社会的養護施設第三者評価結果 検索

幸樹園

【1】第三者評価機関名 (特非)秋田県福祉施設士会
【2】種別 児童養護施設 定員 50名
施設長氏名 山口 俊輔 所在地 青森県
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【3】実施調査日 2013年04月15日~2013年09月17日
【4】総評 ・「日々を 太陽に向かって 恥のない 人になりたい」、玄関に入ると額縁に納められた創立者のモットーが飾られています。「人に迷惑をかけないで、ひたすら一生懸命に日々暮らしなさい、そうすると真の人間になれますよ。」という先代の遺訓のごとく、現在の2代目施設長は、7~8年前から子ども達の性教育や社会自立を目標とした養育・支援に力を注ぎ、職員教育に意欲的に取り組まれ、子どもの「社会的スキル獲得に重点が置かれた実践」を展開されています。
・平成25年度から、従来からの研修成果として、主任等職員が中心となり、DCW(デレクト・ケア・ワーカーの略、日本子ども養育研究会の「直接処遇職員養成技能研修実践編」、子どもの社会性のスキルを身につける)の手法を使用し、全入所児童を対象に、この手法の試みが、子どもの信頼関係をベースに行われています。
・一方、「社会的養護の課題と将来像」に関する取り組みでは、定員50名(現員38名)と小規模定員ですが、施設内2カ所の小規模グループケア(平成16年・23年度設置)が実践されており、中・長期計画によると、2カ所の地域分散による家庭養護(五所川原地区・鶴田町地区)が着眼され、それに対する職員養成も「家庭的養護・小規模グループに対応する専門性の養成」など、従来から施設運営面、養育支援面でも力が入れられ準備されてきております。
・常勤職員の平均年齢44歳5ヶ月、平均在職年数16年8ヶ月、直接支援に携わっている職員1人あたりの利用者数は4.2名で制度上の配置に比べ高率となっています。子ども達集団に「落ち着いた雰囲気がある」と、訪問調査者間での感想があります(合議での確認)。
・今後の優先すぺき検討・課題事項としては、子どもの日常生活における「職員の関わり」の「留意事項・配慮事項等」に関し、これまでの職員の経験歴に依存するだけではなく、職員共有事項として「サービス提供マニュアル」への「文章化」を付け加えるなどの取り組み、特に「職員共通の子どもへの関わりを客観化するために文章化すること」が必要と思われます。今後の「マニュアルの見直し」への取り組みを希望します。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 幸樹園の入所児童における被虐待児の割合は、年々増加し、現在は約65%となっている。知的障害、発達障害、行為障害等何らかの障害を抱えた児童も多く、専門医による治療や児童心理司による面接等の協力を受けながら児童の発達段階に合った支援を心掛けている。現在はCSP、DCW、SSTなど行動療法的な関わりを継続しており、今回の総評で、「子どもたち集団に落ち着いた雰囲気がある」という感想をいただき、これまでの一貫した取り組みが評価されたと嬉しく思っている。
 初めての第三者評価の受審にあたり、準備の段階からマニュアルの不備を痛感した。一方、日々児童支援に追われる現場でそこまでの形式化が必要なのかと疑問を抱いた職員も多かった。しかし作業を進めるうち、今までいかに職員の経験歴に頼っていたか、またマニュアル化することで、管理者も職員も自身の仕事を客観視できることを確認できた。児童のアンケートは貴重な生の声として職員にフィードバックした。
 自己評価の細部についていえば、改善を望まれた点(自己領域の確保、アフターケア、地域支援等)は、指摘を受けるまでもなく、必要性は十分感じている。職員配置基準、建物の構造上の問題、資金の問題もあり、簡単にはクリアできず現在に至っている。職員のオーバーワーク、資金の問題等を鑑みながら、優先するべきものから取り組む必要性を感じている。また、評価を受けた点は、職員間で共有しながら今後も継続いていきたい。
 創立から三十余年、施設形態は変わらず、職員の半数も創立以来のまま。指摘のとおり経験歴に頼っていた実態である。人的資源の活用も管理者の使命と十分に感じている。今後中長期の計画では、国で示す将来像に向け、地域分散化を進めていくわけで、その中で子どもに不利益、不平等にならないために、ひいては児童の安心安全のために、全職員による共通認識と支援の標準化に向けて進んでいきたい。
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