社会的養護施設第三者評価結果 検索

半田同胞園

【1】第三者評価機関名 (株)中部評価センター
評価調査者研修修了番号 SK15105
SK16016



【2】種別 母子生活支援施設 定員 25世帯
施設長氏名 鷲野 林平 所在地 愛知県
URL
開設年月日 1965年11月29日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 半田同胞園
職員数 常勤職員 9名 非常勤職員 5名
専門職員 施設長 1名 被虐待児個別対応職員 1名
母子支援員 3名 少年指導員 3名
心理療法担当職員 1名 母子自立支援員 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 20室 (イ)設備等 医務室・相談室・心理室
(ウ) 集会室・学習室・緊急保護室 (エ) 保育室・会議室・事務所
【3】理念・基本方針 ★理念
法人
・利用者の最善の利益を守る 
・苦しみや悲しみを抱えて入所した母子が安心して生活できる場所を提供する 
・社会人として感謝の気持ちをもち自立するよう支援する 
・子ども一人ひとりを大切に丈夫な身体とやさしい心を育む 
・職員は常に笑顔を忘れず自分に厳しく、相手にはやさしく和をもって、切磋琢磨する
・地域の皆さんとの交流を深め、協力を得て子育てをする
 
施設・事業所
・利用者を権利の主体として位置づけ、常に利用者の最善の利益に配慮した支援を行う

★基本方針
 モットー「母と子が 明るく 楽しく 安心して生活し、自立できるよう支援します。
 ①母と子が安心して住める生活環境を作る支援を行う。
 ②離婚に伴う母と子の生活等の相談や関係調整体制を作る支援を行う。
 ③ひとり親での子育て支援や、子どもへの生活や学習等のよりよい支援を行う。
 ④ひとり親での就労支援哉自立への支援を行う。
 ⑤DV被害や被虐待児への心理サポートを行う。
【4】施設の特徴的な取組 本年度重点努力目標

《全体テーマ》母子生活支援施設の将来の展望を明らかにした「中・長期計画」を作成する中で、地域における母子生活支援施設の役割を明確にし、施設全体、職員個々として、利用者及び地域に対し、最善の支援を目標とする。
《利用者支援》利用者の入所理由は複雑かつ多様であり、暴力被害からの回復、生活基盤の安定や健康の維持、養育支援や親子関係の調整等をするにあたり、ひとりひとりの生活歴・成育歴に立脚した自立の姿を利用者の思いに寄り添いながら支援を実施する。
《職員育成・連携》様々な問題解決の場である母子生活支援施設の職員として、目的意識を持ち、研修会に参加し、高い専門性を身につける。また、多職種の連携として利用者の状況やニーズ、支援に関する情報を共有し、利用者に信頼される職員集団を形成する。
《一時保護等及び地域支援》緊急一時保護及び子育て短期支援、さらには、生活困窮者自立支援法に基づく学習支援等、必要とされる地域支援事業等を積極的に展開し、地域で生活する母子及び児童が安心して過ごすことができる環境を整備する。


特別事業や支援強化している内容

○緊急一時保護事業(愛知県女性相談センターからの委託事業)…DV被害の母子世帯及び女性の受入れ
○子育て支援短期利用事業(半田市始め3市からの委託事業)…母子世帯、女性、児童の受入れ
○心理担当職員による心理療法等のカウンセリング支援
○被虐待児世帯の受入れ及び個別対応
○DV被害への夜間警備強化体制…防犯カメラ設置、警備システム導入、職員による完全宿直体制
○自立準備としてのサテライト施設(利用期間1年)運営による自立促進
○実習生受入れの強化…社会福祉士資格取得実習、保育士実習、教職員養成介護等体験実習の受入れ
○ボランティアの受け入れによる利用者支援…大学生や地域の方から、学習支援及び遊び、日本語教室の開催
○職員のアセスメント力向上のためのケース検討会…大学の臨床心理の専門家を招き、研修会の開催
【5】第三者評価の受審状況 2016年05月30日(契約日)~ 2017年06月24日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成25年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点

◆安心・安全な支援を目指した取り組みの充実
 リスクマネジメントに関する体制や対応マニュアルが整備されており、毎月開催している職員会議においてヒヤリハット報告を行い、事故の未然防止に取り組んでいる。問題が起こった時の対応事例を収集し文書化しており、再発防止を図るための職員研修に活かしている。不審者対策では、防犯カメラの設置や警備システムを導入し夜間警備体制を強化している。

◆アフターケアーの充実
 退所後の次の生活の拠点となる土地(市・町)の選定については、母親と子どもの意思を尊重して決めており、移住先が決定すれば先方の福祉事務所と連携し、母子の生活を支援するネットワーク構築の手伝いをしている。退所後に安定して地域で生活できるよう期限を定めずにアフターケアーを実施しており、退所後1年間は必要に応じて学童の下校後学習支援を行っている。また、「退所者同窓会」や退所者を囲んでの会を定期的に開催し、退所者から退所後の生活の報告や困りごと等の相談を受けており、定期的に相談支援を受けている退所者もいる。

◆合理的な配慮
 ホームページの「施設での生活」は5年前に更新されて以降更新がないが、公表することによる母子への不利益を考慮しての中断である。苦情情報の公表に関しても同様であり、従来は広報誌に年間の苦情受付の状況等を公表していたが、母子への配慮から現在では公表を中止している。施設長自らが関連する研修に積極的に参加し、コンプライアンス重視の姿勢を施設内に示している。利用する母親や子どもに対しては、それぞれに適切な目標を定めて支援しているが、「障害者差別解消法」の精神に則り、障害を持つ母子に対しては、ハードルを下げる(目標のレベルを標準より低く設定する)等の合理的配慮を加えている。


◇改善を求められる点

◆事業計画(重点努力目標)に数値目標の設定を
 事業計画の重点努力目標に数値目標の明示がないため、中間期での振り返りや期末の評価(活動報告)では、目標達成の可否や達成の度合いが曖昧になっている。事業計画の中の4点の重点努力目標に関しては、可能なものについては、具体的な数値目標を設定して取り組むことが望まれる。さらに、責任者(誰が?)、スケジュール(いつまでに?)、具体的な実施事項(何をする?)等を定めた実行計画(工程表)を作成して取り組むことを期待したい。

◆不適切なかかわりが発生した場合に対応するためのマニュアルの作成
 職員の就業内容や権利侵害があった場合の対応は「就業規則」に明記されており、不適切なかかわりが起こらないよう日常的に会議等で話し合われている。しかし、不適切なかかわりが発生した場合に対応するためのマニュアルが作成されていない。「起こらない」「起こさない」を前提としつつも、万が一にも起きた場合を想定したマニュアルの整備が望まれる。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 総評の◇特に評価の高い点において
◆安心・安全な支援を目指した取り組みの充実について、当施設の入所理由の90%以上が、DV被害からの逃避であります。このような状況の中、「利用者の安心・安全の確保」はとりわけ重要視しています。
◆アフターケアの充実について、直接的な退所後の関わり、さらに、退所を控える利用者への情報提供等の充実を図っています。
◆合理的な配慮について、地域の中で施設がどのような役割を果たすのか明確にする必要があります。しかし、前述のとおり、「DV保護施設化」している状況で利用者の安心・安全をいかに図るかは課題です。
また、利用者支援における目標は、個々の利用者の状況によって設定しています。個別化で他の利用者から関わりの違いに不満を抱く場合も少なくありませんがその都度話をし、理解を求めるようにしています。
以上の点を評価していただきありがとうございました。

次に、◇改善を求められる点において
◆事業計画(重点努力目標)に数値目標の設定を、について指摘のとおり改善できるように努めます。
◆不適切なかかわりが発生した場合に対応するためのマニュアルの作成について、マニュアル作成に努めます。
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