社会的養護施設第三者評価結果 検索

南河学園

第三者評価結果詳細
共通評価基準(45項目)Ⅰ 養育・支援の基本方針と組織 
1 理念・基本方針
(1)理念、基本方針が確立・周知されている。 第三者
評価結果
1 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。 b
【コメント】
 理念・基本方針は明文化され、パンフレットやホームページに記載されています。内容も子育ての目標を達成するため、家庭的な生活環境を重視したものになっており、今日の状況を反映した適切なものになっています。職員には新任教育や年度初めの職員会議等で周知、確認がなされていますが、子どもや保護者への説明が不十分なので、「入所のしおり」等に分かりやすく説明し、周知に向けて工夫することが望まれます。
2 経営状況の把握
(1) 経営環境の変化等に適切に対応している。 第三者
評価結果
2 施設経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。 a
【コメント】
 施設長は、全国児童養護施設協議会の副会長であり、また、大阪府社会福祉協議会児童施設部会の部会長等さまざまな役職を担っており、その立場からも最新の児童福祉に関する動向や計画等の情報を入手し、それらを分析しながら施設の運営に反映しています。
3 経営課題を明確にし、具体的な取組を進めている。 a
【コメント】
 現在の当施設の経営課題として、人材確保、人材育成、そして、家庭的養護の計画的な推進であることを口頭で確認しました。このことは、役員も確認し、職員にも周知しています。これらの経営課題は、施設なりに取り組まれています。
3 事業計画の策定
(1) 中・長期的なビジョンと計画が明確にされている。 第三者
評価結果
4 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。 b
【コメント】
 理念や基本方針、経営課題の実現に向けた中・長期計画は、一部、方向性のみ文章化していますが、3年先、5年先の姿が見えるような具体的な計画にはなっていません。家庭的養護の推進等の取り組みは、そのための人事や財務を含めた総合的な計画として策定し、それに基づいて実施することが望まれます。
5 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。 b
【コメント】
 単年度の事業計画は、単に「行事計画」だけでなく、職員体制や地域サービス、研修計画、心理療法に関する事項等が明記されたものとなっています。単年度の事業計画に、中・長期計画の内容が十分に反映されていませんので、改善が望まれます。
(2) 事業計画が適切に策定されている。
6 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。 a
【コメント】
 事業計画は、5つの専門委員会等でまとめられた内容を主任会議で取りまとめ、職員会議で全職員に周知しています。見直しについては毎年10月頃に特別委員会で検討がなされ、主任会議で見直しがなされています。
7 事業計画は、子どもや保護者等に周知され、理解を促している。 b
【コメント】
 事業計画の中で子どもに直接関係する事項については、年度末に子どもに発表し、あわせて掲示して周知を図っています。今後は、保護者等に向けての説明や周知に向けて工夫することが望まれます。
4 養育・支援の質の向上への組織的・計画的な取組
(1) 質の向上に向けた取組が組織的・計画的に行われている。 第三者
評価結果
8 養育・支援の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。 b
【コメント】
 養育・支援の質の向上に向けては、組織的にPDCAのサイクルに基づいて実施しています。3年に一度の第三者評価は受審していますが、受審しない年度の自己評価が取り組めていません。今後は定められた評価基準に沿った自己評価を実施することが求められます。
9 評価結果にもとづき施設として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。 b
【コメント】
 前回の第三者評価で指摘された改善事項は、文書でまとめられ、職員間で課題の共有化が図られています。しかし、その評価結果に基づく改善に向けた取り組みがなされていないので、その仕組みを確立する中で、改善に向けて計画的に取り組むことが望まれます。
Ⅱ 施設の運営管理
1 施設長の責任とリーダーシップ
(1) 施設長の責任が明確にされている。 第三者
評価結果
10 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。 a
【コメント】
 施設長は、自らの役割や責任を施設広報誌に掲載し、表明しています。また、毎年度の事業計画に全職員の職務分掌を掲載し、役割・責任・権限、対外的職務等を明確にしています。
11 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。 a
【コメント】
 施設長は、全国児童養護施設協議会の副会長、大阪府社会福祉協議会の児童施設部会長等としての役割と立場から法令遵守については幅広い知識と見識を持って施設運営に従事しています。職員には、コンプライアンスの徹底を常に求めています。
(2) 施設長のリーダーシップが発揮されている。
12 養育・支援の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。 a
【コメント】
 施設長は、養育・支援の質の向上に意欲を持って、組織内に5つの専門委員会を設置して、それぞれ課題の把握と改善に向けての取り組みを指示しています。研修についても施設内研修を充実させ、また、外部の研修会に積極的に職員を派遣しています。
13 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。 a
【コメント】
 施設長は、経営の改善や業務の実効性について把握、分析し、必要に応じて人員体制や環境の整備をして業務の実効性を高めるための取り組みをしています。組織的には各専門委員会等からの意見や要望について主任会議、特別検討委員会で検討、対応する仕組みを構築しています。
2 福祉人材の確保・育成
(1) 福祉人材の確保・育成計画、人事管理の体制が整備されている。 第三者
評価結果
14 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。 a
【コメント】
 現在の経営課題の一つである人材確保、人材育成について、養成校との有機的な連携に基づいて具体的に取り組んでいます。人材育成については、新任職員に対するOJTやスーパービジョン体制を構築して職員の定着と資質向上に向けて取り組んでいます。
15 総合的な人事管理が行われている。 c
【コメント】
 「期待する職員像」について、理念や基本方針から一部、読み取ることができますが、職員の役職や経験等に基づく役割に求める「期待する職員像」が描かれていません。総合的な人事基準の構築を目指し、職員一人ひとりが自らの将来の姿を描くことができるような仕組みを作り上げることが求められます。
(2) 職員の就業状況に配慮がなされている。
16 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。 b
【コメント】
 有能な人材が少しでも長く勤務できるよう、勤務体制に関する職員からの意見や要望の収集を可能な範囲で行っています。改善点や課題等については、特別検討委員会で検討し、施設長に上申する仕組みが構築されています。職員からの悩み等に対して産業医や心理士に相談できる体制が整備されています。
(3) 職員の質の向上に向けた体制が確立されている。
17 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。 c
【コメント】
 職員一人ひとりの目標管理のための仕組みが構築されていません。「目標管理シート」等を活用し、目標項目や水準、期限等を明確にしながら目標の達成度などを定期的に確認できる体制を整備することが求められます。
18 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。 b
【コメント】
 被虐待児の入所が増加している今日、より良い養育・支援を実現するため、研修計画の中には専門的な技術の獲得を目指した計画が明示されています。研修計画は、毎年度末に評価と見直しを行い、次年度の立案に反映しています。
19 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。 a
【コメント】
 事業計画書の中に「職員の資格一覧表」が示されています。新任職員には、各グループで個別的なOJTが実施されています。また、主に派遣研修は、職種別研修、階層別研修、テーマ別研修の機会として積極的に取り組まれています。
(4) 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成が適切に行われている。
20 実習生等の養育・支援に関わる専門職の教育・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。 b
【コメント】
 実習生の受け入れは、平成28年度実績として22校の養成校から72名の学生を受け入れています。実習生に配布する「実習の心得」は整備されていますが、専門職の教育・育成に関しての施設の基本姿勢等を謳った「実習受け入れマニュアル」が未整備となっていますので、整備して対応することが望まれます。
3 運営の透明性の確保
(1) 運営の透明性を確保するための取組が行われている。 第三者
評価結果
21 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。 b
【コメント】
 施設運営の透明性を確保するため、ホームページや広報誌に理念や基本方針、養育・支援の内容、財務諸表等が適切に公開されていますが、苦情・相談体制やその件数、改善・対応状況等が未公表となっているので、公表に向けて取り組むことが望まれます。。
22 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。 b
【コメント】
 施設における事務、経理、取引等については経理規程に定められ、それに基づいた取り組みがなされています。外部の税理士に定期的なチェックを受け、助言を受けていますが、内部のチェック体制についても整備することが望まれます。
4 地域との交流、地域貢献
(1) 地域との関係が適切に確保されている。 第三者
評価結果
23 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。 a
【コメント】
 事業計画書の中に「地域との関わりについて」の基本的な考え方や方針が明記されています。活動としては、地域で開催される夏まつりや小学校区のフェスティバル等に参加しています。また、地域に向けて施設の理解を得るために子どもたちによる町内清掃といった奉仕活動を展開しています。
24 ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。 b
【コメント】
 「社会体験研修の手引き」「体験実習の手引き」等は作成され、該当者向けに施設についての説明文が記載されていますが、何故、ボランティアを受けるのかといった受け入れの目的や施設の基本姿勢等を明記した「受け入れマニュアル」が整備されていません。学習ボランティア、遊びボランティア、理容ボランティア、清掃ボランティア等ボランティアの受け入れは積極的に行っています。また、市の教育委員会や教職員の研修を受け入れるなど学校教育にも協力しています。
(2) 関係機関との連携が確保されている。
25 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。 a
【コメント】
 個々の子どもの状況に対応できるように、児童相談所のワーカー一覧や教育機関、保健機関、医療機関、市福祉事務所等関係機関のリストが職員室に掲示されています。市社会福祉協議会内に組織されている民間社会福祉施設連絡会による「地域貢献委員会」に所属し、活動しています。今後は必要に応じて子どもの状況等に応じたアフターケア等を含めた、地域ネットワークの構築等が期待されます。
(3) 地域の福祉向上のための取組を行っている。
26 施設が有する機能を地域に還元している。 b
【コメント】
 地元の町会や地車保存会等の町会諸団体の会合や地域のスポーツ団体等に施設のホールや会議室を貸出しています。現在、地域住民に対し施設内での講演会や研修会は開催していませんが、施設長はじめ職員が講師として地元関係機関等に招聘されて専門性を発揮しています。
27 地域の福祉ニーズにもとづく公益的な事業・活動が行われている。 b
【コメント】
 柏原市、羽曳野市、八尾市と契約して子育て支援事業(ショートステイ、トワイライトステイ)を実施しています。また、市の知的障がい者相談事業の窓口として登録されています。市の民間社会福祉施設会による「地域貢献委員会」の活動に参加し、地域における福祉ニーズの把握に努めています。
Ⅲ 適切な養育・支援の実施
1 子ども本位の養育・支援
(1) 子どもを尊重する姿勢が明示されている。 第三者
評価結果
28 子どもを尊重した養育・支援の実施について共通の理解をもつための取組を行っている。 a
【コメント】
 大阪府社会福祉協議会の児童施設部会が作成した「倫理綱領」を毎朝の朝礼時に勤務職員全員で唱和し、子どもと関わる上での心構えを確認しながら実践しています。業務の標準的なマニュアルにおける個々の養育・支援の方法に子どもを尊重した姿勢が反映されています。子どもへの関わりについては、生活専門委員会等で確認・検証され、子どもの尊重や基本的人権への配慮が把握・評価されています。
29 子どものプライバシー保護等の権利擁護に配慮した養育・支援の実施が行われている。 b
【コメント】
 「プライバシーマニュアル」としてまとめられていませんが、業務標準マニュアルの個々の養育・支援のあり方の部分に、一人ひとりの子どものプライバシー(他人に知られたくない、見られたくない)を保護することが謳われています。虐待防止については「施設内人権侵害対応マニュアル」として、事象が発生した時の手順等が文章化され、フローチャート図が定められています。今後は、子どものプライバシー保護を含めた権利擁護全体の施設の取り組みをマニュアル化し、子どもや保護者にも周知することが望まれます。
(2) 養育・支援の実施に関する説明と同意(自己決定)が適切に行われている。
30 子どもや保護者等に対して養育・支援の利用に必要な情報を積極的に提供している。 a
【コメント】
 緊急入所等の場合を除いてアドミッションケア(入所までの取り組み・支援)は丁寧に行われています。
31 養育・支援の開始・過程において子どもや保護者等にわかりやすく説明している。 b
【コメント】
 入所時における説明は、パンフレットや「入所のしおり」等を用いて丁寧に行われています。予防接種については、保護者の同意書を取って、書面を残しています。入所中において必要な事項については説明に心がけていますが、「自立支援計画」については子どもや保護者の意見や同意が取れていません。
32 措置変更や地域・家庭への移行等にあたり養育・支援の継続性に配慮した対応を行っている。 b
【コメント】
 措置変更時には、継続した取り組みができるよう引継書を定めています。施設を退所した後も相談ができるよう窓口を定めており、口頭で子どもや保護者に伝えていますが、文書を作成し、配布するなどして周知することが望まれます。
(3) 子どもの満足の向上に努めている。 第三者
評価結果
33 子どもの満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。 a
【コメント】
 入所している子どもの生活上の満足について年2回「児童の声を聞く週間」を設け、担当職員が直接子どもに面接して把握しています。また、児童会に顧問の職員が毎回参加して、子どもの声を聞いています。それらは必要に応じて主任会議に報告され、生活の改善につながっています。
(4) 子どもが意見等を述べやすい体制が確保されている。
34 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。 c
【コメント】
 苦情解決の体制は整備されていますが、マニュアルが未整備です。苦情解決に関するポスターは、玄関や各フロアに掲示されています。苦情は子どもだけでなく、保護者や近隣住民、関係機関からのものもあり、今後、体系的に取り組んでいくことが望まれます。また、受付件数や内容、対応状況等の公表に向けて取り組むことが求められます。
35 子どもが相談や意見を述べやすい環境を整備し、子ども等に周知している。 a
【コメント】
 「子どもの権利ノート」に困ったときは職員に相談できることが記載されています。また、児童相談所のケースワーカーや苦情解決体制の第三者委員に相談できることも権利ノートや掲示物で周知されています。
36 子どもからの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。 b
【コメント】
 苦情対応とは別に相談・意見を受けた際の記録の方法や報告の手順、対応策の検討等について定めたマニュアルを整備することが望まれます。
(5) 安心・安全な養育・支援の実施のための組織的な取組が行われている。 第三者
評価結果
37 安心・安全な養育・支援の実施を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。 b
【コメント】
 危機管理マニュアルが作成され、侵入者対応のフローチャートや外部からの問い合わせに関する対応マニュアル等が定められています。ヒヤリハット事案は毎朝の朝礼時に報告がなされ、ノートにメモされています。今後は、ヒヤリハット報告や事故報告書の様式を作成し、組織的に事故の予防や再発防止に向けて取り組むことが望まれます。
38 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。 a
【コメント】
 感染症対応マニュアルは整備され、組織的に担当者が決められ、適切に対応がなされています。また、日常的な手洗いやうがいなどが徹底され、感染症防止に向けて積極的に取り組まれています。
39 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。 b
【コメント】
 非常災害時の職員体制が整備され、毎年度の事業計画に掲載されています。町内の避難防災訓練に参加し、地域ぐるみでの取り組みも実施しています。今後は、災害に応じてさまざまな状況をシミュレーションして、どんな状況でも対応でき、子どもと職員を守る体制を構築することが望まれます。
2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の標準的な実施方法が確立している。 第三者
評価結果
40 養育・支援について標準的な実施方法が文書化され養育・支援が実施されている。 a
【コメント】
 養育・支援についての標準的な取り決めは、新任職員に向けての研修資料に文書化されています。今回、さらに夏休みや冬休みの生活に関するマニュアル等が策定され、より充実したものになっています。大阪府社会福祉協議会の児童施設部会が編集・発行した「児童福祉施設援助指針」を全職員が携帯し、標準的な考え方を共有しています。
41 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。 a
【コメント】
 標準的な実施方法は毎年度末に各専門委員会等で一斉点検をし、評価、見直しがなされています。検討の上、改善点等は主任会議に報告され、対応されています。
(2) 適切なアセスメントにより自立支援計画が策定されている。
42 アセスメントにもとづく個別的な自立支援計画を適切に策定している。 a
【コメント】
 入所時のアセスメントは、児童相談所からの援助計画をもとに心理士によるアセスメントが所定のシートを用いて行われています。自立支援計画は担当者(保育士と児童指導員)が中心になって草案し、総括主任が点検して策定し、施設長の決済を受けています。「自立支援計画」は写しを児童相談所の担当ケースワーカーに送付しています。
43 定期的に自立支援計画の評価・見直しを行っている。 b
【コメント】
 自立支援計画の見直しは、年度途中で実施される各児童相談所の訪問調査時に、すべての入所児童の現状把握に基づいて再評価され、それをもって見直しと位置づけています。ただ、援助方針が変更しても「自立支援計画」そのものの変更がなされていないので、変更自立支援計画を策定する仕組みを構築することが望まれます。
(3) 養育・支援の実施の記録が適切に行われている。
44 子どもに関する養育・支援の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化さている。 a
【コメント】
 記録については、マニュアルが用意され、記録者によって記録の書き方に差異がないよう取り組んでいます。さらに主任クラスの職員が記録の記述等を確認し、書き方や表現の指導にあたっています。情報の共有のためパソコンを導入し、情報の漏れがないよう配慮しています。
45 子どもに関する記録の管理体制が確立している。 b
【コメント】
 記録の保存年限は定められています。個人情報保護に関する規程は整備され、職員に研修・周知がなされています。施設の個人情報への取り組みについて、子どもや保護者に説明がなされていないので、周知に向けて取り組むことが望まれます。

内容評価基準(41項目)A-1 子ども本位の養育・支援
(1) 子どもの尊重と最善の利益の考慮 第三者
評価結果
A1 社会的養護が子どもの最善の利益を目指して行われることを職員が共通して理解し、日々の養育・支援において実践している。 a
【コメント】
 「心身ともに健全な社会人を育成すること」を基本理念とし、日々の会議などで話し合いが行われ職員ひとりひとりが真摯に取り組んでいます。
 各種会議、委員会において養育の検証が行われ子どもの最善の利益をめざした取り組みが行われています。
A2 子どもの発達段階に応じて、子ども自身の出生や生い立ち、家族の状況について、子どもに適切に知らせている。 a
【コメント】
 子どもの出生や生い立ちについては、児童相談所と連携し、伝える時期、内容について慎重に協議し内容が伝えられています。
 ライフストリーワークについては、児童相談所が中心となって進められていますが、今後園内での取り組みが期待されます。
(2) 権利についての説明
A3 子どもに対し、権利について正しく理解できるよう、わかりやすく説明している。 b
【コメント】
 「権利ノート」については、原則として、入所時に児童相談所から説明し手渡されています。
 今後、職員間で児童の年齢や理解度に応じた学習の機会を設けることが望まれます。
(3) 他者の尊重
A4 様々な生活体験や多くの人たちとのふれあいを通して、他者への心づかいや他者の立場に配慮する心が育まれるよう支援している。 a
【コメント】
 男女混合縦割りのグループ活動の利点を生かし、日常的に異性、異年齢児への配慮を学ぶ機会を設けています。
 ハイキングなど行事についても、計画段階から年少児に配慮するなど助け合い、協力し合うよう支援しています。
(4) 被措置児童等虐待対応
A5 いかなる場合においても体罰や子どもの人格を辱めるような行為を行わないよう徹底している。 a
【コメント】
 体罰等の禁止については、管理規程などに定められており、職員会議などを通じ職員に周知徹底されています。
A6 子どもに対する不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 b
【コメント】
 職員の子どもに対する関わりについては、朝礼で倫理綱領を唱和するなど職員の意識向上に努めています。
 また、CAPをとおし子どもたちが自らを守るための知識と具体的な方法を習得できるよう取り組んでいます。
 今後、不適切なかかわりについて、職員会議等で研修を行う機会を設けること、具体的な例示により子どもに周知することなどが望まれます。
A7 被措置児童等虐待の届出・通告に対する対応を整備し、迅速かつ誠実に対応している。 b
【コメント】
 被措置児童等虐待の届出・通告制度についての手順は、新任研修等で周知されています。今後、公益通報者保護規程を整備することが望まれます。
(5) 思想や信教の自由の保障
A8 子どもや保護者等の思想や信教の自由を保障している。 a
【コメント】
 入所児童及び保護者に対する思想・信仰上の自由については、最大限配慮されています。
(6) こどもの意向や主体性への配慮
A9 子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、そこから分離されることに伴う不安を理解し受けとめ、不安の解消を図っている。 b
【コメント】
 入所は、一時保護からのケースが多くを占めていますが、家庭支援専門相談員を中心に面会をとおし施設入所が不安とならないような取り組みが定着しています。今後、入所相談から入所までの手順を文書化することが望まれます。
A10 職員と子どもが共生の意識を持ち、子どもの意向を尊重しながら生活全般について共に考え、生活改善に向けて積極的に取り組んでいる。 a
【コメント】
 子どもたちからの意見については、月2回開催される児童会の意見を反映させ生活のルールなどが改善されています。児童会の記録についてはマニュアル化され記録も残されています。
(7) 主体性、自律性を尊重した日常生活
A11 日々の暮らしや、余暇の過ごし方など健全な生活のあり方について、子ども自身が主体的に考え生活できるよう支援している。 a
【コメント】
 行事については、計画段階から児童の意見が取り入れられ実施されています。また、行事への参加については、クラブ活動、アルバイトなど児童の意向が大切にされています。
 地域の行事、清掃活動などの参加についても、児童の意向が配慮されています。
A12 子どもの発達段階に応じて、金銭の管理や使い方など経済観念が身につくよう支援している。 a
【コメント】
 高校生については、1年生の夏休みからアルバイトをすることができます。アルバイトで得た収入については、一定のルールを決め小遣いとして使うことができ、金銭感覚が身に付くよう指導しています。
(8) 継続性とアフターケア
A13 家庭復帰にあたって、子どもが家庭で安定した生活が送ることができるよう復帰後の支援を行っている。 b
【コメント】
 家庭復帰については、担当者と家庭支援員が連携し保護者や関係機関との調整を行っています。
 今後、退所者のケース記録を整備するなどの取り組みが望まれます。
A14 できる限り公平な社会へのスタートが切れるように、措置継続や措置延長を積極的に利用して継続して支援している。 a
【コメント】
 保護者からの支援が得られない児童については、必要があれば措置継続、措置延長などが行えることが伝えられており、子どもに合わせた支援が用意されています。
A15 子どもが安定した社会生活を送ることができるようリービングケアと退所後の支援に積極的に取り組んでいる。 b
【コメント】
 年2回の演芸会には、卒園生も気軽に参加し、在園生と交流できるよう工夫しています。今後、退園者からの相談や園への訪問などを記録とし残すことが望まれます。
A-2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の基本 第三者
評価結果
A16 子どもを理解し、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止めている。 b
【コメント】
 児童日誌などの記録状況や職員の方々が児童に接している様子などから、子どもに寄り添い、子どもを理解し養育していることが確認できました。
A17 基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援している。 a
【コメント】
 月1回の児童会役員会、年2回の「児童の声を聞く週間」などをとおし、児童の意見を確認する取り組みがあります。児童会の意見については、職員会議、園長の判断により日課に反映させるなど柔軟に対応できるシステムとなっています。
A18 子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障している。 a
【コメント】
 中高生については、能力に応じ部活、アルバイトなど自ら判断し行動できるよう支援してます。
 また、職員の配置については、国の制度を活用し充実した内容となっており、朝夕の忙しい時間帯は児童の動きに合わせ職員を配置しています。
A19 発達段階に応じた学びや遊びの場を保障している。 a
【コメント】
 幼児室には、絵本やブロックなど様々な玩具が用意されています。また、各フロアの談話室には図書に加え、児童向けの新聞も用意されています。
A20 秩序ある生活を通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援している。 a
【コメント】
 毎月の職員会議で職員の基本姿勢の確認が行われています。また、児童の長期の休み前には、臨時職員会議において、生活支援について再確認がなされています。
 地域の清掃活動、夏祭り、防災訓練などに児童が主体的に参加し、住民に溶け込むも事により社会のルールや規範意識を身につけさせています。
(2) 食生活
A21 食事は、団らんの場でもあり、おいしく楽しみながら食事ができるよう工夫している。 b
【コメント】
 今年度に入り、給食業務が外部の業者に委託されました。これまでの間、大きなトラブルはありません。調整が必要な案件については、業者側の栄養士が給食会議に参加する取り組みも始まっています。
 グループ(男女混合縦割り)ごとに食事を摂っており、賑やかなで楽しい時間となっています。陶器の食器使用については、出来るものから取り組むよう職員間での話し合いを行うことが望まれます。
A22 子どもの嗜好や健康状態に配慮した食事を提供している。 b
【コメント】
 食事についての嗜好調査は、年1回実施されています。また、毎月の給食会議でメニューの見直しも行われています。
A23 子どもの発達段階に応じて食習慣を身につけることができるよう食育を推進している。 b
【コメント】
 グループ(男女混合縦割り)での食事により、準備や片付けなどの習慣が自然な形で身につくように支援しています。
(3) 衣生活
A24 衣類が十分に確保され、子どもが衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援している。 a
【コメント】
 年2回の買い物実習で、子ども目線で季節にあった衣類を購入することができます。
 また、大型洗濯機を導入するなど職員の負担を軽減しながら清潔な衣料が身につけられるよう支援しています。
(4) 住生活
A25 居室等施設全体がきれいに整美されている。 a
【コメント】
 子どもが生活する空間については、児童と職員が協力して清掃に取り組む時間が設けられており、整理整頓や清掃方法などを指導しています。
A26 子ども一人ひとりの居場所が確保され、安全、安心を感じる場所となるようにしている。 b
【コメント】
 6~7人のグループ(男女混合縦割)により、食事や行事が行われています。ハード面の制約がありますが、一人一人の居場所やプライベートな空間を確保する工夫が望まれます。
(5) 健康と安全
A27 発達段階に応じ、身体の健康(清潔、病気、事故等)について自己管理ができるよう支援している。 b
【コメント】
 嘱託医による定期的な健康診断などにより、適切な健康管理が行われています。
 また、児童自ら健康をチェックする取り組みも行われています、寝具については、日光干しが行われシーツについては、月2回交換しています。
A28 医療機関と連携して一人ひとりの子どもに対する心身の健康を管理するとともに、必要がある場合は適切に対応している。 b
【コメント】
 医療や健康に関して他機関との連携体制が整えられています。
 感染症などは外部研修に参加した職員からの伝達研修ににより新しい情報が伝えられています。
(6) 性に関する教育
A29 子どもの年齢・発達段階に応じて、他者の性を尊重する心を育てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設けている。 b
【コメント】
 ここ数年、性に関するトラブルは発生しておらず、年齢、性別、発達段階に応じた支援が行われています。
 今後、職員間の性に関する学習機会を設けることが望まれます。
(7) 自己領域の確保
A30 でき得る限り他児との共有の物をなくし、個人所有とするようにしている。 a
【コメント】
 シャンプー、日用品など可能な限り個人所有となるよう取り組んでいます。また、個人の収納スペースを確保するためロッカーやベッドなどを整備しています。
A31 成長の記録(アルバム等)が整理され、成長の過程を振り返ることができるようにしている。 c
【コメント】
 施設の日々の生活や行事については、毎年、写真アルバムが作成されています。
 個人ごとの写真は、生い立ちや成長の記録を綴った大切な記録となります。今後、個人アルバムの作成について検討することが求められます。
(8) 行動上の問題及び問題状況への対応
A32 子どもの暴力・不適応行動などの行動上の問題に対して、適切に対応している。 a
【コメント】
 子どもの不適切な言動や行動に対し、主任、指導員、保育士が一丸となり職員がチームとして対応する体制が出来ています。
A33 施設内の子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組んでいる。 a
【コメント】
 グループ(男女混合縦割り)の構成や部屋割りは、児童の人間関係や職員の意見を反映させ実施されています。このことにより、子ども間のトラブルは大幅に減少しています。
A34 虐待を受けた子ども等、保護者等からの強引な引取りの可能性がある場合、子どもの安全が確保されるよう努めている。 a
【コメント】
 ここ数年、強引な引き取りの事例はありませんでしたが、不測の事態に備え「マニュアル」が整備され職員に周知されています。
(9) 心理的ケア
A35 心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行っている。 a
【コメント】
 5名の心理担当職員(非常勤)が心理ケアを実施しています。その内1人が長らく施設と関わっており、スーパーバイザー的な役割も担っています。
また、月1回開催される心理ケア会議には、園の総括主任も出席し連携が図られています。
(10) 学習・進学支援、進路支援等
A36 学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行っている。 a
【コメント】
 小学校低学年の子どもについては、学習室で宿題や基礎学力の支援が行われています。
 また、中学生については、希望すれば学習塾に通うことができます。大学進学を目指している高校3年生については、進学塾での支援が検討されています。
A37 「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援している。 b
【コメント】
 本人の希望に添った進路決定が出来るよう、保護者、学校などと情報交換を行っています。進学希望者には、奨学金などの情報が提供されます。
A38 職場実習や職場体験、アルバイト等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組んでいる。 b
【コメント】
 施設として職場実習は行っていませんが、成績などを勘案しアルバイトをすることができます。アルバイトをとおし、働くことの意義、金銭管理などを学ばせる機会となっています。
(11) 施設と家族との信頼関係づくり
A39 施設は家族との信頼関係づくりに取り組み、家族からの相談に応じる体制を確立している。 a
【コメント】
 担当職員が中心となり、家庭支援専門相談員とともに家族の関係を強化する取り組みが行われています。本年度から家庭支援専門相談員が2人体制となったことからより充実とした内容となるよう期待します。
(12) 親子関係の再構築支援
A40 親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組んでいる。 b
【コメント】
 親子関係の再構築については、子どもの担当者を中心に進めています。また、親子訓練室については、改築時に設置されています。
(13) スーパービジョン体制
A41 スーパービジョンの体制を確立し、職員の専門性や施設の組織力の向上に取り組んでいる。 a
【コメント】
 日常的なスーパーバイズについては、総括主任、主任、基幹的職員によるスーパービジョン体制が整えられています。
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