社会的養護施設第三者評価結果 検索

若竹荘

【1】第三者評価機関名 (株)中部評価センター
評価調査者研修修了番号 SK18210
28地福第1744-14号



【2】種別 母子生活支援施設 定員 10世帯
施設長氏名 都築 雅子 所在地 愛知県
URL http://www.wakatakeso.com/
開設年月日 1950年01月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 若竹荘
職員数 常勤職員 7名 非常勤職員 4名
有資格職員 社会福祉士 2名 保育士 4名
精神保健福祉士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 10室 (イ)設備等 事務室、宿直室・静養室
(ウ) 共同便所2、共同風呂3 (エ) 学習室、保育室、倉庫
【3】理念・基本方針 ★理念
 母親と子どもの権利を擁護し、安心・安全・安定した生活の営みを支え、常に利用者の最善の利益に配慮し、自立に向けた支援を行う。

★基本方針
 ①人権の尊重
・母親と子どもの人権を尊重し、権利を擁護する。
 ②利用者を主体とした支援
・母親と子どもの安全に配慮し、安心し安定した生活が営めるよう環境を整える。
・母親と子どもそれぞれに本人の意志を尊重しアセスメントを行い、自立支援計画を策定し、計画に基づき支援を行う。
・入所から退所後のアフターケアまで、地域社会での自立した生活を見据え、自らの意志で問題解決に向かえるよう、関係機関と連携を密に一貫した支援を行う。
・子どもの健やかな育ちを保障するため、母親の願いや子どもの気持ちに寄り添い、家族の関係を調整し、発達段階に応じた養育・教育の支援を行う。
・DVや虐待による心身のダメージからの回復をめざし、医師や専門機関、学校、保育所等との連携を密に支援に取り組む。
 ③関係機関との連携
・福祉事務所と密に連携を図り、利用者個々の状況に応じ、関係機関や社会資源を活用し、適切な支援を行う。
・関係機関、団体ネットワークの中で情報の共有化を図り、社会的養護の資源の一員としての役割を果たす。
 ④地域との連携
・母親と子どもの安全を守りつつ、地域住民として、地域の取り組みに無理なく参加できるよう配慮する。
・施設が地域での役割を果たすと共に、施設の目的や機能を説明し理解されるよう努める。
・施設機能の専門性を活かし、地域の子育て家庭やひとり親家庭の相談支援に応じる。
 ⑤支援の質の向上
・職員は、常に利用者の最善の利益を願い、適切な支援を行うため専門性と倫理性の向上に主体的に取り組む。
・職員の職務、キャリアに合わせ、施設内外の研修計画を適正に策定し、その成果を共有し、支援に反映させる。
・施設長、基幹的職員等によるスーパービジョンを行い職員への援助を行う。
 ⑥適正な事業運営
・法令を遵守し、適切な情報の公開に努め、社会的養護を担う施設としての責務を果たすため、事業運営の維持発展に努める。
【4】施設の特徴的な取組  ① 丁寧できめ細やかな支援
定員10世帯の小規模な施設であることを活かし、7名の職員が協力し、丁寧できめ細やかな支援を行っている。
 ② 複合施設の強みを活かした支援
法人の経営する保育所と障害福祉サービス事業所が同敷地内にあり、保育所への入所や一時保育の利用がしやすく、保育所との連携を密にした養育支援を行っている。また、障害福祉サービス事業所と連携し、障害のある母親の就労支援や日常生活支援、児童の療育に対し、専門的なアドバイスや協力を受けて進めている。
③ 地域に密着した活動
昭和25年に名古屋市から事業を継承して以来、70年に及ぶ長い歴史を有し、施設が 一つの町内会として承認されており、連区の中で配慮をいただきながら、可能な地域活動を行っている。希望する母親と子どもは地域行事に参加可能。施設長が区長として連区の役員を務め、職員も地域の行事、交通安全等に貢献している。校区の敬老会や市民館祭りのパンフレットの印刷等を施設で請け負っている。
子育て講演会、地域の交流の場としての祭りの開催等、法人内の施設と協力した地域貢献の取り組みを行っている。
④ 資格取得をサポート
公共交通機関は少なく、静かで落ち着いた環境でありながら、生活には非常に便利な立地にあり、就労場所も周辺に多くある。意欲のある利用者には、介護職員初任者研修、自動車運転免許取得のための受講を勧め、資格取得をサポートしている。
【5】第三者評価の受審状況 2020年07月31日(契約日)~ 2021年03月04日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
◆多種多様な機関との連携
 「業務マニュアル」に関係機関の一覧表を収録し、多種多様な関係先との連携を図っている。事業の性格上、市役所や警察、児童相談所、保健センター、民生委員児童委員、小・中学校や特別支援学校等の教育機関、社会福祉協議会、弁護士事務所、ハローワーク等々との折衝が必要となり、職員には関連法令を含む高い専門性が要求される。これらの難度の高い職務に、事業所一丸の態勢で臨んでいる。

◆業務の効率化と支援の標準化
 管理者だけでなく、主要な職員は常に業務の効率化を考えて業務に就いている。適材適所の職員配置を実現すべく、詳細にわたった「職務分担表」を作成している。また、「業務マニュアル」が整備されたことによって、高い専門性が求められる各種業務が標準化され、均一な支援の提供が実現している。管理者の「業務マニュアル」には所どころに朱書きがあるが、次回の見直し時に改訂するための目印である。

◆苦情解決のしくみ
 入居する母親等から「改めて欲しい」と申し出があったものは、全て「苦情」としてとらえ、苦情に関する内容や処遇経過、解決結果を母親と子どもにフィードバックしている。さらに、苦情を申し出た母親と子どものプライバシーに配慮した上で、ホームページ上で公開をしている。

◆母親と子どもの生活のサポート
 DV被害者である母親と子どもに対し、早期に“普通の生活”が送れるよう支援を行っている。母親に対しては就労ができるよう、専門資格の取得や自動車免許の取得を支援し、忙しい母親の状態を考慮して補完保育を実施している。子どもに対しては、法人内の保育園をすぐに利用できることや学習指導が行われる等、きめ細かな支援が行われている。

◇改善が求められる点
◆研修システムの構築
 キャリアパスが完成しておらず、階層ごとに目指すべき指標が示されていないため、階層別や職種別、テーマ別等の研修体系が未構築である。また、研修の履修後には「復命書」が提出され、回覧されて報告会にて共有化が図られている。そこで研修を完結させず、研修によって得た知識や技術を支援の現場で活用したか否か、その研修効果を測定・検証する仕組みづくりが望まれる。

◆緊急一時保護への取り組み
 母子生活支援施設として、曜日や時間、地域等にこだわることなく、保護を必要としている母親と子どもの緊急利用を広く受け入れるため、「緊急時対応マニュアル」(仮称)を整備することと、建て替え後の緊急一時保護のための居室整備を期待したい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  10世帯の小規模施設のため、運営上のデメリットはありますが、小規模のメリットに目を向け、それを最大限に活かす取り組みを進めています。入所者の最善の利益をめざし、少人数の職員集団ならではの丁寧な支援を標準化し、職員一丸となって支援に臨む態勢を評価していただいたことは、職員の大きな励みになりました。
 現在、老朽化した施設の建て替え計画を進めており、ハード面で基準を満たしていない設備や、実施できていない事業(緊急一時保護、子育て支援事業)等を施設整備を機に実現させていきたいと考えています。
 改善を要する点として評価をいただきました「研修システムの構築」については、職員のキャリアパスを意識した階層ごとの指標と、研修体制を構築できるように取り組んでまいります。また、研修効果を支援の中に活かすことができたかを検証できるしくみについても取り組んでまいります。
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