社会的養護施設第三者評価結果 検索

仙台つばさ荘

第三者評価結果詳細
共通評価基準(45項目)Ⅰ 支援の基本方針と組織
1 理念・基本方針
(1) 理念、基本方針が確立・周知されている。 第三者
評価結果
1 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。 a
【コメント】
 法人、施設の理念や基本方針は、パンフレット、ホームページ、事業計画に記載され施設の使命や目指す方向を踏まえた内容になっています。周知については、職員へは4月の職員会議で伝えられており、母親と子どもへは、母の会で文書を配布したり、事務室前の廊下に掲示するなどして周知がされています。
2 経営状況の把握
(1) 経営環境の変化等に適切に対応している。 第三者
評価結果
2 施設経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。 a
【コメント】
 施設長は、全国母子生活支援施設協議会の会長や仙台市ひとり親家庭自立促進計画協議会の座長などを務めており、国および地域の状況について把握し、そこから得られた情報は会議等で職員に伝えています。また、現在、施設が置かれている経営状況についても税理士事務所の分析を受け、把握しています。
3 経営課題を明確にし、具体的な取組を進めている。 a
【コメント】
 施設では、経営課題が明確になっており、定員割れにに対しては広域的な受け入れの促進、施設の老朽化に伴う建て替えのための準備委員会の設置など課題解決に向けた取り組みが進められる予定になっています。
3 事業計画の策定
(1) 中・長期的なビジョンと計画が明確にされている。 第三者
評価結果
4 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。 c
【コメント】
 施設では、中・長期ビジョンを明確にした計画は作成されていません。今後は、施設の経営課題が明確になっていることから、それらを踏まえ、具体的な数値目標や成果などを設定し、年度別に取り組む内容を記載した中・長期計画の策定を望みます。
5 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。 c
【コメント】
 施設では、単年度の事業計画は作成されていますが、中・長期計画の内容が反映されたものではなく、単年度ごとに実施可能な内容にとどまっているため、今後は、中・長期計画を反映した単年度の事業計画を作成することを望みます。
(2) 事業計画が適切に策定されている。
6 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。 a
【コメント】
 施設の事業計画は、毎年2月に各職種で反省を行い、それを基に職員会議で話し合い、策定しています。事業計画は、3月の法人理事会へ提出し、承認後、職員に供覧で周知しています。
7 事業計画は、母親と子どもに周知され、理解を促している。 a
【コメント】
 施設では、年度初めに開かれる母の会で事業計画について説明が行われています。その際に内容を分かりやすくした文書を作成し配布しています。また、文書は事務室前の廊下にも掲示しています。
4 支援の質の向上への組織的・計画的な取組
(1)質の向上に向けた取組が組織的・計画的に行われている。 第三者
評価結果
8 支援の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。 b
【コメント】
 施設では、全職員による毎年の自己評価や第三者評価の受審を通して改善すべき点や課題などを明らかにしています。今後は、PDCAサイクルにもとづく支援の質の向上に向けた取組を期待します。
9 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。 b
【コメント】
 施設では、評価結果で明らかになった課題や改善点について文書化はしていませんが、職員間で共有がされています。今後は、評価結果を分析し、改善策の検討や改善に向けた取組を職員参画のもとで計画的に行うことを望みます。
Ⅱ 施設の運営管理
1 施設長の責任とリーダーシップ
(1) 施設長の責任が明確にされている。 第三者
評価結果
10 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。 a
【コメント】
 施設長の役割と責任については、「事務分掌」や「施設長事務取扱掌理規程」などに明示されています。また、年度初めの職員会議で職員に対して表明しています。
11 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。 a
【コメント】
 施設長は、法人が設置した「ハラスメント委員会」や「コンプライアンス委員会」などを通して法令遵守について積極的に取り組んでいます。
(2) 施設長のリーダーシップが発揮されている。
12 支援の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。 b
【コメント】
 施設長は、支援の質の向上に向けて自己評価や第三者評価の受審、職員の教育・研修などに力を入れています。今後は、支援の現状について、評価・分析などをして、さらなる質の向上を目指すことを期待します。
13 経営の改善や業務の実効性を高める取組に指導力を発揮している。 b
【コメント】
 施設長は、人員配置を含めた働きやすい環境整備やタイムカード導入の検討など、経営の改善や効果的な業務に向けて取組を行っています。今後は、さらなる経営の改善や業務の実効性を高めるために職員へ意識づけをしながら、施設内で取り組む体制の構築を望みます。
2 福祉人材の確保・育成
(1) 福祉人材の確保・育成計画、人事管理の体制が整備されている。 第三者
評価結果
14 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。 a
【コメント】
 施設での必要な人員体制や人材確保については、法人による「経営・人材委員会」「人材確保対策委員会」によって行われています。また、人材育成のための「教育研修委員会」も設置されています。
15 総合的な人事管理が行われている。 a
【コメント】
 施設では、法人の人事管理制度を導入し、昇格・昇給等を決め、職員の人事管理を実施しています。
(2) 職員の就業状況に配慮がなされている。
16 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。 a
【コメント】
 施設では、職員が充実して仕事をするために、ワーク・ライフ・バランスに配慮した勤務体制を取り入れたり、福利厚生に力を入れたりしています。また、有給休暇も取得しやすくし、職員の働きやすい環境整備に努めています。
(3) 職員の質の向上に向けた体制が確立されている。
17 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。 c
【コメント】
 施設では、求める専門性や職員像は明示されていますが、目標管理を導入した職員育成の仕組みは作られていません。今後は、職員一人ひとりの知識・技術・経験に応じて具体的に業務に対して目標を設定し、進捗や達成度の確認などを行いながら、職員一人ひとりの育成に向けた取組を行うことを望みます。
18 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。 b
【コメント】
 施設では、職員教育・研修の基本方針が策定され、それを基に職員が施設内・外で受けるべき年間の研修計画が作成されています。今後は、振り返りシートなどを活用しながら研修計画の評価や見直しを行うことを望みます。
19 職員一人ひとりの教育・研修等の機会が確保されている。 a
【コメント】
 施設では、職員の知識や技能水準に応じて、研修を受ける機会が確保され、研修後の報告は復命書にて供覧しています。また、月1回スーパーバイザーによるスーパービジョンを職員が受けています。
(4) 実習生等の支援に関わる専門職の研修・育成が適切に行われている。
20 実習生等の支援に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。 a
【コメント】
 施設では、実習生の受け入れマニュアルが整備され、それに基づいて受け入れと指導が行われています。また、実習指導者の研修も受講しています。
3 運営の透明性の確保
(1) 運営の透明性を確保するための取組が行われている。 第三者
評価結果
21 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。 a
【コメント】
 施設では、ホームページ等に理念、基本方針、予算、決算などの情報を公開しています。施設の特性から活動を説明した印刷物や広報誌等は地域に配布はしていませんが、町内会長、民生委員、学校長などを行事に招待し、施設の理解に努めています。
22 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。 a
【コメント】
 施設では、法人が定める各種規程に従って事務・経理等が適正に処理されています。また、毎月1回、法人が契約している税理士事務所より監査を受けています。
4 地域との交流、地域貢献
(1) 地域との関係が適切に確保されている。 第三者
評価結果
23 母親、子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。 a
【コメント】
 施設では、地域との関わりについての考え方を文書化したものは作成していませんが、町内会への加入、施設へ子どもが遊びに来た時は学習室を提供、施設行事への民生委員や町内会長等の招待、地域の子供会へ会議室貸し出しなど、施設の特性を考慮しながら、地域との交流を広げるための取組が行われています。
24 ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。 a
【コメント】
 施設では、ボランティア受け入れマニュアルが作成され、毎週1回、学習ボランティアが子どもへの学習支援を行っています。また、地域の学校とは年1回の話し合いや学区民運動会への職員派遣などを通して、協力と施設の理解に努めています。
(2) 関係機関との連携が確保されている。
25 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。 a
【コメント】
 施設では、行政・警察・就職・法律関係・児童相談所・学校など、母親と子どもに必要な地域の社会資源や関係機関などのエコマップを作成しています。また、小学校や保育園とは年1回、情報交換を目的とした連絡会が行われ、児童相談所とは施設を退所前に情報共有のための会議を実施しています。
(3) 地域の福祉向上のための取組を行っている。
26 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。 b
【コメント】
 施設では、町内会に加入し、総会などへ出席していますが、地域ニーズの把握は個人情報やプライバシーの関係から難しいため取組は行われていません。今後は、町内会の役員などから地域の事情を収集するなどして、ニーズの把握に努めることを期待します。
27 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。 b
【コメント】
 施設では、地域の福祉ニーズに基づく公益的な事業や活動は施設の特性から難しい面はありますが、地区の子供会へ会議室の貸し出し、資源回収の集積場として敷地内部の提供など、施設が取り組める範囲での活動は行われています。今後は、どのような事業や活動が望ましいのか施設内で話し合いを行い、検討して取り組まれることを期待します。
Ⅲ 適切な支援の実施
1 母親と子ども本位の支援
(1) 母親と子どもを尊重する姿勢が明示されている。 第三者
評価結果
28 母親と子どもを尊重した支援の実施について共通の理解をもつための取組を行っている。 a
【コメント】
 施設では、母親と子どもを尊重した支援について、法人理念や事業計画に明記しています。また、倫理綱領を事務室内に掲示したり、名刺サイズに作成したものを職員全員が携帯し、年1回の職員読み合わせで共通理解を図っています。併せて、母親と子どもの尊重は基本的なことと捉え、自立支援計画の見直し時に個別的な状況把握・評価を行っています。
29 母親と子どものプライバシー保護に配慮した支援が行われている。 b
【コメント】
 施設のプライバシー保護に関しては、法人の職員就業細則に明記されています。職員は、プライバシー保護を意識した支援を行っており、廊下での立ち話に気をつけたり、入室の際は同性である女性職員が対応するよう配慮しています。共同浴室のため、入口にカーテンを付けるなどの工夫も行っています。今後は、施設としてのマニュアルを作成し、さらなる母親と子どものプライバシーに配慮した支援を望みます。
(2) 支援の実施に関する説明と同意(自己決定)が適切に行われている。
30 母親と子どもに対して支援の利用に必要な情報を積極的に提供している。 a
【コメント】
 施設のホームページには、施設の概要や館内の写真・利用の流れなどが掲載され、利用希望者に必要な情報が伝わるようにしています。また、パンフレットを作成し、見学は随時受け入れています。施設の見学が難しい利用希望者や関係機関などには、居室や浴室などの写真を提供して、施設内がわかる工夫をしています。
31 支援の開始・過程において母親と子どもにわかりやすく説明している。 b
【コメント】
 施設では、入所時に施設が行う支援について「生活のしおり」や「利用者規程」、「母の会の手引き」で説明を行っており、誓約書に署名をもらっています。外国籍の方へは通訳をお願いしたこともあり、障害のある方にも個別で配慮しています。今後は、意思決定が困難な方への配慮について、ルール化していくことを望みます。
32 支援の内容や措置変更、地域・家庭への移行等にあたり支援の継続性に配慮した対応を行っている。 b
【コメント】
 施設では、退所後に地域生活に心配なことがある母親や子どもについて、児童相談所や福祉関係機関などに情報提供したり、関係者会議を開催しながら地域生活を見守っています。希望者には、アフターケアの契約やエコマップの作成を行っています。また、年1回のOB会を開催し、退所後の生活状況を確認しています。今後は、退所後も相談しやすいよう、相談窓口や相談方法などを記載した文書を作成して手渡すことを望みます。
(3) 母親と子どもの満足の向上に努めている。 第三者
評価結果
33 母親と子どもの満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。 b
【コメント】
 施設では、入所時と年1回の生活状況確認内容のアンケートを実施し、個別面談の話題や自立支援計画表に反映しています。母の会や子ども会に職員が出席し、要望などがあれば話し合いで対応しており、職員会議で共有しています。生活上の満足に関する調査は行われていないため、今後は、定期的な調査と調査結果に基づく具体的な改善に向けた取り組みを行う仕組みの構築を望みます。
(4) 母親と子どもが意見等を述べやすい体制が確保されている。
34 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。 b
【コメント】
 施設では、苦情解決の体制が整備され、入所時に配布する「生活のしおり」に記載し、説明しており、苦情解決責任者や第三者委員、苦情処理の進め方等が記載された文書が廊下に掲示されています。今後は、意見箱の設置等、苦情を申し出やすい配慮や工夫をしながら、母親や子どもへの周知をさらに深め、苦情解決体制が組織として機能していくことが望まれます。
35 母親と子どもが相談や意見を述べやすい環境を整備し、母親と子どもに周知している。 b
【コメント】
 施設では、母親には入所時にどの職員でも話を聞くことや、相談場所も希望により自室や面談室で行えることを伝えています。子どもへは、心理担当職員が個別面談の案内文書を学習室に掲示し、面談希望を受けています。また、毎日の防火点検で職員が訪室した際に話を聞くようにしています。今後は、わかりやすく説明した文書を作成し、配布や掲示していくことを望みます。
36 母親と子どもからの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。 b
【コメント】
 施設では、日々が相談と考え、母親と子どもが事務室の前を通った時に職員から必ず声をかけるようにしています。また、法的な相談を受けた際は、施設の顧問弁護士が対応しています。今後は、相談や意見を受けた際の対応策の検討などについて、マニュアルを整備することを望みます。
(5) 安心・安全な支援の実施のための組織的な取組が行われている。 第三者
評価結果
37 安心・安全な支援の実施を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。 b
【コメント】
 施設では、「緊急対応マニュアル」「AED・緊急蘇生法マニュアル」「不審者に対する対応」を定め、職員が確認できるように冊子にしています。不審者対応として、監視カメラの設置や地元の警察署と情報共有も行っています。また、他施設の事故事例も職員間で共有しています。今後は、施設内でリスクに関する体制を構築し、事例の収集や事故防止対応を検討することを望みます。
38 感染症の予防や発生時における母親と子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。 b
【コメント】
 施設では「感染症マニュアル」を作成し、職員が確認できるよう事務室内に冊子にしてあります。事務室内や廊下にも感染症予防に関するポスターを掲示しています。感染症が発生しやすい時期には、職員間で対応を確認したり母の会でも声がけをしています。また、発症時には嘱託医の助言や指示を受けて対応しています。今後は、感染症の予防や安全確保に関する定期的な勉強会を行うことを望みます。
39 災害時における母親と子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。 b
【コメント】
 施設では「防災訓練関連マニュアル」を作成し、地震・火災・水害土砂災害時の対応を定めています。災害に備え、備蓄品リストを作成して保管し、非常時に備えています。防災訓練は、毎月実施していますが、施設として実施内容が十分ではないと考えています。今後は、毎月の防災訓練などを通して、対策の問題点の把握や見直しを行うことで、より実効性の高い取組を行うことを望みます。
2 支援の質の確保
(1) 支援の標準的な実施方法が確立している。 第三者
評価結果
40 支援について標準的な実施方法が文書化され支援が実施されている。 b
【コメント】
 施設では、「支援等マニュアル」を作成し、一日の流れ・職種毎の業務内容・入所後からの支援の流れを文書化しており、事務室内に設置しています。新規職員には口頭で説明していますが、マニュアルの個別配布はしておらず、職員間で確認する機会は設けていません。今後は、定期的に職員間で確認する機会を設けることや、権利擁護やプライバシーの保護についても明示されることを望みます。
41 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。 b
【コメント】
 施設では、年度末の各職種会議で支援の振り返りを行う中で、マニュアル内容に変更や追記があれば見直しを行っていますが、標準的な実施方法についての見直しの仕組みが確立していません。今後は、母親と子どもの意見などを踏まえた定期的な検証や見直しを行うことを望みます。
(2) 適切なアセスメントにより自立支援計画が策定されている。
42 アセスメントにもとづく個別的な自立支援計画を適切に策定している。 b
【コメント】
 施設では、入所時の面談や母親と子どもへのアンケート等からアセスメントを実施しています。作成したアセスメントをもとに、福祉事務所や保育園などの関係機関を含めた自立支援会議で自立支援計画を作成しています。計画作成時や見直し時期には母親と面談し意向を確認していますが、計画の説明と同意を得ることは行っていません。今後は、自立支援計画作成後に母親と子どもの同意を得ることを望みます。
43 定期的に自立支援計画の評価・見直しを行っている。 b
【コメント】
 施設では、自立支援計画作成後、半年毎の評価と毎月の母子会議でも確認し、必要時には見直しを行っています。また、関係機関を含めた自立支援会議は年1回開催し、実施状況の評価と見直しを行っています。見直しにあたっては、母親と子どもとの面談やアンケートをもとに意向確認を行っていますが、見直し後の説明と同意を得ることは行っていません。今後は、計画見直し後も母親と子どもの同意を得ることを望みます。
(3) 支援の実施の記録が適切に行われている。
44 母親と子どもに関する支援の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。 a
【コメント】
 施設では、日々の記録はパソコンで記入し、職員全員が確認できるようにしています。支援ソフトを利用し、主任・副主任がチェックし、記録に統一性を持たせています。情報共有は、毎日の朝と昼の引継ぎ、毎月の職員会議、会議録などの供覧で、施設内の情報を共有する仕組みが整備されています。
45 母親と子どもに関する記録の管理体制が確立している。 b
【コメント】
 施設では、「個人情報保護規程」と「個人情報管理規程」を定めており、個人に関わる記録は鍵をかけて保管するなど、記録管理に配慮しています。個人情報保護については、法人のコンプライアンス委員会があり、施設長から職員へも話をしています。今後は、個人情報の取り扱いについて「生活のしおり」などに記載し、母親と子どもへの説明と理解を得ていくことを望みます。
内容評価基準(27項目)
A-1 母親と子どもの権利擁護、最善の利益に向けた養育・支援
(1) 母親と子どもの権利擁護 第三者
評価結果
A1 母親と子どもの権利擁護に関する取組が徹底されている。 c
【コメント】
 権利擁護について、母親には入所時に説明し、子どもに対しては心理担当職員がCAPの研修を受けた内容を分かりやすいようかみ砕いて伝えています。心理相談室には、施設が安心安全な場所であり、安心、自信、自由が守られることが記載され、掲示してあります。今後は、さらに職員全体で権利擁護に関する意識を高め、受講した研修等について共有する機会を設けるなど、より積極的な取組を望みます。
(2) 権利侵害への対応
A2 いかなる場合においても、職員等による暴力や脅かし、人格的辱め、心理的虐待、セクシャルハラスメントなどの不適切なかかわりが起こらないよう権利侵害を防止している。 a
【コメント】
 施設の就業細則の遵守事項には、「職員は利用者の基本的人権を尊重し、権利擁護に努めながら平等に支援・援助をしなければならない。」とあり、権利侵害があった場合は、規定に基づいて厳正に処分を行う仕組みを整備しています。
A3 いかなる場合においても、母親や子どもが、暴力や脅かし、人格を辱めるような不適切な行為を行わないよう徹底している。 a
【コメント】
 不適切な行為の防止については、少年指導員が活動の中で子どものサインを見逃さないよう関わり、心理担当職員は、個別面談により訴えを聞いて対応しています。また、母子支援員は、母親からの訴えを受容的な態度で受け止めるよう努めています。
A4 子どもに対する暴力や脅かし、人格を辱めるような不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 b
【コメント】
 子どもから母親の不適切な養育態度への訴えがあった場合は、職員会議等で共有した上で、母親への面談を行い、職員から不適切な行為による子どもへの影響などについて伝えています。心理担当職員は、CAPの研修で学んだことを子どもに伝えていますが、今後は、子どもが実際に自分自身を守るための知識・具体的方法を学習する機会を計画することを望みます。
(3) 思想や信教の自由の保障
A5 母親と子どもの思想や信教の自由を保障している。 a
【コメント】
 母親や子どもの宗教活動等については、個人の意思を尊重しており、信教の自由を保障しています。また、「生活のしおり」、「利用者規定」にて、宗教に関して、入所時に説明しています。
(4) 母親と子どもの意向や主体性の配慮
A6 母親や子どもが、自分たちの生活全般について自主的に考える活動(施設内の自治活動等)を推進し、施設における生活改善に向けて積極的に取り組んでいる。 a
【コメント】
 施設では、利用者が自らの生活を自主的に考える場として、小学生は「子ども会」、中高生は「きらく会」、母親は「母の会」の活動があり、全員参加となっています。職員はオブザーバーとして参加し、母親や子どもが生活のルールや行事の内容などについて主体的に取り組めるよう支援しています。
(5) 主体性を尊重した日常生活
A7 日常生活への支援は、母親や子どもの主体性を尊重して行っている。 a
【コメント】
 施設では、利用者の意向を尊重した利用計画を作成しています。また、母親から将来の夢や希望について語られた時には気持ちに寄り添い、情報提供や励ましの声掛けをして、実現に向けて支援しています。
A8 行事などのプログラムは、母親や子どもが参画しやすいように工夫し、計画・実施している。 a
【コメント】
 施設の行事の目的や趣旨については、「母の会」や「子ども会」で職員から説明しています。行事のプログラムは、母親と子どもが主体的に企画し、全員が参加しています。日帰り旅行などは、母親が安心して参加し、楽しめるように保育などのサポートを行っています。行事実施後は職員会議で振り返りを行い、次回の実施につなげています。
(6) 支援の継続性とアフターケア
A9 母親と子どもが安定した生活を送ることができるよう、退所後の支援を行っている。 b
【コメント】
 施設では、退所時には利用者の希望に沿った内容でアフターケア契約書を作成し、関係機関と情報共有しながら支援しています。年1回OB会が開催され、多数の退所者の参加があり、近況を知る機会となっています。今後は、退所後の支援が効果的に行われるよう、退所後の支援計画の作成を望みます。
A-2 支援の質の確保
(1) 支援の基本 第三者
評価結果
A10 母親と子どもそれぞれの個別の課題に対応して、専門的支援を行っている。 b
【コメント】
 施設では、見学時や入所時の面談、利用計画をもとに、母親と子どもの現状や意向を確認した上でアセスメントを行っています。自立支援会議では、心理担当職員の見立ても参考にしながら、支援計画を作成しています。今後は、母親と子どもがそれぞれ抱える個別の課題に対して、目的や目標を明確にし、計画的で一貫した専門的な支援を行うことを望みます。
(2) 入所初期の支援
A11 入所に当たり、母親と子どもそれぞれのアセスメントに基づき、生活課題・ニーズを把握し、生活や精神的な安定に向けた支援を行っている。 b
【コメント】
 入所時は、母子支援員がインテーク面接を行っており、担当制ではなく、利用者が必要に応じて、いつでもどの職員にも相談できることを伝えています。施設はバリアフリーになっていないため、多子世帯や歩行に障害のある利用者にとっては安全な環境とはいえません。今後、そのような利用者へより積極的な配慮を望みます。
(3) 母親への日常生活支援
A12 母親が、安定した家庭生活を営むために必要な支援を行っている。 a
【コメント】
 施設では、これまでの生活歴から基本的な生活習慣が身についていない母親に対しては、栄養管理や清潔保持、金銭管理などの生活スキルを向上させるための支援を行っています。また、職員に介入されることを望まない母親に対しては、声掛けや見守りをしながら、困ったときに支援を求められるような関係づくりに努めています。
A13 母親の子育てのニーズに対応するとともに、子どもとの適切なかかわりができるよう支援している。 b
【コメント】
 施設では、子育てについて、子ども一人ひとりの状態に合わせた支援を心掛けており、母親といっしょに考え寄り添う姿勢を大切にしています。また、母親による虐待や不適切な関わりを発見した時には、職員が介入し、児童相談所と連携し、母親への支援を行っています。今後は、母親が子どもを客観的に理解できるような具体的な取組を望みます。
A14 母親が安定した対人関係を築くための支援を行っている。 b
【コメント】
 職員は、母親に「母の会」への参加を呼び掛け、母親同士の関係づくりに努めています。母親同士のトラブルが生じたときには職員が間に入って、関係性の改善が図られるよう配慮しています。施設の心理担当職員は子どもへの支援が中心となっており、母親への心理療法等は実施していません。今年度より、心理担当職員が母親の成育歴の聴取を担当するようになったことをきっかけとして、今後は、母親への心理的支援を行うことを期待します。
(4) 子どもへの支援
A15 健やかな子どもの育ちを保障するために、養育・保育に関する支援を行っている。 a
【コメント】
 施設では、2か月に一度「リフレッシュ保育」を実施し、仕事や職業訓練校に通っている母親が、休日に育児から解放されて、ゆっくり自分の時間を持てるよう支援しています。また、子どもには、主に少年指導員が学習や遊びで関わり、心理担当職員と情報を共有しながら、必要に応じて個別に面談を行っています。
A16 子どもが自立に必要な力を身につけるために、学習や進路、悩み等への相談支援を行っている。 a
【コメント】
 施設には学習室があり、少年指導員や大学生がボランティアとして子どもの学習指導にあたっています。学校とは年1回連絡会を開き、子どもの様子を共有するなど情報交換の場を設けています。奨学金等については、これまで対象となるケースはありませんでしたが、支援の体制は整えています。
A17 子どもに安らぎと心地よさを与えられるおとなとのかかわりや、子どもどうしのつきあいに配慮して、人との関係づくりについて支援している。 a
【コメント】
 少年指導員と心理担当職員は、子ども会でSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)を実施し、人との関係づくりへの支援をしています。また、職員は、子どもに対して受容的な態度で接し、甘えられるような環境づくりを心がけており、安心した大人モデルとなるよう職員会議で振り返る機会を設けています。
A18 子どもの年齢・発達段階に応じて、性についての正しい知識を得る機会を設け、思いやりの心を育む支援を行っている。 b
【コメント】
 職員は、性に関する研修会に参加していますが、子どもが性についての知識を得るための学習会は実施していません。今後は、年齢に応じた正しい性知識を得る機会を持てるよう、より積極的な取組を期待します。
(5) DV被害からの回避・回復
A19 母親と子どもの緊急利用に適切に対応する体制を整備している。 b
【コメント】
 施設では、緊急時対応マニュアルを作成し、あらかじめ、生活用品等を用意するなど、緊急入所や広域入所などに柔軟に対応する体制を整備しています。DV防止法に基づく「一時保護委託入所」や自治体との契約に基づく「緊急一時保護」の受入は行っていません。
A20 母親と子どもの安全確保のために、DV防止法に基づく保護命令や支援措置が必要な場合は、適切な情報提供と支援を行っている。 a
【コメント】
 施設では、法的手続きが必要な場合は、顧問弁護士と相談しながら進めており、その際の同行支援も行っています。また、DV加害者に居所が知れ、危険が及ぶ可能性がある場合には、母親と子どもの意向を確認した上で、措置権者の福祉事務所と連携して、転居等の支援を行っています。
A21 心理的ケア等を実施し、DVの影響からの回復を支援している。 b
【コメント】
 施設では、職員が入所当初から母親が安心して生活できるよう、できるだけ話を聴き、受容することを心がけています。心理担当職員は配置されていますが、子どもの心理的ケアが中心となっており、母親への心理療法等は実施していません。施設利用者の多くはDV被害者であることから、今後は、母親へのより積極的な心理的支援を期待します。
(6) 子どもの虐待状況への対応
A22 被虐待児に対しては虐待に関する専門性を持ってかかわり、虐待体験からの回復を支援している。 a
【コメント】
 被虐待児に対しては、主に保育士、少年指導員、心理担当職員が暴力によらないコミュニケーションを用いる大人モデルを示し、大切な存在であることを伝えています。さらに、心理担当職員は子どもが自由に自分を表現できる場を作ることを目的として、紙粘土やコラージュ、パステルアートなどのアートセラピーを実施し、作品の内容から子どもたちへの理解を深め、自己肯定感や自尊感情の形成に向けた支援を行っています。
A23 子どもの権利擁護を図るために、関係機関との連携を行っている。 a
【コメント】
 施設では、入所にあたって、児童相談所をはじめ、措置権者である福祉事務所と連携し、保育園や小学校と情報を共有しています。虐待が疑われた場合は、職員会議で共有した上で児童相談所に通報し、連携しながら対応しています。
(7) 家族関係への支援
A24 母親や子どもの家族関係の悩みや不安に対する相談・支援を行っている。 a
【コメント】
 母子支援員は母親の家族関係の悩みを受け止め、家族の中で感情の行き違いや意見の相違がある場合は、それぞれから話しを聴き、調整を行っています。また、心理担当職員は、子どもとの個別の面談のなかで家族関係の悩みを相談しやすいように心がけています。
(8) 特別な配慮の必要な母親、子どもへの支援
A25 障害や精神疾患、その他の配慮が必要な母親と子どもに対する支援を適切に行い、必要に応じて関係機関と連携している。 a
【コメント】
 障害や精神疾患など、特別な配慮が必要な母親や子どもに対しては、同意を得たうえで、母子支援員が通院同行や服薬管理を行っており、必要に応じて病院のケースワーカーなどのアドバイスを受けて支援しています。
(9) 就労支援
A26 母親の職業能力開発や就労支援を適切に行っている。 a
【コメント】
 入所時に母親の就労への意向を確認した上で、心身の状況や能力に配慮し、資格取得や能力開発のための情報提供、ハローワークへの同行など、それぞれに適切な就労支援を行っています。
A27 就労継続が困難な母親への支援を行い、必要に応じて職場等との関係調整を行っている。 b
【コメント】
 施設では、就労が困難な母親の受入を積極的に行っており、必要に応じて生活保護の活用なども提案しています。職員は、母親の職場での人間関係などの悩みについて話を聴くようにしており、就労が安定するよう支援しています。
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