社会的養護施設第三者評価結果 検索

ななお乳児園

第三者評価結果詳細
共通評価基準(45項目)Ⅰ 養育・支援の基本方針と組織 
1 理念・基本方針
(1) 理念、基本方針が確立・周知されている。

第三者
評価結果
1 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。 a
【コメント】
 法人経営の6施設には、それぞれ法人理念に基づいた理念があり、当園においても法人理念に準拠した園の理念があり、またその具現化に向けた考えや姿勢を基本方針として明文化し玄関や事務所内に掲示するとともに、パンフレットや入園のしおり、ホームページにも掲載し、職員会議の開催前には、全職員が持つ理念・基本方針、倫理綱領、行動規範、養育・看護手順等を明記しているハンドブックを開き、その日任意で決めた章や節、項などを唱和して、その理解と共有を深めている。また保護者等へも入園する際には理念、基本方針等の説明をすることを必須とし、理解と共有を頂けるよう取り組んでいる
2 経営状況の把握
(1) 経営環境の変化等に適切に対応している。 第三者
評価結果
2 施設経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。 a
【コメント】
 経営環境は、全国乳児福祉協議会(以下、全乳協という。)や同会主催の東海・北陸ブロック協議会からの情報、また石川県と石川県社会福祉協議会が毎月開催する石川県内児童養護協議会の施設長会議での情報や意見交換等により、社会福祉事業における全国や県内動向の把握につなげており、地域情報は所轄児童相談所をはじめとする地域の関係機関との日頃の関わりの中で把握に努めている。園の経営分析は園長職務として、毎月、資金収支計算書や事業活動計算書等の試算表を作成しており、その策定過程で園の経営・運営をとりまく環境の的確な状況把握につなげている。
3 経営課題を明確にし、具体的な取組を進めている。 a
【コメント】
 常勤、非常勤を含む全職員が、毎年、安定雇用、施設整備、専門性強化、組織体制の4委員会(以下、4委員会という。)のいずれかの委員会の任期1年(委員長は除く。)の委員となり、それぞれの立場で経営・運営の改善や質の向上に関わる仕組みとなっている。各委員会の活動状況は、各委員長で構成する毎月の検討委員会で報告され、全職員の理解と共有を図るとともに意見や提案等があれば、経営・運営課題として明確化し、法人規程の職掌のもと園長以下園全体で取り組む体制となっている。また職員は、法人理事会での年次予算や決算、法人が経営している他の5施設の運営状況についても園長から随時報告を受けており、年度初めには法人及び園の事業計画が職員に配布され、当該年度の経営・運営方針や課題の説明を受けているなど、その周知と意識向上が図られている。
3 事業計画の策定
(1) 中・長期的なビジョンと計画が明確にされている。 第三者
評価結果
4 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。 a
【コメント】
 法人の3期事業計画に合わせ、園でも3年後(現計画は2019年4月から2021年3月までが対象。)までの事業計画(以下、3期事業計画という。)と収支計画を策定しており、かつ年度毎に見直しを実施し、過去3年間の入退所数や園をとりまく情勢も含め、改めて更新策定をしている。今年度は、短期支援事業でお預かりする利用児と措置児が同一部屋で過ごす期間があるため、適正な養育環境構築の意味でも、保育室増設を目的にその予算化を検討している。
5 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。 a
【コメント】
 単年度計画は、毎年見直す3期事業計画と収支計画に沿って、当該年度における方針・姿勢を単年度事業として計画化し、別途、単年度運営計画にても、着実に実現する事を目的に園としての年間の養育目標、4委員会の各年度目標、月別の行事予定、家庭的養育内容、地域行事、会議予定、園内研修予定等々、園で取り組む業務を具体的に示して実践に臨んでいるが、今年度はコロナ禍における感染防止対応もあるため、通年の計画内容から外部研修受講の中止や外出自粛など、変更や削除を余儀なくされているのが現状である。
(2) 事業計画が適切に策定されている。
6 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。 a
【コメント】
 新年度に向け、毎年、1月に運営計画を、2月に事業計画を、それぞれ当該年度を振り返りその評価とともに次年度の計画内容を、行事毎に実施している保護者等向けのアンケート結果も考慮しつつ職員会議にて協議し、その結果を踏まえて園長が法人規程の職掌のもと新年度の運営と事業計画を策定し、策定された当該両計画は年度当初の職員会議にて園長が年度方針や要旨とともに説明する手順で、全職員に理解と共有を図る体制となっている。今年度はコロナ禍感染防止対応のため、通年の単年度計画内容から変更や削除した内容が多く、これに伴い3期事業計画も変更・修正をしている。
7 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。 a
【コメント】
 保護者会はないが、保護者等に渡す事業計画書は、職員向けに記載した項目を割愛した内容で、理念、養育方針、安全・衛生管理体制、健康管理体制、地域との連携方針等を明記し、行事計画も子どもに対する行事、保護者等とふれあう行事、地域行事への参加等を記載した内容で、子どもが複数年在園の保護者等であっても、子どもが年度をまたぐ場合は年度始めの面会時に必ず説明とともに当該諸書面をお渡しし、改めて当該年度の園としての方針や姿勢を理解し共有を頂けるよう努めているが、今年はコロナ禍のため、変更や中止・自粛を余儀なくされている事業や行事等もあり、当該事項についてもその理由とそれに対する対処・対応を説明し、また年度始め以外にも中止や変更等があればその都度改めて理解と共有及び協力を、面談あるいは面会制限の場合は児童相談所との検討をしたうえでお願いしている。
4 養育・支援の質の向上への組織的・計画的な取組
(1) 質の向上に向けた取組が組織的・計画的に行われている。 第三者
評価結果
8 養育・支援の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。 a
【コメント】
 養育・支援の質の向上に向けた取り組みは、毎月開催の園の事業・運営を協議する「職員会議」、養育・支援の実際を検討する「処遇会議」、4委員会活動の事例・事案毎に検討する「検討委員会」、養育・支援の質の向上を目的とする「園内研修」に加え、養育者として自分を振り返る「子どもと共に育つチェックリスト」(年3回集計し自身の評価・反省につなげている。)や階層別(初・中・上・初任・中堅・指導職・主任・園長)に協調性、責任感、基本能力、問題対応能力等を振り返り自身の評価や課題を見出す「能力育成システム」を活用しているなど、組織的に取り組む体制が整備されている。また第三者評価も、毎年、自己評価を実施しているとともに、前回の第三者評価結果で示された改善点を踏まえ、園長、主任保育士職員、熟練保育士職員が主体となって、「園内研修」や「検討委員会」等を通じて改善を図っているなど、計画策定・実行・評価・見直しの一連のサイクルを継続して取り組む体制ができている。
9 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。 b
【コメント】
 前回の第三者評価結果で「改善を求められる点」として示された、「受講研修の履歴管理」については各階層別に職員個別の受講履歴リストを新たに作り、「より安心・安全環境への充足・強化」については食器・遊具・設備機器・危険物等の安全確認の担当部署や担当者を決めチェックリストに基づいた消毒・清掃等の定期点検を恒常化させ、「記録作業の改善」については行事予定、実施工程、結果報告を同一書面にしてその一括化を図り、週ごとの養育計画記録を月毎の処遇計画書の月案として記録、養育日誌も午前・午後・夜間項目を午前・午後項目に変更し、多数あった記入項目を生活・遊びの2項目に分けるなど、簡素化を目的に各分野の書面様式を見直し変更している。また「パソコンのセキュリティー強化」についても新たに月末にバックアップを取ることを必須業務に加えているが、「法人としてのホームページ開設」「財務内容に関する情報公開」等、「見える化」対応については未だ未着手となっている。
Ⅱ 施設の運営管理
1 施設長の責任とリーダーシップ
(1) 施設長の責任が明確にされている。 第三者
評価結果
10 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。 a
【コメント】
 園長の役割と責任は職務分担表に明記してあり、園の運営の根幹をなす「職員会議」「検討委員会」「処遇会議」「園内研修」等々の各会議や、法人理事長・局長・法人6施設の施設長で構成される法人施設長会議に出席し、日々、自らの役割に責任を持ってその業務・職務を遂行している。また非常時の際も、危機管理マニュアルに園長の役割と責任が明記されており、日中不在時は主任保育士、夜間は夜勤者に、それぞれ権限移譲となることも明確化されている。
11 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。 a
【コメント】
 園長は、リスクマネジメントやメンタルヘルス、災害時の総合ネットワーク研修や安全衛生、社会福祉施設防犯研修会等に参加し、事業管理者として福祉分野のみならず園運営に関わる遵守すべき法令や最新の制度改定・通達等に関して、自身の理解にそごや誤認が無きよう努めているとともに、行政や取引業者等の関係機関とも適切な関係維持に努めている。また職員へも、通知・通達内容によっては石川県や関係機関からの着信メールを原文で回覧し、必要に応じて「職員会議」をはじめとする各会議等にて報告や説明をするなど、組織として倫理や法令遵守が保たれるよう努めている。
(2) 施設長のリーダーシップが発揮されている。
12 養育・支援の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。 a
【コメント】
 園長は、園運営の根幹をなす毎朝の申し送り、毎月の職員、処遇、検討委員会、研修等に常時出席し、園が実施している養育・支援の現状を把握するとともに具体的な取り組みにも職掌の範疇で関わるよう努め、園が提供するすべてのサービスが良質かつ適切な養育・支援につながるよう、意欲と使命感を持ってその指導力を発揮している。
13 経営の改善や業務の実効性を高める取組に指導力を発揮している。 a
【コメント】
 園長は、毎月の資金収支計算書や事業活動計算書等の試算表の作成をはじめ、園運営の根幹をなす職員会議、処遇会議、4委員会、検討委員会、研修への参加はもとより、法人全体の経営・運営に携わる法人施設長会議にも参加しており、日頃も全職員が確実に有給休暇を取得できるよう図り、時間外労働についてもそうなることがないよう意識を持ってその管理に努め、以前5委員会だった園内委員会も4委員会に編成を改めているなど、職員の働きやすい環境整備や、運営改善、業務の実効性を高めるために具体的体制を見直し実践し、また自らもその活動に積極的に関わりながらその指導力を発揮している。
2 福祉人材の確保・育成
(1) 福祉人材の確保・育成計画、人事管理の体制が整備されている。 第三者
評価結果
14 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。 a
【コメント】
 必要な福祉人材の確保は、園の将来性や継続性を鑑み、適宜に法人本部を通じて求人募集をしているとともに、当園としても独自に専門学校等に求人募集をしている。現在、指定基準の資格職員を満たしているが、集中している年代層があるため均衡性を図ることと安定雇用が課題となっていたが、昨年度は専門学校の新卒者を1名、今年度も短大生から1名の新卒者採用が予定となっており、その課題調整は順調に進んでいる。人材定着についても、たとえば安定雇用委員会が全職員に向け、毎年項目を変えた職場アンケート調査を実施しているなど、施設整備、専門性強化、組織体制の各委員会活動がそれぞれの立場で職場環境の向上に努め、5月の検討委員会においては改めて安定雇用について協議をし、また園内外の研修受講の充実化も図るなどして、健全な人員体制が維持できるよう取り組んでいる。
15 総合的な人事管理が行われている。 a
【コメント】
 3期事業計画、単年度事業計画にて養育目標を明記し、運営マニュアルの行動規範にて園職員としてのあるべき姿を、養育マニュアルにて養育に関わる具体的な取り組み方とともにそれを園が期待する職員像として示している。半期毎には法人仕様の自己評定票による自己評価結果に基づく園長との個人面談による人事考課があり、福利厚生、職員就業規則、給与規程、人事基準等もあり、法人規程を根拠にした総合的な人事管理が行われている。
(2) 職員の就業状況に配慮がなされている。
16 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。 a
【コメント】
 勤務シフトは、育児のための深夜勤務の免除や育児時間の設定など、職員個々の事情を考慮した編成に努めており、有給休暇も育児、誕生日休暇(特別休暇)を整え、確実に取得するよう図り、規定外残業や休日出勤も起こらないよう管理している。健康診断は年に夜勤者2回、日勤者1回受診とし、検便・予防接種のほか、肩こり・腰痛防止を目的に簡易な健康器具も配備している。年1回以上、安定雇用委員会による毎回現状を鑑みて設問を変える職場アンケートを実施し、その結果も以後の職場環境改善に反映できるよう努めている。また半期毎の園長との人事考課の個人面談では、厚生労働省が義務づけているストレスチェック制度導入マニュアルに準拠した看護師職員の監修で実施しているストレスチェック結果も踏まえて面接しているなど、職員の就業意欲向上や働きやすい職場整備の向上に向け取り組んでいる。
(3) 職員の質の向上に向けた体制が確立されている。
17 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。 a
【コメント】
 3期事業計画、単年度事業計画にて子どもへの養育姿勢と養育目標を立て、養育マニュアルには園として期待する職員像を示し、また職員個別には養育者として自身を振り返る「子どもと共に育つチェックリスト」や、階層別に協調性、責任感、基本能力、問題対応能力等を振り返り、能力向上を目的に自身の課題や評価、反省を毎月記入する「専門性の強化シート」を活用する「能力育成システム」にて職員個別の目標管理を実施し、半期毎には園長との人事考課やストレスチェック表に基づく個人面談を実施しているなど、職員1人ひとりの育成に向けた取り組みや支援ができる体制となっている。
18 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。 a
【コメント】
 職員の教育・研修は、運営マニュアルに明記してある常勤・非常勤に関わらず全職員を階層別に参加すべき研修を体系化した研修リストに基づいて毎年計画策定をし、またその内容は3期事業計画、単年度事業計画にも反映させ、毎年の必須事業として位置づけ、組織的に実行する体制となっている。
19 職員一人ひとりの教育・研修等の機会が確保されている。 a
【コメント】
 研修リストに基づき、階層、就業年数、職種等に応じて、ファミリーソーシャルワーカー研修会(於:東京)参加など、段階的な研修計画を策定して実行している。またその受講した個別の履歴リストも新たに作り、個々の研修後の成果や評価等の分析を行い、以後の研修計画策定の際の参考にしているなど、継続性のある職員への個別支援につなげている。また心理療法等まだ満たしていない知識や技能の充足については、園内勉強会の際に全乳協の心理職ガイドラインや社会的養護施設関係の政策や指針を振り返りつつ、自分達の日頃の養育状況を省みるなどして、さらなる能力のレベルアップへの一助としている。
(4) 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成が適切に行われている。
20 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。 a
【コメント】
 主任保育士が実習生等の受け入れ担当者となり、学校側の説明会や懇談会に参加し、その主旨や段取りを理解するとともに、実習開始前の職員会議にて、改めて受け入れ手順や実習内容の全般を職員間でその周知を図り、施設としての受け入れに万全を期すよう臨んでいる。また実習期間中においても、実習生の気持ちの傾聴や相談に応じ、担当教員の施設来訪時をはじめ適宜に実習状況を報告し、実習目的や職種を考慮した有意義な実習となるよう取り組んでおり、その学校方針に応じて実習後の振り返りや懇談会等にも参加している。またそうした経験を踏まえて当園への就職のきっかけにもなっている事例もあるなど、福祉の人材育成の一端を担っていると言える。
3 運営の透明性の確保
(1) 運営の透明性を確保するための取組が行われている。 第三者
評価結果
21 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。 b
【コメント】
 園のホームページやパンフレット、保護者等や関係機関へ提供するしおり等にも、理念・基本方針をはじめとする園情報や相談・苦情の受付先が掲載されているが、養育・支援を必要としている保護者等や関係者に、より当園を理解し歩み寄って頂くためにも、6施設を経営する法人としてのホームページを開設され、理念をはじめとするその経営方針・姿勢、事業内容や計画、財務内容等を、誰もがいつでも閲覧できる環境を整備され、社会的養護施設事業としてその「見える化」にも着手されることが求められる。
22 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。 a
【コメント】
 園長が職務として、毎月、資金収支計算書や事業活動計算書等の試算表を作成しているなど、園における事務、経理、取引等に関する職掌やルールが法人規程として明確化されており、職員にもその内容を周知している。また法人定款に則り、毎年5月に法人監査役員による監査に加え、8月には外部の税理士事務所による法規に基づいた外部監査を委託しており、その結果もまた法人施設長会議にて担当税理士から報告を受けるとともに助言や指摘を頂く体制となっているなど、公正かつ適正な経営・運営が行われている。
4 地域との交流、地域貢献
(1) 地域との関係が適切に確保されている。 第三者
評価結果
23 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。 a
【コメント】
 理念・基本方針、事業計画、運営マニュアル及び保護者等にお渡しする事業計画書にも、園の地域との基本的な関わり方や姿勢を表し、園を紹介するしおりも公民館や病院、行政施設等に配置しているなど、子どもが地域と交流ができるよう、また地域からも園や子どもへの理解を深めて頂けるよう取り組んでいる。今年はコロナ禍のため町内の納涼祭をはじめ地域のほとんどの催事が中止となっている中、子どもの個別の状況に配慮しながらも少人数で、今年は短期間の限定開催であった子ども会のラジオ体操には1回、隣接保育園の夏祭りにも時間差で参加して園特製の奉燈神輿をかついで敷地内を回るなどして楽しんでいる。また日頃も感染防止に気をつけながら園近隣の寺院散歩や地元スーパー、理容店を利用しているが、園の恒例行事の地域の方々も招くバーベキューや餅つき大会は自粛を余儀なくされている。
24 ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。 a
【コメント】
 ボランティアの受入れに関する基本姿勢や手順はボランティアマニュアルに示しており、受入れ前には職員会議で改めて受入れ手順や活動内容を職員に周知し、当事者には施設としての主旨説明とともに守秘義務の誓約書を取り、必要に応じてレポートも書いて頂いている。通年、バーベキューやクリスマス、豆まき等の施設行事の運営協力のほか、赤十字奉仕団とのリンゴ狩りや、福祉機関主催のもちつき大会の参加、司法機関が行う社会奉仕活動への協力など、ボランティア活動を通じて地域の公的機関との交流にもつなげているが、今年はコロナ禍のため中止や自粛を余儀なくされている。
(2) 関係機関との連携が確保されている。
25 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。 a
【コメント】
 施設として必要な公的な社会資源・関係機関として、児童相談所、自治体、毎月健康診断に来て頂いている地元の公立総合病院等があり、病院関係とは子どもが受診した場合の診断・診療内容や関係書類を的確に管理している。児童相談所とは年2回施設訪問連絡会で個別ケース会議を行う。ケースによっては、市が調整機関となる要保護児童対策地域協議会に参加する。個別のケース会議の中では、子どもの個別情報はもとより当該保護者等の情報交換も行い、問題解決に向けてアセスメントを実施しているほか、保護者等に関わる際の接し方等の指導や助言も頂いている。
(3) 地域の福祉向上のための取組を行っている。
26 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。 a
【コメント】
 地域の福祉ニーズ等の把握は、児童相談所をはじめとする地域の関係機関との日頃の関わりの中で把握に努めている。現在、園で実施している老若男女を問わず子育てに関する同じ悩みを持つ方々とローランド演奏を聴きながら共に過ごす「ぽかぽかタイム」や子育て中の母親への「離乳食講習会」の開講、産後まもなく不安を抱えている母子への「育児相談」や施設に宿泊して頂きながら支援する「産後ママ支援事業」、七尾市から委託の「子育て短期支援事業」など、園が有する機能を地域に向けて積極的に開放・提供する取り組みを行っているが、今年はコロナ禍のため、すべての事業は実施しておらず、中止や自粛を余儀なくされている事業もある。また被災時に町内会や近隣2か所の寺院と、自治体が指定する公的避難場所としてではなく、相互に一時避難場所として助け合う個別契約も毎年更新している。
27 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。 a
【コメント】
 近隣自治体からの委託を受け、子どもの養育が困難になった保護者等の支援をするショートステイ・トワイライト・宿泊・休日の各「子育て短期支援事業」を展開しているほか、園事業としても「ぽかぽかタイム」「里親支援」「育児相談」「離乳食講習会」「産後ママ支援事業」を実施しているが、来園されての事業はすべて中止せざるを得なく、「育児相談」も電話にての対応となっている。また、県内外の複数の乳児院と、被災の際に職員派遣や子どもの一時受け入れなど、互いに助け合う相互補助支援契約も締結している。
Ⅲ 適切な養育・支援の実施
1 子ども本位の養育・支援
(1) 子どもを尊重する姿勢が明示されている。 第三者
評価結果
28 子どもを尊重した養育・支援の実施について共通の理解をもつための取組を行っている。 a
【コメント】
 子どもを尊重した方針・姿勢は、理念・基本方針及び行動指針を基軸に、運営マニュアルと養育マニュアルに具体的に明記しており、また毎月の職員会議の開始前には全員が持つ理念・基本方針、倫理綱領、行動規範、養育・看護手順等を明記しているハンドブックを開き、毎回任意の章を唱和し、改めて認識するとともに理解と共有を深めている。園パンフレットに記載してある「ななお乳児園は笑顔溢れるこどもたちのもうひとつのおうちです。」は、実際に退所時の年長児が口にした「ここはもうひとつのおうち。」と残した言葉であり、理念・基本方針、行動指針とともに、この言葉も園の矜持として日々の養育・支援提供に臨んでいる。
29 子どものプライバシー保護に配慮した養育・支援が行われている。 a
【コメント】
 子どものプライバシー保護など権利擁護については、基本的な方針・姿勢を管理規程の条文で示し、具体的な取り組みとして保護方針・守秘義務等の誓約書を全職員はもとより実習生やボランティアからも取ることを必須としている。保護者対応マニュアルには保護者等との契約時には必ず保護者等用の事業計画書を渡し、その理念・基本方針等を説明することを義務化させ、養育マニュアルには入浴・排泄時の配慮をはじめとする様々な養育場面においての不適切な対応を具体的に示し、また園内研修においても改めて省みる機会を設けているなど、適切な養育・支援の周知徹底がなされ、浸透するよう取り組んでいる。
(2) 養育・支援の実施に関する説明と同意(自己決定)が適切に行われている。
30 保護者等に対して養育・支援の利用に必要な情報を積極的に提供している。 a
【コメント】
 園が行う養育・支援をわかりやすく説明しているホームページを開設しており、自治体や病院、公民館等の公共機関・関係施設には園パンフレットや子育てひろば(年2回発行の施設紹介しおり)を置いているなど、保護者等が園情報を入手しやすく、また内容も写真、図、絵等を用い、その表現の仕方もわかりやすくなるよう工夫している。
31 養育・支援の開始・過程において保護者等にわかりやすく説明している。 a
【コメント】
 入園予定や入園契約の保護者等には、園パンフレット、入園のしおり等をお渡しするとともに、保護者対応マニュアルに沿って、理念・基本方針、安全・衛生管理体制、健康管理体制、地域との連携方針等を明記した事業計画書と子どもに対する行事、保護者等とふれあう行事、地域行事への参加等を記載した行事計画書をお渡しし、養育・支援の具体的内容や日常生活の流れ、行事内容、苦情受付の窓口、個人情報や権利と利益が護られることをわかりやすく説明している。また入園中においても子どもの日常を定期的に伝えるとともに、個別に子どもの暮らしぶりを写真や絵で伝える支援だより(隔月発行)をお渡し、年度をまたぐ場合には改めて当該年度の事業計画書と行事計画書をお渡して説明しているとともに、園運営や職員対する意見や要望等も都度伺っている。また保護者本人以外のご家族へも必要に応じて適宜に説明しているなど、園の養育・支援の状況が確実に伝わるよう努めている。
32 養育・支援の内容や措置変更、地域・家庭への移行等にあたり養育・支援の継続性に配慮した対応を行っている。 a
【コメント】
 措置変更や地域・家庭への移行にあたっては、措置変更先への養育情報提供書の提出や児童相談所とのケース会議の開催をはじめ、連携を密にしながら適切な措置変更や移行となるよう取り組んでいる。退園時には個別の養育アルバムとともに、引き続き園にて養育・支援に関わる相談を受け付ける事を口頭ではなく書面でお渡ししている。また里親支援プログラムとして、園内で他の子どもと一緒に過ごす(今年2名の対象の子どもは新生児のため当該工程は省略)・園内で対象の子どもだけと過ごす・園で1泊体験をする(今年はコロナ禍により、対象児が施設と家庭の往来をしていないため、2泊体験をして頂いている。)・園を離れ家庭で遊ぶなど、段階的な支援を実施しており、退園時には退園までの個別の養育・支援記録を個別の養育経過記録ファイルや家庭支援記録として残し、退園後の関わりについても関係書面を「退園後の記録・相談ファイル」に残しているなど、継続性の配慮にも努めている。
(3) 子どもの満足の向上に努めている。
33 子どもの満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。 a
【コメント】
 子どもの満足の向上を目的とする取り組みとして、養育日誌には健康面のみならず、子どもがどんな遊びに夢中になったか、その時の表情はどんなふうだったか、たとえば法人こども園に通う幼児には日々心身に変化があり、自分の将来への不安を考察するなど、心身の基礎が形成される大切な時期における情緒面の動向も記載する。また申し送り時においてもその変化・傾向を、引き続き交代職員がつなぎ受けとめられるよう取り組んでいる。処遇会議では1人ひとりの遊びや暮らしぶりの状況を把握し、その評価とともに子どもの笑顔が多くなるよう週のねらいや月目標を検討し、その結果を踏まえて担当職員が処遇計画書を作成して実践へとつなげている。また保護者等へも行事開催後のアンケート実施や、面会時や電話の際に子どもの近況報告や意見・要望を頂くなど、コミュニケーションを大事にしながら、共に取り組む姿勢で臨んでいる。
(4) 保護者等が意見等を述べやすい体制が確保されている。
34 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。 a
【コメント】
 苦情解決の仕組みとして、玄関に苦情解決責任者・苦情受付担当者・第三者委員の掲示とともに、入園時には保護者等に関係書面を配布し、年1回の園への満足度調査アンケート、園行事毎にもアンケートをとっており、また実際に合った場合の受入れ手順、心がまえ、公表方法(保護者等にお渡しする支援だよりとホームページに苦情件数とその対応・処置等の結果を掲載。)等を示した相談・要望受付マニュアルに沿って対応する仕組みとなっている。家庭支援記録と養育日誌には苦情的な内容のみならず保護者等との会話内容はすべて記録に残しており、過去の事例として「職員の顔と名前が憶えづらく、どんな方がいるかもわからない。」との声を受け、玄関と各室内に担当職員の顔写真・名前・役職を掲示している。
35 保護者等が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。 a
【コメント】
 保護者等が相談や意見を述べやすい環境作りは、組織として秘密が守られる事、日頃のコミュニケーションを大事にする事を大前提とし、主な担当職員の紹介、意見箱の設置、保護者等を招く園行事の際のアンケート調査、定期的に個別に子どもの暮らしぶりを写真や絵にしてお知らせする支援だよりの発行等の取り組みをしており、面会チェックリストや家庭支援記録、養育経過記録にも面会時がどんな内容であったか、何を悩んでおられるのか、職員が気になった事などを書き残し、保護者等との良好な関係づくりにつなげている。また里親委託へ進む段階の場合は、里親支援担当職員が毎回応じることができるよう来園される時はその方々の事情や都合に応じて、当該職員と優先的に会えるよう勤務シフトの調整も図っている。
36 保護者等からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。 a
【コメント】
 保護者等から相談や意見が実際にあった場合は、理念・基本方針に基づき、意見や相談の受入れ手順、心がまえ、公表方法等を示した相談要望受付マニュアルや、入所時の事前準備・入所時・入所中・退所後の各関わりを示す保護者対応マニュアルに沿って、組織的かつ迅速に、誠意を持って対応する体制となっている。
(5) 安心・安全な養育・支援の実施のための組織的な取組が行われている。
37 安心・安全な養育・支援の実施を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。 a
【コメント】
 リスクマネジメント体制として、事故発生予防や発生時の適切な対応と子どもの安全確保・役割分担等を示す危機管理マニュアルを備え、薬品や刃物類の安全管理の徹底を図るとともに、アクシデントやインシデントが発生すれば事故報告書の提出を義務付け、緊急であれば即時対応と全職員に注意喚起を図り、検討事項であれば職員会議等の場で半期ごとの集計分析結果に基づいた検討を行い、改善や再発防止につなげている。毎日、朝には園内外の安全点検表に基づく不審者・異物・危険物等のチェックをし、その後も昼・夜間・深夜にわたり園内点検を実施し、危険箇所や危険が想定される場合は都度協議をして対応措置を施している。すべてのマニュアルについても、園内研修にてまず今やっていること、できることを上げ、それ以上のレベルについては確実にできることを加えて新たに見直しを図っている。また赤十字奉仕団から心肺蘇生法や、納入業者から酸素マスクの使い方を毎年受講して不測の事態の備えとしているが、今年はコロナ感染防止対策として中止を余儀なくされているため、園内研修として勉強する機会を持ち、職員間で改めて対応・処置・手順等を確認している。
38 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。 a
【コメント】
 感染症の予防策として、衛生管理、嘔吐・汚物等の処理、疾病対応、医療機関連絡先等を示す感染症マニュアルと衛生マニュアルを備え、日頃は全来園者に検温・手洗い・うがいをお願いし、園内研修にて現場に即するようマニュアルの見直しや専門的知識・技能の充足を図っている。R2年10月、新型インフルエンザ等の感染拡大防止対策として職員向け避難宿泊所として地域の空き家を活用する対策を事業計画にも載せて当該空き家所有者と借用契約を締結している。さらにコロナ感染対策として、地域発生期・濃厚接触・感染等のステージ分けをして、各段階を踏まえての業務継続計画を作成した。また感染症対策のみならず、食中毒や事故防止についても、布団のシーツ交換をはじめ調理室、トイレ、浴室等の各部屋の安全衛生チェックリストを用いて除菌や消毒をともなう清掃が滞らないよう図り、安全衛生の徹底を図っている。
39 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。 b
【コメント】
 災害対策として、併設法人保育園と合同の消防署立ち会いによる年2回の避難訓練、有事の際の情報・安全・誘導・救護・応急等の班別の役割分担、要所箇所の落下防止措置、備蓄・防災品等の整備、自治体・消防署指導による消防計画、原子力防災計画、Jアラート対応等も備え、万一子どもをひき渡す事態を想定し、氏名・生年月日・血液型・留意事項・連絡先等の情報カードを幼児の腕にも付けられるリストバンドを独自に作り、その掲載写真や情報内容、職員連絡網の連絡先等についても毎年改めて撮り直しや、情報内容確認も実施している。また被災時に町内会や近隣2か所の寺院と相互に避難先として助け合う契約や、県内外の複数の乳児院と職員派遣や子どもの受け入れなどの相互補助支援契約締結している。
令和元年6月18日22時22分、気象庁から津波注意報の発表があり、その時就寝していた在園児5名(うち1名発熱児)及び短期利用児2名、計7名の着替えと排泄を夜勤職員と準夜勤職員が行い、とともに職員連絡網で全職員に通知する。すぐに遅番職員のほか隣接保育園長や町内会長もかけつけ、園長判断のもと、避難用リュック、体温計、緊急避難用携帯電話等を抱え、火元確認後、電灯を点灯状態にして施錠し、避難先の駐車場に退避し車内待機をするとともに法人本部や関係機関等にも連絡。ほどなくして帰宅職員や町内会副会長がかけつけ、駐車場の外灯を点灯してもらうなど貴重な体験をしており、またその後の振り返りとして園の電話を緊急避難用携帯電話に転送させる機能を追加し、関係機関への連絡基準・手順等を再確認するなどをし、改めて対処・対応策を見直している。災害の備えには限りがないため、今般の貴重体験も糧とされ、引き続き災害時における子どものさらなる安全確保のために、現在施している防災対策全般に渡り、より現実的かつ当地当園に即した対策を深め強化されることを期待したい。
2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の標準的な実施方法が確立している。 第三者
評価結果
40 養育・支援について標準的な実施方法が文書化され養育・支援が実施されている。 a
【コメント】
 養育・支援の標準的な実施方法は、養育マニュアルにおいて具体的な手順や取り組み方、留意点、保全等を文書化しており、職員が必ず行わなければならない、護らなければならない基本となる部分の共通化を図るとともに、園における養育・支援に関わるすべての業務の根幹として位置づけている。また職員がする日々の基本的な業務を記している「1日の流れ」書面については、毎年、時節や子ども数、環境等に即するよう毎年見直して、全職員に配布している。
41 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。 a
【コメント】
 養育マニュアルは、現在入園中の子どもや保護者等、職員就労状況、園をとりまく環境に即するよう年度始めの園内研修テーマにして、今現在の現場に即しているかの見直しを図るとともに全職員に理解と共有を図り、当該年度の養育・支援の実施方法として組織的に取り組む体制となっている。
(2) 適切なアセスメントにより自立支援計画が策定されている。
42 アセスメントにもとづく個別的な自立支援計画を適切に策定している。 a
【コメント】
 園が実施している計画には、毎年3月に新規入園をはじめ全在園児の個別のアセスメントを実施し、6月に現況報告書を提出、12月に見直し策定をし、1月に児童相談所に提出する石川県仕様の自立支援計画のほかにも、園独自で10月に保護者等へのアセスメントを行い、3月に保護者等に説明と承諾を頂く家庭支援計画も策定している。毎月開催のケース・処遇会議では、1年間の「期のねらい」「生活のねらい」「遊びのねらい」「支援のねらい」を計画化させて未満児は4ヶ月毎、以上児は3ヶ月毎に見直す年間援助計画を基に、全在園児の各担当養育職員が作成する前月評価・今月目標及びその理由・保護者等への対応等を記載した月毎の処遇計画を皆で協議・検討を実施しており、これらすべての計画策定には、津守式乳幼児精神発達検査をはじめとする発達診断をともなった個別のアセスメント・計画策定・実施・評価見直しの一連のプロセスが適切かつ確実に実行されている。
43 定期的に自立支援計画の評価・見直しを行っている。 a
【コメント】
 石川県仕様の自立支援計画は、毎年3月に新規入園をはじめ全在園児の個別のアセスメントを実施して6月に現況報告書を提出し、12月に見直し策定をし、1月に児童相談所に提出しているが、園としても毎月開催の処遇会議にて、1年間の「期のねらい」「生活のねらい」「遊びのねらい」「支援のねらい」を計画化させて未満児は4ヶ月毎、以上児は3ヶ月毎に見直す年間援助計画を基に、全在園児の各担当職員が作成する前月評価・今月目標及びその理由・保護者等への対応等を記載した月毎の処遇計画を皆で協議・検討することにより、全在園児への養育・支援が順調に行われているかを確認し、また児童相談所とのケース会議にて方針の見直しがなされた場合には、年間援助計画そのものも期中に見直しを図っている。
(3) 養育・支援の実施の記録が適切に行われている。
44 子どもに関する養育・支援の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。 b
【コメント】
 子どもに関する養育・支援の実施状況の記録は、日々の申し送りノートを活用し、健康面、精神面の状況を速やかに伝えるべき情報として業務開始前には必ず目を通す事とし、毎月の処遇計画の項目に沿って、あそび・情緒・社会性・意欲・食事・排泄排便等々を記載する養育日誌や援助計画、月の処遇計画、発病児経過記録等はパソコン入力にて職員間での情報共有を図っており、諸々の計画の評価・見直しをする際の根拠となる基本情報となっているが、そうした多岐にわたる事務処理作業が、ともすれば日々真摯に取り組む養育・支援の負担となっているのではないかと依然懸念される。前回の第三者評価結果を受け、行事予定、実施工程、結果報告を同一書面にしてその一括化を図り、週ごとの養育計画記録も月毎の処遇計画書の月案としての記録にし、また養育日誌も午前・午後・夜間項目を午前・午後項目に変更し、多数あった記入項目を生活・遊びの2項目に分けるなど、簡素化を目的に各分野の書面様式を見直しや変更をされているが、引き続き、各書面の必要性や記入・入力の効率性を見直され、誰もが見やすく解りやすく差異が生じない統一した表現方法や書き方にも取り組まれ、より実効性を高められる手順や簡素化を進めて行かれる事を期待したい。
45 子どもに関する記録の管理体制が確立している。 a
【コメント】
 個人情報をはじめすべての書類や資料等の保存・廃棄や取り扱いについては、法人の「個人情報に関する規程」に則り遂行しており、個人情報管理責任者の辞令や誓約書署名をはじめ一般書類と分別した重要機密書類は事務室の施錠本棚の収納し園長許可を持っての解錠になっている。すべての書類も保存期日に基づいて廃棄など適正に取り扱われ、保護者等へも入園時に説明とともに関係書面をお渡ししている。またパソコンシステムで管理の援助計画や養育日誌等の子どもの個別の管理記録類は、卒園した子どもへの説明責任を考慮し永久保存と位置付け、日々の閲覧や入力作業もパスワードを用いるようにし、毎月バックアップ保存も必須業務に加えてセキュリティー強化が図られている。
内容評価基準(23項目)
A-1 子どもの権利擁護、最善の利益に向けた養育・支援
(1) 子どもの権利擁護 第三者
評価結果
A1 子どもの権利擁護に関する取組が徹底されている。 a
【コメント】
 子どもの権利擁護に関する取り組みは、管理規程及び園のホームページにも掲載の基本方針にその姿勢を明示しており、体罰や子どもの人格を辱める行為は「就業規則」で禁止とその処分を明記している。職員会議の開催前には、全職員が持つ理念・基本方針、行動規範、養育・看護手順等を掲載しているハンドブックにも全社協及び全乳協策定の乳児院倫理綱領があり、その日任意で決めた章や節・項などの唱和することにより園職員として持つべき意識を確認しており、実際の業務現場においても、処遇会議の場や「専門性強化シート」「子どもとともに育つチェックリスト」等を活用することにより、その理解と共有・浸透が図られている。
(2) 被措置児童等虐待の防止等
A2 子どもに対する不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 a
【コメント】
 日々の業務では1人の子どもに対し担当職員を決めつつも、午前・午後、食事や入浴など、1日の間に3~4人の職員がかかわるようになっており、不適切なかかわり防止と早期発見・予防が講じられた体制となっている。また処遇会議の場や「専門性強化シート」、「子どもとともに育つチェックリスト」等の活用にても、その兆候があれば園長が早期に発見できる仕組みとなっている。アクシデント・インシデントがあれば事故報告書の義務化し、現状認知・要因情報収集・改善策協議の手順で再発防止につなげている。被措置児童等の虐待に係る対応については、被措置児童等虐待ガイドラインを、児童相談所を通じて石川県バージョンの書面を入手し、職員会議等にてその周知を図っている。
A-2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の基本 第三者
評価結果
A3 子どものこころによりそいながら、子どもとの愛着関係を育んでいる。 a
【コメント】
 子ども1人ひとりが特定の大人と個別のかかわりを持ち、愛着関係を築くことができるよう入園から退園まで一貫した担当養育制をとっている。3交代制勤務のため担当となった職員が常時ついているわけではないが、食事の際は隣に座ったり、2人で買い物外出をしたり、入浴も職員と一緒に入ったり、他の業務がある時はたとえ短時間でも共に過ごす時間を設けるなどして、愛着関係を深められるよう取り組んでいる。
また園では、さらなる養育・支援の向上を目指し、この10年程毎年テーマを決めて独自の研究にも取り組んでいる。今年は養育(生活)研究「子ども1人ひとりが安心できる環境の中で育つ」と、食事研究「こだわりのある子どもの食事を考える」の2つをテーマにし、結論を出す事をその目的にはせず、そのプロセスを大事に、実践現場での様々なエピソードを積み上げることを目標として取り組んでいる。
A4 子どもの生活体験に配慮し、豊かな生活を保障している。 a
【コメント】
 園内の板張りで過ごす場所には床暖房があり、木製の物も多く、落ち着いた家庭的な雰囲気がある。子どもには皆で使う物と個別の食器や収納棚を区別して配備しており、自分の衣類や玩具などはいつでも自分で取り出せられるようにしてある。園近くには借畑があり、大根やさつまいもの収穫、ソリなどの雪遊びもできるなど、安全に配慮しながら好奇心を高め充実した生活体験ができるよう取り組んでいる。また園内には小規模グループケアができるユニットもあり、一般家庭に近づけた環境で過ごす養育・支援にも取り組んでいる。
A5 子どもの発達を支援する環境を整えている。 a
【コメント】
 子どもの発達を支援する環境として、乳幼児精神発達検査や発達確認表を活用しながら、子どもの月齢に合わせたかかわりができるよう取り組み、処遇会議では養育担当職員を中心にすべての子どもが成長に合わせて心の発達が順調に進み、心理的な健康が維持できるよう共通理解を持って養育に臨む体制となっている。職員もまた、「子どもと共に育つチェックリスト」」や「専門性の強化シート」等にて個別に振り返えりながら職務に臨んでいる。
毎年、年間研究テーマを掲げているが、今年度は、「一人ひとりが安心できる環境の中で育つ」をテーマに職員間で意見交換を行っている。例えば、5歳児男子の例では、乳児園での担当不在時、担当勤務時の行動の違い、又、こども園での様子、環境の変化、さらには本児の親子関係の変化などから、子どもの気持ちを読み取り、望ましくない行動は、行動自体を止めるのではなく、不安定な心の現れととらえ、本児の心情を共有し、それに即した関わりを検討するなど、当該研究テーマのエピソードも積み上げながら、子どもの発達を支援する環境作りに取り組んでいる。
(2) 食生活
A6 乳幼児に対して適切な授乳を行っている。 a
【コメント】
 乳幼児の授乳は養育マニュアルに、乳幼児を抱き、目と呼吸を合わせながら心をこめた対応するなどの基本的な援助方法を示しており、1人ひとりのリズムを大切に、栄養士が月齢別栄養所要量をもとに作成した個別栄養摂取量で自立授乳を行ない、授乳した時間や量、排気(吐乳)等の記録を養育経過記録に残している。希望により、一時保護児の保護者等には、園で職員の指導を受けながら母乳を飲ませる支援や冷凍母乳の利用にも応えている。
A7 離乳食を進めるに際して十分な配慮を行っている。 a
【コメント】
 離乳食を進める際の具体的な援助内容も養育マニュアルに示しており、子どもの発達とともに個々の生活パターンに合わせ、それぞれの体調に応じた離乳食スケジュールを組み進めている。栄養士職員との連携のもと、段階をみて少しずつ固いものにし、その口の動かし方などを見ながら、栄養補給、咀嚼機能、味覚の発達が順調に進むよう調理工夫を施すとともに、離乳食(前期・中期・後期)・離乳食完了期・幼児食の各献立や子どもの様子・時間・量・排気の有無・その他留意点等を食餞表に記録し、充分な配慮が行きとどくよう取り組んでいる。また園事業として、地域の方々を対象にした離乳食講習会も開講している。
A8 食事がおいしく楽しく食べられるよう工夫している。 a
【コメント】
 おいしい食事をゆっくり楽しく食べられるよう、食事場所は清潔な明るい雰囲気で、身体に合わせて椅子の高さ調整を行い、横には担当職員がいる環境で、食器は自分専用の物を使っている。朝食は7:30、昼食は12:00、夕食は18:00と適正な間隔で、また昼食は養育・栄養士・調理の職員も一緒に食卓を囲みながら、好き嫌いなく食べられるように言葉かけをして、子どもの様子を見ながら次の献立の参考にするなどして、よりおいしく楽しい食事になるよう環境作りに努めている。
 また「子どもの好き嫌いへの対応」については過去の園独自の研究題材にもなっている。
子どもの前でおにぎりを作る、朝ごはんにふりかけを活用する、おかずを少量にして小出しで出す、型枠でロケットや花等を模るなど目に見える工夫。好きなおかずと嫌いなおかずを前にして「これを食べたら、これも食べられるよ。」と促す、声掛けの工夫。お好み焼きを食べない子は、味の好みではなく、食材がどんなものなのかわからない不安からではないかと予想し、目の前で調理工程を見せることで食べるようになったなど研究を通して、子どもの思いを考察し、かかわりの見通しができたことなど成果を上げている。いったん気に入るとそればかり好む傾向や食べ過ぎの子どもには不安なく食事を終えられるように工夫するなど、園では、これまで食事がおいしく楽しく食べられるよう様々な試行錯誤と工夫を重ね、今も新たなる課題を設けて取り組んでいる。
A9 栄養管理に十分な注意を払っている。 a
【コメント】
 栄養管理の具体的な内容や留意点を養育マニュアルや食物アレルギー対応マニュアルに示し、栄養士職員が月齢別栄養所要量をもとに個別栄養摂取量を決め、旬の食材の取り入れやアレルギー除去を施した献立を作成している。調理職員もこれまで効果があった切り方・固さ・言葉かけ・子供の様子等を書き込んでいる大学ノートや養育日誌を活用しながら、嫌いなものは嫌いにならぬよう、好きなものはそれだけでなく他のものも食べられるよう、摂取量や嗜好の個人差を鑑みながら、アレルギーへの安全対策も講じた食材選択や調理方法を工夫している。そして年齢に応じて畑での収穫体験、パン作り・たこ焼き作り・クッキー作りなどの食育の取り組みも実施している。
また、食品表示基準対象である特定原材料7品目と準特定原材料21品目の計28品目を、食事前に単品でスプーン1杯にも満たない少量で食べさせ、30分、60分、90分、120分、2日目、3日目の反応を食物アレルギーチェック表に記載している。初めて食べるものに何かしら反応した場合は何故そうなったのかも含め、記録している。
(3) 日常生活等の支援
A10 気候や場面、発達に応じた清潔な衣類を用意し、適切な衣類管理を行っている。 a
【コメント】
 衣類の選定は、静電気が起きにくく、通気性や肌触りが良い綿100%素材(実際には綿100%素材衣類の現地調達は難しく、100%に近い物を調達している。)を基本とし、成長に応じてサイズや動きやすさ、着脱のしやすさなどを考慮したものを選んでいる。天候や気温の変化に応じて適宜に着替えをし、洗濯も毎日行い、常に清潔な衣類管理をしている。また自分で着たい衣服を自分で取り出せられるよう低い棚に個別の引出しを設けており、ほつれやほころび直しは子どもが見ているところで行うなど、豊かな情操にもつながるように取り組んでいる。
A11 乳幼児が快適に十分な睡眠をとれるよう取り組んでいる。 a
【コメント】
 快適な睡眠に向け、温湿度計、加湿器、エアコン、床暖房等を使い、寒暖に合わせた適温・適湿の環境維持を図り、綿素材の寝具のシーツは毎週交換、就寝時にはカーテンで電気の灯りを遮断したり、照明を適度に暗くしながら絵本を読んだりするなど、良好な入眠になるよう工夫し、就寝中にも定期的に適温・適湿を管理し、特に冬の乾燥時には加湿器、梅雨時には除湿器を多く活用し、就寝中の咳はないかなどの注意をはらっている。就寝中に起きたり泣いたりすれば寄り添ってさするなどし、安心して再入眠となるよう促し、その経過を養育経過記録に残して、より快適な睡眠になるよう活かしている。また乳児には目視と合わせて、体動監視器を用いてうつぶせや呼吸の正常状態を監視・管理もしている。
A12 快適な入浴・沐浴ができるようにしている。 a
【コメント】
 入浴・沐浴は毎日夕食後に実施しており、生後1ヵ月は沐浴、以降は入浴とし、発熱時や予防接種後は清拭に変えている。2ヵ所のユニットバスの浴室は毎日掃除し、入浴前には塩素の計測をし、毎日洗濯の個別のタオル・バスタオルで実施している。基本、養育担当職員と一緒の入浴で、会話したり、玩具で遊んだり、柚子や菖蒲等の季節湯の工夫もしながら、心地よく入浴が楽しいものと感じられるよう努めており、新しく入園した子どもには嫌がる傾向があるが、園での暮らし全体がその子どもに馴染むよう努め、その中で入浴も自然な生活パターンになるよう職員全員で取り組んでいる。また今年はコロナ感染防止のため実行できてはいないが、近くの銭湯や近郊温泉地の総湯に出向き、施設以外の大人や子どもに交じっての公共入浴施設の体験もしている。
A13 乳幼児が排泄への意識を持てるように工夫している。 a
【コメント】
 排尿・排便の様子、便の尿の状態、量、回数等を個別の養育経過記録に残し、健康状態の把握と正しいステップにつながるよう努めている。トイレ内には子どもが好むキャラクターを貼り、寒い時期には暖房を置くなど、寒暖差の配慮とともにここが安心で落ち着ける場所と認識できるよう図っている。またオムツ交換は声かけをしながら身体をさするなどして、オムツ交換が心地よいものだと意識づけるようにしている。発達に応じて、自分で尿意や便意を感じ、自分から排泄を予告し、決まった場所で排泄できるよう、タイミングを見ながら便座に誘導して習慣となるようにしているが、オムツからパンツへの移行時のトレーニングパンツを日中は履いていても夜間は自ら紙パンツを望むなど、その子どもの立場にたって一緒に取り組み、プライバシー保護にも配慮しながら支援している。また順調に進めない場合や便の性状に異常があった時などは、嘱託医や看護師・栄養士職員と相談し、食事の工夫や与薬調整をしながら、解消・改善に向けて取り組んでいる。
A14 発達段階に応じて乳幼児が楽しく遊べるように工夫している。 a
【コメント】
 乳幼児が楽しく遊びそれが成長の糧となるよう、その日の天候や気温に応じてなるべく戸外に出て外気を浴びながら、今年はコロナ感染防止のためなかなかできていないが、近所の方々とも交流もできるようにしている。収納棚にある玩具は、成長に応じて皆の物と個別の物を入れ替え、自分で出し入れできるようにしている。また紙カップやストローを使っての職員手作り玩具もあり、大きい子の後について遊んでいた子どもがいつしか自分1人で遊ぶようになるなど、体力・知力・集中力・社会性等の発達に応じた遊びをできるよう、処遇会議等で子どもの成長に合わせた個別の工夫の仕方を協議しながら、共通理解を持って実践している。
(4) 健康
A15 一人ひとりの乳幼児の健康を管理し、異常がある場合には適切に対応している。 a
【コメント】
 日々、職員交代時には、嘔吐の有無・発熱・食事摂取・排便・情緒的な様子等を記載している健康観察記録をもとに、申し送り時の情報共有に万全を期している。嘱託医による毎月の訪問健康診断の際に、個別に留意事項を記した伝言板も作成して頂き、日頃、体調不良があれば適宜の診療や看護師職員を通じて、朝夜なく休日でも休日医の病院受診が可能で、いつでも相談・対応ができる体制となっている。ロタウイルスやB型肝炎、日本脳炎等の定期予防接種、インフルエンザ等の任意予防接種も推奨時期にスケジュールを立てて行い、またアレルギー28品目の食物経口負荷試験的な試みや、体動センサーや15分毎の乳児の呼吸・睡眠体位の目視確認など乳幼児突然死症候群への対応もしながら、安心・安全体制を堅持して健康管理が持続できるよう取り組んでいる。
A16 病・虚弱児等の健康管理について、日常生活上で適切な対応策をとっている。 a
【コメント】
 病・虚弱児等の健康管理は、担当専門医、嘱託医、看護師職員を主体に連携を密にし、看護計画書、養育経過記録、薬品管理表等による記録管理、嘱託医による訪問健康診断、看護師職員を通じての朝夜なく休日でも相談できる体制、処遇会議での共通理解など、施設として適正に受診や日常生活が持続できるよう支援している。
(5) 心理的ケア
A17 乳幼児と保護者等に必要な心理的支援を行っている。 b
【コメント】
 園には心理療法担当職員がいないため、今年度は園内研修で中部ブロック児童養護施設・乳児院研究協議会の分科会(心理職の役割)の参加職員からの伝達研修や、乳児院における心理職のガイドライン(全乳協出版)を用いた勉強会を実施して、心理面を支える関わりについての理解を深めている。親子関係の構築、家族との再統合・家庭復帰等を視野に入れた保護者等への心理的支援や心理的ケアについては、児童相談所での発達・知能検査やケース会議での情報交換を参考に取り組み、その経過を保護者・児童相談所等の連絡記録に残すことになっているが、これまで実際に療育手帳を取得する子どももおり、児童相談所の臨床心理士職員による指導・助言をうけながら支援をし、退園後もその後の成長・発達を当該心理士職員にみて頂いている事例もある。現在、児童福祉施設最低基準を満たしているが、心身の発達状況の把握、子どもの心理的ケア、養育職と心理職との連携支援、家族支援など、さらなる養育・支援の向上を目指すうえでも、心理療法担当職員の配置も視野に、外部機関による心理療法委託や内外部の研修をより充実化させるなど、心理的支援に関わる体制整備の充足が求められる。
(6) 親子関係の再構築支援等
A18 施設は家族との信頼関係づくりに取り組み、家族からの相談に応じる体制を確立している。 a
【コメント】
 園と保護者等との信頼関係づくりや相談に応じる体制として、日々、保護者等の意向や要望等を取り入れた家庭支援計画を基軸に養育・支援を実践しており、児童相談所とのケース会議での子どもと保護者等の情報交換や保護者等の面会訪問でのコミュニケーション、また保護者等とも一緒に養育・支援をするなど、そういった場面や機会を作ることにより、互いの実情を理解しながら、いつでも相談に応じられる体制となっている。また定期的に園の活動を紹介する「園だより」や子どもの暮らしぶりを個別に伝える「支援だより」をお渡し、家族から信頼できる乳児園として理解して頂けるよう日々真摯に取り組んでいる。
A19 親子関係再構築等のため、家族への支援に積極的に取り組んでいる。 a
【コメント】
 親子関係の再構築は施設として最も望む目標であり、担当養育職員と家庭支援専門相談員を主体に、保護者の同意を得ながら具体的な支援方針・計画を策定し、実践、評価、再アセスメントというプロセスで実践に臨んでいる。家庭復帰をめざす保護者等には、離乳食作りやオムツ交換の習得、施設内で他の子どもと一緒に過ごす、施設内で親子だけで過ごす、職員と親子で外出する、親子だけで外出する、園で一泊体験をする、園を離れ家庭で遊ぶなど、それぞれの状況に応じて慎重に段階を踏んで再構築を築けるよう、寄り添いながら支援している。
(7) 養育・支援の継続性とアフターケア
A20 退所後、子どもが安定した生活を送ることができるよう取り組んでいる。 b
【コメント】
 退園する子どもへは、退園後の家庭復帰、里親、児童養護施設等や措置先から通う幼稚園、特別支援学校等々に、当該児のアレルギー食材や発育状況・生活状況等を記載した養育情報提供書を渡し(移行先によっては当該移行先の仕様書面で取り交わしている。)、本人・保護者等に渡す個別アルバムの最終ページには、当該養育担当職員からのメッセージとこれからもいつでも相談に応じる気持ちを込め当園の連絡先を貼付している。また退園後も、これまで養育担当職員が様子伺いの電話をしたり、バースディ―カードや新1年生お祝いメッセージを送付したり、また園行事のお誘い案内を送付したところ、その返事を頂いたなどの事例があるなど、園としてのアフターケアに努めている。園としてこれまで精一杯愛情を注いできた養育・支援の一貫性を確保するためにも、関係機関や支援団体との協力関係を構築しつつ、新しい生活へのスムーズな移行とその後も安定した生活を送ることができるよう、退園後にできる支援を改めて見直され、支援体制を整えられることを期待したい。
(8) 継続的な里親支援の体制整備
A21 継続的な里親支援の体制を整備している。 a
【コメント】
 継続的な里親支援体制として、以前より担当養育職員が家庭支援も兼ねていたが、新たに里親を担当する職員向けの研修受講者(年1回、園長も受講。)を里親支援専門相談員として配置しており、保護者等へは家庭的養護の推進を基本に、家族復帰、家庭復帰が見込めない乳幼児には個々の状況に応じて里親委託の推進など、様々な選択肢がある事を伝えている。園では児童相談所の依頼を受け、里親を希望される方向けに里親支援計画を策定し、子どもとの面会と状態説明、子どもに慣れる、里親候補としての意識付け、愛着関係の構築、愛着関係の園から里親候補への移譲、同伴外出・外泊、そして委託後も親子関係が構築され安定しているかを、日を置いて1ヶ月後、3ヶ月後、半年後に確認する(今年はコロナ禍のため実施できず児童相談所にお願いしている。)など、段階的なステップ支援を実施しており、また子どもの養育・支援を実践する里親実習プログラムも、委託となった後も継続実習として実施している。地元地域で里親になった方々とは園の行事にもお誘いして、継続的なコミュニケーションを図っており、以前、レスパイト支援をした事例もある。
(9) 一時保護委託への対応
A22 一時保護委託を受ける体制が整備され、積極的に受け入れを行っている。 a
【コメント】
 一時保護委託受け入れは3期事業計画、単年度計画にも記載されており、養育マニュアルにも新たに、一時保護・緊急一時保護における保護者等や児童相談所との連携フローチャート、一時・緊急一時受け入れ手順、子どもの身体・心理・精神・行動等を見極める所見チェックリスト、一時保護入所時アセスメント表等々の一時保護マニュアルを追加しており、実際に感染症やアレルギー等の観察、児童相談所を通じての病院での健康診断受診、看護師・栄養士職員と連携しながら受け入れている事例が多数ある。
A23 緊急一時保護委託を受ける体制が整備され、積極的に受け入れを行っている。 a
【コメント】
 一時保護委託受け入れには、事例によっては直ちに安全の確認、緊急保護の必要な場合もあり、生命に関わるなど重大な事件が発生する前の対応を進めるうえで、休日や夜間に関わりなく速やかに対応する事を原則としており、園として、マニュアル整備とともにできうる限りの受け入れ支援を行っている。実際、緊急を要するため入園前の健康診断受診を後日にすることもあり、DVや虐待、コロナ禍の影響等々、様々な背景や事情・状況に応じて、時には警察署とも連携するなどして、臨機応変に緊急受入れをした事例がすでに数件ある。
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