【4】総評 |
〈特に優れている点〉
1 (施設長のリーダーシップ)
施設長は、社会的養護施設の理解に努め、母子生活支援施設運営指針、母子生活支援施設の将来像を理解し、施設の特性である、安心、安全の中で「安定した生活の営み」を保障した支援に努めている。母子生活支援の役割と理念から①母親に対する支援②子どもに対する支援③虐待の防止や虐待を受けた者への支援④母子再統合支援⑤アフターケアの5つの支援の促進に向けた施設運営の展開を模索している。母子生活支援施設の特性、プライバシーを守りながら入所者支援の充実を図るために、何から優先的に行っていくべきかを課題抽出している。職員、利用者の意見の表出を行い、基本を大事に実行に移す取り組みを行っている。全ての職員が信頼し相談できる関係性の構築がなされている。
2 (職員間のチームワークの良さと仕事のやりやすい環境)
母親と子どもに対し、自立支援計画書の作成や担当制による支援を行っている。職員がお互いに相談し協力し支援するしくみができている。また、一人で抱え込まないように職員全員がカバーし合う支援体制ができている。小人数であるために提案事項も取り組みやすく、職員全員で検討し推進していく体制となっており、仕事のやりやすい環境が整っている。
3 (住みやすい環境)
生活環境は整っており、施設の徒歩圏内に小学校、保育園、複合商業施設等がある住宅街の一角に位置し、利用者が自立し生活していくうえで住みやすい環境である。
〈改善が求められる点〉
1 (安全、安心に配慮した施設の改修)
災害を含めた安全安心を大事にしプライバシーに配慮した生活支援のためには老朽化した建物の改善が緊急に求められる。指定管理事業であるために法人での改修計画では対応が難しい。昨今の社会情勢の中での重要性を増している母子生活支援施設の役割、広域的に多くの需要がある施設である。バリアーフリー等の配慮も必要であり障害者も利用できる体制作りにも努め、全ての母親と子どもの受け入れができる施設の改善を期待する。
2 (地域交流)
母子生活支援施設の機能として「退所世帯は、退所と同時に地域で生活する母子世帯になり、地域支援の対象になる。その一方で、在宅で地域生活をしている母子世帯がある。母子生活支援施設の地域支援は双方を対象にして展開し、地域の母子世帯、子育て世帯へのサービス提供の拠点をめざす」必要があり今後児童相談所、保育所、学校、要保護児童対策協議会、福祉事務所などと連携した今後の施設運営に期待したい。
さらに今後の課題として、専門職の育成のために実習生の受け入れなどの取り組みにも期待したい。
3 (母親と子どもの意向を尊重した自立支援)
母子生活支援施設の支援は母親、子どものぞれぞれの人格、人権を尊重した専門的な支援を行うものとされている。母親を中心とした説明や意向確認になりやすく、子どもの人権への配慮した子どもの意向確認や説明の工夫を行い、安心した場所で大切にされる体験の積み重ね、信頼関係の構築、自尊心を取り戻す支援体制作りに更なる期待をしたい。 |