社会的養護施設第三者評価結果 検索

石井記念有隣園

第三者評価結果詳細
1 養育・支援
(1)養育・支援の基本 第三者
評価結果
子どもの存在そのものを認め、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止め、子どもを理解している。 b
基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援している。 b
子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障している。 b
発達段階に応じた学びや遊びの場を保障している。 b
秩序ある生活を通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 子どもの言動や行動を理解し、寄り添い支援されています。子どもに問題行動があった場合、まず理由を聞き、背景にあるものを理解しようとされています。また、記録がきちんと行われており、関係機関との連携も十分に取られています。緊急時等、住み込み職員がいることで適切に対応できる体制が整っています。
 子どもの力を信じ見守る姿勢を大切にされていますが、障害をもった子どもに対しては指示が多くなっているようですし、子どものニーズに応えられない場合、きちんと説明されていますが、携帯電話の利用制限については、子どもの理解が得られていないようですので、今後の改善を期待します。
(2)食生活 第三者
評価結果
食事は、団らんの場でもあり、おいしく楽しみながら食事ができるよう工夫している。 b
子どもの嗜好や健康状態に配慮した食事を提供している。 b
子どもの発達段階に応じて食習慣を身につけることができるよう食育を推進している。 b
(3)衣生活
衣服は清潔で、体に合い、季節に合ったものを提供している。 b
子どもの衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援している。 b
(4)住生活
居室等施設全体がきれいに整美されている。 b
子ども一人一人の居場所が確保され、安全、安心を感じる場所となるようにしている。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 食事は棟別に提供されていますので、子どもと職員のコミュニケーションの場として機能しており、子どもたちがテーブルに花を飾る等、食事を楽しんでいる様子は高く評価できます。また、アンケートで嗜好調査を実施し、残食状況も考慮して、月1回~2回の給食会議で振り返り、希望に沿うよう工夫が行われています。しかし、夕食の時間が5時半となっており、一般の生活に近づける必要があります。
 衣服は毎日洗濯し、季節に合った服が適切に着用されています。年2回、子どもたちが自分で服を選んで購入する機会が設けられています。衣服の自己管理は全員ができているとはいえません。特に障害をもった子どもは支援されていますが不十分なようです。
 施設内はきれいに整備され、花や絵画、子どもの作品などが飾られ、園全体が温かみのある環境になっています。
 しかし、男子寮においては、相部屋によりプライベート空間の確保が不十分な現状ですが、今後改善される計画があるとのことで、できるだけ早く実現されるよう期待します。
(5) 健康と安全 第三者
評価結果
発達段階に応じ、身体の健康(清潔、病気、事故等)について自己管理ができるよう支援している。 b
医療機関と連携して一人一人の子どもに対する心身の健康を管理するとともに、異常がある場合は適切に対応している。 b
(6) 性に関する教育
子どもの年齢・発達段階に応じて、異性を尊重し思いやりの心を育てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設けている。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 日常の健康面については、職員が把握するとともに、必要に応じた支援が行われています。また、年2回健康診断が行われていますが、バイタルチェックは定期的には行われていないので、今後の実施を検討されるよう期待します。交通ルールの順守については、登校時の指導やDVD視聴等で行われています。医療に関する知識は職員間で差があるようなので、研修等で知識を深めていかれるよう期待します。
 性教育については、過去に外部講師を招いて行われたようですが、現在は、カリキュラムを用意しての取組みは行われていません。研修終了した職員を中心に、共通理解を深め、子どもたちへの性教育が適切に展開されることを期待します。
(7) 自己領域の確保 第三者
評価結果
でき得る限り他児との共有の物をなくし、個人所有とするようにしている。 b
成長の記録(アルバム)が整理され、成長の過程を振り返ることができるようにしている。 b
(8)主体性、自律性を尊重した日常生活
日常生活のあり方について、子ども自身が自分たちの問題として主体的に考えるよう支援している c
主体的に余暇を過ごすことができるよう支援している。 b
子どもの発達段階に応じて、金銭の管理や使い方など経済観念が身につくよう支援している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 大規模棟では、日常的に使用する日用品、シャンプー・食器等は園で同じ品物を用意して使っていますが、高学年児や小規模棟では個人所有のものを使っています。アルバムは整理され、いつでも個人で見ることができます。しかし、写真は行事で写すことが多く、成長歴に空白が生じない程とはいえず、個人差もあり、工夫が求められます。
 休日は午後から外出ができ、部活動や地域サークルに参加できるようになっていますが、園の行事の企画・運営に子どもたちが主体的に関われる現状にはないので、改善が必要と思われます。お小遣いは、お小遣い帳を付けるようにしてあり、無駄遣いをしないよう指導が行われていますので、今後も継続されるよう期待します。
(9) 学習・進学支援、進路支援等 第三者
評価結果
学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行っている。 b
「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援している。 a
職場実習や職場体験等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組んでいる。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 辞書や参考書を備えた学習室があり、左右に仕切りの付いた机で集中して勉強できるようになっていますが、学習については個人差があり、自分で学習計画が立てられるまでにはなっていません。学習指導を効率的に行うために、ボランティアの活用等の工夫を期待します。
 進路選択にあたっては、子どもの学力・体力を考慮し、塾の活用を勧めたりして、適切に支援が行われていますので、高く評価できます。
 社会経験の拡大については、リービング・ケアの考え方を参考に、取り組みを強化されるよう期待します。
(10) 行動上の問題及び問題状況への対応 第三者
評価結果
子どもが暴力・不適応行動などの問題行動をとった場合に、行動上の問題及び問題状況に適切に対応している。 b
施設内で子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組んでいる。 b
虐待を受けた子ども等、保護者からの強引な引き取りの可能性がある場合、施設内で安全が確保されるよう努めている。 b
(11) 心理的ケア
心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行っている。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 問題行動があった場合は、関係機関への報告を迅速に行い、連携して対応されています。
 職員の研修も行われ、適切な援助技術の習得も行われています。問題行動を起こした子どもへは、一方的に責めることなく、理由を聞き、子どもに寄り添う支援が行われています。
 保護者からの強引な引き取り要求等については、マニュアルが整備され、職員に対応が周知徹底されています。
 心理療法担当職員の配置期間がまだ短いため、心理ケアの取組みはこれからが期待されます。
(12) 養育の継続性とアフターケア 第三者
評価結果
措置変更又は受入れに当たり継続性に配慮した対応を行っている。 b
家庭引き取りに当たって、子どもが家庭で安定した生活が送ることができるよう家庭復帰後の支援を行っている。 b
できる限り公平な社会へのスタートが切れるように、措置継続や措置延長を積極的に利用して継続して支援している。 b
子どもが安定した社会生活を送ることができるよう退所後の支援に積極的に取り組んでいる。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 措置変更にあたっては、他機関との連携等、適切に行われています。高校を卒業して進学・就職した子どもであっても、必要に応じて措置延長を利用した支援が行われています。
 しかし、退園、卒園した子どもに対しては、職員が個人で関わることが多く、施設としての取組みが行われていません。窓口や担当者を設置する等、気軽に相談したり、職員や入所児童との交流ができる体制を整備されるよう期待します。
2 家族への支援
(1) 家族とのつながり  第三者
評価結果
児童相談所や家族の住む市町村と連携し、子どもと家族との関係調整を図ったり、家族からの相談に応じる体制づくりを行っている。 b
子どもと家族の関係づくりのために、面会、外出、一時帰宅などを積極的に行っている。 b
(2) 家族に対する支援
親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組んでいる。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 家庭支援専門相談員を配置し、支援が適切に行われています。児童相談所と連携して親子関係の継続や修復を図り、学校や園の行事に保護者の参加を促すために、学校や園の予定や必要な情報を家族に知らせるようにしておられます。
 面会、外出、一時帰宅については、児童相談所と連絡を取り合いながら実施されています。
 家庭復帰が近付いた段階より、週末帰宅を実施されています。今後は更に、整備された「親子訓練室」が活用されるよう期待します。
3 自立支援計画、記録
(1) アセスメントの実施と自立支援計画の策定  第三者
評価結果
子どもの心身の状況や、生活状況を把握するため、手順を定めてアセスメントを行い、子どもの個々の課題を具体的に明示している。 b
アセスメントに基づいて子ども一人一人の自立支援計画を策定するための体制を確立し、実際に機能させている。 b
自立支援計画について、定期的に実施状況の振り返りや評価と計画の見直しを行う手順を施設として定め、実施している。 c
(2) 子どもの養育・支援に関する適切な記録 
子ども一人一人の養育・支援の実施状況を適切に記録している。 b
子どもや保護者等に関する記録の管理について、規程を定めるなど管理体制を確立し、適切に管理を行っている。 a
子どもや保護者等の状況等に関する情報を職員が共有するための具体的な取組を行っている。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 「自立支援計画書」は、子どもの課題を適切に把握し、記録し、児童相談所と共有されています。アセスメントは学年に応じた様式で実施されていますが、手順がマニュアル化されていないので、マニュアルを整備し、全職員が適切に行えるようになることを期待します。
 子どもの支援記録やその管理は適切に行われていますが、職員間で情報の共有が十分にはできてないようですので、情報共有の工夫を期待します。
4 権利擁護
(1) 子どもの尊重と最善の利益の考慮 第三者
評価結果
子どもを尊重した養育・支援についての基本姿勢を明示し、施設内で共通の理解を持つための取組を行っている。 b
社会的養護が子どもの最善の利益を目指して行われることを職員が共通して理解し、日々の養育・支援において実践している。 b
子どもの発達に応じて、子ども自身の出生や生い立ち、家族の状況について、子どもに適切に知らせている。 b
子どものプライバシー保護に関する規程・マニュアル等を整備し、職員に周知するための取組を行っている。 b
子どもや保護者の思想や信教の自由を保障している。 a
(2) 子どもの意向への配慮  
子どもの意向を把握する具体的な仕組みを整備し、その結果を踏まえて、養育・支援の内容の改善に向けた取組を行っている。 c
職員と子どもが共生の意識を持ち、子どもの意向を尊重しながら生活全般について共に考え、生活改善に向けて積極的に取り組む。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 石井記念友愛社の分園として、友愛社が掲げる「私たちの行動倫理」に基づいた人権擁護の徹底が事業計画にも掲げられていますが、職員による実践においては、まだ十分とは言えないようです。
 子どもの最善の利益を図るために、園長を交えた月2回の寮会議が行われており、養育・支援の振り返りが行われていますが、業務量の多さや配置不足により、職員に余裕がなく、十分な振り返りができていないようです。
 出生や生い立ちについての子どもからの質問については、担当者が個別に対応しており、施設として子どもの発達等に応じて意図的に伝える取り組みが不十分です。
 子どものプライバシー保護に関するマニュアルとして「リスクマネージメントマニュアル」が示されましたが、内容的に的確な物となっておらず、県の児童養護施設部会における諸マニュアルの検討を踏まえて示されたマニュアル案を活用して、職員の参加により施設独自のマニュアルの整備を行い、職員に周知され、実践されることを期待します。
 思想・信教の自由については、特に規制や強要することなく、尊重されています。
 子どもの意向把握については、園内3か所に意見箱が設置されていますが、24年度実績は「ゼロ」ということで、あらためて、子どもの意向を把握する具体的な取組みを整備することが求められます。
 利用者アンケートに表れている「どちらともいえない」と答えた消極的な回答の多さを踏まえて、生活改善の取組み等に子どもたちが主体的・積極的に取り組むよう促し、職員も一緒に取り組んでいくための工夫が必要と思われます。
(3) 入所時の説明等 第三者
評価結果
子どもや保護者等に対して、養育・支援の内容を正しく理解できるような工夫を行い、情報の提供を行っている。 b
入所時に、施設で定めた様式に基づき養育・支援の内容や施設での約束ごとについて子どもや保護者等にわかりやすく説明している。 b
子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、そこから分離されることに伴う不安を理解し受けとめ、不安の解消を図っている。 b
(4) 権利についての説明 
子どもに対し、権利について正しく理解できるよう、わかりやすく説明している。 c
(5) 子どもが意見や苦情を述べやすい環境 
子どもが相談したり意見を述べたりしたい時に相談方法や相談相手を選択できる環境を整備し、子どもに伝えるための取組を行っている。 c
苦情解決の仕組みを確立し、子どもや保護者等に周知する取組を行うとともに、苦情解決の仕組みを機能させている。 c
子ども等からの意見や苦情等に対する対応マニュアルを整備し、迅速に対応している。 c
(6) 被措置児童等虐待対応
いかなる場合においても体罰や子どもの人格を辱めるような行為を行わないよう徹底している。 a
子どもに対する暴力、言葉による脅かし等の不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 c
被措置児童等虐待の届出・通告に対する対応を整備し、迅速かつ誠実に対応している。 a
(7) 他者の尊重
様々な生活体験や多くの人たちとのふれあいを通して、他者への心づかいや他者の立場に配慮する心が育まれるよう支援している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 法人本部のホームページに施設が紹介されていますが、有隣園独自の紹介ページを掲載する等の取組みを期待します。
 入所時に「ようこそ」が配布されていますが、「石井記念有隣園のご案内 保護者の皆様へのご協力のお願い」の内容と比べて具体的な園生活をイメージできるものとはなっていないようです。具体的には入所後に、ということですが、子どもたちが分かるような工夫が望まれます。
 不安を持って入所してきた子どもが落ち着くまで、担当者が四六時中寄り添う取り組みは大いに評価できます。
 権利についての理解を深める取り組みは、入所前の児童相談所の説明に委ねることが多く、入所後の定期的な説明等は不十分なようです。しかし、11月の児童虐待防止推進月間における「人権擁護に関する標語募集」とその入選作掲示の取組みは、大いに評価できます。
 子どもが意見や苦情を述べやすい環境づくりについては、全体的に十分とは言えません。
 子どもたちの気持ちに中に、「言っても、どうせ……」という消極的な想いや不満が蓄積しないためにも、活用されていない「意見箱」に代わる取り組みに向け、もう一度、マニュアル作りをとおして、過去の事例にとらわれることなく、施設・職員の養育・支援の改善に迅速に結び付けていける仕組みづくりを期待します。
 職員全員が、「1.全ての人々の尊厳・人権とプライバシーを尊重します。」をはじめ、7項目を記載した「私たちの行動倫理」の名刺版を常時携行して、福祉専門職としての自覚を図っておられることを大いに評価します。
 「コモンセンス・ペアレンティング」の普及促進のための研究会の設置等、「暴力によらない躾」への取り組みに力を入れておられます。
 職員と子どもとの面談が月1回行われ、園長と職員との面談も年2回行われる等、不適切なかかわりを防止するための早期発見の取組みが行われています。
 虐待の届け出・通告に対する対応はリスクマネジメントマニュアルとして整備されていますが、具体的な取り組みについて職員に周知され、日常の養育・支援に生かしていかれるよう期待します。
 子どもと職員が誕生日に合わせた休日にプレゼントを買いに一緒に外出し、外食もする等、個別的にふれあうよう支援されています。
 「ようこそ!!セカンドステップへ」の取り組みが更に充実し、子ども間のトラブルが自分たちで解決できる関係づくりが進んでいくよう期待します。
 子どもたちの間の関係づくりのために居住建物の再配置等の工夫に積極的に取り組まれています。思春期の子供たちのプライバシー保護の充実を期待しています。
5 事故防止と安全対策
第三者
評価結果
事故、感染症の発生時など緊急時の子どもの安全確保のために、組織として体制を整備し、機能させている。 b
災害時に対する子どもの安全確保のための取組を行っている。 a
子どもの安全を脅かす事例を組織として収集し、要因分析と対応策の検討を行い、子どもの安全確保のためにリスクを把握し対策を実施している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 リスクマネジメントマニュアルが作成されており、月1回の安全点検と検討を行う安全管理委員会が行われていますが、不審者への対応が少し不十分に思われます。災害時の緊急対応なども体制が整っており、定期的に避難訓練等も行なわれています。職員が住み込みで対応するなど緊急の際の手順が整っている点は高く評価できます。今後は子どもの安全を脅かす事例を基に研鑽されるよう期待します。
6 関係機関連携・地域支援
(1) 関係機関等の連携  第三者
評価結果
施設の役割や機能を達成するために必要となる社会資源を明確にし、児童相談所など関係機関・団体の機能や連絡方法を体系的に明示し、その情報を職員間で共有している。 a
児童相談所等の関係機関等との連携を適切に行い、定期的な連携の機会を確保し、具体的な取組や事例検討を行っている。 a
幼稚園、小・中学校、高等学校、特別支援学校など子どもが通う学校と連携を密にしている。 a
(2) 地域との交流  
子どもと地域との交流を大切にし、交流を広げるための地域への働きかけを行っている。 b
施設が有する機能を地域に開放・提供する取組を積極的に行っている。 b
ボランティア受入れに対する基本姿勢を明確にし、受入れについての体制を整備している。 b
(3) 地域支援 
地域の具体的な福祉ニーズを把握するための取組を積極的に行っている。 c
地域の福祉ニーズに基づき、施設の機能を活かして地域の子育てを支援する事業や活動を行っている。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 学校や関係機関との連携が密に図られており個々の把握がなされています。また施設を地域の方々に受け入れてもらう努力は続けられており、施設を知ってもらう取り組みや運動会等に地域の方々を招待している点は高く評価できますが、施設が有する機能(スキル)を地域に提供する取り組みは少し消極的に感じられます。今後は虐待に対する認識等について地域の方々に役立つ講演会等を行うなど施設が持てるスキルを存分に活かされるよう期待します。
7 職員の資質向上
第三者
評価結果
組織として職員の教育・研修に関する基本姿勢が明示されている。 c
職員一人一人について、基本姿勢に沿った教育・研修計画が策定され計画に基づいて具体的な取組が行われている。 b
定期的に個別の教育・研修計画の評価・見直しを行い、次の研修計画に反映させている。 b
スーパービジョンの体制を確立し、施設全体として職員一人一人の援助技術の向上を支援している。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 基本方針は示されていますが、当施設独自の中・長期計画の構想があるにもかかわらず、文書化されていません。研修については新任職員を中心とした法人の理念を学ぶ研修が年度初めに行われており、法人としての意識の統一が図られています。また参加した研修の報告等はきちんと行われていますが、研修成果に関する評価分析においてはやや不十分なようです。
 日々の記録、報告を通しての課題の発見・問題意識の共有が図られている点は高く評価できます。今後はスーパーバイザー養成の道筋をつけられるよう期待します。
8 施設の運営
(1) 運営理念、基本方針の確立と周知  第三者
評価結果
法人や施設の運営理念を明文化し、法人と施設の使命や役割が反映されている。 a
法人や施設の運営理念に基づき、適切な内容の基本方針が明文化されている。 a
運営理念や基本方針を職員に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 b
運営理念や基本方針を子どもや保護者等に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 b
(2) 中・長期的なビジョンと計画の策定  
施設の運営理念や基本方針の実現に向けた施設の中・長期計画が策定されている。 c
各年度の事業計画は、中・長期計画の内容を反映して策定されている。 b
事業計画を、職員等の参画のもとで策定されるとともに、実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われている。 c
事業計画を職員に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 c
事業計画を子ども等に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行っている。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 法人の理念がきちんと明文化されています。また基本方針は法人の運営理念に基づいたものであり、運営理念や基本方針を年度当初に法人内研修にて継続的に職員に伝える取り組みは高く評価できます。子どもへの説明などは児童相談所任せにするのではなく、より分かりやすく説明する努力が求められます。法人の中長期計画は策定されていますが、当施設の中・長期計画策定において施設長を中心に主な幹部の間では構想としてあるのに、文書化されていません。今後は職員参画のもとでより現実的にニーズに基づいた中・長期計画の策定により、よりよい施設運営が行われるよう期待します。
(3) 施設長の責任とリーダーシップ   第三者
評価結果
施設長は、自らの役割と責任を職員に対して明らかにし、専門性に裏打ちされた信念と組織内での信頼をもとにリーダーシップを発揮している。 a
施設長自ら、遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行い、組織全体をリードしている。 b
施設長は、養育・支援の質の向上に意欲を持ち、組織としての取組に十分な指導力を発揮している。 a
施設長は、経営や業務の効率化と改善に向けた取組に十分な指導力を発揮している。 b
(4) 経営状況の把握  
施設運営をとりまく環境を的確に把握するための取組を行っている。 b
運営状況を分析して課題を発見するとともに、改善に向けた取組を行っている。 b
外部監査(外部の専門家による監査)を実施し、その結果に基づいた運営改善が実施されている。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 施設長は今年4月に着任したばかりですが、明確な理想と信念を持っておられます。
 運営状況を知ることはコスト分析や人事配置及び事業計画に及ぼす大事なことなので、外部監査を入れて施設の透明性を高め、よりよい施設運営に努められるよう期待します。
(5) 人事管理の体制整備    第三者
評価結果
施設が目標とする養育・支援の質を確保するため、必要な人材や人員体制に関する具体的なプランが確立しており、それに基づいた人事管理が実施されている。 b
客観的な基準に基づき、定期的な人事考課が行われている。 c
職員の就業状況や意向を定期的に把握し、必要があれば改善に取り組む仕組みが構築されている。 b
職員処遇の充実を図るため、福利厚生や健康を維持するための取組を積極的に行っている。 c
(6) 実習生の受入れ 
実習生の受入れと育成について、基本的な姿勢を明確にした体制を整備し、効果的なプログラムを用意する等積極的な取組をしている。 b
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 プランに基づいた人事管理において難しさを抱えておられるようですが、そんな中でも心理療法担当職員や家庭支援専門相談員等の各種加算配置の職員の配置に積極的に取り組んでおられます。また、職員の悩み等を聞き入れるだけの余裕がない中、前向きに取り組もうとしておられるので、職員がスキルを磨き、そのスキルを十分に発揮できるような取組みをも期待します。住み込み職員もおり心理的負担は計り知れないので、職員のメンタルヘルスにも留意し、職員が相談しやすい場を設けられるよう期待します。
 実習生の受け入れにおいては十二分に意義を見出しておられ、受け入れにも積極的に取り組まれています。
(7) 標準的な実施方法の確立   第三者
評価結果
養育・支援について標準的な実施方法を文書化し、職員が共通の認識を持って行っている。 b
標準的な実施方法について、定期的に検証し、必要な見直しを施設全体で実施できるよう仕組みを定め、検証・見直しを行っている。 b
(8) 評価と改善の取組  
施設運営や養育・支援の内容について、自己評価、第三者評価等、定期的に評価を行う体制を整備し、機能させている。 b
評価の結果を分析し、施設として取り組むべき課題を明確にし、改善策や改善実施計画を立て実施している。 c
(特に評価が高い点、改善が求められる点)
 養育・支援においては標準的な実施方法が文書化されていますが、子どもの尊重やプライバシー保護の姿勢についての明示がなされていないので、改善する必要があります。
 評価においては自己評価を全職員に行なってもらい、職員一人一人の気づきにつなげ、改善策や改善実施計画を立て実施していかれることを期待します。
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