社会的養護施設第三者評価結果 検索

みんせいかん

第三者評価結果詳細
1 養育・支援
(1)養育・支援の基本 第三者
評価結果
子どもの存在そのものを認め、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止め、子どもを理解している。 b
基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援している。 b
子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障している。 b
発達段階に応じた学びや遊びの場を保障している。 b
秩序ある生活を通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援している。 a
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・養育・支援について、関わる全ての職員で真摯に取り組む姿勢があります。経験の浅い職員には、上司や同僚が後方支援を行い、タイミングを逃さずに、その場での対応ができるように連携を図られています。
・実際に入所児童の生活の様子を観察したり、その声を聴く機会において、自分たちが守られていると言う安心感、安全な場所であると言う信頼感が言語化され、子どもらの基本的な要求や感情がとても素直に表出されています。
・特に、入所児童の半数が中学生以上(高校生11名含む)であり、卒園、社会への自立を控えた大切な時期にかかる子どもへの養育・支援の職員の有りようは、非常に親身であり、次の世代の子ども達へも道しるべとなるもので、注目に値するものです。

(改善が求められる点)
・職員の経験や持ち味だけに頼らず、全職員参加でのセカンドステップ、コモンセンスペアレンティングなどの専門的な対人援助技術の習得を目指して、積極的に取り組まれているので、心理専門職員によるスーパービジョンの有効活用が今後一層期待されます。
(2)食生活 第三者
評価結果
食事は、団らんの場でもあり、おいしく楽しみながら食事ができるよう工夫している。 b
子どもの嗜好や健康状態に配慮した食事を提供している。 b
子どもの発達段階に応じて食習慣を身につけることができるよう食育を推進している。 b
(3)衣生活
衣服は清潔で、体に合い、季節に合ったものを提供している。 a
子どもの衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援している。 b
(4)住生活
居室等施設全体がきれいに整美されている。 a
子ども一人一人の居場所が確保され、安全、安心を感じる場所となるようにしている。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・食事については、年齢に応じ栄養のバランスを考慮したものが提供されており、事前調査のアンケートでも好評でした。嗜好調査を受けて、子どもの好むパン食の提供もサンドイッチを作るなど、調理を工夫されています。
・高校生が多いため、昼食の弁当用の調理を早朝より準備され、支援員が見守る中を子ども達が自分で詰めて持っていく生活の自立に向けた訓練ができています。
・施設自体が移転新築後2年目であり、快適で整った環境です。清潔感があり、明るく、吹き抜けのある広々とした食堂は、開放感にあふれています。家具等も木製のものが中心で、温もりを感じさせます。
・施設内には、質の高い絵画や書などがあちこちに飾ってあり、屋外には、花壇、樹木もふんだんに配置されています。食堂のテーブル、洗面所には、小花が優しく飾られており、日常的に用意をしてくれる職員の心配りに、高学年女子からは、感謝の言葉が聞かれました。
・子ども個々人の持ち物、学校での絵画、工作品などは、それぞれの部屋に持ち込んで、本人の好きなように配置してあります。また、それぞれが好みのポスターを貼る、飾り付けをするなどして、子ども一人一人の好みの空間が作られています。
・衣生活については、清潔が保持されています。また、適切な支援が行われており、特に高学年になるにつれて、女子児童へは、個性を尊重しつつもTPOを配慮することなど個別に細やかに対応されています。
(改善が求められる点)
・食事について、職員から、栄養面での不安や献立面でのマンネリ化が課題とされました。また、食事マナーについての指導に注意が向き、食べる楽しみや調理への関わり(献立、買い物、調理など)が不足しているので、今後は栄養士などの専門職にも指導をもらい、検討したいとのことで、期待が持てます。
(5) 健康と安全 第三者
評価結果
発達段階に応じ、身体の健康(清潔、病気、事故等)について自己管理ができるよう支援している。 a
医療機関と連携して一人一人の子どもに対する心身の健康を管理するとともに、異常がある場合は適切に対応している。 b
(6) 性に関する教育
子どもの年齢・発達段階に応じて、異性を尊重し思いやりの心を育てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設けている。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・身体の健康管理、清潔や安全については、日々のバイタルサインの確認や観察、職員間の連携等があり、安心できる環境となっています。
・必要時(感染症等)は、別室対応を行い、職員が個々に付き添いをしています。また、医療機関との連携もあり、必要時の受診や相談、援助が適切に行われています。

(改善が求められる点)
・子どもの集団と関わる立場の職員にとっての健康教育、疾患等の知識を増やす研修会などの機会を設けられることを今後期待します。
・性に関する教育については、まずは職員の知識レベル、理解レベルの向上を専門職等からの研修会等で図り、全職員が一定の統一した知識や見解で、子どもに関わりを持てるように期待します。
特に高学年の子どもついては、個々にその都度、担当の職員が対応はされているようですが、高校通学時に化粧をしたいと希望する女子高校生への対応などは、性を考える絶好の機会になっていると思われます。今後は命の教育と言う観点からも日常的に支援していく課題として、早急に取り組まれることを期待しています。
(7) 自己領域の確保 第三者
評価結果
でき得る限り他児との共有の物をなくし、個人所有とするようにしている。 a
成長の記録(アルバム)が整理され、成長の過程を振り返ることができるようにしている。 b
(8)主体性、自律性を尊重した日常生活
日常生活のあり方について、子ども自身が自分たちの問題として主体的に考えるよう支援している a
主体的に余暇を過ごすことができるよう支援している。 b
子どもの発達段階に応じて、金銭の管理や使い方など経済観念が身につくよう支援している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・自己領域の確保については、自己所有の物品から金銭まで、細やかな対応をそれぞれの子どもごとにされています。身の回り品、日用品についても、子どもの希望を尊重しつつ、経済観念も持ち合わせるように考えられています。
・子どもの主体性、意見を尊重しようとする姿勢があります。児童会は、月に1回、確実に開催されるように支援されています。高学年の子どもがリーダーシップを発揮して、児童会の施設における役割、意味を理解しており、施設の生活に有効に活用されています。

(改善が求められる点)
・アルバム(写真)の整理等については、十分な時間がかけられていないようです。今後は、子どもの養育・支援の観点からも、アルバム整理をツールとして「生い立ちの整理」、「子どもの気持ちへの寄り添い」を考えていきたいとのことで、改善が期待できます。
・携帯電話の所有については、ipodで対応するなど苦慮されていますが、制限を感じ納得できていない子ども達との間で、今後も検討課題となると思われます。現代社会に暮らしていく子どもらの多様な趣味や興味に応じた支援を考慮しつつ、集団生活による時間的、物理的制約を個々の子ども達がそれぞれの力量で理解できるまで、繰り返して話をしていくことが望まれます。
(9) 学習・進学支援、進路支援等 第三者
評価結果
学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行っている。 b
「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援している。 b
職場実習や職場体験等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組んでいる。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・学習、進学、進路支援については、居室以外に学習室があり、個々の机やスペースが用意されており、ボランティアの支援もあります。学習の習慣を身につけるための環境が整えてあります。また、生活日課の中で、子ども達が自然と机に向かい学習に取り組む流れができています。
・進路については、実際に高校卒業、卒園の時期を複数名が迎えていますが、それぞれに就職や大学進学などが決まっており、その子ども達が全員、社会への旅立ちの不安と期待を職員と共有できており、各子どもへの個別的な丁寧な心配りがあります。

(改善が求められる点)
・アルバイトができるように支援がされていましたが、今後は、就労支援につながるような職種への配慮、計画的な金銭管理まで含めて、機会が与えられるようになることを期待します。
(10) 行動上の問題及び問題状況への対応 第三者
評価結果
子どもが暴力・不適応行動などの問題行動をとった場合に、行動上の問題及び問題状況に適切に対応している。 b
施設内で子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組んでいる。 a
虐待を受けた子ども等、保護者からの強引な引き取りの可能性がある場合、施設内で安全が確保されるよう努めている。 a
(11) 心理的ケア
心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行っている。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・心理的なケアが必要な子どもの特性を理解し、施設内の全職員が、どの子どもにも対応ができ、タイミングを逃さないようにしようと言う取り組みがされています。セカンドステップ、コモンセンスペアレンティングなどの体系化された対人援助の専門的技術の習得に向けて、研修会への参加や実践がされています。
・子どもを守るためのタイムアウトについて、専用の居室や時期の判断が慎重に行われています。

(改善が求められる点)
・基幹的職員や心理士などの配置の充実により、その職種の専門性を活かした取り組みで、問題行動等を抱える子供への支援の充実が期待されます。
(12) 養育の継続性とアフターケア 第三者
評価結果
措置変更又は受入れに当たり継続性に配慮した対応を行っている。 b
家庭引き取りに当たって、子どもが家庭で安定した生活が送ることができるよう家庭復帰後の支援を行っている。 b
できる限り公平な社会へのスタートが切れるように、措置継続や措置延長を積極的に利用して継続して支援している。 b
子どもが安定した社会生活を送ることができるよう退所後の支援に積極的に取り組んでいる。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価の高い点)
・措置終了までに、自立した生活が送れるように支援をしていくことについて、積極的に取り組まれています。
・措置変更は、家庭復帰や卒園による社会復帰が多く、個々の職員は、子どもからの連絡があるたびに、丁寧に対応をされています。

(改善が求められる点)
・組織的に、継続支援の役割を担う担当者、窓口の設置がいまだ検討中であり、課題とされるところです。今後は、卒園生、退所者を継続支援できる流れを早急に構築することが望まれます。措置延長のみならず、社会に出た卒園者等が必要と欲する時に、空間的にも精神的にも施設に帰属できる機会を設けていく工夫、検討を重ねていかれることに期待します。
2 家族への支援
(1) 家族とのつながり  第三者
評価結果
児童相談所や家族の住む市町村と連携し、子どもと家族との関係調整を図ったり、家族からの相談に応じる体制づくりを行っている。 a
子どもと家族の関係づくりのために、面会、外出、一時帰宅などを積極的に行っている。 a
(2) 家族に対する支援
親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組んでいる。 a
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・児童相談所と良く連携が取れています。緊急時や必要時には、電話での連絡を家族との間で適宜図れています。
・施設内に、充実した設備を完備した宿泊訓練室が用意されており、活用されています。
・月に1回定期的に、施設や学校の行事等を含む連絡報告、子ども達からそれぞれの親等への手紙を同封して、お便り発送をされており、相互のコミュニケーションの一助となっています。

(改善が求められる点)
・家庭支援専門員の配置があるため、今後は、よりいっそう業務の専門的支援を推進され、家庭訪問等を通しての保護者への養育支援の部分も発展させていかれることに期待をします。
3 自立支援計画、記録
(1) アセスメントの実施と自立支援計画の策定  第三者
評価結果
子どもの心身の状況や、生活状況を把握するため、手順を定めてアセスメントを行い、子どもの個々の課題を具体的に明示している。 b
アセスメントに基づいて子ども一人一人の自立支援計画を策定するための体制を確立し、実際に機能させている。 b
自立支援計画について、定期的に実施状況の振り返りや評価と計画の見直しを行う手順を施設として定め、実施している。 b
(2) 子どもの養育・支援に関する適切な記録 
子ども一人一人の養育・支援の実施状況を適切に記録している。 a
子どもや保護者等に関する記録の管理について、規程を定めるなど管理体制を確立し、適切に管理を行っている。 a
子どもや保護者等の状況等に関する情報を職員が共有するための具体的な取組を行っている。 a
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・自立支援計画が適切に作成されており、内容の充実に向けて、職員全体で取り組む姿勢があります。
・施設での日常生活の状況、学校等からの連絡や報告、養育支援の立場からの気づきなど、子どもの成長の記録としても重要な内容を形態を工夫しながら、職員間で情報の共有ができるようにしてあります。
・記録等の書類は、鍵のかかる書棚で適切に保管されていて、かつ、必要時には、関係する職員が慎重に取り扱う体制が周知徹底されています。

(改善が求められる点)
・自立支援計画は、作成時は職員全員が入り、更新時には担当者と上司で確認をする流れとなっています。アセスメントから始まる一連の事務作業と支援実施の流れについては、基幹的職員の配置がありますので、その専門性を活かして、全職員が全過程に関われるように、今後もよりいっそうの内容充実に取り組まれることを期待します。
4 権利擁護
(1) 子どもの尊重と最善の利益の考慮 第三者
評価結果
子どもを尊重した養育・支援についての基本姿勢を明示し、施設内で共通の理解を持つための取組を行っている。 b
社会的養護が子どもの最善の利益を目指して行われることを職員が共通して理解し、日々の養育・支援において実践している。 b
子どもの発達に応じて、子ども自身の出生や生い立ち、家族の状況について、子どもに適切に知らせている。 a
子どものプライバシー保護に関する規程・マニュアル等を整備し、職員に周知するための取組を行っている。 b
子どもや保護者の思想や信教の自由を保障している。 a
(2) 子どもの意向への配慮  
子どもの意向を把握する具体的な仕組みを整備し、その結果を踏まえて、養育・支援の内容の改善に向けた取組を行っている。 b
職員と子どもが共生の意識を持ち、子どもの意向を尊重しながら生活全般について共に考え、生活改善に向けて積極的に取り組む。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・理念および基本方針には、子どもを尊重した最善の利益を目指すことを明示しています。また、新人研修をはじめとして、勉強会や研修が行われています。
・子どもの出生や生い立ちについては、情報を整理し、子どもが希望すれば子どもの成長発達や家族の事情に応じて対応できるようになっています。
・職員は日々の養育支援に喜びや意欲をもって実践しています。また、子どもの意向に沿うことが、子どもの利益につながらないと思える時などは、職員全体で検討し対応を行っています。
・養育支援に対する子どもの意向の把握については、組織として定期的に調査や個別面談が行われ、担当者が分析・検討し、会議が行われるようになっています。
・施設のリビングに設置された意見箱のほか、施設長をはじめ職員へ、直接子どもがいつでも相談できる雰囲気もあり、要望や意見がきちんと把握されています。
・子どもたちの生活における意見等は、施設内の子どもたち全体の児童会で検討され、皆の意見として要望される仕組みとなっています。その際は、年齢の低い子ども等の意見も反映されるよう職員の支援がなされています。
・特に教育的関わりとして、児童会で要望や意見を求める子どもには、理由と対策をきちんと説明するよう支援されている点が評価できます。

(改善が求められる点)
・今後も、理念および基本方針が目指している子どもの最善の利益を、実践に活かせられるよう、勉強会等を通じて職員全体が共通理解していかれることを期待します。
・職員が日々の養育支援を振り返る機会やスーパービジョンの仕組みの構築が課題と思われます。
・プライバシー保護に関する規程やマニュアルは整備されていますが研修が実施されておらず、今後は支援・養育の実践面に活かせるよう職員全体に周知徹底されることを期待します。
(3) 入所時の説明等 第三者
評価結果
子どもや保護者等に対して、養育・支援の内容を正しく理解できるような工夫を行い、情報の提供を行っている。 b
入所時に、施設で定めた様式に基づき養育・支援の内容や施設での約束ごとについて子どもや保護者等にわかりやすく説明している。 b
子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、そこから分離されることに伴う不安を理解し受けとめ、不安の解消を図っている。 b
(4) 権利についての説明 
子どもに対し、権利について正しく理解できるよう、わかりやすく説明している。 b
(5) 子どもが意見や苦情を述べやすい環境 
子どもが相談したり意見を述べたりしたい時に相談方法や相談相手を選択できる環境を整備し、子どもに伝えるための取組を行っている。 b
苦情解決の仕組みを確立し、子どもや保護者等に周知する取組を行うとともに、苦情解決の仕組みを機能させている。 b
子ども等からの意見や苦情等に対する対応マニュアルを整備し、迅速に対応している。 a
(6) 被措置児童等虐待対応
いかなる場合においても体罰や子どもの人格を辱めるような行為を行わないよう徹底している。 a
子どもに対する暴力、言葉による脅かし等の不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 b
被措置児童等虐待の届出・通告に対する対応を整備し、迅速かつ誠実に対応している。 b
(7) 他者の尊重
様々な生活体験や多くの人たちとのふれあいを通して、他者への心づかいや他者の立場に配慮する心が育まれるよう支援している。 a
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・施設独自のホームページが開設され、施設のスケジュール等が紹介されています。さらに、入所時には規則や生活上の留意点など施設生活がわかる案内書を配布し、子どもや保護者等が説明を理解しているかを確認しながら行われています。
・子どもの分離体験に対する不安解消の対応として、入所前に靴箱に名前を書くなどの工夫を行い、子どもが歓迎され居場所があると感じられるような配慮がなされています。
・苦情解決の体制やマニュアルも整備され、定期的な見直しがされるようなしくみとなっています。
・就業規則には、体罰や不適切な関わりの禁止と厳正な処分内容が明記され、被措置児童虐待の対応マニュアルも整備されています。事前のアンケート結果をみても、不適切な関わりがないことがわかりました。
・セカンドステップやコモンセンスペアレンティングなどの取組を始めて2年となり、少しずつ日々の生活においてのトラブルを子どもたちで解決したり、お互いを助け合う雰囲気ができつつあります。

(改善が求められる点)
・入所時の説明が担当者によってばらつきが見られないように、手順書を作成することが望まれます。
・権利については、職員間をはじめ子どもたちにも権利ノートを配布し正しく理解されるよう努められていますが、幼い子どもへの対応の工夫が必要かと思われます。
・保護者等に対して意見や苦情に関する対応を説明する機会が設けられていないため、施設紹介のパンフレット等に文書の追加や、意見箱のスペースに提示するなどの工夫が必要かと思われます。
・体罰や不適切な関わりの禁止については、今後も、職員会議での周知や援助技術の向上に努めていかれることを望みます。また、組織としても職員がストレスを溜めないような取組を期待します。
5 事故防止と安全対策
第三者
評価結果
事故、感染症の発生時など緊急時の子どもの安全確保のために、組織として体制を整備し、機能させている。 a
災害時に対する子どもの安全確保のための取組を行っている。 a
子どもの安全を脅かす事例を組織として収集し、要因分析と対応策の検討を行い、子どもの安全確保のためにリスクを把握し対策を実施している。 a
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・子どもの事故防止と安全対策については、マニュアルもよく整備されています。特に感染症対策については、外部から人を招き子どもたちに学習をするなどの取り組みがされています。
・職員の緊急連絡網による通報訓練の実施や安全管理の学習会をするなどの取り組みがされています。
・事故防止を図るために、ヒヤリハット報告の提出を奨励し事故の未然防止の取り組みがされています。
・非常災害時の対応は非常災害マニュアルに沿って、施設環境や設備等の安全点検、避難訓練の定期的な実施、AEDの取り扱い、非常食、飲料水の確保もされています。
・津波や火災を想定した防災訓練を消防署、自治会、近隣の病院、施設などと連携して、定期的な総合防災の取り組みがされています。
・学校への登下校時の安全については、特に冬場暗くなっての下校については、職員の見守りなども行われています。

(改善が求められる点)
・ヒヤリハット報告からの事例や事故報告から考えられる防止策などを更に検証することが望まれます。
6 関係機関連携・地域支援
(1) 関係機関等の連携  第三者
評価結果
施設の役割や機能を達成するために必要となる社会資源を明確にし、児童相談所など関係機関・団体の機能や連絡方法を体系的に明示し、その情報を職員間で共有している。 b
児童相談所等の関係機関等との連携を適切に行い、定期的な連携の機会を確保し、具体的な取組や事例検討を行っている。 a
幼稚園、小・中学校、高等学校、特別支援学校など子どもが通う学校と連携を密にしている。 a
(2) 地域との交流  
子どもと地域との交流を大切にし、交流を広げるための地域への働きかけを行っている。 a
施設が有する機能を地域に開放・提供する取組を積極的に行っている。 b
ボランティア受入れに対する基本姿勢を明確にし、受入れについての体制を整備している。 a
(3) 地域支援 
地域の具体的な福祉ニーズを把握するための取組を積極的に行っている。 a
地域の福祉ニーズに基づき、施設の機能を活かして地域の子育てを支援する事業や活動を行っている。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・児童相談所には常に子どもの現状について報告し必要な相談に心がける取り組みがされています。また学校との連携もとられており共通の課題に向けた取り組みがされています。
・幼稚園、学校との関係においては、PTAの役員を引き受けるなどの積極的な取り組みがされています。
・地域の自治会や子ども会に加入して地域行事、清掃などにも積極的に参加するなど地域に溶け込もうとする取り組みがされています。
・施設の畑作りに地域の方がボランティアとして参加され、子どもたちと一緒に野菜つくりをするなどの交流が図られています。
・施設のクリスマス会に地域の人を招待するなど、児童養護施設への理解の促進、子どもへの理解が得られるように努めています。

(改善が求められる点)
・地域の福祉ニーズに基づいてショートステイ事業などにも取り組んでいますが、更に地域のニーズに応えるために、子育てに関する講演会や、子育て相談など、施設の持つ専門機能の提供が望まれます。
・法人全体の広報誌は定期的に発行されていますが、施設独自の広報誌を発行して地域に配布するなどして更に開かれた施設作りを期待します。
・施設の役割や機能については職員会で情報の共有化がはかられていますが、更に個々の子どもに対応するためには、関係機関、団体等の様々な社会資源の資料を必要に応じて職員が閲覧できるようにすることが望まれます。
7 職員の資質向上
第三者
評価結果
組織として職員の教育・研修に関する基本姿勢が明示されている。 b
職員一人一人について、基本姿勢に沿った教育・研修計画が策定され計画に基づいて具体的な取組が行われている。 b
定期的に個別の教育・研修計画の評価・見直しを行い、次の研修計画に反映させている。 b
スーパービジョンの体制を確立し、施設全体として職員一人一人の援助技術の向上を支援している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・職員が問題を抱え込まないように、施設長は常に相談しやすい雰囲気を作ると共に、日々の報告や記録を通して職員理解に努めています。
・施設長は必要に応じて職員との個別の懇談の時間を作り、課題や問題意識の共有に努めています。

(改善が求められる点)
・職員の教育、研修に関しては、中・長期ビジョン、基本方針等にも明示されていますがその位置づけが明確ではないので基本姿勢に沿った教育、研修計画の策定が望まれます。
・職員一人一人の技量を評価、分析したうえで研修計画を策定し専門性の高い職員育成がされることを期待します。
・セカンドステップ、コモンセンスペアレンティングなどの専門的研修に力を入れていく方向性が出されていますので、その成果を期待します。
8 施設の運営
(1) 運営理念、基本方針の確立と周知  第三者
評価結果
法人や施設の運営理念を明文化し、法人と施設の使命や役割が反映されている。 a
法人や施設の運営理念に基づき、適切な内容の基本方針が明文化されている。 a
運営理念や基本方針を職員に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 c
運営理念や基本方針を子どもや保護者等に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 c
(2) 中・長期的なビジョンと計画の策定  
施設の運営理念や基本方針の実現に向けた施設の中・長期計画が策定されている。 b
各年度の事業計画は、中・長期計画の内容を反映して策定されている。 c
事業計画を、職員等の参画のもとで策定されるとともに、実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われている。 c
事業計画を職員に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 b
事業計画を子ども等に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・施設の理念は「みん」なで「せい(生)」を受けた喜び「かん(感)」じ合える空間。基本方針として、子どもたちのせいめいと人権を守り最善の利益を目指す。であり法人の理念のもとに作成された事業計画に明文化されています。施設長は年度初めに職員会で職員に説明し周知を図るように努めています。
・中・長期計画書においては、施設の小規模化の流れなどをよく把握し、小規模化に向けての具体的な取り組み計画が図られています。

(改善が求められる点)
・保護者や子供たちに対して、事業計画を分かりやすく作成し、保護者、子どもたちに十分な理解が得られるような取り組みがされることが望まれます。
・事業計画はその進捗状況を把握するとともに、実施した事業が子どもたちにとって有効であったかなどの評価をしその結果から課題を出し、次年度に向けた計画が立案されるというPDCAの法則に沿った、継続性のある計画の策定が望まれます。
・事業計画の策定は、各部署の職員で十分に議論されたものを土台にし、全職員でさらに議論し、より良い計画が策定できることが望まれます。
・職員一人一人の技量を評価・分析したうえで研修計画を策定し専門性の高い職員育成がされることを期待します。
(3) 施設長の責任とリーダーシップ   第三者
評価結果
施設長は、自らの役割と責任を職員に対して明らかにし、専門性に裏打ちされた信念と組織内での信頼をもとにリーダーシップを発揮している。 b
施設長自ら、遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行い、組織全体をリードしている。 b
施設長は、養育・支援の質の向上に意欲を持ち、組織としての取組に十分な指導力を発揮している。 b
施設長は、経営や業務の効率化と改善に向けた取組に十分な指導力を発揮している。 a
(4) 経営状況の把握  
施設運営をとりまく環境を的確に把握するための取組を行っている。 b
運営状況を分析して課題を発見するとともに、改善に向けた取組を行っている。 c
外部監査(外部の専門家による監査)を実施し、その結果に基づいた運営改善が実施されている。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・施設長は、施設全体をリードする立場から対外的な協議会や会議に参加し、社会的養護に関する福祉ニーズの把握に努めるとともに、職員会議や日常業務の中で職員に対して必要な情報を伝えたり、業務に関しても積極的にアドバイスするなどリーダーシップを発揮しています。

(改善が求められる点)
・外部監査は行われていませんが、行政監査と異なった視点で運営の透明性の確保に有意義であり、業務改善、業務省力化に資するものだと考えられますので取り組みの検討が望まれます。
・経営上の把握、分析については、組織的な取り組みがまだできていない状況にありますので、改善すべき課題等について施設全体で取り組むことが望まれます。
(5) 人事管理の体制整備    第三者
評価結果
施設が目標とする養育・支援の質を確保するため、必要な人材や人員体制に関する具体的なプランが確立しており、それに基づいた人事管理が実施されている。 b
客観的な基準に基づき、定期的な人事考課が行われている。 b
職員の就業状況や意向を定期的に把握し、必要があれば改善に取り組む仕組みが構築されている。 b
職員処遇の充実を図るため、福利厚生や健康を維持するための取組を積極的に行っている。 a
(6) 実習生の受入れ 
実習生の受入れと育成について、基本的な姿勢を明確にした体制を整備し、効果的なプログラムを用意する等積極的な取組をしている。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・施設では、家庭支援専門相談員や臨床心理士などを配置して施設が目標とする養育、支援に努めています。また職員体制においても、経験年数、年齢構成などに配慮したバランスのとれた配置がされています。
・人事考課については、法人が各施設の職員へ直接自己評価を実施し、必要に応じて面接を行い職員へフィードバックされています。自己評価の内容は、業務に関することばかりでなくメンタルヘルスに関する項目も多く、法人組織全体で職員の心身状況の把握に努めています。
・施設長は定期的に職員との個人面談を行い、職員の意向把握に努めるとともに、職員が問題を抱え込まないようにアンケート調査をするなど職員の心身の健康管理に努めています。

(改善が求められる点)
・実習生の受け入れに関しては、マニュアルが整備され、実習担当者も決められ、プログラムなども完備されていますが、施設全体で実習生をサポートする体制や実習指導者研修への参加が望まれます。
・事業計画、中・長期ビジョンには、チームケアや専門的な援助技術の向上などがうたわれておりますが、施設ビジョンに基づく中・長期的展望に人材育成計画などをより明確に示されることが望まれます。
(7) 標準的な実施方法の確立   第三者
評価結果
養育・支援について標準的な実施方法を文書化し、職員が共通の認識を持って行っている。 a
標準的な実施方法について、定期的に検証し、必要な見直しを施設全体で実施できるよう仕組みを定め、検証・見直しを行っている。 a
(8) 評価と改善の取組  
施設運営や養育・支援の内容について、自己評価、第三者評価等、定期的に評価を行う体制を整備し、機能させている。 b
評価の結果を分析し、施設として取り組むべき課題を明確にし、改善策や改善実施計画を立て実施している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
(特に評価が高い点)
・施設では養育、支援の標準的な実施方法については、マニュアルが整備され子どもの状況に応じ柔軟な取り組みが行われています。
・マニュアルの見直しについては、子どもや職員からの意見を聴く仕組みもあり、年1回は意見を基に必要な見直しがされています。

(改善が求められる点)
・養育、支援の標準的な実施方法について、事業計画書の中に具体的な文書化がされていませんので養育支援の質の向上、養育水準を保つために「教えるべきこと」「守るべきこと」について文書化しておくことが望まれます。
・第三者評価については、全職員で取り組む体制が整備されています。今回自己評価で明らかになった課題について全職員参画のもと事業改善が行われることが望まれます。
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