【1】第三者評価機関名 | (株)第三者評価機構 |
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評価調査者研修修了番号 | SK2021133 S2023036 R03-b001号 29地福第1810-32号 |
【2】種別 | 児童養護施設 | 定員 | 30名 | |
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施設長氏名 | 石川 順 | 所在地 | 静岡県 | |
URL | https://www.shumpu.or.jp/ | |||
開設年月日 | 1948年12月01日 | 経営法人・設置主体 | 社会福祉法人春風寮 | |
職員数 | 常勤職員 | 23名 | 非常勤職員 | 5名 |
有資格職員 | 児童指導員 | 3名 | 家庭支援専門相談員 | 4名 |
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心理療法担当職員 | 2名 | 保育士 | 10名 | |
里親支援専門相談員 | 1名 | 栄養士 | 1名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 9室(男子)9室(女子) | (イ)設備等 | 居間、プレイルーム、食堂、厨房、学習室、図書室、地域交流室 |
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(ウ) | 事務室、面接室、医務室、浴室、洗面所、トイレ、洗濯室 | (エ) | 多目的広場、グランド | |
【3】理念・基本方針 | 理念: ・家庭環境に恵まれない児童や様々な問題を抱える児童には、愛情とよりよい環境を提供し、心身ともに健やかに成長、発達してい くよう見守り支援する。 ・児童が、寮に入所後、様々な生活場面を体験していく中で、自分の課題を見つけ、解決を目指すことにより自立への道を進んでい くよう支援する。 ・児童の安全・安心を確保し、あたりまえの生活を通じて、一人ひとりの児童が、身体的、精神的、社会的に成長、発達できるよう に支援し、人間的成長を総合的に促進する。・入所してきた子どもたちが、安全に安心した生活を営むことができるよう、子どもの生命と人権を守り育む。 ・子どもの意思を尊重しつつ、子どもの成長と発達を育み、自己実現と自立のために継続的な援助を保障する養育を行い、子どもの 最善の利益の実現を目指す。 基本方針: ・子どもの存在そのものを認め、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止め、子どもを理解する。 ・基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援する。 ・子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障する。 ・発達段階に応じた学びや遊びの場を保障する。 ・秩序ある生活を通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支 援する。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | <人的サービス面> ・男女ユニット制、個別担当職員制を取ることで、子どもと職員との距離がより近くなるよう配慮し、今まで以上に細やかな対応に よる信頼関係の構築を目指している。 ・退所児童へのアフターケアについて、関係する機関・団体と協働し、電話や訪問等事業としての支えと、顔を合わせた時に心の内 を話せる関係性による支えの両面で支援を行えるよう取り組んでいる。 ・リービングケアを含む自立支援については、CCP(キャリアカウンセリングプロジェクト)事業や、別棟2階の居住設備を利用 した一人暮らし体験等、退所予定の子どもが、将来の社会的自立に向けた知識や経験を習得できるよう計画した取組を行ってい る。 ・児童家庭支援センターの里親支援事業と協働し、里親の養成・育成のため、職員が施設児童の表れやその背景の捉え方等を講義し たり、実際に子どもと関わる体験実習を指導することで、現実の社会的養護についての理解と体験を深める取り組みを行ってい る。 <設備・環境面> ・令和2年度に地域小規模児童養護施設を開設し、地域との繋がりの中で、家庭生活に近い養育を目指している。 ・令和3年度に子どもたちからの希望を受け、居室の畳をフローリングへ改修し、より過ごしやすい生活環境へ近づけるための取り 組みを行っている。 ・リモートで行われる様々な取り組みへ対応できるよう、Wi-Fi環境の整備をしている。 ・家庭養育優先原則のもと、子どもたちが良好な家庭的環境の中において生活できるよう、令和7年4月1日開設に向けて地域小規 模児童養護施設を整備している。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2024年05月01日(契約日)~ 2024年11月15日(評価結果確定日) | |||
前回の受審時期 | 令和3年度 | |||
【6】総評 | ◇特に評価の高い点 (1)理念に基づき、一貫して児童福祉に貢献してきています 児童養護施設春風寮が核となり、児童家庭支援センター、相談支援センターへと展開しており、児童福祉に貢献する体制が形作られています。小舎制に関しては中長期計画で進めており、令和2年にスタートさせた地域小規模児童養護施設「さくらの家」に続き、令和7年春には新たな地域小規模児童養護施設の開設を目指しています。また、里親支援センターは認可を受けるための整備段階なものの、令和6年度には未委託里親等里親力向上研修の講師を法人から3名派遣しており、意欲的に推進しています (2)子どもに多様な体験機会をつくり、成長を支援しています 日常的な買い物支援のほかハレの日として「秋まつり」の交流、また敷地内入口にインターホンを設け、入所児童を訪ねて遊びに来た子どもが連絡を取りやすくなったといった例もあり、外との関わりを拡げる取組意識が高いことが確認されています。「職業体験まぁる」「おしごとフェスタ」への参加を通じた施設外活動ならではの経験値獲得にも取組むとともに、幼児4名については市内幼稚園へ職員が車で送迎をおこない、今しか掴めない貴重な毎日を送っています (3)積極的な実習生受入れが継続され、採用に実っています 福祉の人材を育成すること、また福祉サービスに関わる専門職の研修・育成への協力は福祉事業所の社会的責務の一つであるとの考えの下、実習生の受入れを積極的におこなっています。また福祉人材確保も目的の一つとして職員が認知していることもあって、過去5年間に6名の実習生が入職に至っています。単に実習を通じて知り得た愛着だけでは就職には至らないことから、職員の指導への信頼や人間関係の良さ、事業所が推進する福利厚生の充実から成る働きやすさへの取組が積み重なった結果であると捉えられます (4)第三者評価における気づきから新たな取組があります 前回の第三者評価における気づきから「マニュアルが不十分」等の向上点を導き出し、 寮内でワーキンググループを編成のうえ、仕組み及び書面の見直しを図っています。特に子どもに関わることに重きを置き、「権利ノート」「意見箱」「こども会議」などに手が加えられ、子どもが意見表明する機会や場が増えています。更に「児童養護施設における人権擁護のためのチェックリスト」を導入、年2回職員が人権擁護と人権侵害について自らを振り返り、戒める機会を設定しています (5)子どもファーストの姿勢が仕組みとして実現しています 安心して生活するためのバイブル「生活のしおり」、権利侵害の早期発見の助けとなる「人権擁護のためのチェックリスト」及び「こどもの権利ノート(春風寮版)」、大切な存在であると伝え続けるツール「だいじょうぶのお便り」の隔月発行、約束を守れる力を養う「振り返り確認表」、生きている意味を考える機会として「職員と話し合いながらつくるアルバムデコレーション」、主体性を培い自らの生活改善につなげる「子ども会議への参加」など、子どもを大切にする姿勢の現れと受け止められる仕組みが多面的かつ豊富に在ります ◇改善を求められる点 (1)目指す姿とその為に必要な道筋を職員が把握することを望みます 入職にあたりエルダー制度を模した支援の形が推進されていますが、新入社員研修及びOJT育成プログラム、更にはキャリアパスが事業所として確立していません。入職の入り口で基本的な教育指導やOJTの仕組みが敷かれ、生活態度やマナーなどにおいて子どものソーシャルスキルのお手本となる人材が増えていくことが望まれます。春風寮の目指す職員の姿と組織内においてキャリアを積み重ねていくために必要な過程や道筋を明確に示すことを期待します (2)保護者に運営への考えや方針、今後の計画が届くことを期待します 入所時には保護者に対し「入所のしおり」にて入所後の生活や連絡等について説明をおこない、最初の関わりから丁寧に取組んでいます。また「家庭通信」は2年程中断していましたが、昨年再開(年4回、春夏秋冬)され、保護者には主に子どもの情報が書面で届いています。一方、現時点で保護者から返信を得る形式は設けられていません。併せて「家庭通信」では事業所の事業計画に触れてはおらず、事業の目的や趣旨を周知する資料としては不足しています。事業計画の項目に「子どもと保護者と事業計画を共有する」が入るとことを期待します |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 前回の受審結果を受け、主に児童の人権擁護に関わるマニュアルや説明資料を整備してきました。今回の受審では、これまでの整備状況や支援の現状についての進捗を確認していただきました。そのなかで、子どもたちの意見や気持ちを汲み取る仕組みづくりや職員の支援スキルの研鑽について、より丁寧に日常生活場面において反映していくよう評価を受けました。また、施設での取り組みやメッセージを、保護者の方をはじめ地域や関係機関への発信の機会を増やしていくことについて助言を受けました。 3年後の受審時には、子どもたちならびに職員にとって、今よりもより良い居場所となるよう、さらなる取り組みを継続していきます。 |