社会的養護施設第三者評価結果 検索

こどもの里

第三者評価結果詳細
共通評価基準(45項目)Ⅰ 養育・支援の基本方針と組織 
1 理念・基本方針
(1) 理念、基本方針が確立・周知されている。 第三者
評価結果
1 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。 b
【コメント】
パンフレットやホームページに基本理念を明記している。理念及び基本方針が事業計画書に示されており、基本方針は具体的な重点事項を示して職員の行動規範となるような内容になっており、年度初めの全体会議において文書の配布と共に周知されている。「子どもの里 養育方針 説明書」を用いて入所時に子どもや保護者へ理念及び運営方針について説明し、周知を図っている。
2 経営状況の把握
(1) 経営環境の変化等に適切に対応している。 第三者
評価結果
2 施設経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。 c
【コメント】
社会福祉事業全体の動向についての把握や県内の各種福祉計画の策定・内容についての把握は行っているが、把握した内容を分析するまでには至っていない。なお、養育・支援のコスト分析は業者に依頼して定期的に実施している。社会福祉事業全体の動向を踏まえた上で地域の子どもの数や養育・支援のニーズなどに関するデータを収集する等、当地域での特徴・変化等に柔軟に対応できるような取り組みに期待したい。
3 経営課題を明確にし、具体的な取組を進めている。 b
【コメント】
理事会において経営環境や養育・支援の内容、小規模化への取り組み等家庭的養護推進計画に基づく組織体制や設備の整備などを含める諸課題、財務状況等の経営課題を明確にしており、理事・監事等で共有されている。
理事会に出席した施設長により職員に経営課題等について周知されている。
職員の意見を反映して課題解決に向けた取り組みが進められている。
3 事業計画の策定
(1) 中・長期的なビジョンと計画が明確にされている。 第三者
評価結果
4 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。
【コメント】
施設運営の基本方針として、家庭的養護推進計画に基づく小規模化への取り組みや新ビジョンによる取り組み等を中・長期目標として事業計画に明記しているが、実行可能な内容を示し、進捗状況の確認や中間評価が出来るような計画作成が望まれる。家庭的養護推進計画の遂行視点以外の課題などを踏まえた上での中・長期計画の策定を検討されることを期待したい。
5 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。 c
【コメント】
中・長期計画を踏まえて小規模化への取り組み等、実行可能な具体的な内容を有した単年度の計画が策定されている。しかし、具体的な実施スケジュール等が示されていない。
進捗状況の確認や中間評価が出来るような計画作成が望まれる。
(2) 事業計画が適切に策定されている。
6 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。 c
【コメント】
事業計画の策定に当たり全職員で研修会を実施して意見の集約を図り、事業計画作成に反映させており、年度初めに書面をもって周知・理解を促している。
年度中の実施状況についての評価・見直しが組織的に出来るような事業計画の策定への工夫が望まれる。
7 事業計画は、子どもや保護者等に周知され、理解を促している。 c
【コメント】
子どもや保護者に対して年間行事についての周知・説明は行っているが、事業計画についての配布・周知は行っていない。
ホームページの充実を図り、事業計画の保護者への周知・理解を促す等の工夫が望まれる。
4 養育・支援の質の向上への組織的・計画的な取組
(1) 質の向上に向けた取組が組織的・計画的に行われている。 第三者
評価結果
8 養育・支援の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。 b
【コメント】
定期的に自己評価を行うと共に第三者評価を受審して質の向上を目指しており、さらに自立支援委員会を組織し、ケースごとの検討・評価を実施して、養育・支援の向上に努めている。
9 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。 b
【コメント】
第三者評価を定期的に受審し、評価による課題を事業計画に取り入れて施設全体でとりくむ等、養育・支援の質の向上に向けて組織的・計画的に取り組んでいる。
事業計画に取り入れるに当たっては、職員間での課題の共有化が図られており、職員間で意見の集約が反映されている。
Ⅱ 施設の運営管理
1 施設長の責任とリーダーシップ
(1) 施設長の責任が明確にされている。 第三者
評価結果
10 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。 b
【コメント】
職務分掌及び職制図を公開して施設長の役割を職員に表明しており、職員会議等には常に出席して、子どもを取り巻く社会の動向を示しながら自らの施設管理についての考えを明確にして職員に伝えている。職務分掌を示すことにとどまらず、不在時の権限移譲などの具体的な役割・責任のあり方を明確にすることが望まれる。
11 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。 b
【コメント】
施設長は社会的養護施設長研修に常に出席して遵守すべき法令について学び、熟知しており、職員会議において法令の改正等も含めて周知を図っている。
(2) 施設長のリーダーシップが発揮されている。
12 養育・支援の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。 b
【コメント】
第三者評価の結果についての評価・分析を実施した上で事業計画に反映させている。施設長は様々な研修会・会議に参加して自己研鑽および専門性の向上に努めている。施設内には各種委員会を設け、毎月職員会議を開催して、自らの意見も述べると共に職員の意見を取り入れる等、養育・支援の質の向上に指導力を発揮している。職員には茨城児童養護施設協議会などの研修受講の機会を多くしたり、施設内研修を頻回に開催して、養育・支援の質の向上への取り組みを実施している。
13 経営の改善や業務の実効性を高める取組に指導力を発揮している。 b
【コメント】
基幹的職員と開催する運営会議において、経営の改善や業務の実効性の向上など理念や基本方針の実現に向けて意見交換を行い、職員会議で結果を職員に周知し意識の共有を図っている。
2 福祉人材の確保・育成
(1) 福祉人材の確保・育成計画、人事管理の体制が整備されている。 第三者
評価結果
14 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。
【コメント】
人材育成を目指して、職員研修の強化を基本方針に明示している。基幹的職員や家庭支援専門相談員、心理療法担当職員などの専門職員の担う業務・役割を明確にして、専門職としての機能が活かせるような体制を整備している。ホームページでの求人や福祉人材養成校へ求人表を送る等をして、福祉人材確保を積極的に進めている。施設とをしての性質上難しいとは思われるが、必要な人員体制を保つための計画を立てることを期待する。
15 総合的な人事管理が行われている。
【コメント】
人事考課制度の活用はないが、管理者として有する人事基準は明確にしており、職員処遇水準について、改善の必要性等の評価・分析を実施している。
1ヶ月を基準とした36協定を取り入れた労働条件の整備を実施している。
職員の意向・意見や評価・分析等をもとに改善策等の検討が実施できる仕組みづくりに期待したい。
(2) 職員の就業状況に配慮がなされている。
16 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。 b
【コメント】
有給休暇を取得しやすくする等、ワーク・ライフ・バランスを考慮した取り組みを行っている。基幹的職員によるスーパーバイズにより心身の健康の確保を図っている。職員親睦会による新年会・暑気払い会を実施したり、ソーエルクラブへの入会などの福利厚生を実施している。定期的に個別面談等を実施して、働きやすい環境づくりに向けて職員の意向の把握への取り組みを期待したい。
(3) 職員の質の向上に向けた体制が確立されている。
17 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。 c
【コメント】
服務規定に職員に求められている事項としての記述はあるが、施設の理念や基本方針を踏まえた「期待する職員像」として職員一人ひとりが目標の設定や目標達成に向けた取り組みのできる仕組みには至っていない。「期待する職員像」を明確にして、施設の目標や方針に向かって職員一人ひとりが取り組めるような体制の確立に期待したい。
18 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。 c
【コメント】
各職種毎に一人ひとりの研修の機会を明確にして、職務上必要とする知識・技術水準に応じた教育・研修の計画を、業務に支障をきたさない為にも作成し、事業計画に明記することを期待する。
19 職員一人ひとりの教育・研修等の機会が確保されている。 b
【コメント】
外部研修への積極的参加や新任職員へのOJT研修を通して系統的な研修を進めると共に、月1回の内部研修の実施を目指す等、全職員に向けた研修受講の充実を事業計画に示して、職員が外部研修に参加しやすいよう勤務の調整を図っている。
各職種毎に一人ひとりの研修の機会を明確にして、職務上必要とする知識・技術水準に応じた教育・研修の計画を作成する事に期待したい。
(4) 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成が適切に行われている。
20 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。 b
【コメント】
事業計画に担当の設置を明記して、保育士および社会福祉士の実習生の受け入れを実施している。受け入れに当たってはそれぞれにマニュアルを備え、実習担当を定め運営会議において協議の上、マニュアルにそって受け入れをしている。実習生に関わる専門職の研修・育成に関する基本姿勢の明文化が望まれる。
3 運営の透明性の確保
(1) 運営の透明性を確保するための取組が行われている。 第三者
評価結果
21 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。 b
【コメント】
ホームページ上に施設の理念および基本方針、収支を含めた事業計画・事業報告を公開している。地域の学校など関係機関に広報誌を送付して、理念・基本方針を示すと共に養育・支援の現状を公開している。見やすいホームページの作成や広報誌の送付先の広範化などを期待したい。
22 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。 c
【コメント】
施設における事務、経理等に関するルールは定款で示し、理事会内の監事による監査を経て報告されている。内部監査による定期的な確認の実施や財務状況の報告を職員に周知する取り組みが望まれる。
4 地域との交流、地域貢献
(1) 地域との関係が適切に確保されている。 第三者
評価結果
23 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。 a
【コメント】
基本理念に地域との関係構築について謳っており、地域住民も参加する「子どもの里祭り」の実施や幼稚園の役員を引き受ける等地域との交流を積極的に進めている。子ども達は友人を施設に呼んだり、友人宅に遊びに行く等自然な交流をしている。
24 ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。 b
【コメント】
基本理念の具体的方針としてボランティアの受け入れを明記している。
「ボランティア受け入れ規定」を設けている。大学生による学習アルバイトの受け入れやピアノのレッスンをしてくれるボランティア、散髪ボランティア、行事の際のボランティアなどの受け入れを行っている。
(2) 関係機関との連携が確保されている。
25 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。 b
【コメント】
児童相談所など必要な関係機関のリストを作成して、全職員で共有している。幼稚園の役員やPTAの一人として学校等と連絡を取り合い常に情報交換をして適切な連携を保っている。
(3) 地域の福祉向上のための取組を行っている。
26 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。 b
【コメント】
法人の理事を地域住民の中から複数名迎えて、地域の福祉ニーズの把握に努めている。施設の特性を活用して水戸市とのショートステイ契約を結び社会貢献をしている。幼稚園の役員やPTAとしての活動等をとおして地域の福祉ニーズを積極的に把握する取り組みに期待したい。
27 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。 c
【コメント】
ショートステイの受け入れ等の地域貢献を実施している。
施設の有する専門知識や専門情報を身近なところから発信する等の取り組みを検討されたい。
Ⅲ 適切な養育・支援の実施
1 子ども本位の養育・支援
(1) 子どもを尊重する姿勢が明示されている。 第三者
評価結果
28 子どもを尊重した養育・支援の実施について共通の理解をもつための取組を行っている。
【コメント】
理念や基本方針の周知のため、年度初めに文章を配布し職員間の共通理解を図っている。子どもの目線に立ち子どもの意思を尊重し自立を促すという基本姿勢が組み込まれている。今後子どもの意思の尊重や基本的人権の配慮について状況把握・評価を行う予定である。
29 子どものプライバシー保護に配慮した養育・支援が行われている。
【コメント】
子どものプライバシー保護について就業規則での規定やプライバシー保護マニュアルを備えており、一人ひとりの居場所や個室の確保などプライバシーの保護に配慮している。入所時には「こどもの里養育方針説明書」で個人情報の保護について、子どもや保護者に周知している。
(2) 養育・支援の実施に関する説明と同意(自己決定)が適切に行われている。
30 子どもや保護者等に対して養育・支援の利用に必要な情報を積極的に提供している。
【コメント】
パンフレットやホームページで情報提供をしている。入所予定者には窓口担当職員が「こどもの里養育方針説明書」により基本方針や理念、こどもの里が目指す支援の内容や行事、日課等についてわかりやすく説明している。今後ホームページの充実を図る予定である。
31 養育・支援の開始・過程において子どもや保護者等にわかりやすく説明している。
【コメント】
子どもや保護者に、資料「こどもの里養育支援説明書」をもとに運営方針や日課、その他利用に当たっての必要な情報を、その子やその保護者に合わせて説明をしている。言葉には気をつけて話すようにしている。
32 養育・支援の内容や措置変更、地域・家庭への移行等にあたり養育・支援の継続性に配慮した対応を行っている。
【コメント】
退所が近づいた段階でケース会議を実施し、引継ぎ等について大まかな方針を決めている。退所後の相談窓口や連絡先を知らせている。地域社会や家庭への移行には関係機関と連携をとり不利益にならないように対応している。
(3) 子どもの満足の向上に努めている。 第三者
評価結果
33 子どもの満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。
【コメント】
月1回の子ども会に職員も参加し、様子を見守りながら子どもの意見を聞いて、満足の把握に努めている。全員参加や中・高生と小学生に分けたりして、出来るだけ見守り、意見の出ない時は行事の検討や良いところを褒めあったりと工夫をしながら支援をしている。月の終わりには各担当者が振り返りを行い満足の向上に努めている。
(4) 子どもが意見等を述べやすい体制が確保されている。
34 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。
【コメント】
マニュアルが整備され苦情解決の仕組みが確立している。苦情解決の仕組みについてポスターや第三者委員名を掲示し、外部の人にも相談できることを周知している、と共に保護者には解決に向けた手順を示している。苦情についてホームページで情報公開する予定である。
35 子どもが相談や意見を述べやすい環境を整備し、子ども等に周知している。
【コメント】
意見箱を設置している。誰にでも相談できる体制を整え、相談室やそれぞれの個室で落ち着いて話が聞けるようにしている。
36 子どもからの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。
【コメント】
子ども達からの相談は、話しやすい職員など誰にでも相談できる体制になっている。「意見・要望・提案への対応マニュアル」に基づき、相談を受けたときは内容によりその場で解決するのではなく、職員の意見を集約して解決している。対応マニュアルの定期的な見直しを期待する。
(5) 安心・安全な養育・支援の実施のための組織的な取組が行われている。 第三者
評価結果
37 安心・安全な養育・支援の実施を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。
【コメント】
各種マニュアルを整備し職員で共有し、安心・安全な支援を行っている。ヒヤリハットは生活支援委員会を中心に検討し定期的に見直す。 死角になる部分を把握し職員で共有している。不審者対策に監視カメラを活用している。交通安全指導は施設の前の道路の危険性を共有し、小学生の登下校には付き添うが、出来るだけ自分たちで行けるように見守り支援している。保護者からの強引な引取りに備えて、児童相談所や警察、学校と情報交換しながら安全確保に取り組んでいる。
38 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。
【コメント】
感染症マニュアルが整備されている。マニュアルは年度初めに看護師を中心に検討確・認している。不定期だがノロなどの流行した感染症については内部で研修を行っている。
39 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。 b
【コメント】
生活支援委員会を中心に火災や地震のマニュアル、原発その他自然災害のマニュアルを整備し、毎月の避難訓練や年2回の総合訓練を実施している。備蓄品はリストを作成して栄養士を中心に管理している。
2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の標準的な実施方法が確立している。 第三者
評価結果
40 養育・支援について標準的な実施方法が文書化され養育・支援が実施されている。
【コメント】
標準的実施方法を文章化することで、職員誰もが必ず行わなければならない基本となる部分を共有し,養育・支援の差異をなくし一定の水準、内容を保った上で子どもの個別性に沿った対応を行うことが可能になり、さらに文書化することで実施方法を書面で確認する事もできる。そのうえで子どもの個別性に着目し充実した養育・支援を行うことが必要です。より一層の養育・支援の充実に期待する。
41 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。
【コメント】
標準的実施方法については子どもが必要とする養育・支援の変化や新たな知識や技術の導入を踏まえ定期的に現状を検証し見直すことが必要であり、見直すことは養育・支援の質に関する職員の共通意識を育て、変化や新たな知識、技術の導入にも繋がる。そのためにも見直しをする体制の確立に期待する。
(2) 適切なアセスメントにより自立支援計画が策定されている。
42 アセスメントにもとづく個別的な自立支援計画を適切に策定している。
【コメント】
日常的な観察、面談を行い子どもや保護者の意向を把握、担当者を中心に、自立支援委員会で検討している。子どもや保護者の意向を反映した計画を策定している。さらにアセスメントの充実、適切な支援に期待します。
43 定期的に自立支援計画の評価・見直しを行っている。
【コメント】
担当者が作成し、主任がチェックし委員会で検討するという手順になっている。課題については心理士他色々な方面から意見を出し合い、特別なことがあれば計画の随時変更もあるが、原則として一年に一回全職員で検討し計画の見直しを実施している。見直した課題は職員に周知し今後の養育・支援につなげている。
(3) 養育・支援の実施の記録が適切に行われている。
44 子どもに関する養育・支援の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。
【コメント】
統一した様式に沿って養育・支援が記録されている。記録内容や書き方、誤字等をチェックし、正確な記録を残すようにしている。個人のファイルの他パソコンのネットワークシステムにより誰でも閲覧ができ情報の共有ができる。
45 子どもに関する記録の管理体制が確立している。
【コメント】
ケース記録および自立支援計画書は、鍵のかかる医務室で社会福祉士でもある看護師が、個人情報の取り扱いに注意し管理している。個人情報保護規定については全職員が周知しており、子ども同士の個人情報の取扱いについても十分な説明をして情報保護に努めている。
内容評価基準(25項目)
A-1 子どもの権利擁護、最善の利益に向けた養育・支援
(1) 子どもの権利擁護 第三者
評価結果
A1 子どもの権利擁護に関する取組が徹底されている。
【コメント】
全職員が子どもの権利擁護について外部研修を受けている。権利ノートの利用や日々の生活の中での事例について検討し、防止と早期発見に取り組んでいる。今年度から毎月研修を実施して子どもの尊重や基本的人権への配慮について状況把握や評価を行う予定である。
(2) 権利について理解を促す取組
A2 子どもに対し、自他の権利について正しい理解を促す取組を実施している。
【コメント】
自分は大切にされていると感じられるように職員で見守りながら養育・支援している。権利ノートを利用し自他の権利について、子どもの年齢に応じた説明をしている。今後内部研修で子どもの尊重や基本的人権への配慮についての状況把握や評価を行う予定である。子どもの権利について定期的に学習の機会を持つことを期待する。
(3) 生い立ちを振り返る取組
A3 子どもの発達状況に応じ、職員と一緒に生い立ちを振り返る取組を行っている。
【コメント】
成長の記録としてアルバムを整理している。子どもが自分の生い立ちを知ることは、自己形成の視点からも重要であり、知りたいという気持ちを尊重し、年齢、発達状況に配慮し、伝えるタイミングや内容等について検討することを期待する。
(4) 被措置児童等虐待の防止等
A4 子どもに対する不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。
【コメント】
対応マニュアルにより不適切なかかわりの防止に努め、不適切な関わりがあった場合は虐待防止委員会で検討し対応している。「被措置児童等虐待対応ガイドライン」について、マニュアルに追加するなどして全職員に周知することを期待する。
(5) 子どもの意向や主体性への配慮
A5 職員と子どもが共生の意識を持ち、生活全般について共に考え、快適な生活に向けて子ども自身が主体的に取り組んでいる。
【コメント】
日々の暮らしの中で、出来るだけ子どもが主体的に取り組めるように支援している。生活のルールや夏祭りやクリスマスなどの行事もできるだけ自分たちで決めるように支援している。決められた金額の中で自分で使い方を考えて金銭感覚を養ったり、外出も高学年を中心に個人の裁量に任せている。小規模ホームの水道・電気の使用については小規模ホームが責任をもって管理することにしている。
(6) 支援の継続性とアフターケア
A6 子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、不安の軽減を図りながら移行期の支援を行っている。
【コメント】
家庭支援相談員を中心に安心して生活ができるように、個々の課題を共有し職員みんなで見守りながら支援している。
A7 子どもが安定した社会生活を送ることができるようリービングケアと退所後の支援に積極的に取り組んでいる。
【コメント】
積極的ではないが、退所後の窓口や連絡先やを知らせて、いつでも相談できるようにしている。退所後の子どもの様子について積極的に関わることはないが、就職先からの連絡や対応などへの関わりはある。
A-2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の基本 第三者
評価結果
A8 子どもを理解し、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止めている。
【コメント】
一人ひとり子どもの状況や立場を検討して理解し、共通認識のもとで支援している。子どもへの対応は職員の年齢や経験等により違うが、部会等で相談しながら子どもの感情や言動を受け止めるようにしている。特に幼児については頻繁な話し合いをして共通理解を図っている。
A9 基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援している。
【コメント】
自分は大切にされていると感じられるように子どもと向き合い家庭的な支援を心がけ、信頼関係ができるようにしている。幼児期は一人ひとり細やかに向き合い基本的欲求が満たされるように支援している。生活での決まり事の決定は、躾の一環として職員が決定している事もあるが、自転車の使用については子どもと一緒にルールを決めたり、掃除の担当はこども会の会長(子ども)が決める等柔軟な対応をしている。
A10 子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障している。
【コメント】
中高生は見守ることを基本に、小学生は一緒に行うことを原則に、子どもが自分で考えて行動できるように支援している。言葉のかけ方は職員で話し合っている。
A11 発達の状況に応じた学びや遊びの場を保障している。
【コメント】
それぞれの発達に合わせた玩具や遊具、図書等が備えられている。子どもの希望に添えない時は、その旨をきちんと解るように説明している。地域の子ども達の所に遊びに行ったり、学校や幼稚園と連携をとりながら子どもに合わせた指導・支援が出来るようにしている。時間に制限をかけながら4年生以上のゲーム持ち込みを可能にする等、発達に応じた遊びを可能にしている。
A12 生活のいとなみを通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援している。 a
【コメント】
毎日の規則正しい生活の中で基本的生活習慣が身に着くように支援している。発達の状況に応じて手伝ったり見守りながら自分で出来るように仕向けている。地域の子ども会活動や、アルバイト、電話の対応などで社会性が身に着くようにしている。インターネットも決りにより使用出来るようになっている。
(2) 食生活
A13 おいしく楽しみながら食事ができるように工夫している。 a
【コメント】
時季的に嗜好調査を実施し子ども達の嗜好状況を把握しながら、おせち料理や七草などの行事食や煮物などの和食を取り入れながら、おいしく楽しく食事ができるように工夫している。調理器具、道具の正しい使い方を含め基本的な調理が習得できるよに、また家庭的な雰囲気を大切に将来自立して調理ができるように支援している。
(3) 衣生活
A14 衣類が十分に確保され、子どもが衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援している。 a
【コメント】
衣類は年齢に応じて希望を聞いたり、一緒に買いにいったり、自分で好きな物を購入したりと子どもの気持ちに配慮した支援を行っている。洗濯や衣類をたたむ、収納するなどの管理も、職員と一緒に行ったり、援助したりしながら自分で出来るように支援している。
(4) 住生活
A15 居室等施設全体がきれいに整美され、安全、安心を感じる場所となるように子ども一人ひとりの居場所を確保している。 b
【コメント】
個室を中心に安心、安全な環境が整備され、二人部屋も間仕切りがあり一人一人の居場所が確保されている。居室の整理整頓は自主性を重視しながら支援を行い、共有スペースは掃除当番を決めて習慣化を図っている。小規模グループでも家庭的な雰囲気を大切に支援している。
(5) 健康と安全
A16 医療機関と連携して一人ひとりの子どもに対する心身の健康を管理するとともに、必要がある場合は適切に対応している。 b
【コメント】
嘱託医の定期健診や毎月の身体測定のほかに、日常的に子ども一人ひとりの健康状態を把握し管理している。服薬も必要な時は医療機関と連携し対応している。
(6) 性に関する教育
A17 子どもの年齢・発達の状況に応じて、他者の性を尊重する心を育てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設けている。
【コメント】
いのちの教育の一環として理解し、自立と共生の力を育てることを基本的な考え方として、年齢や発達段階に応じて性について正しい知識、関心が持てるように支援することが必要です。全職員の共通理解のもと日常生活の中でも常に気をつけながら正しい知識が得られるような支援に期待します。
(7) 行動上の問題及び問題状況への対応
A18 子どもの暴力・不適応行動などの行動上の問題に対して、適切に対応している。 b
【コメント】
日頃から子どもの様子や変化に注意し、子どもの目線に立って問題行動の対応に全体で取り組んでいる。小さい喧嘩は子ども達で問題解決できるようにしているが状況を見て適切に職員が介入するようにしている。子どもの暴力などの不適応行動やパニックを起こした場合の連絡系統が決まっており、事案に対する検討も行っている。
A19 施設内の子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組んでいる。 b
【コメント】
生活グループの構成や、職員の勤務体制の男女の比率により、不備の無いように取り組んでいる。施設の図面で危険な場所や死角になる場所をチェックして職員で共有している。
(8) 心理的ケア
A20 心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行っている。 b
【コメント】
心理療法室が整備され、心理士が心理の日を決めて時間を確保し、心のケアに当たっている。心理士も指導員として日常的に子どもと接しているため実態を把握しながら支援している。
(9) 学習・進学支援、進路支援等
A21 学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行っている。 b
【コメント】
落ち着いて学習する習慣を養うため、日課の学習時間に沿って学習室で勉強をする環境が整っている。個々の子どもの状況に合わせて月齢テストの実施など学力向上のための支援を行っている。職員以外に有償による学生ボランティアによる支援も整えられている。希望によりピアノのレッスンも受けられる。
A22 「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援している。
【コメント】
進路は高校入学を目指し学校や児童相談所等と連携をとりながら、資料や情報を提供しながら最終的に自己決定ができるように支援している。高校入学後はその後の生活についても必要に応じて支援している。
A23 職場実習や職場体験、アルバイト等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組んでいる。
【コメント】
自立に向けて社会経験を通して社会生活がうまく送れるようにアルバイトを認めている。アルバイト代は携帯電話代のほかは将来のための貯蓄に充てている。
(10) 施設と家族との信頼関係づくり
A24 施設は家族との信頼関係づくりに取り組み、家族からの相談に応じる体制を確立している。
【コメント】
家庭支援専門相談員が窓口になり、家族との信頼関係作りや相談に応じている。一時帰宅や外泊時などには子どもの様子を出来るだけ伝えている。
(11) 親子関係の再構築支援
A25 親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組んでいる。
【コメント】
早期な家庭復帰を目指し、家庭支援専門相談員が中心となり児童相談所と連携し、それぞれのケースに合わせて対応しながら親子関係の再構築に取り組んでいる。
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