会議室・相談室・遊戯療法室 (エ) 地域交流学習室・母子生活室・実習生室
【3】理念・基本方針 ★理念
 未来へつながる今 自らつくりあげる ぼくたち わたしたちの暮らし

★基本方針
 ・子ども一人ひとりを主人公として、愛情溢れる家庭環境を実現する
 ・多職種間、関係機関、家庭や地域と協働し、子ども一人ひとりや家庭の育ちを促す
 ・日々の暮らしを通して、お互いの人権を尊重し合い、共に人格の完成と自立を目指す
【4】施設の特徴的な取組  令和4年度より、集団養護の大舎制から、生活単位を小規模・少人数化しつつも、ケアの質と量を落とさない小規模グループケアの実践に努めている。各ユニットに心理療法担当職員を配置して生活に心理的ケアの視点を持ち、施設長からユニットリーダー・グループリーダー・ユニット職員への指揮命令系統を確立することで施設の理念を浸透させ、ユニットには家庭支援専門相談員をはじめとする里親支援専門相談員・自立支援担当職員・看護師(保健師)が利用者と職員をサポートすることでケアの質を担保している。
 利用者には、構造上において、より家庭的な生活を提供し、施設理念のもと、利用者が主体的に生活をつくりあげるべく、利用者の能動的な意見を大切にした生活を組み立てるように意識して取り組んでいる。ユニットにおける衣食住・生活全般の流れ・ユニットの外出の余暇活動・習い事等、大人側が一方的に決めるのではなく、子ども会議の実施や日常における子どもからの意見を大切に取り入れるように努めている。児童自立支援計画は、子どもの参画によって、子どもと共に課題を考え、目標を設定し、自立に向けて取り組んでいる。
 施設の高機能化・多機能化に関しては、家庭支援専門相談員・里親支援専門相談員・心理療法担当職員・看護師(保健師)を中心に、家庭支援・里親支援・心理的ケア・医療的ケアに力を入れている。施設を退所して就職・進学した児童はもとより、家庭に復帰する児童宅への訪問も退所前・退所後に実施したり、要保護児童対策地域協議会への積極的な参加により地域の要保護児童へのアプロ-チにも力を入れている。里親支援に関しても、里親支援専門相談員を中心に、里親委託に向けての取り組み・委託後のアフターケア・研修及び実習の受け入れ・相談支援など多岐にわたって活動している。
 その他、職員への人材育成、権利擁護・性教育への取り組みに関しても精力的に取り組んでいる特徴を有している。
【5】第三者評価の受審状況 2023年05月16日(契約日)~ 2024年03月26日(評価結果確定日)
前回の受審時期 令和2年度
【6】総評 ◇特に評価が高い点
◆専門職員の増員による業務の活性化
 施設の重点課題として、多職種、他機関、地域と連携した子ども一人ひとりに対する継続的な自立支援に取り組み、心理療法担当職員や里親支援専門相談員、また、自立支援コーディネーターなどの増員がある。「里親家庭への訪問」や「子育て支援広場での出張相談」などの外部での活動に広がりが見られ、「施設退所後のアフターケア」も充実してきている。専門職を増員したことで、家族に対しても対応件数が格段に上昇し(昨年度の家族への相談援助件数109件)、連携体制や作業効率など業務の実効性に好影響を与えている。

◆子ども主体の養育・支援
 本体小規模ユニット化および地域小規模児童養護施設の増設が進められる中で、子ども自身の主体性を尊重し、子どもが自ら生活をつくりあげるための養育・支援が実践されている。日々の会話から浮かび上がった趣味・趣向についても温かく柔軟に受入れており、着実に信頼関係が構築されている。施設玄関フロアの目に付く場所には、子どもの制作物や絵画の展示コーナーが設置されている。本体施設でヤギを飼い始めたり、小動物や昆虫を飼うユニットがあったりと、子ども主体の養育・支援の実践が証明されている。
 
◆課題に向き合う姿勢
 前回受審から3年、施設の課題として「事業計画」に挙げられていた重点課題や第三者評価で明らかとなった課題に対して、施設の状況に応じてできることから着手している。まだ道半ばの課題も残されているが、「オールわこう」の精神でコツコツと取り組んでいる。第三者評価で挙がった課題を疎かにすることなく、真摯に向き合う姿勢は評価できる。

◇改善が求められる点
◆周知共有の徹底
 社会的養護の理念である「子どもの最善の利益」や「利用者本位の支援」に立ち戻り、必要性の有無を念頭に置いて、「子どもや保護者に周知すべきこと」や「職員の参画が必要なこと」また、「職員に周知共有すべきこと」について精査することが求められる。また、周知すべきかどうかについては、上層職員の判断に留まらず職員参画の上で協議することが望ましい。

◆地域小規模児童養護施設の指標について
「事業計画」において、「地域小規模児童養護施設」に関する具体的な支援目標や地域交流に関する取組みなど、計画内容の記載が不十分である。本体施設とは明らかに形態が異なる施設であり、地域との関わりなどの特殊な部分に関する取組みや支援内容について、関係する職員の意見や要望を踏まえた計画や目標等を設定することが望ましい。増設する地域小規模児童養護施設の指標となるような仕組みづくりを期待したい。

◆職員育成の体制
 子どもの主体性を大切にした養育を実践しているが、その一方で対応する職員の負担が大きくなることは否めない。実際に、高い専門性が求められる場面が報告されている。「事業報告」等から、内外の研修会開催や上級職員、心理担当職員等の専門職員によるフィードバックが図られていることは確認できるが、経験年数の少ない職員や新人職員の育成を目的として、それぞれの課題を明確にした取組みが期待される。  
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  3回目の受審となりました。今回、暮らしの主人公である子どもたちの意見を拝見し、「施設の大人の人たちから、あなたは大切にされていると感じますか?」「施設の大人の人たちは、あなたの良いところをほめてくれますか?」の項目で全ての子どもたちが「はい」と答えていたことに、現場の職員の暖かな心と専門性の高さに驚きと喜びを感じました。今後、インケアとともに、アフターケア、里親支援、地域支援の取り組みにも同様に力を入れていきたいと考えています。
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