社会的養護施設第三者評価結果

カーサ野庭

データ登録日 2015年11月13日
【1】第三者評価機関名 (株)学研データサービス
評価調査者研修修了番号 SK15053
S24378



【2】種別 母子生活支援施設 定員 70名
施設長氏名 髙橋 智一 所在地 神奈川県
URL
開設年月日 2013年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人和枝福祉会
職員数 常勤職員 11名 非常勤職員 1名
専門職員 母子支援員 4名 少年指導員 3名
心理職 1名 個別対応職員 1名
保育士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 23室 (イ)設備等 相談室2、地域支援室1室
(ウ) 心理療法室1室 (エ) 学童室1室、保育室1室
【3】理念・基本方針 1) 母と子の権利擁護
2) 子どもの自尊感情の向上
3) 「自分らしさ」を取り戻すための支援
4) 安心して安全に暮らせる環境の提供
5) 退所後生活を見据えた支援(母のエンパワメントの強化)
【4】施設の特徴的な取組

 当施設の入所世帯の大半はDV被害を理由とした入所者です。住宅に困窮し入所に至った世帯もその背景にDV被害が存在する方も少なくありません。DV被害を理由に入所に至った方々に対して、まずは「安全な場所である」と認識して頂くことを最優先にしています。お見えになる方は自己決定に基づいて入所されますが、非常に選択肢の少ない中での決定を余儀なくされています。「施設生活」に対する漠然とした不安、ひとり親として子どもたちを育てていく事に関する将来への不安、DV加害者からの追跡に関する不安、と多くの不安を抱いて入所されています。その様な方々が「来てよかった」と一息つける環境、支援を提供する事を基本に支援に当たっています。
 当施設は世帯担当として母子支援員と少年指導員を定め、入所前面接から世帯担当が入所(予定)世帯を担当します。そうすることで声をかけやすい、相談しやすい環境に心がけています。入所時にお渡しするカードキー、フォルダーと一緒に連絡先メモに世帯担当を明記しています。当然、担当不在時にはどの職員にでも声をかけていただくよう伝えています。職員間で共有すべきも情報は毎朝の職員ミーティングで報告しますが、各自が管理・使用するパソコンのグループウェエアを活用し随時情報共有を図り支援の統一を図っています。
 入所直後には近くのスーパーへの買い物に職員が付き添っています。またDV被害で行動範囲に制限のある方には最寄駅の大型店舗の買い物にも同行します。義務教育年齢の児童のいる世帯では、入所意向の確認、個人情報の取扱いの同意が得られた段階で学校との情報共有を開始し、転校手続き当日には必ず職員が学校に同行し転校手続きを済ませます。児童が教室確認などで退席している時に母と学校、当施設、(行政担当者)で危険域に関する確認、学校行事、掲示・展示、広報印刷物、行事写真の取り扱いなどについて確認しています。
 日々の支援に関しては、世帯担当の2名が随時情報共有と支援の点検のために話し合うとともに、母子支援員、少年指導員+保育士の2グループに適宜心理職が加わり、定期的に母に対する支援、児童に対する支援の点検をしています。職員全体で検討すべき場合には職員会議の場を使って全体で多角的に検討し支援方針の検討、確認、見直しをしています。
 世帯への支援は入所後の経過時間で画一的取り組むことなく、個々の世帯を尊重し各世帯のステージに見合う支援を展開しています。支援計画は問題の洗い出しではなく、母子が望む将来像に向かって取り組む目標がイメージできるように作成しています。この様な方法を取ることで母子の主体性を尊重し、必要とする取り組み(課題解決)を自覚する機会としています。
 入所世帯とそのご家族(ご親族)との関係は、可能な限り連絡のとれるようにしています。親族の心的なサポートや交流を通した安らぎは、入所者の母と児童にとって大切な資源として捉えています。
 地域との関係は個々の世帯の自己決定に委ねています。当施設は周辺の市営住宅の一棟と同等の扱いとして単一町内会として地域の町内化組織に加盟しています。入所者の方には自治会費として年額200円をご負担いただき、地域の町内会組織に納め、退所後の地域生活に近い環境を整えています。地域との交流の機会はカーサ野庭自治会事務局として施設職員が地域の自治会定例会に参加し地域情報の確認と施設近況の報告をしています。地域の自治会長からは地域行事参加のお誘いをいただき、掲示板にて入所者の方にご案内をしています。地域の方々も分け隔てなく入所者の方を迎え入れてくださっています。

【5】第三者評価の受審状況 2015年06月02日(契約日)~ 2015年11月07日(評価結果確定日)
受審回数 0回 前回の受審時期  
【6】総評

≪特に優れている点≫
◇職員集団が意欲的に業務にあたっています
 開所からまだ3年目の新しい施設で若く経験の浅い職員が大半を占めています。そんな中で施設長を中心に母子生活支援施設の実態を学習しつつ、施設の母子に真摯な態度で接してきました。どの職員も意欲的で現状に甘えることなく、次々と新しいことにチャレンジしてきています。具体的には、健康教育プログラム(性教育を中心に)の導入、5つの委員会(人権擁護、研修、安全衛生など)を設置し、毎月テーマを設けて活動しています。
◇快適な住環境が整っています
 母子の住居はスペースがゆったり取られ、採光もよく、生活しやすい環境です。ここで暮らす母子が毎日落ち着いて、穏やかに過ごしてほしいという意味でカーサ(家)と名付けています。施設の1階には母子が知りたい各種情報などが掲示されています。また、相談したいときに使用する部屋がいくつもあります。さらに、小学生の過ごす学童ルームや人工芝が敷きつめられた中庭などもあります。
◇職員へのメンタルヘルスも実施しています
 カーサ野庭及び併設の児童家庭支援センターの心理職の職員がお互いに協力・相談して、ここで働く職員たちのメンタル面のフォローをして生き生きと働けるようにしています。具体的には、卓球や製作遊び、あるいは、心理相談などです。職員はこのようなメンタルヘルスを受け、心の充電をしながら生き生きと働いています。

≪今後の取組に期待したい点≫
◆中・長期計画の作成を望みます
 施設の基本方針に沿った3~5年程度の中・長期計画があって、それを単年度計画におろしていくのが一般的です。施設長は現在構想を練っていて、次年度までに作成するとのことでしたので、作成を期待します。
◆地域との交流の方法の検討を期待します
 施設の特性からいえば、オープンに施設の情報が公開されるような地域との交流は問題があります。ただ、地域住民の一員として交流の機会は自治会の取り組みとして参加しています。しかし、施設として母子が、何らかの形で地域との交流をしていくことは大事なことです。

【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  当施設は開所3年目の施設です。第三者評価の受審は利用者の受け入れ開始から28か月目での受審となりました。実践期間も2年余りでの受審でしたが、昨年度の自己評価の経験を生かし、職員全員が自己評価に取り組み、全体評価は各項目の評価を参加職員で話し合い合意した結果としてまとめました。
 設問を理解することと話し合いを通して、施設運営、利用者支援への多くの気づきと示唆を得る機会となったと感じています。
 自己評価、全体評価の話し合いを統一の指標に基づいて行ったことで、支援に当たる専門職として日々の支援を客観的に捉えなおし、職員一人一人が自らを振り返る貴重な機会となりました。
 また、調査担当の方からは、まさしく第三者の視点としてご指摘いただき、サービスの利用者側からの視点をもって日々の振り返りと不断の点検、改善に取り組む重要性を再認識する機会となりました。
 まだまだ発展途上の施設です。職員一丸となってより良い施設運営、利用者支援に取り組んでまいります。