社会的養護施設第三者評価結果 検索

じゅうじの家

第三者評価結果詳細
共通評価基準(45項目)Ⅰ 養育・支援の基本方針と組織 
1 理念・基本方針
(1)理念、基本方針が確立・周知されている。 第三者
評価結果
1 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。 a
【コメント】
理念においては毎回(週1回)会議前に唱和を行い、職員には携帯用に理念や行動規範がカードサイズに記されたものが配布されており、常に目にできるようにされています。また石井記念友愛社の精神にのっとって支援できるように、新人教育には法人全体で取り組まれています。
2 経営状況の把握
(1) 経営環境の変化等に適切に対応している。 第三者
評価結果
2 施設経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。 a
【コメント】
園長が理事長を兼ねており、法人としての方向性や地域に根差した取り組みをとられています。毎朝5紙の新聞を読み、重要な情報や社会の動向などは切り抜いて職員会議にて報告する等、常に社会の動向と法人の理念との方向性にしっかりと焦点を当てて取り組まれています。
3 経営課題を明確にし、具体的な取組を進めている。 a
【コメント】
経営課題については利用状況や支援体制など収支状況なども踏まえながら管理されています。また改善すべき課題等に於いても職員会議等にて周知が図られています。毎月のお便りにも職員募集の案内を同封したり、ホームページのトップページに載せるなどの具体的な取り組みがなされています。
3 事業計画の策定
(1) 中・長期的なビジョンと計画が明確にされている。 第三者
評価結果
4 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。 a
【コメント】
中・長期計画もニーズや社会の変動に応じようとする計画となっており、中・長期計画が一目でわかるように明示されている点はとても良いと思います。平成29年8月に出された厚生労働省の今後の施策において変更も余儀なくされる事にはなるのでしょうが、法人の理念をふまえた計画見直しに期待します。
5 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。 a
【コメント】
法人の事業計画をもとに、計画策定が行われています。様々な年間行事の中、種まきから収穫、田植えから稲刈りなど一連の流れや体と心に重きを置いた行事等、子どもの成長において必要な体験となっています。事業計画において、ニーズ優先のために収支のバランスに偏りも見受けられますが、法人内で議論を尽くし、改善を図っていただければと思います。
(2) 事業計画が適切に策定されている。
6 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。 a
【コメント】
事業計画は業務係が素案を出して、職員会議等で検討されて、話し合いの場が設けられて決定しており、職員に周知及び理解がされています。
7 事業計画は、子どもや保護者等に周知され、理解を促している。 b
【コメント】
様々な保護者の方々への周知に関して、毎月通信を送付したり、保護者との繋がりをより保つために子ども直筆の通信を作成する等工夫されています。行事計画もその行事の「ねらい」が打ちだしてあり、行事への意味付けがとても有効であると思われます。様々な環境の保護者に対しても伝わるように各担当の方々が話されたり根気強く、行事への参加を促すなどの取り組みもされています。保護者に伝わる更なる取り組みを期待します。
4 養育・支援の質の向上への組織的・計画的な取組
(1) 質の向上に向けた取組が組織的・計画的に行われている。 第三者
評価結果
8 養育・支援の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。 a
【コメント】
養育・支援の内容においては必ず園長が目を通しコメントを残されています。じゅうじの家では職員体制は3名ですが、リーダーがいて、そのリーダーも本園の主任に相談できるようになっており、質の向上に関する取り組みが組織的に行われています。評価においては園長が中心となり行われています。
9 評価結果にもとづき施設として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。 a
【コメント】
前回の調査において見受けられなかった中・長期計画(図式)や行事におけるねらいなど文書化されており、改善している点が見受けられました。
Ⅱ 施設の運営管理
1 施設長の責任とリーダーシップ
(1) 施設長の責任が明確にされている。 第三者
評価結果
10 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。 a
【コメント】
ゆうあい通信を通して毎月A4サイズ4ページに渡り、園長がその時々に思う事や社会の変動・施策に思うことなどを記し、保護者や職員に明確にされています。また職員会議等において職員への周知は図られております。
11 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。 a
【コメント】
友愛社は全国でも知られており、後援会の方々へも法人の理解と周知ができるよう、海外講師の講演をお願いしてきていただいたりしながら、施設養護への取り組みを少しでも多くの方々に知ってもらう努力をされています。人との繋がりを大事にしながら、遵守すべき法令等を正しく理解し、今の法人をより良いものにしようと強い気持ちをもって進んでいることが見て取れます。
(2) 施設長のリーダーシップが発揮されている。
12 養育・支援の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。 a
【コメント】
ケース記録や日誌等にも目を通し、必ず直筆においてコメントを残しています。そのコメントは具体的な指示だったり、感想だったりですが、一人ひとりの把握と共に職員との意見の交換にも役立っており、評価指導を行っています。
13 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。 a
【コメント】
各職員を役割分担で分けて、各委員会を設置。その各委員会においても園長が参画し意見を出したりながら、改善を図っています。その中でも理念に基づきながらも国の動向をみつつ、守るもの・変えるものへの体制を構築しようとしています。
2 福祉人材の確保・育成
(1) 福祉人材の確保・育成計画、人事管理の体制が整備されている。 第三者
評価結果
14 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。 a
【コメント】
小規模施設でありながらも常勤および専従での職員配置。住み込みの為、深夜でも職員が2名体制とられています。また本園で経験を積み上げた職員が処遇職員として配置されており、この施設の位置づけが地域における施設の有りようを示しているようです。
15 総合的な人事管理が行われている。 c
【コメント】
期待する職員像は法人の理念や基本方針に示されており、寝食を共にする施設であり、特に小規模施設なので経験値に基づく支援が行われています。法人全体で5つの児童養護施設を運営されており、法人への期待度も年々上がっていくなかで、スキルと経験を併せ持つ職員への処遇や職員が自ら描くことができる仕組みづくり等の改善を期待します。
(2) 職員の就業状況に配慮がなされている。
16 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。 b
【コメント】
住み込みの為、プライベートな時間の確保が難しいが、職員同士で雑談の中で悩みを話すことで心的ストレスの解消になっているようです。前回調査の時には専従が2名でしたが、3名に増えて職場環境の改善も見られます。これからも働きやすい職場づくりへの取り組みを期待します。
(3) 職員の質の向上に向けた体制が確立されている。
17 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。 c
【コメント】
年1回は個人面談を実施しており、コミュニケーションをとられていますが、職員一人ひとりの目標管理の仕組みが取り組まれていません。今後は職員自らが設定した目標に向かって質の向上が図れるよう改善を願います。
18 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。 c
【コメント】
法人において必要とされる心理士や家庭支援専門員の配置がされており、必要に応じて施設の子どもへの支援がなされています。年度当初に研修委員会において研修予定が組まれていますが、今後は現在実施している養育・支援の内容や目標を踏まえて、研修内容やカリキュラムの評価と見直しに取り組まれることを望みます。
19 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。 b
【コメント】
研修委員会がその職員の経験年数等を基に研修参加しています。また年度初めには新人職員に対しての法人での研修が組まれており、1年間を通して法人の職員としての心構え等を育まれています。今後は外部での研修など希望したり興味あるある研修への参加への奨励および実施が期待されます。
(4) 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成が適切に行われている。
20 実習生等の養育・支援に関わる専門職の教育・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。 c
【コメント】
法人では年間10名程の実習生を引き受けていますが、じゅうじの家においては日中子ども達不在(学校等)の為、実習受け入れはないようです。ですが、短時間ないし1日でも組み入れて小規模施設ならではの様子も見てもらうよう改善を願います。
3 運営の透明性の確保
(1) 運営の透明性を確保するための取組が行われている。 第三者
評価結果
21 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。 b
【コメント】
ホームページの開設により、法人全体が見られるように改善されています。苦情・相談においては事業報告の中に挙げてあり、子ども達からの意見箱だけに頼らず交換日誌や個別面談等において意見を吸い上げるよう努力がなされています。更なる運営の透明性を確保するために苦情・相談への改善・対応の状況についても公表されることを期待します。
22 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。 b
【コメント】
内部監査を実施されていますが、公正かつ透明性の高い経営・運営のための取り組みとしては不十分と思われます。外部監査等専門家によるチェックを今後実施されることを今後、期待します。
4 地域との交流、地域貢献
(1) 地域との関係が適切に確保されている。 第三者
評価結果
23 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。 a
【コメント】
地域の子ども会にも参加する等地域の中でのつながりを大事にしています。施設への子どもの訪問なども積極的に受け入れており、中・高生の部活に関しても保護者会にできる限り参加して、連携を図っています。
24 ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。 a
【コメント】
ボランティアの種類にもよるが、じゅうじの家では散髪ボランティアを活用し、子どもの方から「髪を切りたい」との申し出により来ていただき実施しています。
(2) 関係機関との連携が確保されている。
25 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。 b
【コメント】
大学進学した学生等に対しては月1回アパートを訪問し、学生として、一般社会の中の一人としての生活が送れているかを確認するなどのアフターケアを実施しています。またアフターケア委員会を設け、責任者が元担当職員に指示し、退所後の子どもの様子を把握しています。ネットワークづくりの為に、今後は自立援助ホーム等の設置なども視野に入れられているようですので、これからのネットワーク化に期待します。
(3) 地域の福祉向上のための取組を行っている。
26 施設が有する機能を地域に還元している。 b
【コメント】
保育園に通う子供たちのトワイライトステイやショートステイとしても活用されていたり、地域の子ども会においては重要な人手不足解消となりつつあるものの、参加できる場とそうでない場があり、地域福祉機能ガゆえのジレンマも抱えています。また、後援会会員等に向け海外から講師を呼び、全国から講演会に参加されるなど全国規模での法人としての取り組みがなされている点はとても素晴らしいです。災害時の地域における役割等についても把握、確認していただきたいと思います。
27 地域の福祉ニーズにもとづく公益的な事業・活動が行われている。 b
【コメント】
福祉ニーズにはとても柔軟にそして確実に実行されている点は評価します。今後は自立援助ホーム設置のための活動や大学進学に伴う子ども達の意識の向上そして、多岐にわたる事業においての連携などを強めていけるよう相談員の設置などを期待します。
Ⅲ 適切な養育・支援の実施
1 子ども本位の養育・支援
(1) 子どもを尊重する姿勢が明示されている。 第三者
評価結果
28 子どもを尊重した養育・支援の実施について共通の理解をもつための取組を行っている。 a
【コメント】
施設としての基本姿勢は、職員が常に手元に置いている「年間処遇計画書」にも明記されており、毎日の職員間の申し送り時や処遇検討の際に活用されています。勉強会、研修会への参加は施設内だけではなく法人との密な連携が図られています。また、定期的かつ適宜、園長への報告を行い、評価を受けるため、迅速な対応が図られています。
29 子どものプライバシー保護等の権利擁護に配慮した養育・支援の実施が行われている。 a
【コメント】
規定・マニュアルとして単体のものは整備せず、養育、処遇の基本となる「じゅうじの家生活手帳」、「職務規定」、「処遇計画書」等へそれぞれに明記され、職員への周知徹底、理解を図られています。施設の特性上(家庭的な空間)の限界(和室で引き戸内鍵なし、2人部屋、トイレ、風呂各1ヶ所の共用)がありますが、居室への立ち入りは子どもの許可をもらう、手紙の開封には立ち会わず、相談時のみ対応をすることが徹底されています。子どもが一人になれる場所作りのために、ベランダや職員用当直室の利用などで対応されていますが、安全性の問題もあり、設備自体の改善も検討されています。
(2) 養育・支援の実施に関する説明と同意(自己決定)が適切に行われている。
30 子どもや保護者等に対して養育・支援の利用に必要な情報を積極的に提供している。 a
【コメント】
ホームページにより、法人全体の情報を得ることができます。施設は、高齢者デイサービス、保育園との複合施設と言う開かれた公共性の高い施設運営であるため積極的な情報提供をせずとも社会的な認知度が高いようです。A4サイズのカラー版のチラシがあり、写真も多用されており、暖かな雰囲気をかもしだし、好感が持てます。
31 養育・支援の開始・過程において子どもや保護者等にわかりやすく説明している。 a
【コメント】
担当職員制を取り、常に子どもや保護者等の意見や意向の確認と援助内容のすり合わせをされています。「生活手帳」、「交換日記」、「友愛通信」、「帰省時生活日記」などの書面等が整備されています。特に、「処遇記録」等の経過によると職員が子どもの支援に際して、子どもを尊重して保護者へ関与される様子が伺え評価できます。
32 措置変更や地域・家庭への移行等にあたり養育・支援の継続性に配慮した対応を行っている。 b
【コメント】
都度、児童相談所、保護者との協議を行い、担当職員との継続的な支援が配慮されています。アフターケア(卒園者支援)委員会が法人との間で組織されており、卒園者との定期的な面談(訪問、来所)もされています。今後は、文書の作成、記録の工夫が期待されます。
(3) 子どもの満足の向上に努めている。 第三者
評価結果
33 子どもの満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。 a
【コメント】
子どもへのアンケート(園生活及びいじめに関する)を4ヶ月に1回実施されています。内容は、子どもから職員、職員から園長へと報告され、必要時は園長や適切と考えられる専門職(心理士等)が即時対応をされています。
(4) 子どもが意見等を述べやすい体制が確保されている。
34 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。 b
【コメント】
「年間処遇計画書」、「職務規定」、「生活手帳」等、職員が関わる書類、文書等には、苦情処理対応マニュアル、フロー図が掲載されています。苦情処理の記録は法人で管理され、友愛通信等での公表もされています。施設の特性上(家庭的環境)、苦情対応や重要事項等の掲載物が雰囲気をこわす恐れもありますが、デザインの工夫をされて、子どもや保護者が理解しやすい、利用しやすい掲示を検討されることを期待します。
35 子どもが相談や意見を述べやすい環境を整備し、子ども等に周知している。 a
【コメント】
担当職員制ではありますが、小規模施設なので、すべての職員がすべての子どもの養育・支援についての情報を把握をしており、子どもは誰にでも相談ができる環境が作られていることは評価できます。また、施設の特性上(家庭的環境)掲示等はせずとも子どもや保護者には理解が得られているようです。「交換日記」が活用されています。
36 子どもからの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。 a
【コメント】
日課においても「生活手帳」、「交換日記」、「子ども友愛通信」、「じゅうじっ子」を通して、子どもの相談や意見を傾聴する機会を作り、対応については、即時に職員間、法人の専門職、園長へ連携を図る体制が整えられていることは評価できます。
(5) 安心・安全な養育・支援の実施のための組織的な取組が行われている。 第三者
評価結果
37 安心・安全な養育・支援の実施を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。 a
【コメント】
じゅうじの家の職員数だけでは、十分な体制が図れないため、法人との連携を図り対策を検討をされています。ヒヤリハット等の報告、記録、分析と対策についても、法人の組織と共同で対応をされています。
38 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。 a
【コメント】
保健衛生委員会を法人と合同で組織して環境整備や管理体制の充実を図られています。昨年より、本園に看護師が常勤となったので、当該施設にも定期的な巡回をしてもらい、指導を受けることができるようになったことは、職員にも心強く、取り組みが一層充実しており評価できます。
39 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。 b
【コメント】
子どもと職員だけでの避難訓練は毎月実施されていますが、地域の実情に応じた災害時対策が不十分なようです。また、災害時には、とにかく法人まで避難することだけが想定されているので、じゅうじの家独自で対応できる災害時マニュアルの作成が望まれます。また、被災時の保護者との連絡等、具体的なマニュアルも検討を急がれます。
2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の標準的な実施方法が確立している。 第三者
評価結果
40 養育・支援について標準的な実施方法が文書化され養育・支援が実施されている。 a
【コメント】
「生活手帳」、「年間処遇計画書」により、養育・支援の標準的な実施方法を職員はいつでも閲覧することができ、日常的に活用できています。職員は日々の業務の振り返り、課題発生時に、これらのツールに記録を残し、都度、園長等指導者からのスーパーバイズを受ける体制が作られています。
41 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。 a
【コメント】
「年間処遇計画書」には、月次計画があり、養育・支援の流れとして、日報への個別児童の特記、週に1回の施設内職員運営会議、月に1回の法人全体の職員会議時に、都度、担当職員が課題の提示、検討、園長からの評価を受けて、実践を見直すと言うPDCAサイクルが組織的に運用されています。PDCAサイクルが継続的に運用されていることが質の担保となっていることは評価されます。
(2) 適切なアセスメントにより自立支援計画が策定されている。
42 アセスメントにもとづく個別的な自立支援計画を適切に策定している。 a
【コメント】
担当職員の自立支援計画策定においては、職員間で共有できるアセスメント書式を活用されています。職員のキャリアによる支援のバラツキが出ないように、計画策定については、常に、職員間、専門職、園長との協議や検討が行われています。また、児童相談所への支援計画の提出も定期的に行われ、法令が遵守されています。
43 定期的に自立支援計画の評価・見直しを行っている。 a
【コメント】
定期的(4ヶ月に1回)、かつ、必要時には都度、園長からの評価、担当者との検討による計画の見直しが実施されており、記録等の書面も整備されています。計画の目標に沿った支援が実施できているかどうか、課題への対応はどうかなど、タイムリーに細やかな指導がされており、書面にも残されていることは評価できます。
(3) 養育・支援の実施の記録が適切に行われている。
44 子どもに関する養育・支援の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化さている。 b
【コメント】
日々の記録は、子どもからの「日報」としても整備されており、それと連動する形で職員の「日報(記録)」、「特記すべき個々の児童の記録」が作られており、職員間で共有ができています。小規模施設で職員が住み込みでの業務であるため、場面的に常に共有する情報も多くあるようですが、常に文書化し記録することで、情報の明確化ができ、適切な取り組みができていることは評価できます。今後は、パソコンのネットワークシステムの導入による情報共有も期待されます。
45 子どもに関する記録の管理体制が確立している。 b
【コメント】
子どもの記録等については、鍵のかかる棚への保管、できるだけ施設内に置かずに、法人での保管を行うなどの工夫をされています。「職務規定」、「生活手帳」等で、個人情報保護、情報開示についてふれているようですが、定期的に職員の法的な順守の確認や理解を促す体制をとることが望まれます。

内容評価基準(41項目)A-1 子ども本位の養育・支援
(1) 子どもの尊重と最善の利益の考慮 第三者
評価結果
A1 社会的養護が子どもの最善の利益を目指して行われることを職員が共通して理解し、日々の養育・支援において実践している。 a
【コメント】
3人の職員が住み込みで日々の養育・支援にあたっておられ、毎日の終礼、早出、遅出の引継ぎ時、当直入りなどの際には、常に職員間での支援の検討がなされています。また、課題発生時には、勤務時間内外に関わらず、職員全員で法人に出向き、園長と相談検討を行う姿勢が、子どもの最善の利益を目指していると評価できます。
A2 子どもの発達段階に応じて、子ども自身の出生や生い立ち、家族の状況について、子どもに適切に知らせている。 a
【コメント】
子どもに伝える内容については、職員間でも良く検討をされ、関係機関との連携を図りながら伝えるようにされています。また、話をする際にも個々のケースに応じて対応をされており、園長から直接個別的に話す場合もあるなど、伝え方も熟慮されています。
(2) 権利についての説明
A3 子どもに対し、権利について正しく理解できるよう、わかりやすく説明している。 b
【コメント】
日常生活の関わりの中で、権利を理解できるようにされていたり、ケアの視点として、子どもの権利を尊重していることは、職員からの聴取で評価できます。今後は、小学生にもわかりやすい文書、権利ノートなどを用意されるなど、資料等の工夫をされて、職員も一緒に権利を考えていく、言語化できる機会を作っていかれることを期待します。
(3) 他者の尊重
A4 様々な生活体験や多くの人たちとのふれあいを通して、他者への心づかいや他者の立場に配慮する心が育まれるよう支援している。 a
【コメント】
高齢者デイサービスや保育園との複合施設であるため、様々な年齢の方々や立場の方との交流を多く持てる恵まれた環境にあります。また、小規模施設で、職員も寝食を共にする体制であるため、子ども間で生じたトラブルについて解決していく支援を身近なところで丁寧に行っておられるところも高く評価できます。
(4) 被措置児童等虐待対応
A5 いかなる場合においても体罰や子どもの人格を辱めるような行為を行わないよう徹底している。 a
【コメント】
体罰については、「就業規則」にも禁止事項としてあげてあり、懲戒解雇の対象にされています。また、「年間処遇計画書」等にもフロー図で対応が示されています。この2,3年間で体罰等が行われたと言う報告はありません。
A6 子どもに対する不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 a
【コメント】
「就業規則」に規定が作られており、問題発生時は、即時に園長への通報、対応が図られる体制が整えてあります。
A7 被措置児童等虐待の届出・通告に対する対応を整備し、迅速かつ誠実に対応している。 b
【コメント】
届け出・通告の制度に対する対応整備は、法人に準ずる形でなされています。職員は理解をされて、子どもへの説明等について、「生活手帳」の他にも詳細で分かりやすく、年齢に応じたものを考えておられますが、子どもらが入所前に自らの家庭において虐待を受けていた場合も多く、繊細な配慮や工夫が必要だと苦慮されていますので、今後の対応に期待します。
(5) 思想や信教の自由の保障
A8 子どもや保護者等の思想や信教の自由を保障している。 a
【コメント】
信教、思想に関して、日常生活を含め行事等においても、一切の強制、強要をしていません。子どもや保護者等の信教の自由を保障しています。
(6) こどもの意向や主体性への配慮
A9 子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、そこから分離されることに伴う不安を理解し受けとめ、不安の解消を図っている。 a
【コメント】
児童相談所からの情報や入所前の保護者との面談など通して、子どもの不安を理解して受けとめるようにされています。姉妹等が同室で過ごせる配慮や他の施設と別れて暮らす場合には、施設間で連携を図り密に交流を行えることにも配慮をされています。
A10 職員と子どもが共生の意識を持ち、子どもの意向を尊重しながら生活全般について共に考え、生活改善に向けて積極的に取り組んでいる。 a
【コメント】
「交換日記」を交わし日々の振り返りを行い、生活全般についての課題を共に考えていく姿勢が伺われます。発達障害のある子どもの支援は、専門的な知識の習得や専門家からの指導を受けることで、他の子どもを巻き込まずに日常生活を組み立てる取り組みへの解決につながると模索されています。
(7) 主体性、自律性を尊重した日常生活
A11 日々の暮らしや、余暇の過ごし方など健全な生活のあり方について、子ども自身が主体的に考え生活できるよう支援している。 a
【コメント】
中学生が半数(3名)を占める施設でもあり、学校の部活動等に積極的に取り組む生活スタイルになっています。自発的に、かつ自由に余暇を過ごすことが支援されており、法人の行事(レクレーションや作業体験等)もあるなど、活動的な生活になっているようです。インターネットの使用は、高校生の進路検討時、中高生の学習課題必要時に職員が付き添う形に限られており、携帯電話の所持も禁止されているので、今後は施設退所後の子どもの社会適応を考えたIT情報取り扱いへの支援も必要となってくると思われます。
A12 子どもの発達段階に応じて、金銭の管理や使い方など経済観念が身につくよう支援している。 b
【コメント】
現金は自己管理していませんが、出納帳を記録し職員から適切な指導を受けつつ小遣いを使っています。高校卒業を控えた子どもには、実践的な金銭の自己管理やアルバイトの賃金管理により、経済観念の確立を目指すなど、職員の目の届くところでの自立生活体験が期待されます。
(8) 継続性とアフターケア
A13 家庭復帰にあたって、子どもが家庭で安定した生活が送ることができるよう復帰後の支援を行っている。 a
【コメント】
多くが高校卒業による進学か、就職による一人暮らし、寮生活への移行なので、退所後も定期的な訪問面談、必要時の電話相談を継続されています。
A14 できる限り公平な社会へのスタートが切れるように、措置継続や措置延長を積極的に利用して継続して支援している。 a
【コメント】
本園との連携も図り対応をされています。
A15 子どもが安定した社会生活を送ることができるようリービングケアと退所後の支援に積極的に取り組んでいる。 a
【コメント】
高校卒業による進学や就職による退所が中心であるため、都度、住居探しや入寮手続きなど保護者と一緒に支援をしておられます。子どもらの家庭が対応できない場合には、卒業前から綿密に計画を立て、園長もとより法人の職員が協力をし生活の支援をされます。また、アフターケア委員会を設置し、訪問面談、子どもらのOB会支援なども手がけておられ、積極的な取り組みとその実績が子どもらの安心感と社会生活への希望となっていることと高く評価できます。
A-2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の基本 第三者
評価結果
A16 子どもを理解し、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止めている。 a
【コメント】
思春期の女子の感情の起伏を受け止めながら、交換日記などを通して子どもに寄り添う姿勢がみられます。子どもとの面談でも子ども自身から安心できる場所であるということを話してくれました。
A17 基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援している。 a
【コメント】
職員が住み込みという家庭的な雰囲気の中で子どもが安心して生活できる環境が整えられており、個別的に関わる柔軟さは小規模施設の利点であり子どもたちの精神的安定に大きく寄与しています。
A18 子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障している。 a
【コメント】
職員は住み込みの為,朝夕子どもの居る時間帯には側にいて、優しく見守る姿勢が伺われます。実際の観察でも指示したりすることはなく、子どもの話に耳を傾け共に笑いあう姿が見られました。
A19 発達段階に応じた学びや遊びの場を保障している。 a
【コメント】
年齢に応じた書籍などが揃えられています。こどもたちの要望で購入も可能になっています。地域の行事などにも積極的に参加しています。隣にある同法人のディサービスや保育園の手伝いなどにも参加するなど地域の中に溶け込んでいます。
A20 秩序ある生活を通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援している。 a
【コメント】
リビングには炬燵もおいてあり一般の家庭と変わらない雰囲気作りの工夫がみられます。必要以上の掲示物もなく、必要に応じてそれぞれの子どもに伝えられています。地域の行事に参加することで社会的ルールを学ぶ機会が作られています。
(2) 食生活
A21 食事は、団らんの場でもあり、おいしく楽しみながら食事ができるよう工夫している。 a
【コメント】
職員と子どもが一緒に食卓を囲み、学校での出来事を話すなど終始和やかな雰囲気が見られています。箸置き、箸、湯呑みは自分の好みの物を使うなどの配慮も見られています。暖かいものは暖かく、遅く帰ってくる子どもへの配慮もされています。
A22 子どもの嗜好や健康状態に配慮した食事を提供している。 a
【コメント】
献立は基本的には法人の栄養士が立てた献立表になっているので栄養価の高い食事の提供がなされています。人数が少ないので味付けも良くとても美味しいと子どもの感想が聞かれました。また嫌いな食材も食べるよう努力していると言うことで、残食は見られませんでした。
A23 子どもの発達段階に応じて食習慣を身につけることができるよう食育を推進している。 a
【コメント】
子どもと一緒に近くのスーパーに食材購入の機会が作られています。おやつ作りの機会もあり子どもたちは喜んで参加しています。調理の手伝いやお弁当作りなど自立のための支援が自然な形で行われています。また食事マナーとしてナイフ・フォークなどを使った食事をする機会なども作られています。
(3) 衣生活
A24 衣類が十分に確保され、子どもが衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援している。 a
【コメント】
衣類に関しては季節ごとにそれぞれの子どもの好みの物をお店で選んで買える配慮がされています。靴も一人2足は準備されており、清潔感のあるものが常時提供されています。
(4) 住生活
A25 居室等施設全体がきれいに整美されている。 a
【コメント】
日常の清掃は職員が行うが学校が休みのときには、職員と一緒に清掃を行い、清潔な住環境を保つ大切さをさりげなく教えられています。リビングの壁には絵画を飾るなど暖かい生活環境作りや生活しやすい住環境となっています。
A26 子ども一人ひとりの居場所が確保され、安全、安心を感じる場所となるようにしている。 a
【コメント】
中学生高校生共に個室ではありませんが、机や箪笥などで間仕切りがされており、個人の空間は確保されています。それぞれが写真を飾ったり、好きなタレントや歌手のポスターを壁に貼ったりなど、個性のある空間が確保されています。
(5) 健康と安全
A27 発達段階に応じ、身体の健康(清潔、病気、事故等)について自己管理ができるよう支援している。 a
【コメント】
定期的な健康診断の実施がされています。医療機関も近くにあり体調管理には気を配られています。理美容については個人の好みで髪を伸している子どもやショートの子などそれぞれの好みを優先しています。定期的に美容師さんが来られてカットなどしてもらいみだしなみに気が配られています。
A28 医療機関と連携して一人ひとりの子どもに対する心身の健康を管理するとともに、必要がある場合は適切に対応している。 a
【コメント】
子どもの心身の変化の把握に関しては、住み込みという利点を生かして常に寄り添い見守る体制が取られています。発達障害の子どもに関しては定期的な精神科への通院、心理療法を受けるなど各機関との協力、連携を図りながら日常の支援が行われています。
(6) 性に関する教育
A29 子どもの年齢・発達段階に応じて、他者の性を尊重する心を育てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設けている。 b
【コメント】
性教育カリキュラムについては児童養護施設協議会と共に、九州保健福祉大学の連携により年齢に合わせたプログラムが構成され年齢に応じた教育がなされています。今後は施設職員の指導だけでなく、中高生に対しては特に、産婦人科医や保健師等からの学習の機会をもつことが望まれます。
(7) 自己領域の確保
A30 でき得る限り他児との共有の物をなくし、個人所有とするようにしている。 a
【コメント】
衣類、日用品、学用品などについては個人所有を原則に、収納は個人の箪笥などで整理されています。中・高校生についてはシャンプーなどは小遣いの中から購入できるようになっています。そのため日用品費が小遣いに反映され金額がプラスされています。
A31 成長の記録(アルバム等)が整理され、成長の過程を振り返ることができるようにしている。 b
【コメント】
本人の成長がよくわかる生活手帳はありますが、アルバムについても日々の成長の記録として整理され、共に振り返ることができるような機会を節目々々に作ることが望まれます。
(8) 行動上の問題及び問題状況への対応
A32 子どもの暴力・不適応行動などの行動上の問題に対して、適切に対応している。 a
【コメント】
発達障害と診断された子どもがストレスからパニックになり、大声を出したり、暴れたりすることがあるが精神科医、心理担当等との連携を取りながら対処しています。職員が住み込みで常に子どもの身近にいて細かい心の変化をいち早く気づき支援できるという小規模施設の機能の効果が見られます。
A33 施設内の子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組んでいる。 a
【コメント】
施設内でいじめや人権侵害に関するようなことはなく、職員も日頃から人に対しての気持ちや接し方を自ら模範となるよう心掛けて子どもたちに接しています。子どもと職員との間には信頼関係が保たれており子どもたちの表情からそれが感じらました。
A34 虐待を受けた子ども等、保護者等からの強引な引取りの可能性がある場合、子どもの安全が確保されるよう努めている。 a
【コメント】
保護者に対しては月1回施設の会報や子どもたちの様子を知らせる便り、子ども本人からの手紙などを送るなど園との信頼関係作りをメインに強引な引き取りの予防が考えられています。児童相談所との連絡は密に行われています。
(9) 心理的ケア
A35 心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行っている。 a
【コメント】
小規模施設ということで心理療法室は確保されていませんが、子どもの自立支援計画のもとに、臨床心理士による心理ケアプログラムが作られ心理療法が行われています。職員との話し合いをはじめ児童相談所と連携した取り組みもされています。
(10) 学習・進学支援、進路支援等
A36 学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行っている。 a
【コメント】
高校進学、大学の進学の道が開かれているためか、子どもの学習意欲は高く自分の将来を見据え学習に取り組むなどの姿勢が見られます。学校との連携については日常的に情報を共有されています。
A37 「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援している。 a
【コメント】
自立支援計画や、生活手帳を通して子どもの意向に沿った支援がされています。大学進学に関しては、入学後の経済的な支援の方法などについて子どもに情報を提供されています。子どもの生活面での支援の方法など施設としてその方法について模索されていることが伺えます。
A38 職場実習や職場体験、アルバイト等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組んでいる。 b
【コメント】
職場実習やアルバイトをすることは、社会の仕組みやルール、働くことの厳しさを実感すると言う意味でも大切な機会となると思います。自立に向けての取り組みの一環として実施されることが望まれます。
(11) 施設と家族との信頼関係づくり
A39 施設は家族との信頼関係づくりに取り組み、家族からの相談に応じる体制を確立している。 a
【コメント】
親子関係の再構築に関しては家族との信頼関係を基本に様々な機会をとらえて情報提供をしたり施設行事、学校行事への参加などの働きかけを行っています。自立支援計画のもとに児童相談所と連携を図りながら親子の再構築むけた取り組みがされています。
(12) 親子関係の再構築支援
A40 親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組んでいる。 a
【コメント】
家族支援に関しては、法人と連携した取り組みがされています。子どもの意見に寄り添いながら子どもへの最善の利益のためにいろいろな方法が取られています。
(13) スーパービジョン体制
A41 スーパービジョンの体制を確立し、職員の専門性や施設の組織力の向上に取り組んでいる。 a
【コメント】
3人の職員の内2人が基幹的職員研修受講済となっており、チーム力を発揮し支援スキルの向上を目指し努力されています。更に自己啓発を図ることでスーパービジョン体制がより強固になると思われます。
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