社会的養護施設第三者評価結果 検索

相模原南児童ホーム

【1】第三者評価機関名 (株)IMSジャパン
評価調査者研修修了番号 SK2021091
S2023024
H1801010(東京都)
H2201054(東京都)

【2】種別 児童養護施設 定員 45名
施設長氏名 手塚 賢二 所在地 神奈川県
URL http://sagamihara-minami.chusinkai.net/
開設年月日 2014年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 中心会
職員数 常勤職員 24名 非常勤職員 6名
有資格職員 社会福祉士 8名 保育士 13名
栄養士 1名 臨床心理士 1名
看護師 1名 48室 8名×6ユニット  各ユニットに、リビング、ダイニング、キッチン、トイレ、風呂、個室の居室、ワーカー室
施設設備の概要 (ア)居室数 食堂、会議室、心理室、相談室、家族訓練室、地域交流室、図書室、医務室 (イ)設備等 グラウンド、屋上スペース
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 私たちは、私たちの活動する地域社会において、自分や自分の大切な人が抱える心身の障害や生活環境上の問題によって、様々な「不自由」「生きにくさ」を現に経験し、または経験するだろうリスクを有する人々に対して、適切な専門性を担保された養護、介護、及びこれに関連する諸サービスを提供することを通じて、誰もが自分の存在に誇りを持ち、生きる喜びを享受するとともに、自分の家族や隣人の存在を素直に喜ぶことができる社会づくりに貢献します。
1.子どもたちの分離不安をなくし、特定の大人との愛着関係を築くことにより、他者を信頼する基盤を形成します。
2.子どもたちが、力の支配によらない、安心して安全な生活を送ることにより、負の連鎖を断ち切り、 将来に渡って、力の支配をしない人間になれるような支援を行います。
3.子どもたちが、愛されている実感がもて、自己肯定感が持てるように支援します。
4.子どもたちが、家庭に帰れるために、児童、保護者に対して最善の支援を行い、親子が「一緒に暮らせて良かった」と思えるような支援を行います。
【4】施設の特徴的な取組 乳児院との合築により、乳児院からの措置変更が円滑に行う事ができる。
各ユニットのキッチンで調理をしており、家庭的な環境作りに配慮している。
子ども一人一人の居場所が確保され、安全、安心を感じる場所となるように個室を用意している。
PCソフトによる記録の管理システムを導入しており、施設全体で情報の共有をしやすくしている。
地域支援では、ライフサポート、ユニバーサル就労支援、くすのき学習教室:無料学習教室(新磯地区社協主催、相模原南児童ホーム共催)を行っている。
【5】第三者評価の受審状況 2024年04月25日(契約日)~ 2025年02月20日(評価結果確定日)
前回の受審時期 令和3年度
【6】総評 【特に評価できる点】

[1] サウスピースプロジェクトは、施設運営に着実に好影響を与えていて、無くてはならない活動になっていると感じられます

 当施設独自の取り組みである「サウスピースプロジェクト」は、「みんなが安心して生活する」ための活動で、①暴言・暴力をなくそう、②自分を大切にしよう、③相手を大切にしようという3つのスローガンを掲げ、子どもも大人(職員)も一体となって取り組んでいる活動です。
 プロジェクトには「子ども面接」「子ども部会」「生教育委員会」「セカンドステップ」「環境美化委員会」とさまざまな取り組みがあります。その一つとして毎月職員が子どもと個別に面談する時間を設けて行う「子ども面接」では、暴力や困っていることなどがないかを確認するとともに、子どもたちの気持ちや希望などを聞きとっています。「子ども面接」の中で、出てきた問題点について、月に一回サウススピースプロジェクト会議を開催し、児童相談所と情報を共有し対策等に取り組んでいます。
 また、個別に面談する時間の中で「子どもの権利ノート」を読み合わせするなどして権利について学び、理解を深めています。自立支援計画を作成する際は子どもの意見や要望を聞き計画に反映させる点も、同プロジェクトとの関りが深いと言えます。子どもも大人も安全・安心に暮らしていくためのあらゆる取り組みが、このサウスピースプロジェクトに紐づいていると言っても過言ではないでしょう。目に見える成果が出にくい取り組みですが、施設運営に着実に好影響を与えていて、無くてはならない活動になっていると感じられます。


[2] 地域の中心となり、地域に発信や交流、貢献していく姿勢は高く評価できます

 開設当初は地域住民の理解を得るのが難しかったものの、10年の歳月を経て地域活動に力を入れてきたことで、今では「ここに施設があってよかった」と言われるほど、地域に根付いています。地域には学習塾に通えない子どもたちがいるため、昨年11月から地元地区の社会福祉協議会と当施設の共催で、月2回「くすのき学習教室」を開設しています。この教室には地域の大学生や元教師など多くのボランティアの人々が関わっています。また、ライフサポート事業やユニバーサル就労支援事業、ショートステイ事業など、さまざまな取り組みを行っています。日常生活においても、職員は学校や幼稚園におけるイベント活動のお手伝いに参加したり、子どもたちはボランティアと一緒に地域清掃を行ったり、さまざまな地域の行事にも参加しています。施設長を始め職員は地域で行われる数多くの各種会議に出席し、地域情報を得て施設のことを発信しています。このように地域に対する発信力や交流、貢献度は高く評価できます。


[3] 権利擁護や性教育等、多くのロールプレイ研修を実施し支援の質の向上につなげています
 
 職員の専門性向上と支援の質の向上を目的に、職員会議や職員研修にてロールプレイ研修を積極的に実施しています。この研修では、権利擁護や性教育、怪我や感染症対応など、さまざまな視点から実践的な学びを深めています。実際にロールプレイを行うことで、知識だけではなく具体的な支援方法や子どもとの関わり方をより深く理解することにつながっています。また、研修を通じて職員間で共通認識を持つことでチームとして統一した支援になります。特に権利擁護の研修では、人権擁護チェックリストの実施に加えて、不適切な対応の事例を基に研修することで、子どもの立場に立って考えることの重要性を再認識し、日々の支援に生かされています。性教育に関する研修では、デリケートなテーマをどのように伝えるかを実践的に学び、子どもが正しい知識を持てるよう工夫しています。さらに、多くの研修の実施により、職員一人一人の学ぶ意識が高まり、より良い支援につなげようとする姿勢が強く感じられます。職員自身の成長はもちろん、子どもたちにとって安心・安全となり、支援の質の向上につながる優れた取り組みとなっています。


【今後の課題と思われる点】

[1] 子どもとのかかわりの大切さを改めて認識する場を設けてみてはいかがでしょうか
 
 サウスピースプロジェクトでは、支援の質を向上させるために、具体的な取り組み計画を明確にしながら実施しています。関係機関との連携を強化し、情報共有を円滑にすることでより効果的な支援体制を作ることができています。また、ミニカンファレンスや階層別会議を定期的に開催し、職員が支援に必要な知識を深める機会を設けています。開催目的や手順が明確に定められており、職員が共通認識を持ちやすく、実践的な学びにつながっています。
 このような取り組みや職員の意識の高さは評価できる点であり、専門的な知識や対応方法を知ることは支援の質を向上させる上で重要です。その一方で、それと同等もしくはそれ以上に子どもとの丁寧なかかわりや寄り添う姿勢が大切であると考えられます。評価調査者が現場を観察したところでは、業務の多忙さの中で、子どもたちが生活する環境の整備や子ども一人一人と向き合うこと、気持ちに寄り添うこと、小さな発信に気付ける余裕を持つこと等が困難になっているような印象を抱きました。今後も学びを実践に落とし込みつつ、知識だけではなく、子どもとの日々のかかわりを大切にする意識を持ち続けられるよう、子どもの最善の利益とは何かを一度話し合われてみてはいかがでしょうか。


[2] 人材確保に向け、施設のホームページにおいて、いくつもの施設の強み・長所をより強くアピールしてはいかがでしょうか

 人手不足の問題は、他のさまざまな問題を生み出していて、施設が抱える問題の大元に位置しているように見受けます。社会的な人手不足のため解決は容易ではありませんが、全く手の打ちようが無いわけではありません。
 人材の確保は法人が一括して行ってはいますが、施設としてもできることは工夫したほうがよいように考えます。例えば、ホームページで施設の魅力をより強くアピールするのも一手です。確かに法人のホームページに採用のページがあり、人材育成制度等の紹介もしていますが、法人のホームページは高齢者施設の色彩が強く、児童部門を目指す人にはあまり響かないように感じられます。
 施設のホームページを使って、サウスピースプロジェクトの紹介をするとか、品質マネジメントシステムにより組織的な運営をしていること、「成長のステージ」があり期待する職員像が明確なこと、エルダー制度があり新人職員を丁寧に育成していることなど、強み・長所を強くアピールするとよいと感じます。社会的養護専門の求人サイトの施設紹介スペースを活用し、上記のようなアピールをしてもよいでしょう。


[3] 整備された各種マニュアルを養育現場でより活用することに期待します

 各種マニュアルは、品質マニュアルに基づき整備されています。作業手順やチェックリストなどそれぞれの業務に応じて詳細に明記し仕事における指南書になっています。作業手順の見直しをした時は、見直し時期・内容を明記し分かりやすくしています。
 一方、職員アンケートに寄せられた意見として、職員が統一した支援ができていないことや、仕事に対する職員の温度差を感じるなどの意見が散見されます。そのため、職員一人一人がマニュアルに沿った業務を行うこと、また温度差を感じないよう職員間のコミュニケーションを円滑に行っていく必要があると思われます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 評価できる点につきましては、職員の自信となりました。継続して更に強みとして伸ばしていきたいと考えております。
一方、課題につきましては、職員への気づきを与えて頂きました。
原因を追求し、どのように改善していくか職員間で話し合い、取り組んでいきます。
有難うございました。
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