社会的養護施設第三者評価結果 検索

ボ・ドーム大念仏

【1】第三者評価機関名 (社福)大阪府社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK15113
SK15179



【2】種別 母子生活支援施設 定員 30世帯
施設長氏名 野崎 裕子 所在地 大阪府
URL http://www.dsw.or.jp/
開設年月日 1956年06月29日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 大念仏寺社会事業団
職員数 常勤職員 15名 非常勤職員 3名
専門職員 社会福祉士 4名 保育士 4名
社会福祉主事 1名 小学校教員免許 4名
調理師 1名 臨床心理士 2名
施設設備の概要 (ア)居室数 30室 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 【理念】・母と子の権利擁護の推進 
    ・地域との連携 
    ・運営・資質の向上

【方針】・母と子の自立への歩みを支えます。
    ・地域のネットワークを形成し、ひとり親家庭と共に住みよい地域社会づくりを進めます。
    ・専門職としての資質を高め、サービスの向上を目指します。
【4】施設の特徴的な取組 ①同一建物内に、地域学童保育・自立援助ホーム・乳児院(病後児保育含)・乳児保育所・幼児保育所・夜間保育所が併設され、異種施設間の機能分担と連携により、効率的で専門性の高い利用者支援を図っています。

②子ども会で生(性)教育を定期的(年2回)に取り組みはじめてから、生(性)教育委員会を立ち上げ、親子で取り組むことができる仕組みを作り出しました。
子どもには生(性)教育を中心としたグループワークを行い、定着を図ると共に、母親にも実施内容の説明や、日頃の生(性)に関する相談、参考書籍の紹介等を行い、母親の生(性)に対する対応についての不安に寄り添いながら、親子でも会話ができるような取り組みを行っています。

③常勤心理相談員を配置し、入所母子が、定期的・継続的に心理相談を受ける事が可能である他、各会議等への出席により、臨床心理士の立場からの意見も踏まえての処遇検討が随時でき、また、月1回開催される茶話会により、バーンアウト予防・メンタルヘルスケアにもつながっています。
【5】第三者評価の受審状況 2017年06月16日(契約日)~ 2018年03月27日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇施設の概要
 社会福祉法人 大念仏寺社会事業団は、昭和31年に社会福祉法人大念仏寺母子寮を設立、以後いちょう保育園を増設したことに伴い、昭和33年に現在の法人名に変更し、設立当初の目的を尊重した社会福祉事業を運営しています。母子生活支援施設「ボ・ドーム大念仏」(以下「当施設」という。)は、30世帯定員・緊急一時保護2世帯のうち現在24世帯が入所しており、入所理由は夫などの暴力、住宅事情、経済事情等によるものが多く、関係機関との連携を図りながら広域からの入所に対応した母子世帯の自立支援を行っています。平成17年7月、現在の建物に建て替え、当施設は、母子室・職員の事務所を含め4階~6階を使用しています。併設事業として、放課後児童健全育成事業(定員80名)があり、入所児童が地域の子どもと一緒に利用ができるようになっています。また、児童自立援助ホーム(女性のみ5名定員)があります。

◇特に評価の高い点
支援等の質の向上に向けた組織的な取り組み
 支援の質の向上に向けて、3年に一度の第三者評価を受審するとともに毎年、PDCAサイクルに基づいて組織的に自己評価を実施しています。それぞれの評価結果については、システム委員会(運営の改善点を把握・分析・検討する場)を設置して、分析・検討をしています。評価の結果、明確になった課題の改善や解決に向けて、各部署のミーティングやシステム委員会が中心となって協議し、幹部会や職員会で全職員が確認するとともに、今後の取り組み等が整理され文書化されています。改善に向けての取り組みは、緊急度や必要度等に応じて計画的にとり行われています。これらの着実な取り組みは、施設の質をさらに高めるものとして大いに評価できます。

地域支援事業への入所母子の参加
 法人の理念の中に「社会奉仕」が謳われ、施設の基本方針にも地域との関わりについての基本的な考え方が文書化されています。法人全体として様々な地域支援事業に取り組んでいますが、当施設内においては、放課後児童健全育成事業(学童保育)やカルチャーセンター等を担当、実施しており、地域支援のための取り組みが行われています。ただ、それらの事業は単に地域支援だけを目的としたものでなく、入所学童は学童保育を、母親の一部はカルチャーセンターを利用、活用しており、日常的に地域住民と密接に交流できる機会となっています。併せて、町会や地域子ども会行事、PTA行事などの地域の活動に入所母子や職員が積極的に参加するなど、施設と入所母子の社会化と地域の福祉増進のためのこれらの取り組みは大いに評価できます。

退所後の支援の継続性とアフターケア
 母親と子どもが安定した生活を送ることができるよう退所後の支援が行われています。退所時には必要な相談機関の情報や連絡先をカードに書いて手渡したり、退所した1ヶ月後・3ヶ月後・半年後・1年後に訪問や架電等を行い、生活が安定していることを確認するための取り組みが行われています。

母親や子どもが参画しやすい行事やプログラムの実施
 母親や子どもが参画しやすいような行事やプログラムが用意されています。夏季・冬季に行われるリフレッシュ保育や幼児向けの親子遠足もその一例です。母親・子どもに向けたアンケートから出た意見を反映し、プログラムの開催時間を再検討するなど、行事の実施に際しても細やかな工夫がなされています。

◇改善が求められる点
中・長期計画の策定
 中・長期計画として、「利用者の最善の利益を目指した施設の体制整備」「地域の福祉ニーズの把握と地域支援と情報提供」「適切な人材育成計画と学び合う職場風土の醸成」等、6つの目標が掲げられていますが、いずれも目標のレベルに留まっており、具体的に実施状況等の評価ができる計画にはなっていないので、改善が求められます。併せて、事業の実施には財務が絡むので財務計画も立案することが求められます。

感染症対策の取り組み
 感染症の予防や対応は、一定の取り組みが見られますが、組織的な取り組みや対応が不十分です。作成されている「感染症マニュアル」は、保健所等から送られてきた関連書類等を単にまとめたものだけに留まっており、感染症の予防や対応について項目別にまとめるなど、施設の「感染症対応マニュアル」として使いやすく整理する必要があります。職員の中から一人担当者を決め、看護師が配属されている同法人の乳児院と連携するなどして、感染症の予防や対応が適切に実施できるよう取り組むことが求められます。

支援の標準的な実施方法の確立
 支援の標準的な実施方法が適切に文書化されていません。一日の業務の流れなどが時系列で一覧になっているものや、それぞれの支援の場面で必要な支援の方法や留意点をまとめたものがマニュアル化されていることが求められます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  二回目の受審となり、前回ご指摘を受けた項目につきましては、システム委員会を中心に改善に取り組んで参りました。しかし、まだ課題も残っており、今回評価を受けた内容につきましては、職員会や各部署ミーティングでの周知を図り、今後“システム委員会”改め“運営検討委員会”を中心に、検討・改善に取り組んで参ります。
 改善が求められる点として挙げられました「支援の標準的な実施方法の確立」や「感染症対策の取り組み」につきましては、平成30年度中に取り組みやすい内容より着手し、「中・長期計画の策定」につきましては、具体的に実施状況等の評価ができる計画になる様、財務計画も含め検討を重ね、支援の質の向上に努めて参ります。
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