社会的養護施設第三者評価結果 検索

くずはの森

第三者評価結果詳細
1 養育・支援
(1)養育・支援の基本 第三者
評価結果
子どもの存在そのものを認め、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止め、子どもを理解している。 b
基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援している。 b
子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障している。 b
発達段階に応じた学びや遊びの場を保障している。 b
秩序ある生活を通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○子どもの安心・安全の確保と生活ルールとの調整を図り、極力ルールは少なくするように努めている
 ルールを多く設定した場合、子どもの安全は確保できるが行動の制限が高まることに鑑み、施設全体の生活のルールを基礎に他のルールは極力少なくし、子どもの主体性を尊重することを目指している。
○子どもの家の変更は基本的に行わず、子どもと職員との関わりが深まるように取り組んでいる
 日常生活を通じて子どもと職員との信頼関係を深めるために、かつ、子ども一人ひとりが自らの感情を表出できるようにする観点から、家の変更は原則として行わないようにしている。また、各職員は受容と共感を基礎とした関わりに努めている。
(2)食生活 第三者
評価結果
食事は、団らんの場でもあり、おいしく楽しみながら食事ができるよう工夫している。 a
子どもの嗜好や健康状態に配慮した食事を提供している。 b
子どもの発達段階に応じて食習慣を身につけることができるよう食育を推進している。 b
(3)衣生活
衣服は清潔で、体に合い、季節に合ったものを提供している。 b
子どもが衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援している。 b
(4)住生活
居室等施設全体がきれいに整美されている。 b
子ども一人一人の居場所が確保され、安全、安心を感じる場所となるようにしている。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○食器類や食卓の場所等は子ども一人ひとりの嗜好に配慮し、楽しみながら食事ができるようにしている
 木の温もりを感じながら食事ができるダイニングで、食器類も子ども一人ひとりのものを用意して食事を楽しめるようにしている。家庭的な雰囲気のなかで職員と子どもが食事できる環境を整えている。
○徐々に厨房ではなく各家で調理する形にしていくことを目指している
 2つの家の間に厨房があり、調理したものを各家のキッチンに運んで提供している。現在、各家で調理する「うちごはん」を週1回実施しており、徐々に各家で調理する方向で検討を重ねている。
(5) 健康と安全 第三者
評価結果
発達段階に応じ、身体の健康(清潔、病気、事故等)について自己管理ができるよう支援している。 b
医療機関と連携して一人一人の子どもに対する心身の健康を管理するとともに、異常がある場合は適切に対応している。 b
(6) 性に関する教育
子どもの年齢・発達段階に応じて、異性を尊重し思いやりの心を育てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設けている。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○子どもの体調変化を見逃さず、体調変化があった場合は速やかに通院するように努めている
 子どもの疾病に応じた通院ができるよう、近隣の医療機関との連携が図られている。子どもの表情や顔色等を職員が把握しつつ、体調変化があった場合は速やかに通院するように努めている。
●服薬管理方法については、さらなる工夫が求められる
 子どもが自分で服用できるよう、薬を小分けにして共有スペースの壁にセッティングしている家もあるが、飲み忘れや飲み間違いが発生しないように服薬管理方法の工夫が求められる。
●性教育に関する具体的な取り組みが望まれる
 現在のところ、性教育に対する具体的な取り組みはなされておらず、必要に応じて個別に対応している状況である。今後は施設として性教育への取り組み方針を決めた上で実施していくことが望まれる。
(7) 自己領域の確保 第三者
評価結果
でき得る限り他児との共有の物をなくし、個人所有とするようにしている。 b
成長の記録(アルバム)が整理され、成長の過程を振り返ることができるようにしている。 c
(8)主体性、自律性を尊重した日常生活
日常生活のあり方について、子ども自身が自分たちの問題として主体的に考えるよう支援している b
主体的に余暇を過ごすことができるよう支援している。 a
子どもの発達段階に応じて、金銭の管理や使い方など経済観念が身につくよう支援している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○子どもの最善の利益を考慮した余暇活動となるように努めている
 子どもが望むゲーム機の用意や多目的室の音響設備の完備に加え、放課後や休日に子どもが友人と遊んだり出かける自由を保障している。また、少林寺拳法を学ぶ機会や、習い事もニーズに合わせて環境整備に努めている。
●生い立ちの整理についての具体的な取り組みは今後の課題である
 生い立ちの整理に向けては、関連する研修を受講した後で施設としてどのような方針とするか検討予定となっている。今後の取り組みに期待したい。
(9) 学習・進学支援、進路支援等 第三者
評価結果
学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行っている。 b
「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援している。 a
職場実習や職場体験等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組んでいる。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○大学進学を奨励する等、子どもが望む進学につながるように取り組んでいる
 受け入れ先の大学との連携も図られており、大学進学も含めて子どもが望む進学につながるように取り組んでいる。また、家庭教師の導入や通塾への送迎員の配置等、学習環境の整備にも力を入れている。
●職場体験先の開拓やリービングケアのプログラム作成について、さらなる取り組みが期待される
 職場体験の機会やアルバイトの許可等を通じて社会経験できるようにしている。今後はリービングケアのプログラムを作成して職場体験も盛り込む等、子どもの自立に適した支援にしていくことが期待される。
(10) 行動上の問題及び問題状況への対応 第三者
評価結果
子どもが暴力・不適応行動などの問題行動をとった場合に、行動上の問題及び問題状況に適切に対応している。 b
施設内で子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組んでいる。 b
虐待を受けた子ども等、保護者からの強引な引き取りの可能性がある場合、施設内で安全が確保されるよう努めている。 a
(11) 心理的ケア
心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行っている。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○不審な電話等があった場合に各職員が適切な対応がとれるように体制を整えている
 外部からの不審な電話等が施設にあった場合、具体的な対応方法を明示した文書を事務室等に貼り出すことで子どもの情報等が不用意に外部に伝わることがないように体制を整えている。
●子ども間の関係性等を把握した上で支援していくことが有効と思われる
 常勤の心理士による個別カウンセリングや、職員へのコンサルテーション等を通じて支援に役立ている。今後は子ども間の関係性等を把握した上で、具体的な支援方法を検討していくことが有効と思われる。
(12) 養育の継続性とアフターケア 第三者
評価結果
措置変更又は受入れに当たり継続性に配慮した対応を行っている。 b
家庭引き取りに当たって、子どもが家庭で安定した生活が送ることができるよう家庭復帰後の支援を行っている。 b
できる限り公平な社会へのスタートが切れるように、措置継続や措置延長を積極的に利用して継続して支援している。 b
子どもが安定した社会生活を送ることができるよう退所後の支援に積極的に取り組んでいる。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○措置延長したケースもあり、子どもの安全や安心等を考慮しながら将来的な自立を支援している
 高校卒業後に措置延長したケースや、自立援助ホーム等につなげるケース等、子どもの安全や安心等を考慮したうえで自立を支援するように努めている。今後も措置延長も含めて検討を進める方針となっている。
●高校中退の子どもの措置継続については他の子どものことも考慮して慎重な対応がなされている
 高校中退等のケースの措置継続については、一緒に生活する子どもの心情等も考慮し実施していない。他に生活スペースを確保・提供する等、個別対応できる環境整備等も含めて引き続き検討されたい。
2 家族への支援
(1) 家族とのつながり  第三者
評価結果
児童相談所や家族の住む市町村と連携し、子どもと家族との関係調整を図ったり、家族からの相談に応じる体制づくりを行っている。 b
子どもと家族の関係づくりのために、面会、外出、一時帰宅などを積極的に行っている。 b
(2) 家族に対する支援
親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組んでいる。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○家庭支援専門相談員の機能を高め、より重点的かつ細やかな支援ができるように整えている
 今年度から各家の担当職員がかかわるケースと家庭支援専門相談員が関わるケースを明確に区分して取り組む方法に変更しており、家庭再統合等をより重点的に進めることができるように整えている。
●家庭への具体的な支援方法の確立に向けて、引き続き検討されたい
 個別ケースに応じて家庭支援専門相談員が家庭訪問したり、親子生活訓練室を必要に応じて利用する取り組みがなされている。今後は家族への具体的な支援方法の確立に向けて、引き続き検討されたい。
3 自立支援計画、記録
(1) アセスメントの実施と自立支援計画の策定  第三者
評価結果
子どもの心身の状況や、生活状況を把握するため、手順を定めてアセスメントを行い、子どもの個々の課題を具体的に明示している。 b
アセスメントに基づいて子ども一人一人の自立支援計画を策定するための体制を確立し、実際に機能させている。 b
自立支援計画について、定期的に実施状況の振り返りや評価と計画の見直しを行う手順を施設として定め、実施している。 c
(2) 子どもの養育・支援に関する適切な記録 
子ども一人一人の養育・支援の実施状況を適切に記録している。 b
子どもや保護者等に関する記録の管理について、規程を定めるなど管理体制を確立し、適切に管理を行っている。 b
子どもや保護者等の状況等に関する情報を職員が共有するための具体的な取組を行っている。 a
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○文書管理システムが導入されており、支援状況を職員間で迅速に共有できる環境が整っている
 施設内LANの整備と文書管理システムを導入し、子どもの育成記録を職員間で迅速に共有できる環境が整っている。子どもが触れない場所にパソコンを設置したり、パスワード設定により情報漏えい防止を講じている。
●自立支援計画書の一連の策定手順を明確にすることが急務である
 自立支援計画書の見直しについて、進学を控えた3年生は半期に見直す取り組み等がなされているが、一連の手順が文書化されていない。今後は手順を明示し、より効果的な計画策定となるように整えることが望まれる。
4 権利擁護
(1) 子どもの尊重と最善の利益の考慮 第三者
評価結果
子どもを尊重した養育・支援についての基本姿勢を明示し、施設内で共通の理解を持つための取組を行っている。 b
社会的養護が子どもの最善の利益を目指して行われることを職員が共通して理解し、日々の養育・支援において実践している。 b
子どもの発達に応じて、子ども自身の出生や生い立ち、家族の状況について、子どもに適切に知らせている。 b
子どものプライバシー保護に関する規程・マニュアル等を整備し、職員に周知するための取組を行っている。 b
子どもや保護者の思想や信教の自由を保障している。 a
(2) 子どもの意向への配慮  
子どもの意向を把握する具体的な仕組みを整備し、その結果を踏まえて、養育・支援の内容の改善に向けた取組を行っている。 b
職員と子どもが共生の意識を持ち、子どもの意向を尊重しながら生活全般について共に考え、生活改善に向けて積極的に取り組む。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○「養護ガイド」や「家会議」開催等により、日常の関わりの中で子どもの権利の擁護について深めている施設では理念・基本や養護・支援について「くずはの森養護ガイド」を作成・配布している。さらにユニットごとに「家会議」を開き、主任や心理職、施設長等も加わり子どもの権利擁護について理解を深めている。
●プライバシー保護についてのマニュアル等の充実が望まれる
 施設の入所説明マニュアルの中で、個人情報の取り扱いについて説明し、独自の権利ノートを作成して周知に取り組んでいるが、日常的な配慮など接遇のマナーに関するマニュアルや規程の整備は今後の課題となっている。
●子どもの意向を把握する具体的なしくみづくりが求められる
 子どもたちの意向については日常の関わりを通じての把握にとどまっている。ケア単位が小規模化するなかでアンケートなど意向を把握するしくみが求められる。
(3) 入所時の説明等 第三者
評価結果
子どもや保護者等に対して、養育・支援の内容を正しく理解できるような工夫を行い、情報の提供を行っている。 b
入所時に、施設で定めた様式に基づき養育・支援の内容や施設での約束ごとについて子どもや保護者等にわかりやすく説明している。 b
子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、そこから分離されることに伴う不安を理解し受けとめ、不安の解消を図っている。 b
(4) 権利についての説明 
子どもに対し、権利について正しく理解できるよう、わかりやすく説明している。 b
(5) 子どもが意見や苦情を述べやすい環境 
子どもが相談したり意見を述べたりしたい時に相談方法や相談相手を選択できる環境を整備し、子どもに伝えるための取組を行っている。 b
苦情解決の仕組みを確立し、子どもや保護者等に周知する取組を行うとともに、苦情解決の仕組みを機能させている。 a
子ども等からの意見や苦情等に対する対応マニュアルを整備し、迅速に対応している。 a
(6) 被措置児童等虐待対応
いかなる場合においても体罰や子どもの人格を辱めるような行為を行わないよう徹底している。 a
子どもに対する暴力、言葉による脅かし等の不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 b
被措置児童等虐待の届出・通告に対する対応を整備し、迅速かつ誠実に対応している。 b
(7) 他者の尊重
様々な生活体験や多くの人たちとのふれあいを通して、他者への心づかいや他者の立場に配慮する心が育まれるよう支援している。 a
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○入所の前に必ず、施設の下見をしてもらい、納得性を高めたうえで入所手続きを進めている
 子どもを受け入れる手順については「くずはの森養護ガイド」に役割分担を含めて記載している。また入所前に必ず子どもに見学に来てもらい、「権利ノート」や「生活の決まり」を示して説明した上で手続きを始めている。
○「風通しの良い苦情受付」を目指して苦情箱を設置しており、有効に機能させている
 施設長が毎週、苦情箱を開錠して会議で報告するとともに、対応した結果は子どもたちに報告している。平成22年度までは4~6件であったが、昨年度は41件が寄せられるなど苦情対応のしくみとして機能している。
○子どもたちが障害者や高齢者とやさしく接する様子がみられる
 子どもたちは地域や関係機関のさまざまな行事などを通じて地元住民や高齢者、障害者などとの触れ合い、交流を深めている。その中で障害者や高齢者に対してやさしく接する姿がみられる。
5 事故防止と安全対策
第三者
評価結果
事故、感染症の発生時など緊急時の子どもの安全確保のために、組織として体制を整備し、機能させている。 b
災害時に対する子どもの安全確保のための取組を行っている。 a
子どもの安全を脅かす事例を組織として収集し、要因分析と対応策の検討を行い、子どもの安全確保のためにリスクを把握し対策を実施している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○地域の人々とともに災害時の安全確保のための防災対策を進めている
 AEDの扱いや起震車体験など近隣住民や保育園に参加を呼びかけ、ともに体験している。また施設の敷地を地元の防災倉庫に提供しており、今後地元の防災訓練で炊き出し訓練を行って地域と一層の連携を進めることを検討している。
○緊急対応についての関係機関との連携の体制がとれている
 緊急時は施設の「責任の系統」に従い、迅速で手堅い対応を取るしくみとなっている。さらに、市の緊急通報システムの受信機を事務所に設置してリアルタイムに情報入手ができるしくみがある。
●大規模災害時の事業継続計画の策定は今後の課題である
 今年度の「くずはの森養護ガイド」の重点課題の1つであるリスクマネジメントの中でクライシスマネジメントとして自然災害等を位置付け、担当者を配置している。大規模土砂災害等の対応に関しては市等と交渉中である。
6 関係機関連携・地域支援
(1) 関係機関等の連携  第三者
評価結果
施設の役割や機能を達成するために必要となる社会資源を明確にし、児童相談所など関係機関・団体の機能や連絡方法を体系的に明示し、その情報を職員間で共有している。 b
児童相談所等の関係機関等との連携を適切に行い、定期的な連携の機会を確保し、具体的な取組や事例検討を行っている。 b
幼稚園、小・中学校、高等学校、特別支援学校など子どもが通う学校と連携を密にしている。 a
(2) 地域との交流  
子どもと地域との交流を大切にし、交流を広げるための地域への働きかけを行っている。 a
施設が有する機能を地域に開放・提供する取組を積極的に行っている。 b
ボランティア受入れに対する基本姿勢を明確にし、受入れについての体制を整備している。 b
(3) 地域支援 
地域の具体的な福祉ニーズを把握するための取組を積極的に行っている。 b
地域の福祉ニーズに基づき、施設の機能を活かして地域の子育てを支援する事業や活動を行っている。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○子どもたちと地域の交流が地域の活性にも寄与している
 若者の減少により途絶えていた地域の祭りの一部を子どもたちが継承し、職員が祭典委員を担っている。さらに地域のスポーツ祭りにも参加するなど、高齢化し人口が減少している地域行事を支える一翼となっている。
○学校関係者等と緊密な関係が築かれている
 毎年度初めに小中学校の教員全員と施設の職員が交流し情報交換を行っている。さらに小中学校とは毎月懇談会を開いている。また学習塾とも進路選択や学習態度、出欠状況などについて情報交換をしている。就職や進学に際しては「くずは里親の会」から自立援助資金が提供されている。
●施設機能の地域開放等についてさらに進めることが望まれる
 施設では広報紙を配布したり、年1回の「手打ちうどんと餅つきの集い」へ地域の人たちを招待しているが、施設設備や機能について、より積極的な開放と地域支援機能の強化が期待される。
7 職員の資質向上
第三者
評価結果
組織として職員の教育・研修に関する基本姿勢が明示されている。 b
職員一人一人について、基本姿勢に沿った教育・研修計画が策定され計画に基づいて具体的な取組が行われている。 c
定期的に個別の教育・研修計画の評価・見直しを行い、次の研修計画に反映させている。 c
スーパービジョンの体制を確立し、施設全体として職員一人一人の援助技術の向上を支援している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
家庭的養護推進計画(中期5か年計画)を策定して人材育成計画を示している
 施設では「子どもの独立心を損なうことなく、自立するための援助を行う」ことを基本理念としており、そのための援助機能は「くずはの森養護ガイド」に示している。人材育成計画は中期計画の中で策定されている。
●職員一人ひとりの教育・研修計画は今後の課題となっている
 職員の階層別の研修体系や研修メニューの策定、個別研修の成果に対する評価のしくみが求められており、職員一人ひとりについてキャリア形成の道筋を示す等、個人別育成計画は今後の課題となっている。
●事業計画の中に人材育成計画を位置付けて策定することが望まれる
 事業計画には職員の研修計画や研修プログラムが、事業報告には研修実施後の成果と課題が示されていない。「くずはの森養護ガイド」では継続課題に研修体制の充実を挙げており、早急な体制の整備が求められる。
8 施設の運営
(1) 運営理念、基本方針の確立と周知  第三者
評価結果
法人や施設の運営理念を明文化し、法人と施設の使命や役割が反映されている。 b
法人や施設の運営理念に基づき、適切な内容の基本方針が明文化されている。 b
運営理念や基本方針を職員に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 b
運営理念や基本方針を子どもや保護者等に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 a
(2) 中・長期的なビジョンと計画の策定  
施設の運営理念や基本方針の実現に向けた施設の中・長期計画が策定されている。 b
各年度の事業計画は、中・長期計画の内容を反映して策定されている。 b
事業計画を、職員等の参画のもとで策定されるとともに、実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われている。 c
事業計画を職員に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 b
事業計画を子ども等に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○運営理念・方針についての理解を深める保護者支援が行われている
 「家庭通信」や広報誌「くずはだより」等を通じて理念・方針の現状での到達水準を含めた報告を行っている。さらに保護者会には約半数の保護者が参加し、職員と子どもたちとの共同作業等を通じて理解を深める場として40年以上にわたって継続している。
●事業計画等の策定過程に職員が参画するしくみが求められる
 施設の事業計画は毎年更新する「くずはの森養護ガイド」の中に記載されている。今年度はさらに「家庭的養護推進計画」(中期5ヶ年計画)を策定している。なお、計画策定過程に職員が参画するしくみが求められる。
●子どもや保護者に対して事業計画を周知する取り組みを期待する
 施設が目指していることは「くずはの森養護ガイド」や「家庭的養護推進計画」に示されている。子どもや保護者に対して、わかりやすく解説した資料等により、説明することが期待される。
(3) 施設長の責任とリーダーシップ   第三者
評価結果
施設長は、自らの役割と責任を職員に対して明らかにし、専門性に裏打ちされた信念と組織内での信頼をもとにリーダーシップを発揮している。 b
施設長自ら、遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行い、組織全体をリードしている。 b
施設長は、養育・支援の質の向上に意欲を持ち、組織としての取組に十分な指導力を発揮している。 b
施設長は、経営や業務の効率化と改善に向けた取組に十分な指導力を発揮している。 b
(4) 経営状況の把握  
施設運営をとりまく環境を的確に把握するための取組を行っている。 b
運営状況を分析して課題を発見するとともに、改善に向けた取組を行っている。 b
外部監査(外部の専門家による監査)を実施し、その結果に基づいた運営改善が実施されている。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○施設長は意思決定機関である運営会議等各種会議を通じて指導力を発揮している
 各職員の役割については「くずはの森養護ガイド」で明確にし、運営会議の決定事項は非常勤職員を含む全職員が参加する合同会議を通じて周知されている。支援関係については毎週「支援会議」を開催し、日々の動向に関しては朝晩2回報告会を行っている。
●施設運営環境の変化についてさらに周知することが望まれる
 施設を取り巻く環境を把握し、各種データを収集しているが職員の自己評価は必ずしも高くない。収集したデータについては職員を交えて分析し、改善の取り組みに結びつけるしくみづくりが課題となっている。
(5) 人事管理の体制整備    第三者
評価結果
施設が目標とする養育・支援の質を確保するため、必要な人材や人員体制に関する具体的なプランが確立しており、それに基づいた人事管理が実施されている。 b
客観的な基準に基づき、定期的な人事考課が行われている。 c
職員の就業状況や意向を定期的に把握し、必要があれば改善に取り組む仕組みが構築されている。 b
職員処遇の充実を図るため、福利厚生や健康を維持するための取組を積極的に行っている。 b
(6) 実習生の受入れ 
実習生の受入れと育成について、基本的な姿勢を明確にした体制を整備し、効果的なプログラムを用意する等積極的な取組をしている。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○職員との面談やアンケート調査を通じて、職員の意向把握以外の領域にも成果が出ている
 施設長と理事長は毎年、全ての職員と面接して就業状況や意向の把握を行っている。面接を通して各ユニットの担当者から「家会議」開催の提案があり実施されるなどの成果が出ている。さらに、職員アンケートを実施し、階層別のチームを組んで分析・検討し改善を進めている。
○福利厚生や健康維持への積極的な取り組みがなされている
 忘年会や職員旅行など職員対象の行事等を積極的に行っている。また、健康診断を実施するとともに、理事長や心理職が職員の相談に応じるしくみができている。
(7) 標準的な実施方法の確立   第三者
評価結果
養育・支援について標準的な実施方法を文書化し、職員が共通の認識を持って行っている。 b
標準的な実施方法について、定期的に検証し、必要な見直しを組織的に実施できるよう仕組みを定め、検証・見直しを行っている。 b
(8) 評価と改善の取組  
施設運営や養育・支援の内容について、自己評価、第三者評価等、定期的に評価を行う体制を整備し、機能させている。 b
評価の結果を分析し、施設として取り組むべき課題を明確にし、改善策や改善実施計画を立て実施している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
○養育・支援の標準的な実施方法については「養護ガイド」が全体像を示している
 子どもの生い立ちや育ちの中で獲得した価値観を大切にし、施設生活の中で大人と子どもが皆で価値感を育むことを「くずはの2本目の物差し」としており、日常生活の中で確認している。
●標準的な実施方法の検証や充実に職員が参画するしくみが求められる
 標準的な実施方法の検証について、検証の時期を明確にすること、例えば内部研修の際、関連規程やマニュアルを検証するなど、職員が参画するしくみを作ることが望まれる。
●自己評価などから得られるデータを運営改善につなげることが期待される
 施設では平成12年から継続して自己評価を行っている。また権利擁護のアンケートや独自の職員アンケートなども実施しているが、これらデータを職員全体で共有・検証して運営改善に活用することが今後の課題である。
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