社会的養護施設第三者評価結果 検索

風の色

第三者評価結果詳細
共通評価基準(45項目)Ⅰ 養育・支援の基本方針と組織 
1 理念・基本方針
(1) 理念、基本方針が確立・周知されている。 第三者
評価結果
1 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。 a
【コメント】
 仏教の聖典に由来する「四諦」を養育の理念、「八正道」を基本理念として支援にあたっている。「四諦」と「八正道」を言葉として覚えるのではなく、子どもに対しても、日常の生活場面の折々に「四諦」と「八正道」の意味と現実の出来事を関係付けて説明している。子どもに説明することで、職員自身も理念や基本方針を深く理解することとなる。「四諦」と「八正道」はホームページやパンフレットでも紹介されている。パンフレットは施設長が一から作成した力作である。
2 経営状況の把握
(1) 経営環境の変化等に適切に対応している。 第三者
評価結果
2 施設経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。 a
【コメント】
 施設長が、県・児童福祉施設長会の副会長を務め、社会福祉協議会の児童ホーム部会の委員を務めている。これらの職務執行の段階で、自ずと全国レベルの児童福祉業界の情報が入ってくる。法人の理事会、幹部会の中でその情報が分析され、課題として抽出され、事業の方針として示される。理事会、幹部会で示された事業所に関わる課題は、班会に下ろして具体的な取り組みに展開される。
3 経営課題を明確にし、具体的な取組を進めている。 a
【コメント】
 法人の理事会や幹部会において、法人レベルの課題や事業所レベルの課題が明確にされている。法人レベルでは、「新規事業展開」や「事業運営の健全化」が討議され、事業所レベルでは、「児童に提供する支援の質の担保」と、その担い手である「職員の育成」を課題としている。「児童に提供する支援の質の担保」と「職員の育成」とは相関関係にあり、適切な手順を維持し、職員研修で専門性を向上させることによって、両者は充たされると考えている。
3 事業計画の策定
(1) 中・長期的なビジョンと計画が明確にされている。 第三者
評価結果
4 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。 a
【コメント】
 法人の中長期計画が示され、それを受けて「風の色中長期計画」が策定されている。中長期計画は毎年度見直し・改定が行われ、その時々の社会情勢や児童福祉業界の動向を踏まえた適切なものとなっている。近年の例を挙げれば、「施設の小規模化」や「性教育の適切な推進」、「(緊急)一時保護の受け入れ体制の強化」、「里親制度の推進」等々が検討された。単年度の事業計画策定に有効な枠組みを示すものとなっている。
5 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。 a
【コメント】
 「風の色中長期計画」に整合させた「2019年度事業計画【風の色】」が策定されている。ISO9001(品質マネジメントシステム)の認証取得法人であり、その「品質目標」に事業所の課題(重点目標)を符合させて取り組んでいる。20件に及ぶ「品質目標」には全て数値目標が設定されており、事業報告(事業計画終了時評価)では、達成か未達成かが明確になり、また達成度の割合が可視化できる仕組みとなっている。
(2) 事業計画が適切に策定されている。
6 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。 a
【コメント】
 事業計画は法人の幹部会で毎月検証され、事業所の班会でも「品質目標」ごとに評価が加えられている。事業を取り巻く状況や環境の変化によって「品質目標」の数値が妥当性を欠いた場合には、6ヶ月経過時点の中間評価で、「品質目標」の数値を変更することも可能である。事業計画終了時評価の結果は、班会で検討されて次年度事業計画の「品質目標」に反映される。
7 事業計画は、子どもや保護者等に周知され、理解を促している。 a
【コメント】
 班会を中心に事業計画が策定されていることから、職員の理解は深い。子どもには、事業計画を分かりやすい言葉に置き換えた連絡文書を作成し、各棟に掲示している。さらに、自治会でも具体的な説明を加えている。保護者には、一時帰省や面会の機会を活用して計画書を渡している。その機会のない保護者に対しては、事業計画の掲載されている事業所の広報誌「風の子」を郵送している。
4 養育・支援の質の向上への組織的・計画的な取組
(1) 質の向上に向けた取組が組織的・計画的に行われている。 第三者
評価結果
8 養育・支援の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。 b
【コメント】
 経営課題(児3)として「児童に提供する支援の質の担保」を挙げている。「支援の質」は、子どもの満足度に置き換えることができ、顧客満足度を測ることで「支援の質」の向上や下降が判じられる。さて、事業計画の「品質目標」には、顧客満足に関する具体的な目標が4件掲げられ、平成30年度は3件達成、1件未達であった。今回の第三者評価受審の利用者アンケートでは、3年前と比し、自由記述に否定的な言葉が増えた。時間的経過で、「感謝」が「当たり前」になる「顧客満足度の不確実性」に対処されたい。
9 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。 a
【コメント】
 前回の第三者評価で改善指摘事項となった項目2件関しては、組織的な取り組みの結果、全て改善が図られていた。ISO9001(品質マネジメントシステム)の認証取得法人であり、事業運営の様々な取り組みの中から課題が抽出される。その課題の主たるものを「品質目標」に取り上げ、数値目標を設定して取り組んでいる。ISO9001の要求事項に従って「内部監査」が実施され、事業所の重点課題である「品質目標」が評価されている。
Ⅱ 施設の運営管理
1 施設長の責任とリーダーシップ
(1) 施設長の責任が明確にされている。 第三者
評価結果
10 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。 a
【コメント】
 「組織職務規程」により、施設長のだけでなく、役職者それぞれの裁量権が明確にされている。「2019年度風の色組織表」で施設長以下、組織の全容が分かる。事業所の広報誌「風の子」で、自らの考えを事業所内外に伝えている。施設長自らが1から取り組んだパンフレット「Children’s home KAZENOIRO」が完成した。カラー刷り8ページの中に、施設長の思いがしっかり詰っている。
11 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。 a
【コメント】
 施設長自らが県の関係団体の役員を務めることから、法改正や制度変更の動きや情報をいち早く入手することができ、職員への周知を図って適切な事業所運営に繋げている。法人内にはコンプライアンス委員会が組織され、県の求める水準をはるかに上回るレベルで法令順守に取り組んでいる。施設長はじめ職員は、コンプライアンスに関する研修には積極的に参加している。
(2) 施設長のリーダーシップが発揮されている。
12 養育・支援の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。 a
【コメント】
 第三者評価は3年に1度定期的に受審し、受審のない年は同じ評価基準を使って自己評価を行っている。また、質の向上を目指すISO9001(品質マネジメントシステム)の定期審査(もしくは更新審査)が毎年あり、常に現状を評価して改善を進めるPDCAサイクルを意識した事業所運営になっている。班会が機能しており、管理者の目指す方向への機動力となっている。
13 経営の改善や業務の実効性を高める取組に指導力を発揮している。 a
【コメント】
 業務の効率化を狙ったコンピューターシステムの開発や通信手段のサイボウズが機能している。手順書の充実や扱いやすい様式の見直し・変更等にも取り組んでいる。直接処遇の職員の割合を増やし、事務処理を行うための「フリータイム」を導入したことで、職員の時間外労働時間の短縮が実現している。
2 福祉人材の確保・育成
(1) 福祉人材の確保・育成計画、人事管理の体制が整備されている。 第三者
評価結果
14 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。 a
【コメント】
 施設長が法人の「人材育成プロジェクト」のチームリーダーを務め、キャリアパスシートに示された人材育成プランに従って、採用から育成までのプロセスを監理している。事業所においては、事業計画に4件の品質目標(採用1件、教育・研修3件)を盛り込んでいる。子どもへの支援を充実させるため、加配職員の配置に積極的に取り組み、心理療法担当職員や里親支援専門相談員、複数のFSW(家庭支援専門員)の配置を実現している。
15 総合的な人事管理が行われている。 a
【コメント】
 キャリアパスの構築によって、職員は自らの将来の姿を描くことが可能となっている。キャリアパスシートに定められた職位・職階については、「組織職務規程」によってその役割や責任の所在が明確になっている。明確な人事基準を定めた「成績評価規程」に則った人事考課制度が運用され、「自己評価・目標設定シート」を使った目標管理が実施されている。
(2) 職員の就業状況に配慮がなされている。
16 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。 a
【コメント】
 児童福祉の業界では、多くの法人が職員不足に悩んでいるが、当該事業所に関しては職員の定着が良く、安定的な雇用関係が継続している。計画的有給休暇付与の施策を採り、年間有給休暇付与日数の100%消化を実現している。事務処理時間を確保するためにフリータイムを設定し、直接処遇職員の時間外労働時間の短縮が図られた。ワーク・ライフ・バランスへの配慮として、妊娠中の職員の業務変更や業務量の軽減を行っている。
(3) 職員の質の向上に向けた体制が確立されている。
17 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。 a
【コメント】
 キャリアパスの構築により、職員一人ひとりの目指す道筋が明確になっている。その道筋に沿って、職員ごとの個別研修計画が作成されている。また、「自己評価・目標設定シート」を使った目標管理が実施され、年間2回の上司とのフィードバック面接が行われている。それらの取り組みは、「成績評価規程」や「職員評価基準」に則って人事考課され、職員処遇や職員育成の根拠となる。
18 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。 a
【コメント】
 事業計画の「品質目標」に、3件の研修項目を掲げて取り組んでいる。「年間研修計画・個別一覧表」には19本の研修が計画され、それぞれの研修について研修講師(基本的に職員)と受講する職員がマトリックスで示されている。外部研修への参加は、今年度は20件を目標として取り組んでいる。外部研修履修後には「復命書」の提出を求め、6ヶ月経過時点で研修効果の測定・評価が行われている。
19 職員一人ひとりの教育・研修等の機会が確保されている。 a
【コメント】
 「資格取得一覧表」によって、職員の保有する各種の資格を管理しており、毎年度更新されている。「年間研修計画・個別一覧表」によって職員ごとの研修参加の状態を管理しており、職員によっての偏りが出ないように配慮している。教育・研修の大きな目的に「業務の標準化」を挙げていることから、今年度の事業計画の「品質目標」には、「手引き等を用いた教育件数690件/年」を掲げている。
(4) 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成が適切に行われている。
20 実習生等の養育・支援に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。 a
【コメント】
 「次代の優秀な福祉専門職を養成する」という法人の使命を理解し、積極的な実習生の受け入れがある。受け入れのためのマニュアルと専用のプログラムを整備し、社会福祉士、保育士を目指す学生や教員免許介護体験の教師を受け入れている。実習責任者や実習担当者だけが情報を持つのではなく、実習ごとに受け入れの詳細を記した文書を作成し、全ての職員に配付して情報の共有を図っている。
3 運営の透明性の確保
(1) 運営の透明性を確保するための取組が行われている。 第三者
評価結果
21 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。 a
【コメント】
 法人のホームページで、法人の理念や基本方針、事業の概要、沿革、事業計画、事業報告、現況届等を公開し、事業運営の透明性を内外に示している。第三者評価の受審結果や苦情情報も公開されている。事業所の事業内容は、ホームページやパンフレットを活用して公開している。適時性を旨とし、ホームページの更新は年間200回を超える。カラー刷り8ページのパンフレットは、施設長が1から創りあげたもので、そこ、ここに施設長の篤い思いがちりばめられている。
22 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。 a
【コメント】
 職務分掌や責任・権限等を明確に定めた規程があり、それに沿って事務、経理、契約、取引等が行われている。法人監事による監事監査に加え、ISO9001(品質マネジメントシステム)の要求事項に従って内部監査員による内部監査が実施されてる。毎年のISO9001の審査、行政の監査を受けており、平成30年度は特段の改善指摘事項はなかった。外部の公認会計士と契約し、会計・財務のチェックを受け、有効な助言を得ている。
4 地域との交流、地域貢献
(1) 地域との関係が適切に確保されている。 第三者
評価結果
23 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。 a
【コメント】
 事業所のパンフレットでは、地域交流の考え方を述べ、地域交流ルームの案内をしている。地域の福祉まつりに参画して里親制度のPR活動を実施したり、産業祭りにはブース出店して事業所の存在をアピールした。法人内4事業所が共催する「夏祭り」には、「風の色ブース」を設けて祭りを盛り上げた。この夏祭りには、町長をはじめ地域からの参加者が多く、利用者、家族を含めて400名を集客した。施設に、子どもの学校の友人が遊びに来ることもある。
24 ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。 a
【コメント】
 「ボランティア受入マニュアル」が整備され、ボランティア受け入れの基本姿勢が明確に示されている。マニュアルには、ボランティア登録から事前オリエンテーションに至るまでの手順や、守秘義務を含む留意事項の数々が網羅されている。事業所の秋祭りには、日頃から支援してもらっているボランティアを招待し、感謝の気持ちを伝えている。
(2) 関係機関との連携が確保されている。
25 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。 a
【コメント】
 「社会資源一覧表」があり、子どもに係わる関係機関や団体を管理している。一覧表の中に収録されているのは、行政機関(県、近隣市町、児童相談所、保健所、警察・消防等)や教育機関(幼・小・中・高校、特別支援学校、福祉系養成校等)、医療機関、同業者の各種団体、ボランティア団体、地域の関係者(町内会役員、民生児童委員等)等々である。これらの社会資源を利用する場合の手順は、「社会資源利用」に明文化されている。
(3) 地域の福祉向上のための取組を行っている。
26 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。 a
【コメント】
 施設長もしくは主任が町の要保護児童対策協議会に参加し、地域の福祉ニーズの把握に努めている。子どもが通う小学校等とのケース会議や、児童相談所との合同ケース会議等からもニーズを拾っている。それらの結果、一時保護や緊急一時保護、子育て世代のショートステイ等のニーズが顕在化してきた。
27 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。 a
【コメント】
 把握した地域の福祉ニーズに対し、可能なものから支援に移している。近隣市町との契約により「ショートステイ」(短期入所)や「トワイライト」(放課後療育)が実績を出している。児童相談所からの要請で、「一時保護」や「緊急一時保護」も、人命に係わる案件だけに可能な限り受け入れを行っている。子育て相談窓口を設置して子育て世代を応援し、里親支援事業の一環として里親に対する研修や相談も行っている。
Ⅲ 適切な養育・支援の実施
1 子ども本位の養育・支援
(1) 子どもを尊重する姿勢が明示されている。 第三者
評価結果
28 子どもを尊重した養育・支援の実施について共通の理解をもつための取組を行っている。 a
【コメント】
 理念や基本方針に子どもを尊重した養育・支援について明示し、保護者や子どもへ説明している。人権の尊重や虐待防止の研修を毎年開催しており、不明な点や不安な点があれば職員間で話し合い、全職員が共通意識を持ってしえんしている。半年に1度、子どもと職員へのアンケートや聞き取りを実施している。
29 子どものプライバシー保護に配慮した養育・支援が行われている。 a
【コメント】
 「個人情報管理規程」、「プライバシーの尊重と保護」、「人権に配慮した指導・支援」があり、事業所独自の手順書により具体的な支援に関しての方法が分かりやすく明文化され、研修で全職員に周知されている。個人情報の漏洩、流出、不当利用に関しての懲戒等の懲罰は「就業規則」に明記されており、職員に周知されている。毎年、学習会の中で職員と子どもに「人権ノート」を配布し、人権と権利の違いの教育が行われている。
(2) 養育・支援の実施に関する説明と同意(自己決定)が適切に行われている。
30 子どもや保護者等に対して養育・支援の利用に必要な情報を積極的に提供している。 a
【コメント】
 パンフレットに加え、「入所の手引き」を事業所独自で作成している。内容は適切で分かりやすく記載されている。また、ホームページでは、ブログ形式で日々の生活の様子を頻繁に更新して伝えている。施設見学に関しては、飛び込みでも臨機応変に対応し、親身にかつ丁寧に説明している。希望があれば、ショートステイ(短期入所)にも柔軟に対応している。
31 養育・支援の開始・過程において子どもや保護者等にわかりやすく説明している。 a
【コメント】
 パンフレットに加え、「入所の手引き」を用いて面会や一時帰宅などの約束、留意点を具体的に説明している。自立支援計画の作成は、課題の整理表で子どもや保護者の意向を取り入れ、子どもと支援内容を確認し、書面で同意を取っている。
32 養育・支援の内容や措置変更、地域・家庭への移行等にあたり養育・支援の継続性に配慮した対応を行っている。 a
【コメント】
 入退所に関するマニュアルが作成されており、引継ぎ文書が必ず作成されている。児童相談所や学校、地域などの関係機関とケース会議を開催し、養育・支援の継続性が保たれるよう配慮している。退所時には漏れがないようチェックリストを作成している。書面にて、相談窓口を設置している旨を保護者や子どもに伝達しており、実際に退所後の相談実績もある。退所後の関わりに関する記録も残している。
(3) 子どもの満足の向上に努めている。 第三者
評価結果
33 子どもの満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。 a
【コメント】
 子どもへの満足度調査を毎年実施し、分析結果から出た課題を改善してホームページに掲載している。毎月、子ども主体の自治会が開催されており、子どものニーズを把握して満足度を数字化している。相談しやすい環境の作り方として、「日常的に児童が相談しやすい雰囲気を作る」、「職員が児童から相談を受けた際の記録の方法」等の手順書を作成している。保護者の満足度の把握は連絡ノートを活用し、記載内容の詳細は面会時などに聞き取っている。
(4) 子どもが意見等を述べやすい体制が確保されている。
34 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。 a
【コメント】
 苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員が設置されている。「苦情解決処理規程」に、苦情解決への話し合いの手順が記載されている。全ての苦情に対して必ず当事者へフィードバックしており、記録も作成されている。苦情内容は職員の班会で周知され、手引書によって支援方法が統一されていることから、事業所全体で改善に取り組んでいる。事業所独自で、「つぶやき」というシステムを整備し、苦情発生前に子どもの要望を聞き取って改善を図っている。
35 子どもが相談や意見を述べやすい環境を整備し、子ども等に周知している。 a
【コメント】
 相談窓口をパンフレットに記載しており、「日常的に児童が相談しやすい雰囲気を作る」、「職員が児童から相談を受けた際の記録の方法」を事業所独自で手順書にし、相談を受けた際の記録方法を明確にしている。自治会では、課題の提示から意思表明までを子ども達だけで行い、施設長に直接申し出ることができるシステムも整備されている。いつでも好きな職員に伝えられるよう、「つぶやき」のシステムを活用して意見を吸い上げ、改善に取り組んでいる。
36 子どもからの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。 a
【コメント】
 子どもが給食会議に参加している。嗜好調査・満足度アンケートを年1回実施している。自治会(子どもからの意見の吸い上げの場)、つぶやき(日常的な意見の吸い上げ)等からも意見や要望を聞き取っている。子どもからの意見は、そのまま放置されることがないように、解決方法や解決した日を「つぶやき」のシステムを活用して記録している。
(5) 安心・安全な養育・支援の実施のための組織的な取組が行われている。 第三者
評価結果
37 安心・安全な養育・支援の実施を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。 a
【コメント】
 安全管理委員会が設置されている。遊具などの危険個所は点検表でチェックし、月1回ヒヤリ・ハット分析を行っている。傾向と対策を職員で話し合い、定期的に事故の場所や発生時間の分析を行っている。また、子ども自身のリスクも分析が行われている。事故に至った時は、規程・手順書等の見直し・改定を実施している。ヒヤリ・ハットや事故については業務記録に必ず残し、その都度対策を検討して全職員に周知し、類以事故の発生予防に努めている。
38 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。 a
【コメント】
 感染症対応の手順書が作成されマニュアル化されている。定期的に看護師が外部研修に参加し、研修した内容を法人統一の研修で伝えている。感染症対策については、ロールプレイ形式で研修されている。各ルームの手洗い場には子ども一人ひとりの個別のハンカチを設置しており、感染症予防に配慮している。
39 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。 a
【コメント】
 事業所の建物構造は、鉄筋ラーメン構造の採用によって強固な構造で建築されており、福祉避難所として認定されている。毎月の避難訓練、消火訓練等が実施されており、地元の消防や警察とも連携を図っている。毎年、法人内の4事業所合同で避難訓練が実施されている。食糧の備蓄は法人内の敷地で備蓄されている。地震で家具などが転倒しない対策も講じられている。
2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の標準的な実施方法が確立している。 第三者
評価結果
40 養育・支援について標準的な実施方法が文書化され養育・支援が実施されている。 a
【コメント】
 養育・支援の標準的な実施方法「援助の手引き」が作成されており、必要と思われる全ての項目においてマニュアル化されている。具体的な支援の実施方法や子どもの人権、プライバシーを保護することの大切さを職員に提示している。新人職員には新人研修で周知徹底し、再研修やOJTを繰り返すことによって、新人職員が独りで支援にあたる場合であっても、子どもに対して適切で統一した支援ができるようにしている。
41 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。 a
【コメント】
 養育・支援の標準的な実施方法は毎年3月に見直し、子どもへのサービスは満足度調査などを通して日々修正されている。自立支援計画の作成の過程で支援の内容を変更したり、自治会での意見や要望、満足度調査の結果を受けてサービスの内容が変更されることもある。
(2) 適切なアセスメントにより自立支援計画が策定されている。
42 アセスメントにもとづく個別的な自立支援計画を適切に策定している。 a
【コメント】
 アセスメントから課題の整理表を作成し、自立支援計画作成につなげている。自立支援計画は「発達段階チェック表」を参考にし、担当者だけでなく、心理担当職員やFSW(家庭支援専門相談員)等の他職種職員も話し合いに入り、年1回作成している。自立支援計画から毎月の目標を決め、毎月評価を行っているが、半期に一度は自立支援計画全体の評価を行っている。作成した自立支援計画は、子どもに分かりやすく説明し、同意のサインをもらっている。
43 定期的に自立支援計画の評価・見直しを行っている。 a
【コメント】
 自立支援計画は半年に一度見直しが行われている。発達障害等で目標の達成が困難と判断された場合や、大幅な環境変化などがある場合は時期を待たずに計画の見直しを行うこともある。見直しにあたっては、作成時と同様に、担当者だけではなく、心理担当職員やFSW(家庭支援専門相談員)等も加わる。子ども自身が理解できるように職員が分かりやすく説明し、評価についても、子どもと一緒に確認して同意をもらっている。
(3) 養育・支援の実施の記録が適切に行われている。
44 子どもに関する養育・支援の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。 a
【コメント】
 自立支援計画の月ごとの目標は毎月評価を行い、半年に一度は自立支援計画全体の評価を行っている。それらの実施の記録は、「ケース記録」に記載している。毎月自立支援計画、ケース記録をプリントアウトしてファイリングされている。子どもの成長や特記すべき長所などは「連絡帳」という項目で記録し、保護者に子どもの成長が分かるよう、面会時や外出、一時帰省等の機会を使って手渡している。
45 子どもに関する記録の管理体制が確立している。 a
【コメント】
 記録に関する取り扱いは「文書・記録規程」で明文化されている。「個人情報保護規程」、「情報公開事務取扱規程」が作成されており、子どもや保護者の個人情報に関する記録類は規程に沿って管理されている。守秘義務に関しては、「プライバシーの尊厳と保護」という手順書が作成されており、新人職員も含め全職員に周知されている。
内容評価基準(25項目)
A-1 子どもの権利擁護、最善の利益に向けた養育・支援
(1) 子どもの権利擁護 第三者
評価結果
A1 子どもの権利擁護に関する取組が徹底されている。 a
【コメント】
 「プライバシーの尊重と保護」、「人権に配慮した指導・支援」が手順書として作成されており、具体的な支援の方法が明文化されている。毎年、人権尊重や虐待防止の研修を実施しており、不明な点や不安な点は職員間で話し合いを行っている。半年に一度、「子どもの人権が侵害されたところを見ていないか」などを、子ども全員と全職員、実習生から聞き取っている。
(2) 権利について理解を促す取組
A2 子どもに対し、自他の権利について正しい理解を促す取組を実施している。 a
【コメント】
 入所時に、「子どもの権利ノート」を利用して権利について説明を行っている。小学生以上の子どもに対しては、「子どもの権利について」の学習会が行われている。自分自身も、また他の子どもも、かけがえのない大切な存在であることを日々の生活を通じて伝え、事業所の理念である「四諦」と基本方針である「八正道」も、同義であることを教えている。
(3) 生い立ちを振り返る取組
A3 子どもの発達状況に応じ、職員と一緒に生い立ちを振り返る取組を行っている。 a
【コメント】
 被虐待児童の子どもに生い立ちを知らせる時は、必ず児童相談所と連携し、必要な時期、内容、話さない方が良いこと等を吟味してライフストーリーワークを行っている。事実を伝えた後は、心理士による心理療法ケアや現場職員による観察・対応を行ってフォローしている。アルバムの整理には担当職員が付き添い、子どもと思い出を語りながらコメントを記入して整理している。
(4) 被措置児童等虐待の防止等
A4 子どもに対する不適切なかかわりの防止と早期発見に取り組んでいる。 a
【コメント】
 「セクシャルハラスメントについて」、「人権に配慮した指導・支援」、「体罰・暴力・虐待の防止」が、手順書として整備されている。不適切な関わりへの懲戒は、「就業規則」に具体的に明記されている。子ども間の不適切な行動を発見した場合は「業務日誌」に記録し、職員間で即座に話し合いを行い、再度事故が起きないよう根本原因を突き止めて改善策を検討している。通報者が不利益にならないよう、「公益通報者保護規程」を定めて通報者を保護している。
(5) 子どもの意向や主体性への配慮
A5 職員と子どもが共生の意識を持ち、生活全般について共に考え、快適な生活に向けて子ども自身が主体的に取り組んでいる。 a
【コメント】
 小学生以上の子ども達が、月1回子ども主体の自治会を行っている。自治会で話し合われた子どもからの意見や要望を聞く場を設け、極力要望には応えるように努力している。要望に応えられない事項については「つぶやき」を利用して子どもに伝えている。職員の側からも、子どもの主体性を損ねないよう配慮し、「ルールで縛らない」や「当番制にしない」等を支援目標に掲げて取り組んでいる。
(6) 支援の継続性とアフターケア
A6 子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、不安の軽減を図りながら移行期の支援を行っている。 a
【コメント】
 入所時の不安軽減を目的に、施設見学や面談、数時間だけの体験入所や1日だけの体験入所にも対応している。児童相談所からの緊急一時保護に対しても柔軟に対応している。居室は清潔に保たれ、生活に必要な新品の日用品や衣類、下着などのセットが準備されている。必要な用品の一覧表が作成されており、全職員が同じ対応ができるよう配慮している。
A7 子どもが安定した社会生活を送ることができるようリービングケアと退所後の支援に積極的に取り組んでいる。 a
【コメント】
 これまでに退所した子どもが3名と少なく、退所者が集まる機会は設けていない。年に3回程度、職員から連絡を取って生活相談の対応をしている。退所した子どもの希望があれば、事業所行事(餅つき大会等)に参加は可能であるが、グループ単位での行事が多いため、事業所行事への参加は少ない。職員と一緒に食事をしたり、メールを送るなどの支援をしている。公益財団法人「あいである」の事業の「実家便」を利用し、アフターケアの一環としている。
A-2 養育・支援の質の確保
(1) 養育・支援の基本 第三者
評価結果
A8 子どもを理解し、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止めている。 a
【コメント】
 子どもとの会話や対応は「業務日誌」のシステムで管理し、全職員が把握している。事業所独自の「つぶやき」システムを活用し、些細な意見や要求であっても見逃さず、聞き取った職員が確実に記録している。出来ることは改善策を伝え、出来ないことは「何故出来ないか」を、子どもの納得が得られるように説明している。
A9 基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援している。 a
【コメント】
 子どもの基本的な欲求を充足させることは、基本方針の「八正道」の一つである「正見」と同義であり、日々の生活支援を通して実践している。子どもが発した言葉や表情、態度、様子の裏に隠されている「本質」を見極めるため、自立支援計画の作成に心理職員が関わり、心理的ケアの方法の検討も行われている。廊下に集音マイクが設置されており、子どもが職員を呼んだり、泣いたりした場合はすぐに駆けつける体制ができている。
A10 子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障している。 a
【コメント】
 子どもの主体性や自発的な行動を促すことを目的に、様々な場面において「当番制」を取らないことをルール化している。自治会においても、職員は脇役に回り、子ども同士の話し合いによって、子ども達だけで結論まで導き出せるように支援している。幼稚園へ通園していない幼い子どもが、昼食後に食べ終わった食器を返却口までトレーで運んでいた。子どもの足もと、手もとはおぼつかないが、職員は子どもを見守る姿勢を貫き、片付けができたことを褒めていた。
A11 発達の状況に応じた学びや遊びの場を保障している。 a
【コメント】
 各階やコーナーに年齢に応じた玩具、図書が備えられ、使われていないものは子ども達によって正規の場所に片付けられ、整理整頓が行き届いている。室内にはモンテッソーリ教育、ライフトレーニング、自転車プログラム、性教育プログラム等の子どもの年齢に応じたツールが用意されており、屋外には子どもの夢や冒険心を充たす「秘密基地」もある。
A12 生活のいとなみを通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援している。 a
【コメント】
 5時30分の起床で子どもの一日が始まる。食後は子どもたちでダイニングを掃除し、居室の整理をしてから登校する。整理整頓が習慣付けられており、居室内や机上の乱れは全くない。ボランティアや地域行事に積極的に参加することで子どもの社会性を醸成し、地域社会に貢献することの大切さや心地よさを学ばせている。それらの子どもの日々の営みが、「四諦」や「八正道」とどのように繋がっているかを、職員が笑顔で丁寧に話している。
(2) 食生活
A13 おいしく楽しみながら食事ができるように工夫している。 a
【コメント】
 定期的に嗜好調査を実施し、食事の内容にも工夫を凝らし、子どもにとって満足度の高い食事提供となっている。ホームベーカリーで、子どもが職員と一緒にパン調理をすることもできる。「食事中は無駄な会話をしない」との法人の考え(仏教の「黙食」)もあり、子どもたちは落ち着いて食事を摂っている。1歳児、2歳児が食べ終わった食器をトレーに載せ、おぼつかない足取りで返却口まで運んでいた。職員は、それを優しく見守っている。
(3) 衣生活
A14 衣類が十分に確保され、子どもが衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援している。 a
【コメント】
 厚志家から新品の衣類の寄付があり、買い物をすることは少ない。中高生についてはそれぞれの好みがあり、子ども自身で衣類を購入している。衣類の管理、洗濯は、小学生以下は職員が毎日行っているが、中高生は子ども自身で行っている。衣替えの際は、チェックリストを使って必要最低数を確認して準備している。靴箱のスペースは広く、沢山の靴を置くことができる。女子はブーツを置くことができるように、靴箱の高さの調節ができる。
(4) 住生活
A15 居室等施設全体がきれいに整美され、安全、安心を感じる場所となるように子ども一人ひとりの居場所を確保している。 a
【コメント】
 毎朝、居室整理の時間が設けられている。床が濡れていたら直ぐに気づいて拭けるように、職員も子どもも素足(靴下)で生活している。子どもや職員が掃除しきれない場所を、環境整備専門のクリーンスタッフを雇用して補っている。デンスペースという独りになれるスペースが設けられている。個人情報の流出防止の観点から子どもの写真の掲示はないが、子どもの作品や表彰状等を共有スペースに展示、掲示している。
(5) 健康と安全
A16 医療機関と連携して一人ひとりの子どもに対する心身の健康を管理するとともに、必要がある場合は適切に対応している。 a
【コメント】
 子どもの健康状態を「業務日誌」に記録し、全職員で共有している。嘱託医の往診、身体測定を月1回実施し、健康診断を年2回実施している。近隣の医療機関との連携も図られている。看護職員作成の「感染症対応マニュアル」に沿って感染症・食中毒を防ぎ、医務担当チームが子どもの健康管理にあたっている。法人内の知的障害児・者施設から異動した障害に対する専門性を持った職員や心理職員が配置され、専門性を高めるための心理・障害に関する研修も毎年実施されている。
(6) 性に関する教育
A17 子どもの年齢・発達の状況に応じて、他者の性を尊重する心を育てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設けている。 a
【コメント】
 年齢に応じた性教育プログラムがあり、心理士が学習会の中で「性教育」を行っている。「性」をタブー視せず、「生教育」としての観点を持って行なわれている。プライベートゾーンについては、「良いタッチ」と「悪いタッチ」など、子どもにも分かりやすい具体的な例を挙げて話をしている。職員を対象として、外部講師を招いての「性」に関する教育も行われている。
(7) 行動上の問題及び問題状況への対応
A18 子どもの暴力・不適応行動などの行動上の問題に対して、適切に対応している。 a
【コメント】
 子どもの問題行動に対処するためのマニュアルを整備し、事業所内に心理療法室やデンスペース(子どもの癒しの場)を設けている。問題行動があった場合には、パソコンの「業務日誌」に記録(入力)し、全ての職員が詳細を把握できる仕組みがある。暴力的な行動や問題行動があった子どもについては、他職種職員も交えて自立支援計画を見直し、改善のためのプランを加えている。
A19 施設内の子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組んでいる。 a
【コメント】
 子ども間の暴力やいじめ、差別等があったときに対応するマニュアルが作成し、早期発見、早期対応、早期解決の方針で臨んでいる。小学生以上の子どもが男女別々に自治会を組織しており、子どもの自主運営を基本としている。問題行動があった場合にも自治会で話し合いを持つことがあり、「DVDプレーヤーの破損」(暴力事案)についても、「犯人は誰か」ではなく、「何が原因だったのか」を子ども自身に考えさせている。
(8) 心理的ケア
A20 心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行っている。 a
【コメント】
 事業所内に心理療法室を設け、心理関係の学部を卒業した職員を心理療法担当職員として配置している。現在11名の子どもが心理的ケアを受けているが、心理療法担当職員だけの対応とせず、心理的ケアの手順書を整備して日常的な支援の場で事業所全体の課題として取り組んでいる。心理療法担当職員が講師を務めたり、外部の専門家を招聘したりして、心理に関する研修を行っている。
(9) 学習・進学支援、進路支援等
A21 学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行っている。 a
【コメント】
 子ども個々に支援の程度は違うが、十分な学習環境が確保されている。学校から帰ると、職員が連絡帳をチェックし、忘れ物や宿題の未完、未提出を確認している。宿題や提出物に漏れが出ないよう「宿題チェックリスト」を使って確認している。宿題の時間帯には学習ボランティアが協力しており、中学生以上は学習塾に通うこともできる。子どもが目標を持って学習できるよう「漢字検定」を取り入れ、事業所を会場提供し、試験官には職員が任じられている。
A22 「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援している。 a
【コメント】
 日常生活を通して「自律・自立」の心と体を培い、子どもは自らの進路を自己決定している。大学進学か、就職か、で心が揺れ動く高校生(現在高1)はいるが、中学生は2年生の頃に進路(高校進学)を決めている。これまでに、中卒で就職した例や高校を中退した例はなく、自らが選んだ道を全うしようとする強い「自律・自立」の精神が活かされている。知的障害や発達障害等のハンデキャップがある子どもは、その障害特性や力量によって、法人内の他事業所を利用する道も拓けている。
A23 職場実習や職場体験、アルバイト等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組んでいる。 a
【コメント】
 中学生には広い社会を知るために、様々な企業等と協力関係を築いて体験学習を実施し、高校生になればアルバイトが認められる。高校生は携帯電話を持つことを許可されるが、アルバイトで使用料を賄うことが条件となっており、現在携帯電話の保有者はいない。法人負担で、介護初任者研修終了(旧ヘルパー2級)の資格の取得を奨励し、これまでには、同資格を取得した子どもが、高校に通いながら高齢者施設で非常勤職員として働くこともあった。
(10) 施設と家族との信頼関係づくり
A24 施設は家族との信頼関係づくりに取り組み、家族からの相談に応じる体制を確立している。 a
【コメント】
 FSW(家庭支援専門相談員)を中心に、家族関係の再構築、再統合に向けて取り組んでいる。児童相談所と調整を図りつつ、児童と保護者との面会や外出、一時帰省等を支援している。一時帰省の際に、「連絡ノート」を使って保護者とFSW(家庭支援専門相談員)とが交換日記風に意思の疎通を図る取り組みもある。児童相談所の職員に同行し、家庭を訪問することもある。これらのFSW(家庭支援専門相談員)の役割は、「組織職務規程」に明文化されている。
(11) 親子関係の再構築支援
A25 親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組んでいる。 a
【コメント】
 自立支援計画の作成時に、FSW(家庭支援専門相談員)や心理職を含めたケース検討を行っている。親子訓練室が設置され、面会時に使用する等、必要に応じて活用している。昨年度の再統合数は、一時保護を含めて10例である。家庭に戻った後も児童相談所と連携し、適切な家庭生活を送っているか確認している。基幹職員の配置に加え、主任もスーパーバイズを行う体制を整えている。
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