社会的養護施設第三者評価結果 検索

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【1】第三者評価機関名 (株)中部評価センター
評価調査者研修修了番号 SK2021147
SK2021149



【2】種別 母子生活支援施設 定員 20世帯
施設長氏名 大町 千恵子 所在地 静岡県
URL http://tousei.or.jp
開設年月日 2017年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 東静会
職員数 常勤職員 11名 非常勤職員 1名
有資格職員 児童指導員 2名 保育士 4名
認定心理士 2名 嘱託医 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 20室 (イ)設備等 事務室・面接室・保育室
(ウ) 集会室・学習室・静養室・宿直室 (エ) ショートステイ室・トワイライトステイ室・緊急一時保護室
【3】理念・基本方針 ★理念
 社会福祉法及び児童福祉法に基づき、民主的な施設運営、基本的人権の尊重を基礎に、母親と共に子どもの健全育成を推進する。生活支援にあたっては、母子を共に入所させる施設の特性を生かしつつ、親子関係の再構築等及び稼働の状況に応じて就労、家庭生活及び子どもの養育に関する相談、助言を行う等の支援により、その自立の促進に努める。
 そして、社会的存在としての役割に鑑み、社会資源の一つとして施設機能を十分に発揮し、施設利用者及び地域住民の福祉促進の中核になるよう、社会的連携を尊重していく。また関係機関や関係団体等とも連携を保ちながら、母子の保護及び生活の支援にあたる。利用契約による施設の適切な利用のために情報の提供や提供するサービスの質の評価、苦情の適切な解決にも努める。

★基本方針
 母子福祉対策の流れの中で母子生活支援施設の果たす役割に目をむけ、子どもの福祉を進める立場から、利用者のニーズに対応し、職員の人間性・専門性を高めるとともに設備を充実して支援の質の向上をはかる。
(1)利用者支援の質の向上
 ①子どもへの支援:自主性・創造性の養成、学力の向上、体力の増強をはかる。被虐待児童に対して心理療法を行う。
 ②母親への支援:円満な人間関係、社会的適応性、可能性の開発を支援し、明るい家庭づくりを目指し、自立をすすめる。DV被害を受けた母親に対して、心理療法を行う。
(2)施設の安全管理 防火防災設備の点検、避難訓練及び危機対応訓練の実施、建物の安全管理により、利用者の人命と財産の安全管理をはかる。
(3)職員の資質向上
 ①人間性と専門性を高める:自己の能力開発、利用者支援に必要な知識・援助技術の修得のため、研修・訓練・学習の機会を設ける。
 ②施設長のスーパーバイザーとしての役割を重視し、支援体制を明確にし、支援の質の向上をはかる。
(4)社会福祉教育への協力 社会福祉を目指す学生の実習を受入れ、福祉教育に協力する。
(5)地域社会との連携 町会への加入を通して地域との交流をはかりボランティアの受入れを検討する。その活動を通して施設の社会化をすすめる。
(6)関係機関との連携 関係機関と連携して、母子の保護及び生活支援にあたる。
【4】施設の特徴的な取組 (1)母親の相談支援 必要に応じて随時、家庭訪問または面接室での面談により相談・支援する。面談時間は午前9時30分から午後8時とし、必要があれば午後8時以降でも宿直者が行う。
(2)施設内保育 未就学児童は原則として地域の保育所に通所する。学齢児童は原則として市内の小学校に通学する。これを補完するものとして施設内保育を行い、母親が安心して就労できる環境を保障し子どもの健全育成をはかる。
 ①病後児保育
 ②補助保育
 ③リフレッシュ保育
 ④保育所未入所児の保育
 ⑤放課後児童保育を行う。保育時間は午前8時から午後7時。日曜・祝日及び年末年始は原則として休み。これ以外の時間帯でも、個別に相談があれば事情を考慮する。
(3)母親の自立に向けて パソコンのインターネット求人検索を定期的に開放して、より新しい求人情報を母親自身が探せるようにする。利用時間は、午前6時30分から午後9時。必要に応じて就労相談を実施するとともに、保育支援、資格取得の支援、ハローワークに同行する。就労の条件をよくするためパソコンを貸出し、母親が自由に使用して必要な技術の習得に役立てる。希望者には練習を支援する。
(4)学習支援 自立後も独自に学習ができるよう、家庭学習の習慣化、基礎学力の確立、成績の向上をめざして、母子の希望により学習支援を行う。小学生は帰宅後から午後6時まで。中学生及び高校生は、午後6時から午後7時30分まで。定期試験期間及び試験前1週間は、午後10時まで相談室を開放する。
(5)地域サービス
 ①母子家庭等に対する緊急一時保護事業(静岡県女性相談センターの業務委託契約)
 ②ショートステイ事業(沼津市の業務委託契約)
 ③児童相談所の一時保護委託(静岡県児童相談所の一時保護委託児童を受入れる)
(6)広域入所促進事業 母子家庭の福祉の向上をはかるため、夫からのDV等から避難し保護が必要な母子を広域的に受入れる。
(7)職員による宿直制 職員の勤務時間は午前6時30分の開門から午後10時の事務室の閉錠時までとし、午後8時から翌日の午前8時までは宿直者2名で管理する。365日休みなく職員が交代勤務する。
【5】第三者評価の受審状況 2022年09月29日(契約日)~ 2023年05月30日(評価結果確定日)
前回の受審時期 令和元年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
◆一時保護の積極的な受入れ
 全国の児童相談所一時保護所が課題としている「子どもの行き場所が決まらない深刻な状況」において、当施設では積極的にそれらの子どもを受け入れている。社会的養護関係施設における「子どもの最善の利益を最優先に考慮する」が実践されている施設である。

◆利用者への情報提供
 施設からの情報発信として、各階通路に掲示板を設置している。掲示物は、利用者が「掲示板には必要な情報がある」と認識できる内容で、紙面や文字の大きさで重要度を示し、子どもにも分かるようにひらがなを用いるなど、様々な工夫がされている。貼りだす回数や内容から、十分に広報誌の役目を果たしている。職員手製の貼り絵から、季節感と安心感が窺える。

◆徹底した個人情報管理
 施設内の清掃が行き届いており、整理整頓が徹底されている。施設の顔ともいえる事務所の机上には、必要な書類のみが置かれ、事務棚や紙媒体のファイル等も見当たらない。書類は事務所横の書庫に保管され、経理専用室が事務室内に配置されている。個人情報管理の観点において、利用者に信頼と安心を与えている。

◆職員チームワークによる利用者ニーズに応じた支援
 「全国母子生活支援施設協議会倫理要綱」の周知・徹底により、利用者個別のニーズに対して高い意識をもって支援が実施されている。また、その支援実施状況についても見直しがなされ、常にサービス向上及び改善に努めている。「全国母子生活支援施設協議会倫理要綱」は、カードサイズに印刷され、職員全員が名札に挟み込み、業務に入る際に確認を行っている。

◇改善が求められる点
◆実習生の積極的な受入れと採用(求人)活動の強化
 施設は「母子生活支援施設」であるが、子どもへの支援は、「施設内保育」、「病後児保育」、「補助保育」、「保育所未入所児保育」、「放課後児童保育」と多岐にわたっている。母親と子どもと施設(職員)のトライアングル体制での支援の特性や、児童養護施設と比べて何ら遜色のない実習が可能であることを、養成校や学生にアピールすることを求めたい。養成校へのアプローチを強化することで、施設の特徴が学生に周知され、実習生の受入れ増加に繋がる。さらには、働きやすさを施設の強みとして、求人活動の一環としても活用できる。

◆プライバシー保護に対する利用者の認識について
 施設は職員に対して「プライバシー保護」について周知しており、職員は職務規定を順守し、利用者個々の状況に十分配慮をしている。利用者のプライバシーや個人情報について、職員間で共有することは必要不可欠であるが、利用者にとっては秘匿性の高い話の内容は「どの状況においても水面下に収めておきたいもの」と考えるのが望ましい。利用者個々に対して誤解を生まない対応ができているかについて振り返りの機会を設け、今後の信頼関係向上に繋げることが期待される。

◆苦情件数の表記方法について
 苦情解決体制は第三者委員会も開催され充実しており苦情件数は0件である。ただし、第三者委員会資料・苦情の状況には月別苦情件数・内容別苦情件数には19件が計上されている。この19件は利用者の日常生活における小さな不満等の解消に寄り添った職員の丁寧な対応であり苦情件数に計上する必要はないと思われる。表記方法については、誤解のないよう「苦情」と「要望」の欄を設定する等、苦情と区別して表示することが求められる。

【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  母子生活支援施設を経営するために法人を設立して7年目、施設運営を始めて6年目ですから、組織づくり、支援の質の標準化など、まだ施設の基礎づくりを進めている段階です。開所して4年目・令和2年からの3年間は、新型コロナウイルス感染予防が施設運営にも大きく影響しました。今般の第三者評価受審により、ご指摘やご意見をいただきましたので、参考にしながら、法人の理念や基本方針を基に安心・安全を提供する利用者本位の明るい施設運営のために、これからも職員一同変わらぬ努力をしていきたいと考えています。
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