社会的養護施設第三者評価結果 検索

こはるび

【1】第三者評価機関名 (特非)群馬社会福祉評価機構
【2】種別 児童養護施設 定員 36名
施設長氏名 大手 栄美子 所在地 群馬県
URL
【3】実施調査日 2014年07月11日~2015年02月09日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
○養育・支援
・小規模ユニットケアにより、一般家庭に極めて近い環境 での養育がなされている。
○家族への支援
・親子関係改善、再構築のため、施設内に親子宿泊に必要な部屋・設備が完備されている。
○自立支援計画、記録
・記録はネットワーク上で管理されており、事務所のほか、各ユニットからも直接、記録の記入や閲覧が可能なシステムが整備されている。
○権利擁護
・施設長自ら児童と定期的に個別面談を実施し、個々の児童から意向や思いを聴き取っている。
・パンフレットと共に本人には「児童養護施設こはるび(児童用)」が、保護者には「児童養護施設こはるび入所について(保護者様用)」がそれぞれ渡され、施設での生活のルールや外泊等の取決めについて説明がなされている。
・新規の入所児のためにユニットによってはお茶会を開いて迎え入れているところもある。
・苦情解決委員会への意見箱を設置しており、施設長から子ども達に「意見箱には職員に話す以外にお願いや伝えたいことがある時に紙に書いて入れて良い」と伝えている。意見箱に寄せられた意見については、施設長が一つずつ回答を作成し、子ども達に返している。
・職員による不適切な対応が疑われる事案が生じた際には、施設長を中心に聞き取りと事実確認が行われ施設内での検証がなされている。
・ほぼ全職員がコモンセンスペアレンティングトレナー研修を受けている。
○事故防止と安全対策
・派出所が主催する清掃会に職員が参加したり、更生保護女性会によるパトロール等の協力等を利用して積極的に地域との交流を図っている。そのため、日頃から地域の目が行き届いており、近くに見かけない車両があるとすぐに施設に地域住民から連絡が届くことがある。また、学校から届くメールでの不審者情報の提供なども活用したり、子ども達の登下校時にも地域の目が行き届く体制ができている。
・地域の防災無線のアナウンスで不審者・行方不明者情報の連絡等が流れる上、夕方の決まった時間になると音楽と放送が流れるため、その放送を合図として施設に帰園するよう子ども達に周知している。
・停電時でも厨房プロパンが使用可能であり、災害に見舞われた場合には周囲を畑に囲まれているという立地なため、近隣住民の受け入れも視野に入れている。
○関係機関連携、地域支援
・施設長をはじめとする職員は、地域の行事等に積極的に参加し、地域との関係作りを大変積極的に行っている。それが奏功し、地域からの支援(例.ゴミ捨て場の整備)や、施設に対する理解の向上に結びついている。
○施設の運営
・養育目標にも掲げられている「凡事徹底」の書が、地域交流室の見えやすいところに掲げられており、理事長より、理念と養育目標についての詳しい解説と説明が職員になされている。
・施設長は一年に一回、職員との個人面談の場を設定し、意向の確認を行い、改善に向けて取り組んでいる。日頃から状況を見て施設長から声をかけるようにしている。

◇改善が求められる点
○養育・支援
・開設後間もないこともあり、新規採用された職員と、他施設を経験してきている職員とで、職員間で力量の差が大きい。同施設はユニットケアのため、職員個々人の力量が、子どもたちが受けるケアの質に直接的に大きく影響することから、今後、ケアの質向上とともに、個人間の差を軽減する方策を検討して頂きたい。
・性教育委員会は立ち上げていないため、職員個々の判断に任せられている部分が大きい。特に異性児童への支援が課題となっているため、施設全体としての性教育のあり方、方針等を検討して頂きたい。
・生い立ちの整理に関する資料(写真、アルバム、その他)の整理が十分なされていない。記録自体は保管されているが、アルバム等の形になっていないため、今後、退所児童が出てくることから、資料整理の方法や手順の整備が望まれる。
・栄養管理面の改善を検討して頂きたい。
○自立支援計画、記録
・自立支援計画は策定されているが、変更手順や、見直しの時期、開示を求められた場合などの規定が整備されていないため、それらの規定を整備して頂きたい。
○権利擁護
・「施設における不適切な関わり防止(内規)」や「施設内虐待防止対応」についてマニュアルが整備され、「個人情報とプライバシーについて」という規定はあるが、できたばかりでありまだ周知がされていないため、今後の対応に期待する。
・問題行動が起こった時には話し合えるが、日頃の対応に共通認識が図られておらず、職員間での一貫した養育を行うことが難しいと感じている職員もいるため、今後の対応に期待する。
○事故防止と安全対策
・災害に備えて備蓄食料の用意が望まれる。
○関係機関連携、地域支援
・関係機関への連絡方法、関係機関リスト等の整備が不十分なため、それらを整備して頂きたい。
○施設の運営
・心理療法担当職員の配置の実現を期待したい。
・養育支援マニュアルが完成したばかりで周知徹底されていないため今後の活用に期待したい。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 この度第三者評価を受審しましたが、これまで全職員が個人個人で自己評価をすることで、日々の支援のあり方・アプローチ・見守り・児童の支援計画等を第三者的視点で考え、見直すよい機会となりました。
 受審の結果で改善を求められた点は、職員全員が見直し、ふりかえりをして、日ごろ実施している援助ではあっても明文化することにより理解を深め、また、評価された点では、さらに一層の努力は必要であると感じています。
 施設は小規模化に移行しつつあり、より家庭に近い時間がゆっくり流れる環境・個別援助・柔軟な対応が可能である一方で、閉鎖的・密室化も危惧されます。児童同士の関係・担当職員の連携も含め、ひらかれた家・一組織でありたいものです。子ども達が寛げる、安心できる「家」を目指して、施設職員一人一人そして組織として取り組んでいきたいと考えます。
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