社会的養護施設第三者評価結果

博愛社

データ登録日 2017年12月12日
【1】第三者評価機関名 (社福)大阪府社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK15186
1501C024



【2】種別 児童養護施設 定員 135名
施設長氏名 村上 文啓 所在地 大阪府
URL http://www.hakuaisha-welfare.net/index.html
開設年月日 1890年01月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人博愛社
職員数 常勤職員 63名 非常勤職員 8名
専門職員 社会福祉士 10名 保育士 29名
社会福祉主事 32名 幼稚園教員免許 15名
臨床心理士 5名 栄養士 3名
施設設備の概要 (ア)居室数 55室 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 創設の基本理念であるキリスト教の「わたしがあなたを愛したように、あなたがたもたがいに愛し合いなさい(隣人愛)」の精神にたって運営している。こどもたちの健やかな育成とともに、高齢者が、生きがいのある豊かな毎日を送れるよう努めている。
児童養護施設の基本方針「子どもの最善の利益」を模索し実践する。
小規模化、少人数化、地域化の推進に向けて準備する。
【4】施設の特徴的な取組

1.中長期計画の継続的策定
 将来の博愛社を展望しつつ、博愛社の基本理念に照らし合わせた将来像を描き、その実現に向けた指針を現したものです。
1)人材育成 2)環境整備 3)財政改革 4)事業展開 を柱に5年計画・10年計画を策定。
 1年ごとに成果、課題を振り返り、次年度の計画を検討しています。

2.心理的支援の実践
1)先駆的な実践
 児童養護施設に臨床心理士が配置されるより前の1988年より心理的援助を開始し、現在まで28年間継続しています。
 ホーム職員の心理的援助に対する理解は深く、生活部門と心理部門の双方が協力して子どもの支援にあたっています。
2)心理的援助の質
 毎年40名程の児童に心理療法(週1回、50分間のプレイセラピーかカウンセリング)を実施。成育歴が複雑な子どもの入所に伴い主訴・終結ともに難しいケースが増えていますが、「セラピストとの人間関係をもとに行う」ことを基本姿勢とした実践に取り組んでいます。プレイルームは生活ホームからは離れた建物にあり、第三者が入ってこない安心・安全な場所を確保しています。心理療法の他にも心理療法を実践していない子どもへのグループワークを実施し、心理的な側面から子どもへの理解を深めるとともに今後の心理療法対象児童の選定にもつなげています。
3)連携
 ケースカンファレンスを週1回(ホームが5ヶ所あるため、ホーム毎では1~2ヶ月に1回の頻度)行い、生活部門と心理部門の連携を図っています。SVも同席し、情報共有にとどまらず生活・心理ともに見たてに沿った日々の支援につなげています。
4)セラピストの育成
 心理学を学ぶ大学生・大学院生を心理療法の実習生として受け入れて心理士が大学教授と連携しながら指導に当たり、将来のセラピスト育成に力を注いでいます。今年度は29名の学生を受け入れており、2年間の継続実習とすることでセラピーの恒常性・安定性・継続性を保っています。
 実習生対象の勉強会や事例検討を定期的に行っていますが、勉強会には卒業生が参加することもあるため、年代を越えた繋がりとなっています。卒業後、心理士として児童養護施設に就職した実習生も数名います。

3.研修体制
 博愛社の研修は、経験年齢別社内研修・社内研修・外部研修・OJT体制を取っています。
1)経験年齢別社内研修を2004年度から開始
 8グループに分かれており、経験年齢別に研修内容を設定しています。2016年度は経験年齢別社内研修を11回実施。
2)社内研修について
 ハートフル委員会(生と性について)・携帯委員会(子ども、職員共に携帯について勉強会)・電話研修(電話相談、保護者への電話応対)等を行っています。通年を通して講師を招いての研修(養育の基軸を学ぶ6回シリーズ)を実施。
3)外部研修
 個人研修計画・評価シートを作成し、それを参考にして職員を外部研修に派遣しています。
外部研修について、2016年度は104件の研修に派遣しています。
4)OJTについて
 OJTリーダーがつき、定期的に振り返りをし、課題を見直しチームで共有しています。
 年度末には自己評価を実施し、次年度の目標や課題設定を行っています。

【5】第三者評価の受審状況 2017年04月27日(契約日)~ 2017年10月31日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評

◇施設の概要
 社会福祉法人博愛社は、127年の歴史を持ち、児童養護施設や地域小規模児童養護施設の他に、特別養護老人ホーム・グループホーム・ケアハウス・デイサービス・病後児ホーム・地区の子育てサービス利用者支援事業と手広く地域のニーズに対応しています。児童養護施設博愛社は、定員135名で現在120名の児童が生活しています。長い歴史の中でいち早く入所児童へのメンタルケアを実施するとともに、学習面でも学習ボランティアを充実させ、進学や基礎学力の向上に熱心に取り組んでいます。70名を超える職員を抱えながらも、一人ひとりに教育・育成の研修計画が策定され、日々の支援現場では、主任・副主任がロールモデルの役割を果たしています。

◇特に評価の高い点
厚い職員層による支援の充実と後輩職員の計画的育成
 運営・支援単位グループごとに副主任7人を配置し、子どもたちに日々の安心・安全を確保するため情報や支援スキルを共有しています。また、副主任の上に4人の主任を組織できる職員層の厚さをもって職員の教育・研修がしっかりと稼働しています。支援面では、策定した「はぐくみ指針」~はくあい子育て基準~に満足することなく支援現場に合わせて精査し、「子どもの最善の利益」を模索し実践する施設一体となった積極的な取り組みは高く評価できます。

中学生の学習ボランティア活動の取り組み
 通塾はほとんどの子どもがしていませんが、大学生の学習ボランティアが充実しており、個人としてではなく大学のサークルとして長年に亘り組織的に受け入れ、一人ひとりの子どもに対して担当学生がついています。週に1回来社し個々の子どもの学習課題に応じて取り組み、試験前や受験前には集中的に学習が行われてます。また、ボランティアの学生がホームで食事を摂り、職員とも連携できています。さらに施設の行事にも参加したり、子どもと外出するなど学習指導だけでない個別なかかわりももたれ、子どもたちの心の支えになっています。

携帯委員会の取り組み
 携帯電話を高校生に持たせるにあたり、高校生になったからと大人がルールを決めて持たせるのではなく、事前に利用についての目的やルールについて十分に子どもと話し合い、その有機的な使用方法やトラブルの防止について取り組まれています。子どもたちが社会生活を送るうえで携帯電話は欠かせないツールですが、故にその取り扱いをしっかりと確認しておくことは大切な意味があると考えられます。

ハートフルライフ委員会の取り組み
 性教育にとどまらず“生”について結び付けて取り組まれています。子どもへの指導の前に職員研修を行い、職員の意識を高めています。また、組織的に委員会とし、共通した子どもに分かりやすいツールの作成や、産婦人科の見学など階層的に子どもの年齢に応じて行われています。子どもたちに必要な取り組みを委員会で精査され独自性を持って性を生の両面から取り組まれています。

◇改善が求められる点
施設の情報の開示
 施設を紹介する資料として、運営や養育支援に関わる基本方針や事業計画とともに、インケア・リービングケア・アフターケアの子どもの支援の流れについても、従来の丁寧な説明に加えて、幼児・小学生や中高生、そして保護者が理解できるような写真・図・絵を工夫した資料の作成が望まれます。

子どもの権利擁護の取り組み
・権利ノートの子どもへの配付について
 児童相談所から子どもに入所の際に説明されていますが配布されていない場合があるようです。これについては施設というよりも行政の問題だということで済まさず、施設から催促して必ず子どもが施設生活を送るうえで携えれるように配慮が望まれます。
・被措置児童等虐待の禁止についての就業規則での規定について
 就業規則に被措置児童等虐待の禁止及びその処分、公益通報の不利益について規定していないので早急な対処が望まれます。
・被措置児童等虐待の通告制度の整備と推進について
 本制度について子ども・保護者に機関誌・ホームページや掲示物などで周知し制度の運用を推進することが望まれます。
・意見箱の設置と取り組みの推進について
 意見箱が設置されていないので早急に設置し、その取り組みを子ども・保護者にも周知するとともに、法人の福祉介護相談サービス委員会に繋げていくことが望まれます。

【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  受審にあたって委員会を発足し、準備段階から第三者評価に対する意識を高めていき、各種マニュアルを整備することで、日頃の支援を振り返る良い機会にもなりました。又、今回の受審では、中心的な役割を担う職員が多数参加して行ってもらったことで、現状の課題や改善点が明確になり、職員間で共有することも出来ました。改善が必要と指摘された事項については真摯に受け止め、また、協力して出来る事柄から改善していきたいと思います。大切な事として、受審の為の取り組みではなく、子どもの最善の利益を模索し、より良い援助を実践するための受審にしていきたいと思います。