社会的養護施設第三者評価結果 検索

成光学園

第三者評価結果詳細
共通評価基準(45項目)Ⅰ 養育・支援の基本方針と組織 
1 理念・基本方針
(1) 理念、基本方針が確立・周知されている。 第三者
評価結果
1 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。 a
【コメント】
成光学園の理念・目標は、行動規範・就業規則に明示して職員に周知しています。また、行動規範・就業規則に沿った考課の基準も定め、職員との面接を必要に応じて実施し、確認する機会を設けています。児童については4か月に1回、全児童に対してヒアリングを実施しています。ヒアリングに際しては、児童がヒアリングを受ける職員を選択できるようにし、児童たちが本音を話せるよう配慮しています。保護者については、家庭の再構築を目指すことを踏まえ、困難な事情を持つ家庭についても課題として取り組んでいます。地域に対しては、タウンニュースの座間市版に成光学園の紹介記事、コラム等を掲載し、学園について関心を促し、継続的に情報提供に取り組んでいます。
2 経営状況の把握
(1) 経営環境の変化等に適切に対応している。 第三者
評価結果
2 施設経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。 a
【コメント】
施設経営をとりまく環境と経営状況の把握については、施設長会議や里親制度の会議等に出席して情報収集や課題を把握し、国の施策等についてもマスメディア等から情報を集め、動向を確認しています。また、座間市の次世代育成会議に理事長が参加し、座間市の情報を収集しています。成光学園では里親支援事業を神奈川県の委託事業として取り組み、相談や、解除、変更等にも対応できる体制を整えています。施設の改善に関しては他事業所で出来そうなものについては参考にしています。一時保護の預りも引き受けていますが、長期に亘る場合には入所へ変更してもらっています。病後児保育のケースでは知人の施設を利用しています。専門職の設置では加算を付けるなど工夫していますが、家族支援相談員や里親支援相談員については専任として常勤させるか等については国が決めています。20名定員の幼児棟の建替え問題については、地域の小舎(小規模住宅)の活用も含め長期計画で考えて行きます。
3 経営課題を明確にし、具体的な取組を進めている。 a
【コメント】
職員の働き方改革の進行に合わせて(児童4名:職員1名)週40時間実現のためには、定員を75名から45~50名程度に落とさなければ実現できない状況にあります。経営の想い、児童の納得、職員の納得をそれぞれ20%程度減らす必要性があり、職員には経営数字は見えない実態もありますが、現状、経営課題に関する情報は法人理事会で話し合い、議事録に記録し、人件費に関して報告を行い、共有を図っています。法人理事会での決定事項については職員会議で報告し、改善や課題について職員に周知しています。経営課題の改善については、運営資金の補填での寄付の増強や、コスト削減、共同募金を活用などの補助にあてる等、具体的に取り組んでいます。評価が高い点で述べた大舎制の施設を5~6年後のグランドデザインに示しています。
3 事業計画の策定
(1) 中・長期的なビジョンと計画が明確にされている。 第三者
評価結果
4 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。 b
【コメント】
3~5年の中・長期計画は法人理事会で策定し、利益計画、要員計画、賞与を含む人件費等について計画を立案しています。職員保有基準が現状の4.5:1から4:1に改正され、追加雇用が可能となっています。体質改善目標として職員研修の強化を図り、神奈川県児童福祉施設協議会研修会に参加し、また、ビジネスコンサルタントの外部講師より研修を受け、組織内の向上に努めています。理事長は、前項の大舎制の施設を目指すグランドデザインについて年頭の挨拶で明示し、職員に明示することが第1歩として重要であると考え進めていきます。
5 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。 b
【コメント】
中・長期計画と前年度事業報告書を踏まえて今年度の事業計画を策定し、予算も踏まえながら実行可能である計画を具体的に策定しています。予算管理を実施し、委員会で期中にもチェックも行っています。単年度の計画は、管理項目ごとに詳細に決まっており、予算管理、日程管理等、詳細に決定のうえ全職員に周知しています。
(2) 事業計画が適切に策定されている。
6 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。 b
【コメント】
事業計画は、職員等の意見を集約し、反映させて策定しています。事業計画は、各委員会でまとめたものを提出し、時期・手順を定め、理事会で決定しています。事業計画は状況の変化に応じて柔軟に修正して運用し、年度末に評価、見直しを実施し、次年度に反映しています。予算計画については特に、理事長に委ねる傾向があり、積極的に指導員が行うよう促していますが、指導員だった職員が里親対策に異動した経緯もあり、業務不慣れの面の要因を加味し今後に期待しています。職員に対して、職員会議で事業計画の大枠を説明し、理解できるように促しています。
7 事業計画は、子どもや保護者等に周知され、理解を促している。 b
【コメント】
事業計画の保護者等への周知については、子どもの養育に問題がある保護者も多いので、知らせる場合には児童相談所の判断を仰ぐようにしています。連絡の取れる、連絡しても大丈夫な保護者については行事計画も含めて知らせています。子どもに対しては系統だって説明は行っていないものの、事例ごとに都度説明するようにしています。保護者については、話せる人には入所時や面会等での来所時に説明するようにしています。例えば掃除について等、「今までは外注していましたが今後は職員がやることになりました」というように伝えています。今後、事業計画を分かりやすく伝える工夫については検討中です。
4 養育・支援の質の向上への組織的・計画的な取組
(1) 質の向上に向けた取組が組織的・計画的に行われている。 第三者
評価結果
8 養育・支援の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。 a
【コメント】
職員の質の向上については、職員研修の充実に取り組み、年間研修計画を策定し、特に接遇、マナー研修を実施し、必要に応じて個別に指導に努め、職員一人ひとりの資質向上に取り組んでいます。不適切な対応があった場合は個別に助言・指導を行い、研修への参加を促し、研鑚を図っています。また日々、養育及び支援の基本について指導・声かけを行い、個々の職員に応じて指導をしています。自己評価を実施して日々の業務の振り返りを行い、気付きと共に支援の質の向上につなげています。支援計画の作成及び実施するに当たり、PDCAサイクルだけではなく、立ち上げのチェックを並行して行い、特に1年目、2年目の職員には意識的に取り組むことを促し、全体と並行して行うようにしています。今回、第三者評価は3回目の受審となります。
9 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。 a
【コメント】
自己評価は、施設全体と個人に分けて自己評価を実施し、課題を抽出し、次年度の計画に反映させる体制を構築しています。第三者評価による評価結果、課題等については職員会議で話し合い、検討して改善策を周知しています。特に、子どもの課題については共通の会議で話し合い、気になる子どもについては、対応等を検討して共有を図り、支援につなげています。成光学園では、誰もが改善策の詳細が分かるよう体制を整え、児童一人ひとりの支援が日々動くことによる対応力を備えています。子どもが内面に抱えているものをサーチできる機会を持ちながらもさらに常に反省しながら支援に努めています。
Ⅱ 施設の運営管理
1 施設長の責任とリーダーシップ
(1) 施設長の責任が明確にされている。 第三者
評価結果
10 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。 a
【コメント】
園長の業務内容について明文化し、職務権限及び園長の責任については職員会議等で表明し、職員に周知しています。園長は、対外的な職務を通して様々な情報を収集し、職員会議を通して外部の情報を伝えています。また、職員一人ひとりの誕生日にプレゼントと共にメッセージを添えて祝い、職員を鼓舞する等、組織イコール人(職員)であることを大切しています。委員会ごとに事業計画があり、権限の委譲もある程度行っていますが、職員の拠り所は園長であり、園長なら即決できるため職位も頼ってしまう傾向があり、組織を育む体制が期待されます。
11 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。 a
【コメント】
社会的養護関係施設での児童養護施設として、関係法令の熟知と遵守が絶対条件の基、専門職員として遵守し、施設全体また、園長自身としてもコンプライアンスについて十分配慮して取り組んでいます。3年に1回、法令検討会での勉強会に参加して理解を深め、また、日常的に環境に配慮し、エコまち法なども順守し、粗大ゴミ等は産業廃棄業者経由で適切に処理するなど心がけています。就業規則はパソコンに収納し、誰もが閲覧できる仕組みを整えています。
(2) 施設長のリーダーシップが発揮されている。
12 養育・支援の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。 a
【コメント】
園長は、職員の模範となるように努め、業務に関しては基本的には職員に委ねていますが、常に状況を把握し、職員にアドバイスを行うようにしています。また、成光学園のヒエラルキー(組織体制)を構築し、組織を通して挙がってきた意見については的確に回答しています。園長は、職員が記載する養育状況報告書(年2回、義務化の行政への提出)を必ず確認し、必要に応じて指導を行い、職員個々に研修を奨励し、就労時間内であれば交通費、日当を支給して質の向上に努めています。基本的に報告が必要な部分、共通の部分、お任せの部分に分け、共通の部分を話し合いながら、必要な部分、お任せの部分にも踏み込んで話し、教育しています。園長は職員の言葉や説明を聞いているかを常に気を付けています。
13 経営の改善や業務の実効性を高める取組に指導力を発揮している。 a
【コメント】
園長は、常に施設の経営や、業務の効率化と改善を心がけ、就業環境に配慮し、職員が長く勤務できる体制を目指し、職場環境整備、運営の改善に取り組んでいます。また、経営セミナーに事務長と出席し、常に新たな改善を意識しながら取り組み、魅力ある業界、施設となるべくして指導力を発揮しています。地域の企業、関係機関、地域の方々と積極的に接し、子どもの最善の利益のために、施設への理解を促し、より良い運営に向けて尽力しています。成光学園では、今年度より職員の働き方改革を実施しています。1日8時間、週40時間の労働体制を決め、この中で出来る業務改善を図っています。これを9月までに職員の意識を調査し、来年度の採用につなげていきます。成果が期待されます。
2 福祉人材の確保・育成
(1) 福祉人材の確保・育成計画、人事管理の体制が整備されている。 第三者
評価結果
14 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。 a
【コメント】
福祉人材や人員体制に関しては、現状の職員の質について課題を抱えながら、継続して人材の確保と育成に努力しています。さらに、キャリアパス確立も検討し、効果的な人材確保及び、人員体制の充実に努めています。人材確保に苦慮しながら、専門学校への奨励や給料、休日等の条件提示、働き方改革も含め、募集要項に加えていく予定です。
15 総合的な人事管理が行われている。 a
【コメント】
基本方針に基づいた「期待する職員像等」を定め、給与体系は俸給表で明確にしています。職員の専門性に関しては、年2回の査定及び、評価を行い、処遇の水準では改善に向けて声かけや、助言、相談を行い、研修を推進し、職員のスキルを高めるよう努めています。職員へのフォローでは、心理士を交えた情報を基に、業務を通して個々の職員ができ得ることにチャンスを提供し、得意、特技を見極め、可能性を見出せるよう取り組んでいます。年に1回、職員の意調査を行い、職員の考え、意向を確認しています。研修の報告書は記入フォーマットがあり、誰でも閲覧出来る体制にし、学びの経緯を知り、学ぶ機会を設けています。
(2) 職員の就業状況に配慮がなされている。
16 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。 a
【コメント】
職員の就業状況や、定期的な面談等により職員の意向を把握し、有給休暇の平均的な取得を推進し、必要に応じて随時、相談ができる環境を整えています。福利厚生では、各種社会保険や福利協会に加入し、職場旅行も実施しています。職場作りでは、年間休日を1日増加し、スポーツ活動にも力を入れ、ナイトハイク等の企画を立てて実施する等、施設の魅力を高め、職員の心身のケアに配慮し、働きやすい施設作りに取り組んでいます。職員同士の懇親の機会では働き方改革を含めた場を考えています。職場旅行では保険を活用して半分費用補助を行う等、職員間の円滑な職場作りに努めています。
(3) 職員の質の向上に向けた体制が確立されている。
17 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。 a
【コメント】
定期的に個別に職員面接を実施し、特に、新入社員にはコミュニケーションを図り、目標を設定しています。職員一人ひとりの目標は明確に設定し、共有を図り、年度末に目標達成度の確認を行い、次期につなげています。個人面談の折には出来ていること、出来ていないことを伝えるようにしています。心理士の面談(カウンセリング)もあり、管理方法や効率的な業務の進め方についてフィードバックを実施しています。
18 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。 a
【コメント】
法人の基本方針に基づく「期待する職員像等」を設定し、給与体系は俸給表に沿う形態になっています。さらに、目標管理的な活用を行う等、職員のやる気につなげる工夫も考えられると思われますので、一考を期待しています。研修については、年間教育研修計画を策定し、職員1人年1回以上、研修に参加するよう推進し、職員一人ひとりの質の向上に取り組んでいます。また、外部研修の内容についても常に見直しを行い、成光学園に合った研修内容を精査して情報提供及び、参加を奨励し、職員の技術水準向上と資格取得のスキルアップに努めています。研修に関しては主任指導員を中心とした「職員研修委員」を設置し、職員の要望、施設のニーズを加味して研修計画を作成し、施設長の確認の上、決定する体制を構築しています。入職後1~2年は個別の振り返り研修を実施しています。
19 職員一人ひとりの教育・研修等の機会が確保されている。 a
【コメント】
職員一人ひとりの教育・研修等の機会については研修一覧表にまとめて提示し、必要な研修を受講しています。また、資格取得な等のスキルアップについては、資格取得のための研修を施設全体で応援する体制としています。階層別等の研修については、細分化された各種委員会で行っています。新入職員はOJTを実施し、外部研修については情報提供を行っています。スーパービジョンに関しては神奈川県立保健福祉大学から講師を招いて講義を受け、園長が有識者としてアドバイスをしたり、心理職が職員面接した所見を園長に伝える等、職員の教育に生かすよう努めています。
(4) 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成が適切に行われている。
20 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。 a
【コメント】
実習生受け入れのマニュアルを整え、レジメを準備し、特に、専門職種の特性に合わせてプログラムを作成し、実習依頼校と連携を図り、継続的に取り組んでいます。また、受け入れ職場として、指導者(職員)の研鑽を必要と捉え、職員のレベルアップに努め、職場の体制強化を図っています。実習では、実習生に意向を聞いて、意向に沿った実習内容にするよう配慮しています。
3 運営の透明性の確保
(1) 運営の透明性を確保するための取組が行われている。 第三者
評価結果
21 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。 a
【コメント】
運営の透明性に関しては、社会福祉法人に則り、事業計画、事業報告は公表されており、ホームページにも決算報告・現況報告を公開し、誰もが閲覧できるようにしています。併せて、福祉サービス第三者評価受審結果も公表し、改善及び対応策についても公表しています。施設の運営方針、活動等についてはホームページに掲載し、地域に発信しています。また、タウンユースや、園だよりに関連記事を掲載して配布しています。広報紙に関してはあくまで内部である観点を持ち、一般媒体に一般記事として取り上げてもらうのが本当の広報と考えています。
22 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。 a
【コメント】
公明且つ、透明性の高い運営に向けた規定及び資料を作成し、ホームページにも掲載して公表しています。決算報告書は外部監査機関(公認会計士)の活用等により、事業、財務に関する外部の専門家によるチェックを受け、運営に生かしています。
4 地域との交流、地域貢献
(1) 地域との関係が適切に確保されている。 第三者
評価結果
23 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。 a
【コメント】
成光学園では、地域との交流の重要性を認識し、学童寮に地域交流室を設置して近隣の会合等に貸し出しをして地域に寄与しています。また、野球のできる広いグランドを保有し、神奈川県児童福祉施設協議会研修会の対抗野球大会を実施する他、近隣にもグランドを貸し出す等、積極的に地域交流に取り組んでいます。学園祭では地域の子どもたちも参加してもらうよう声かけを行い、道沿いのフェンスにポスターを貼って案内をしています。地域の行事への参加では、「ママチャリグランプリ」なる自転車レース、「座間・坂道マラソン」、「市民駅伝大会」等に参加し、地域からの声かけも増えてきています。また、学園発の運動大会の開催も多くあり、継続して参加するよう努めています。
24 ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。 a
【コメント】
ボランティアについては、受入れマニュアル・受け入れのレジメを整備し、受け入れ窓口の担当職員を定め、ボランティアへの事前説明を行う体制を整えて実施しています。全体的には実施主体や参加者として交流するケースの方が多く、青少年健全育成の会の方やPTAの筑医院の方などのボランティアが協力しています。
(2) 関係機関との連携が確保されている。
25 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。 a
【コメント】
行政、児童相談所など公的な団体と連携を図る他、子どもが退所したアフターケア事業所(あすなろサポートステーション)とも連携しています。定期的に関係機関・団体との連絡会に参加し、問題等に関する解決に向けて協働を図り、取り組んでいます。成光学園では、退所後のフォローとして、特に18~19歳の子どもについては、帰宅した家庭の環境、諸事情を考慮し、困った時は学園に来るように伝え、児童相談所やアフターケア事業所と共に対応に努め、一時保護所・思春期生活支援(自立の館)の利用や、施設長の尽力により目の届く範囲に住居を持つ支援を行う等、子どもの不安を受け止め、安定して生活できるよう支援に取り組んでいます。教育研究会(支援級の相談など)、愛の手帳など、受け入れ会社としての不動産会社にも協力を仰ぎ、連携を図っています。
(3) 地域の福祉向上のための取組を行っている。
26 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。 a
【コメント】
地域との協働では特に、災害時対策における地域貢献に取り組んでいます。施設長は自治会の区長でもあり、施設を地域住民の避難場所として提供できるよう、備蓄を7日分以上備え、厨房設備も完備し、マンホールに取り付けられる簡易トイレの準備等を整備し、地域に向けた貢献を考えています。また、学園祭では地域の方を招いて交流しています。さらに、今後、地域に向けた研修会等の開催や、相談事業等の実施を視野に入れて考えています。災害時に備え、定期的に避難訓練を実施し、防火管理や、備蓄に関して期限及び更新を管理しています。
27 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。 b
【コメント】
地域のニーズ把握のため、要保護児童対策地域協議会に出席し、神奈川県社会福祉協議会主体の神奈川ライフサポート事業の会議にも出席し、情報交換を行っています。民生委員、児童委員とも連携を図り、学園に来訪する等、意見交換を持ちながらニーズを把握しています。成光学園では要保護児童の受け入れ事業や、家庭養育支援事業に協力し、要保護児童を受け入れ、神奈川県社会福祉協議会、座間市社会福祉協議会と連携して地域の要保護児童の相談も受け付けています。広報活動では、ホームページ開設の他に、タウンニュースに連載記事を掲載し、成光学園の活動を知らせています。備蓄は210日分の備蓄を有し、井戸の使用も可能とし、生活困窮世帯へのサポートや高齢者施設へのサポートも行う用意があります。
Ⅲ 適切な養育・支援の実施
1 子ども本位の養育・支援
(1) 子どもを尊重する姿勢が明示されている。 第三者
評価結果
28 子どもを尊重した養育・支援の実施について共通の理解をもつための取組を行っている。 a
【コメント】
理念に、子どもの最善の利益を第一義とし、子どもを尊重した支援の実施方法を明示し、ケアカンファレンスでも理念の実現についてのグループディスカッションを実施し、子どもを尊重した支援を実践しています。年間の自立支援計画を立て、計画の策定カンファレンスには児童相談所のFSWも出席して実施しています。子どもを尊重する支援の委員会を設け、支援に取り組んでいます。親との対話についてもサポートしています。
29 子どものプライバシー保護に配慮した養育・支援が行われている。 a
【コメント】
子どものプライバシー保護・権利擁護については、「学園生活の案内」に分かりやすく記載し、掲示でも知らせています。職員に対しては、プライバシーに関する資料を配付し、啓発しています。子どもたちには入所時に分かりやすく説明し、理解を促しています。支援に関するマニュアル等は整備され、随時、見直しをしています。成光学園では「集団生活」に重きを置いているため、日々の児童一人ひとりのプライバシーに関しては守られる範囲・判断に難しい面がありますが、職員は最善を尽くして配慮しています。事故報告に関してはガイドラインを設け、不適切な事案が発生した場合はガイドラインに沿って適宜、対応しています。机の鍵はかかるよう保証し、居室への許可のない立ち入りは職員も禁止とし、部屋の整理については、自立支援計画の中で定め、居心地良く過ごせるよう整理整頓を促し、大掃除などを企画して職員と一緒に片付けるようにしています。
(2) 養育・支援の実施に関する説明と同意(自己決定)が適切に行われている。
30 子どもや保護者等に対して養育・支援の利用に必要な情報を積極的に提供している。 a
【コメント】
厚生労働省の児童養護施設運営指針に沿って運営し、理念や基本方針、支援の内容や施設の特性等については、「学園生活の案内」に記載して提供し、園での生活は貼り紙をして分かりやすくイメージできるように示し、児童に説明をしています。成光学園では、子どもの自己の意思決定を尊重して支援に当たっています。保護者への情報提供については、連携が困難な家庭も多く、児童相談所と相談しながら提供するようにしています。生活の仕方マニュアルを備え、入所時には必ず説明し、学園に入所したら学園の職員の支援が中心になることを教え、面会や外出で順調に行けば子どもを褒め、少しづつ理解できるように支援しています。
31 養育・支援の開始・過程において子どもや保護者等にわかりやすく説明している。 b
【コメント】
入所時に子ども、保護者に対して支援の内容を説明し、受け入れルールについては「学園生活の案内」等を活用して適切に説明を行い、同意の上、入所を受け入れています。意思決定が困難な子どもに対しては、職員が付いてサポートしながら説明を行っています。意思決定が難しい子どもや保護者(精神疾患や知的障害等)については、個々に分かるルールを見つけて対応していくことにしていますが、ルール作りは難しく、周りを巻き込んだ対応等いろいろ工夫が必要です。
32 養育・支援の内容や措置変更、地域・家庭への移行等にあたり養育・支援の継続性に配慮した対応を行っている。 b
【コメント】
年齢等で措置変更があり、施設を移行する場合は、子どもの支援内容に不利益が無いよう十分配慮し、移行先への支援の継続性を保つために児童相談所に情報を提供しています。退所後のフォローについては園長を中心に体制を構築し、児童が助けを求めてきた場合には出来得る限りの対応を行い、相談に乗れるようにしています。退所後の窓口は職員の変更等を考慮し、その時の園長とし、職員が残っていれば当時の担当、いなければ事務で対応します。
(3) 子どもの満足の向上に努めている。 第三者
評価結果
33 子どもの満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。 a
【コメント】
成光学園では、子ども一人ひとりに4か月に1回程度、満足度を確認するヒアリングを実施して確認しています。ヒアリングする職員は子どもが選択できるようにし、好む職員と話し合いができるようにし、子どもの心に寄り添えるようにしています。子どもが意見を言える体制・雰囲気は整っています。また、「生活委員会」を設け、月1回、小学生以下、中学生以下に分けて意識調査、嗜好調査等を行い、意見を聞いて支援を反映させています。例えば、金銭の使い方について、希望購入について下調べをして計画性の指導を行い、使い過ぎに留意しています。進路の決まった中学3年生以上の子どもは携帯の保有を基本的に許可しています。但し、勉強を最優先することを約束の下、将来返却することを前提に本体購入金額を援助し、使用に関しては自己ルールを定めて許可するようにしています。高校生はアルバイトにより支払えるのであれば購入を許可しています。
(4) 子どもが意見等を述べやすい体制が確保されている。
34 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。 a
【コメント】
苦情解決の体制では、第三者委員を設置し、学園内に苦情解決責任者を定めて体制を整備しています。苦情解決の仕組みは掲示にて周知し、意見BOXを備え、児童から意見が投函されることもあり、意見が言いやすい環境作りがされています。意見や苦情については、処遇に関する要望を受けた場合は「対処委員会」を開催して検討し、職員全体で共有し、支援の向上に生かしています。また、職員の意見から夜勤時の宿舎内での飲酒は禁止(10年以上)としています。日常生活に関するものは「生活委員会」で話し合っています。
35 子どもが相談や意見を述べやすい環境を整備し、子ども等に周知している。 a
【コメント】
子どもが相談や意見を述べやすいよう、職員の誰にでも相談して良いよう伝え、職員は言いやすい雰囲気作りを心がけ、相談しやすい環境作りと体制を整えています。通常は、寮生活の中で寮長が意見を聞いていますが、子どもが好む職員に相談しても良いようにしています。個別に相談したい子どもに対しては、他人に知られないよう別室を用意し、プライバシーにも配慮しています。「生活委員会」には苦情委員を設置してあって、参考に名前を掲示しています。
36 子どもからの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。 a
【コメント】
相談や意見を受ける方法や手順等については、マニュアルを整備し、苦情受付の書類を準備し、記録しています。マニュアルは定期的に見直しています。子どもの相談は、職員と心理士で連携を図り、児童に対して丁寧な対応に努め、把握した内容は園長に報告しています。また、意見BOXやヒアリング、給食のアンケートで把握した意見は、意見に基づいて体質改善に努めています。また、生活については個別にヒアリングを行っています。「生活委員会」の担当職員や委員会の委員は巡回して配慮しています。
(5) 安心・安全な養育・支援の実施のための組織的な取組が行われている。 第三者
評価結果
37 安心・安全な養育・支援の実施を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。 a
【コメント】
リスクマネジメントについては、マニュアル・手順を整え、職員に周知を図り、理解を促しています。マニュアル等を読み込んで理解するように指導しています。事故発生時等の対応では、個別に事故報告書、ヒヤリハットを記載し、定期的に防災訓練を実施する等、再発防止に努めています。データー収集シートをシステム化しています。中核職員は外部研修に積極的に参加し、受講した研修内容は内部研修で共有を図り、知識を深め、児童の安全確保・事故防止に努めています。また、事故防止策では、事故報告書の記載様式を書きやすく、内容が分かりやすい様式に修正すると共に記載方法の指導も実施しています。但し、全て責任者は園長とし、リスクの分散の面については今後の課題と考えています(例えば部門長やリスクマネジメント委員会等への分散等)。
38 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。 a
【コメント】
感染症予防と発生時等の対応マニュアルを整え、職員は感染症に関する研修を実施して徹底を図り、寮生活を踏まえて日々の生活習慣に留意し、適切に対応しています。感染症予防については、うがい、手洗いを慣行し、季節の流感に備え、全児童がインフルエンザの予防接種を受けています。感染症の他、疥癬など衛生動物に関するものも今後、マニュアルに加えていく予定にしています。疥癬はヒゼンダニによるものですが、この辺りはタヌキが生息し、ヒゼンダニを仲介するケースがあります。また、子ども同士の接触で頭ジラミを貰って来るケースもあり、衛生動物の対策も考えて行きたいと考えて行きます。
39 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。 a
【コメント】
成光学園では、「避難隊長」を設定し、災害時の避難体制、経路、避難先を明示し、施設全体で避難訓練(大規模訓練は年2回、小規模な訓練は毎月)を実施しています。また、施設は高台に位置しており、土地に高低差があり、水害、火事の他に地滑り、崖崩れ等に留意し、様々な想定の下、訓練を実施しています。体制では、警察、消防署、自治会等と連携を図り、災害時の備蓄類はリスト化し、食品は期限前に更新を心がけて保管しています。備蓄品の一覧表を作成し、BCPについては理事長(園長)で構想を図り、明文化は行っています。
2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の標準的な実施方法が確立している。 第三者
評価結果
40 養育・支援について標準的な実施方法が文書化され養育・支援が実施されている。 a
【コメント】
標準的な実施方法などについては、支援マニュアルに分かりやすく文章化し、子どもの尊重、プライバシーの保護や権利擁護に関わる姿勢を明示しています。職員に対しては、口頭での周知及び、研修を実施して確認し、必要に応じて個別指導も行い、年度末には反省を行い、標準的な実施方法の徹底を図っています。職員への教育については、特に、入職時に集中して教育するようにしています。自己評価表については年2回、自負検査を行っています。
41 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。 a
【コメント】
標準的な実施方法のマニュアルに関しては、自立支援計画の内容に沿って年度末に見直しを図り、反映する仕組みを構築しています。見直しに際しては子どもの意見、保護者からの意見も加味して行うようにしています。
(2) 適切なアセスメントにより自立支援計画が策定されている。
42 アセスメントにもとづく個別的な自立支援計画を適切に策定している。 a
【コメント】
アセスメントについては、それぞれの児童の自立支援計画及び、児童相談所から受け取った児童記録、生育歴、健康記録、モニタリング記録等を基に児童一人ひとりのアセスメントを行っています。成光学園の自立支援計画では、児童個々の強み・弱みの面を抽出して反映させ、一人ひとりの養育に努め、適切な支援が行われています。支援困難なケースについては、検討会議を持ちながら不良、非行、性加害、性被害など、場合によっては措置変更等を検討しています。特に、性の問題については他人の集まりであるので、常に起りうるものと自覚し、積極的に性教育を行っています。
43 定期的に自立支援計画の評価・見直しを行っている。 a
【コメント】
定期的に自立支援計画の見直しを年2回実施し、見直し、加筆した自立支援計画は処遇会議等で全職員に周知して確認しています。計画の緊急に変更する際の仕組みに関しては、現場で対応を図る事例が多々あり、都度、会議等で話し合い、職員間で共有を図り、支援に反映させています。年1回は児童相談所に提出しています。児童相談所とも見直しの会議を行い、課題を抽出して方向性を検討しています。方向性とは完結、継続、変容を決めることであり、会議の内容は支援計画の個人票に記録し、記録を残しています。
(3) 養育・支援の実施の記録が適切に行われている。
44 子どもに関する養育・支援の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。 a
【コメント】
子どもの身体状況や生活状況等については、養育記録に記載し、記載方法を手書きからパソコン上での記録に切り替え、全職員が確認できるようにし、児童個々の情報、通院履歴も検索により必要な情報を的確に確認できる仕組みを構築しています。また、非常用電話回線利用により、電話不通の際も7時間接続可能とし、データー復旧も可能にしています。記録の記入方法については、園長が職員会議で指導し、統一を図っています。パソコン化においては効率化と共有化を図り、加筆も含めて加帳しています。
45 子どもに関する記録の管理体制が確立している。 a
【コメント】
子どもに関する記録類の保管、保存、廃棄、情報の提供に関しては規定で定め、個人情報規定を遵守して実施しています。情報の公開に関しては、取扱い規程を定め、規定に沿って施設長の判断の下、公開しています。個人情報の管理は、管理責任者を定め、鍵のかかる書庫で管理し、不適正な利用、漏洩の対策を講じ、個人情報取扱いについて全職員に徹底しています。ファイリングについては、可能な限り永年保存を行うよう、電子化とそのバックアップが重要と考えています。
内容評価基準(25項目)
A-1 子どもの権利擁護、最善の利益に向けた養育・支援
(1) 子どもの権利擁護 第三者
評価結果
A1 子どもの権利擁護に関する取組が徹底されている。 a
【コメント】
理念に子どもの最善の利益を第一義として掲げ、子どもを尊重した支援の実施を明示し、ケアカンファレンスで理念の実現についてグループディスカッションを実施し、児童を尊重した支援を実践しています。必要に応じて神奈川県立保健福祉大学の講師を招き、スーパーバイズの聴講をする機会を設けています。子どもの権利ノートの不携帯の実態を相模原児童相談所と相談して携帯するようにし、職員は人権研修を受講し、受講後、チェックリストを使って確認し、人権に対する意識を高めるよう指導しています。
(2) 権利について理解を促す取組
A2 子どもに対し、自他の権利について正しい理解を促す取組を実施している。 a
【コメント】
入所に際して、子どもに権利ノートにより、権利について正しく理解できるよう説明し、第三者委員の存在についても伝えています。また、年齢に応じて心理職員がフォローを行っています。職員に対しては、児童の人権侵害、性的教育について常に意識して支援するよう徹底し、事例や関連事項に沿って学習する機会を設けて理解を促しています。日々の生活や行事等を通して、他者を尊重し、協働を行い、助け合い、認め合い、協力し合い、感謝し合うよう育み、支援に当たっています。児童同士のケンカの場合では、基本的なルールとして、気持ちを相手に分かりやすく伝えること、相手を尊重する、互いに成長することを体感して学べるように支援し、児童同士で関係を修復できるよう援助しています。嫌なことがあったら職員に話すよう伝えており、3か月に1回はヒアリングを行うようにしています。
(3) 生い立ちを振り返る取組
A3 子どもの発達状況に応じ、職員と一緒に生い立ちを振り返る取組を行っている。 a
【コメント】
子ども自身の出生や生い立ち、家族の状況については個々に異なる事情を考慮し、子ども個々に応じて適切な時期を見極めて慎重に伝え、次のステージにつなげられるよう配慮しています。小学校4年生を「2分の1成人式」と称し、時期を見極めていますが、知的に遅れのあるケースも多く、解ると思われる時期に話すようにしています。生い立ちの話は、前提として先生との関係性が出来たうえで話すようにしています。乳児院から入所する子ども等はライフヒストリーがこの学園からスタートすることもあり、個々のライフヒストリーを大切にし、継続したきめ細やかなケアを心がけています。学園での写真はまとめてアルバムに収め、退園の時に渡すようにしています。
(4) 被措置児童等虐待の防止等
A4 子どもに対する不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 a
【コメント】
不適切な関わりについては、ADHD(注意欠如多動性障害)の症状を持つ児童については職員会議等で話し合い、対応について共通認識を図り、統一ある対応に努めています。児童に対する職員の言葉遣いの問題等については、マニュアルに沿って接遇マナー研修を実施し、言葉遣いと距離感のバランスに留意しています。不適切な関わりとなる予防、早期発見として、日頃から職員の行動、気になる点は、互いに注意し合い、会議で報告するようにして確認しています。また、予防、防止の観点で、密室、死角を作らないよう話し合う場所の設定に気を付けています。
(5) 子どもの意向や主体性への配慮
A5 職員と子どもが共生の意識を持ち、生活全般について共に考え、快適な生活に向けて子ども自身が主体的に取り組んでいる。 b
【コメント】
生活改善に向けての取り組みについては、「生活委員会」を中心に職員と児童とで一緒に考え、生活における問題や課題について主体的に検討する機会を持ち、児童の自主性を育み、自立性、責任感等を養う活動を行っています。
(6) 支援の継続性とアフターケア
A6 子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、不安の軽減を図りながら移行期の支援を行っている。 a
【コメント】
入所時は、職員が温かく迎えるよう準備、工夫を行い、施設全体で受け入れを行うようにしていますが、分離体験を経験した児童については、体験により生じる行動や反応について十分理解を示し、時間をかけて心に寄り添うよう配慮しています。様子を見ながら移行期に関して、子どもの振れ幅は大きく、試し行動をして職員と信頼関係ができれば心を開いていく状況にあります。この場合、児童との愛着関係が重要であり、児童は愛着障害を持っているので児童自身で好きな職員を選んで話をするようにしています。入所の相談から施設での生活が始まるまでの児童や保護者等への対応については、手順を定めて対応しています。
A7 子どもが安定した社会生活を送ることができるようリービングケアと退所後の支援に積極的に取り組んでいる。 a
【コメント】
児童が安定した社会生活や家庭生活を送ることができるよう、職員は児童の自立を願い、支援に努めています。児童の家庭復帰にあたり、ケース会議を開催し、児童相談所や関係行政機関とも協議を図り、対象児の復帰後の生活をより良い方向に向けて検討しています。在園中の所定期間の記録は保存しています。家庭復帰後のアフターケアは、児童相談所経由であり、成光学園としては家庭支援専門相談員が担当し、継続的に支援しています。リービングケアは退園前に始めています。主に料理、掃除その他ですが、高3位から意識を持たせるように支援しています。成光学園は退所後もリービングケアを継続して行っており、通園の児童記録簿があり、「自立の館」に入って行っています。職員に愛着をもった児童が来所したり、あらゆる相談に訪ねて来る児童もあり、職員は温かく迎え入れ、支援するよう取り組んでいます。退園後は外部の施設(茅ヶ崎の湘南つばさの家、藤沢市辻堂のあすなろサポートステーション等)の活用も薦めています。
A-2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の基本 第三者
評価結果
A8 子どもを理解し、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止めている。 a
【コメント】
養育・支援の基本として、職員は児童一人ひとりを理解し、児童の感情や発する言動をしっかり受け止める支援を目指していますが、職員個々のスキルの差を考慮し、職員の資質に偏らず、施設全体としてレベルアップを図るよう取り組み、支援に当たっています。職員は児童を理解し、信頼関係の構築に努め、安定性を確保してきています。また、児童が抱える問題、課題と真摯に向き合い、パソコン上での記録と共有活用により、有効且つ、効率的な体制を構築して支援に取り組んでいます。児童の出自については、職員は理解しようという気持ちはあるものの、十分な理解までは至らないケースもあります。児童本人のアンケートは第三者評価でのアンケートを主に、「生活委員会」の意見や寮での話を中心に理解につなげています。
A9 基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援している。 a
【コメント】
高齢児と小学生では日課が異なり、職員はできる限りそれぞれに則した対応ができるよう心がけ、成光学園では、宿直職員を全体で1名ではなく、寮ごとに宿直職員を1名ずつ配置し、児童との関係性を密にすることにより個々の基本的欲求に対応できるようにしています。また、夜目覚めた時に大人の存在が感じられるよう児童の安心感にも配慮が成されています。安全面に関しては、警備会社に委託し、安全を保障しています。お菓子は食べ終わると買いに行っていましたが、今は、土日の3時に提供しています。
A10 子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障している。 a
【コメント】
職員は、児童に必要以上の指示や制止、過剰な支援は控え、見守る姿勢で支援に当たっています。また、子どもとの信頼関係を大切にし、○○職員の言う事なら聞けるという関係作りに努めています。成光学園のロゴマークは羽ばたく鳥の姿を示し、ウェーブの3つの羽は「目配り」・「気配り」・「心配り」を示し、成光学園職員の支援姿勢を示しています。児童が将来、未知なる社会へ大きく羽ばたいていけるよう、成光学園の愛情の根幹を伝えています。基本的には子どもを信じて、声かけをして、上の子(子どもの力の活用)に下の子(子どもを信じて)の面倒を見てもらって過ごしています。昔は脱園マニュアルがありましたが今は子どもの人権を尊重して廃止しています。
A11 発達の状況に応じた学びや遊びの場を保障している。 a
【コメント】
子どもの発達段階に応じて、食習慣の習得が身に付けられるよう、栄養士の助言を加味しながら献立と併せて食育に取り組んでいます。献立は月2回サイクルで作成し、前半で残食等を把握し、味付け、切り方、盛り付け等を工夫し、献立に活かしています。また、食具や食器の使い方、食事のマナーが習得できるよう支援しています。成光学園では、退所後の生活に備え、基礎的な調理技術を習得できるよう、食事作りやおやつを作る機会を設け、楽しみながら習得できるよう支援しています。食習慣については、理解できる子ども、理解できない子どもの差が明確であり、行事参加の場合等、一般的な状況が訓えられるかが課題となっています。普通に一人で言えるよう指導を繰り返しています。
A12 生活のいとなみを通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援している。 a
【コメント】
日々の生活を通して、社会常識及び社会規範を学び、様々な生活技術が習得できるよう、一緒になって取り組み、基本的生活習慣が身に付けられるよう支援しています。社会、成光学園のルール、寮生活でのルール、そして児童が自分たちで決めたルールがあり、職員は模範となり、行動、態度で示し、生活習慣を身に付けることが社会的ルールを理解する第一歩として支援しています。また、マラソン大会や神奈川県下の養護施設対抗野球大会に参加し、自己向上の態度を身に付け、社会的ルールの習得に役立てています。
(2) 食生活
A13 おいしく楽しみながら食事ができるように工夫している。 a
【コメント】
食事は食堂棟が設備され、基本的に食事時間を設定し、食堂棟で全員一緒に摂り、職員も交え楽しい食事時間を過ごしています。また、食事時間は家庭の団らんの場のように雰囲気作りを工夫し、コミュニケーションの場として大切な時間としています。部活動などで遅くなる児童については食事時間の設定変更に応じる等、子どもの生活時間に合わせて対応しています。子どもたちの好みや、好き嫌いを把握し、食育に取り組みながら色々な食材が食べられるよう工夫し、体調に応じた配慮食も提供しています。子どもの誕生日では対象児の「誕生日メニュー」を提供し、誕生日のプレゼントを買いに行く等、楽しめるよう支援しています。
(3) 衣生活
A14 衣類が十分に確保され、子どもが衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援している。 a
【コメント】
衣類の清潔を心がけ、外出では季節に応じた服装ができるよう、衣類を十分確保しています。私服は季節ごとに衣替えを行い、整理・保管について声かけを行い、衣習慣を習得できるよう支援しています。各自の衣料購入の管理についても指導に努めていますが、ルールの無理強いは控えるようにしています。衣服を通じての自己表現は、経済観念、他児とのバランス等、教育的な側面もあり、職員は支援に努めています。気候等に応じて着替えや、TPOの習得などは支援に努めています。最近は能力的に厳しい児童も増えてきており支援について職員間で話し合っています。
(4) 住生活
A15 居室等施設全体がきれいに整美され、安全、安心を感じる場所となるように子ども一人ひとりの居場所を確保している。 a
【コメント】
住生活については、施設全体にソーラーシステムを導入して省エネを心がけ、年2回、年末と年度末に実施して整美しています。寮については寮ごとに掃除を実施し、居室は個々のスペースを大切に使用し、整理整頓を心がけるよう促しています。また、パブリックスペースはきれいに整備され、生花を飾り、金魚の飼育を通して餌やりの手伝いや、命の尊さを教え、子どもたちが楽しく安心できる環境作りをしています。部屋は個人で片付けるように指導しています。
(5) 健康と安全
A16 医療機関と連携して一人ひとりの子どもに対する心身の健康を管理するとともに、必要がある場合は適切に対応している。 b
【コメント】
職員は、個々の子どもの健康状態を把握し、身体の健康(病気等)や発育について、子どもの発達段階に応じて健康管理を行い、定期的に健康診断(小学生は年1回)を受診しています。健康上、特別な配慮を要する子どもについては、常に留意し、近隣の医療機関と連携を図っています。職員は医療や健康に係わる研修への参加に努め、知識を深めるよう研鑚を図っています。特に与薬に関しては、薬の種類も分からない児童が服薬しているので、薬の種類別リストを作って与薬管理を徹底する必要があります。
(6) 性に関する教育
A17 子どもの年齢・発達の状況に応じて、他者の性を尊重する心を育てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設けている。 a
【コメント】
子どもの年齢、発達段階に応じて、性についての正しい知識を得る機会を設けるよう心がけています。成光学園では「性教育委員会」を設けて活動に取り組み、性教育に関するプログラムを策定し、機会を設けて家庭支援専門相談員が児童に対して実施しています。性教育は幼児期に年3回ペースで実施し、継続して年間で実施しており、避妊についても教えています。但し、性教育については児童養護施設で時間をかけてカリキュラムを組み立ててやっていかなければならない問題であると痛感していますが、知識も、公正も、人的にも余裕が無く、子どもも年々変わるので非常に難しい問題と認識しています。
(7) 行動上の問題及び問題状況への対応
A18 子どもの暴力・不適応行動などの行動上の問題に対して、適切に対応している。 a
【コメント】
子どもの行動上の問題に関しては、指導員とケースカンファレンスにて詳細に話し合い、職員は援助技術の研鑚に努めています。また、日々の生活が安定したものになるよう、児童の行動上の問題の軽減に努め、良質な生活環境作りに努めています。学校に行かない、暴れる、無視する等の行為に対して、叱るのではなく、アンガーマネージネントを色々な職員が学ぶ必要があります。学園では職員のケアも心がけ、臨床心理士によるカウンセリングも行っています。
A19 施設内の子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組んでいる。 a
【コメント】
職員は、接遇で相手の立場に立ち思い遣る心を学び、子どもに接する際にも模範となって示しています。児童間の暴力、いじめ、差別等が生じないよう施設全体で見守り、勤務体制においても宿直職員を寮ごとに配置して発生予防の一環としています。また、「あたたかい言葉」、「チクチク言葉」を貼り出し、良い人間関係作り、互いに尊重することを伝えています。職員は、常に、「目配り」・「気配り」・「心配り」を実践しています。
(8) 心理的ケア
A20 心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行っている。 a
【コメント】
心理的ケアが必要な子どもについては、自立支援計画に沿って解決に向けた心理的な支援プログラムを策定し、臨床心理士による心理的支援を受ける体制を構築しています。児童相談所とは適宜、連絡をとり、助言を受け、対象児、保護者等の援助につなげています。現在、心理のスーパーバイザーとして、外部の大学教授を招き、職員は指導を受けています。
(9) 学習・進学支援、進路支援等
A21 学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行っている。 a
【コメント】
各寮内の学習環境の整備を行い、個々の学力等に応じた学習支援を行い、今は塾に通わせる費用が捻出され、中学3年生は塾へ通っています。成光学園に「矢部塾」を設け、小中学生を対象に学習支援を行い、きちんと座って勉強に集中できるよう指導し、その中で向上心が見られる子どもは民間の塾へ通うよう支援しています。また、ボランティアの家庭教師が児童の宿題を見てくれています。進学支援では、中学生の進路には養護学校もあり、高校は公立高校、私立高校などに進学しています。忘れ物の問題では、プリントを持ち帰らない問題はあります。
A22 「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援している。 a
【コメント】
進路については、9割以上の子どもが就職を自己決定とし、目指しています。大学に進学を希望する場合は、情報を収集し、進路決定後に奨学金等の申請のサポートも行い、進学の実現に向けて、奨学会の手続きなどもして支援しています。進路選択のフォローアップとして、本人の決定を尊重しており、措置延長の利用もありますがこれまで利用は一例もありません。大学入試に失敗して、自宅に戻って次回につなぐ児童もいます。
A23 職場実習や職場体験、アルバイト等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組んでいる。 a
【コメント】
成光学園では、職場の実習先や職場体験先の開拓を積極的に行い、協力事業主等と密に連携しながら職場実習等の効果を高めています。アルバイトもバックアップに努め、社会経験の機会の拡大に取り組んでいます。協力事業主としてロータリークラブ、グリーンタウン興業等があり、アルバイトからの就労もあります。学園を退園する時までに100万円貯めて生活の基盤を作るよう指導しています。
(10) 施設と家族との信頼関係づくり
A24 施設は家族との信頼関係づくりに取り組み、家族からの相談に応じる体制を確立している。 b
【コメント】
成光学園では、家族と信頼関係を構築できるよう、ポジティブなフィードバックを心がけ、子どもの気持や家庭関係の調整に努めていますが、子どもの扱いに関して問題のある家族が多いことから、家庭支援専門相談員が児童相談所と一緒に家族との信頼関係作りに取り組むことに留めています。家庭に帰さない方が良いケースでは児童相談所に預けるケースもあります。家庭に帰すという目標は児童相談所から家族に伝えてもらっています。
(11) 親子関係の再構築支援
A25 親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組んでいる。 b
【コメント】
親子関係の再構築に関して、学園としても児童のためにも望ましいこととは考えますが、それを薦められない家庭の状況等の苦悩はあり、一時帰宅等も行っていますが、家庭との関係の継続、修復、養育力の支援に取り組むには難しい面もあります。家族への支援は家庭支援専門相談員が児童相談所と一緒に家族との信頼関係作りに取り組んでいます。家庭に帰っても良い割合は、タイミングも考慮しながら年間5件以内に止まっており、根幹に貧困問題が否めない実情もあります。
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