社会的養護施設第三者評価結果 検索

若竹荘

【1】第三者評価機関名 (株)中部評価センター
評価調査者研修修了番号 SK15105
25地福第2303-11号



【2】種別 母子生活支援施設 定員 10世帯
施設長氏名 都築 雅子 所在地 愛知県
URL http://www.wakatakeso.com/
開設年月日 1950年01月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 若竹荘
職員数 常勤職員 6名 非常勤職員 1名
専門職員 施設長 1名 社会福祉士 1名
保育士 5名
施設設備の概要 (ア)居室数 10室 (イ)設備等 事務室、医務室、宿直室、学習室
(ウ) 共同便所2、共同風呂3 (エ) 保育室、倉庫
【3】理念・基本方針 ★理念
 母親と子どもの権利を擁護し、安心・安全・安定した生活の営みを支え、常に利用者の最善の利益に配慮し、自立に向けた支援を行う。

★基本方針
①人権の尊重
 ・母親と子どもの人権を尊重し、権利を擁護する。
②利用者を主体とした支援
 ・母親と子どもの安全に配慮し、安心し安定した生活が営めるよう環境を整える。
 ・母親と子どもそれぞれに本人の意志を尊重しアセスメントを行い、自立支援計画を策定し、計画に基づき支援を行う。
 ・入所から退所後のアフターケアまで、地域社会での自立した生活を見据え、自らの意志で問題解決に向かえるよう、関係機関と連携を密に一貫した支援を行う。
 ・子どもの健やかな育ちを保障するため、母親の願いや子どもの気持ちに寄り添い、家族の関係を調整し、発達段階に応じた養育・教育の支援を行う。
 ・DVや虐待による心身のダメージからの回復をめざし、医師や専門機関、学校、保育所等との連携を密に支援に取り組む。
③関係機関との連携
 ・福祉事務所と密に連携を図り、利用者個々の状況に応じ、関係機関や社会資源を活用し、適切な支援を行う。
 ・関係機関、団体ネットワークの中で情報の共有化を図り、社会的養護の資源の一員としての役割を果たす。
④地域との連携
 ・母親と子どもの安全を守りつつ、地域住民として、地域の取り組みに無理なく参加できるよう配慮する。
 ・施設が地域での役割を果たすと共に、施設の目的や機能を説明し理解されるよう努める。
 ・施設機能の専門性を活かし、地域の子育て家庭やひとり親家庭の相談支援に応じる。
⑤支援の質の向上
 ・職員は、常に利用者の最善の利益を願い、適切な支援を行うため専門性と倫理性の向上に主体的に取り組む。
 ・職員の職務、キャリアに合わせ、施設内外の研修計画を適正に策定し、その成果を共有し、支援に反映させる。
 ・施設長、基幹的職員等によるスーパービジョンを行い職員への援助を行う。
【4】施設の特徴的な取組 ①丁寧できめ細やかな支援
 定員10世帯の小規模な施設であることを活かし、7名の職員が協力し、丁寧できめ細やかな支援を行っている。

②複合施設の強みを活かした支援
 法人の経営する保育所と障害福祉サービス事業所が同敷地内にあり、保育所への入所や一時保育の利用がしやすく、保育所との連携を密にした養育支援を行っている。また、障害福祉サービス事業所と連携し、障害のある母親の就労支援や日常生活支援、、児童の療育に対し、専門的なアドバイスや協力を受けて進めている。

③地域に密着した活動
 昭和25年に名古屋市から事業を継承して以来、67年に及ぶ長い歴史を有し、施設が一つの町内会として承認されており、連区の中で配慮をいただきながら、可能な地域活動を行っている。希望する母親と子どもは地域行事に参加可能。施設長が区長として連区の役員を務め、職員も地域の行事、交通安全等に貢献している。校区の敬老会や市民館祭りのパンフレットの印刷等を施設で請け負っている。
 子育て講演会、ひとり親支援講演会、地域の交流の場としての祭りの開催等、法人内の施設と協力した地域貢献の取り組みを行っている。

④資格取得をサポート
 公共交通機関は少なく、静かで落ち着いた環境でありながら、生活には非常に便利な立地にあり、就労場所も周辺に多くある。意欲のある利用者には、介護職員初任者研修、自動車運転免許取得のための受講を勧め、資格取得をサポートしている。
【5】第三者評価の受審状況 2017年06月28日(契約日)~ 2018年02月19日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点

◆施設長の改革・改善意識
 前回(3年前)の第三者評価受審を契機として、施設内の文書化が急ピッチで進められた。特に業務マニュアルに関しては、推敲、見直しを繰り返し、必要なマニュアルのほぼ90%が完成している。また、入所時には理念や方針が記載された「入所の手引」を渡しているが、一人でも多くの母親や子どもが充実した寮生活を送り、自立への道を進めるように、外国籍の母子用に「User's Guide」(「入所の手引」の英語版)を作成した。これらの取り組みの先頭では、常に強い改革・改善意識を持った施設長が奮闘している。 

◆利用者尊重の自立支援計画
 自立支援計画は母親と子どもの意向を第一に捉えた形で策定され、全職員で情報共有して共通の理解の上で個別の支援が展開されている。そこには自立という目標に向かって親子の人権の尊重と、主体的な本人の力を重視した視点が貫かれている。それぞれの標準的支援内容の中にも、権利擁護と最善の利益に着目した事項が盛り込まれており、一貫性のある取組みがなされている。

◆地域の中で普通の生活が送れるように
 母子生活支援施設の宿命として、地域との係わりには様々な制約が生じる。しかし、母親と子どもが“地域の中で普通の生活”を送ることができるよう、全職員一丸となっての支援がある。施設が一町内会として存続しており、荘長(施設長)が町内会長を務め、連区の活動には職員が参加している。母子の安全確保の観点から外出は控えめにしているが、地域の祭りや法人のイベントには親子で参加することもできている。地域からの暖かい支援もある。地域の農家から採れたての野菜が差し入れられたり、善意銀行に登録した高校生や元教師が、子どもの学習指導のためにボランティアとして来訪している。

◇改善が求められる点

◆利用者意向(満足度)の把握を
 年2回、親子それぞれの面談が実施され、また必要に応じて随時相談支援が実施され、意見聴取がされている。一方で、言葉での表現が苦手な親子やより詳細なデータ収集のためにも、自立に係る様々な事項や生活全般に関する意向調査を実施されることで、より細かなニーズ把握が可能になると思われる。支援の質を向上させる(母親と子どもの満足度を上げる)ためにも、母親と子どもに対する意向調査(満足度調査)を検討されたい。

◆“性”への取り組み
 自分の子どもに対する充分な性教育が難しい母親のケースが多く考えられるため、年齢や発達に応じた適正な“性”のあり方や指導について、組織的に取り組むことを望みたい。子どものみならず職員の意識や見識の向上を図る意味でも、外部の講師を利用すること等も含め検討されたい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  第三者評価を受審し、施設の強みと課題が明確になりました。自己評価以上に高い評価をいただいた項目に対して、職員一同自らの仕事に自信を深めることができました。さらに今回の受審を契機として業務マニュアルの整備を進め、支援の標準化を図ったことを評価していただき、大いに励みになりました。課題に対してはPDCAサイクルを活用し、さっそく改善に取り組んでまいります。
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