社会的養護施設第三者評価結果 検索

ほおずき荘

【1】第三者評価機関名 (公社)新潟県社会福祉士会
評価調査者研修修了番号 S15030
S16028



【2】種別 母子生活支援施設 定員 6世帯
施設長氏名 土屋 由利恵 所在地 新潟県
URL
開設年月日 1951年04月01日 経営法人・設置主体 佐渡市
職員数 常勤職員 1名 非常勤職員 2名
専門職員
施設設備の概要 (ア)居室数 6(2DK、約44㎡) (イ)設備等 学習室、静養室、多目的ホール 等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 ◆理念
 母と子の最善の利益のために、その権利と尊厳を擁護します。

◆基本方針
 子育て支援の観点から、母と子の生活と自立を支援する、1人ひとりが生きる力を育み、自分らしい生活をスタートできるよう応援する。
【4】施設の特徴的な取組 ・多様なニーズに対応するため、積極的に研修会等に参加し、支援技術の専門性向上を目指している。
・公立機関と言う特性を生かし、関係部署との連携を円滑にすすめられる。
【5】第三者評価の受審状況 2016年07月01日(契約日)~ 2017年02月06日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成25年度
【6】総評 【特に評価が高い点】

(1)専門的なプログラムを用い、子どもや母親が不適切な行為を行わない支援に取り組んでいる。

 当施設では、職員が「セカンドステップ教育プログラム」(NPO法人Committee for Cirdrenが開発した、子どもが加害者にならないためのプログラム)を取り入れ、怒りの気持ちの自覚やコントロールの仕方、自分の気持ちや相手の気持ちの相互の理解に基づく人間関係、困難な問題を解決する力の3つについて視覚カード等を使いながら、週に1回子どもと母親がわかりやすく学べる場の提供などを行っている。さらに「怒鳴らない子育て練習講座」「Nobody's Perfect完璧な親なんていない(NPプログラム)」などの子育てスキル内容から施設の状況に合わせて抜粋した掲示物を作成して施設内に掲示するなどして子どもや母親が不適切な行為を行わないような支援に取り組んでいる。
 また、毎日学校から帰ってきた子どもの様子の変化を観察、状況を確認して学童保育等と連携をしながら子どもからのサインを見逃さないようにしており、子どもの状況を、子どもや母親の気持ちに配慮しながら母親に伝えている。施設長は、毎日母親が仕事先から帰ってくるのを待ち声をかけたり、施設長が退勤してから朝までの様子を朝の出勤時に宿直職員から聞き取りをし、他の職員と情報の共有をしている。他の職員が日常的に母親と顔を合わせる状況が少ない勤務体制については、施設長は施設の課題だと考えおり、今後のさらなる取り組みに期待したい。

(2)施設長は、支援の質の向上に意欲をもち、職員と共に取り組み指導力を発揮している。

 施設長は、支援の専門性を高める研修をしていくことが大切であると考えており、外部研修には積極的に職員に参加してもらい内部研修として伝達研修を行っている。また、各事業や行事の計画等は職員と話し合い職員の意見を反映して企画立案し共に取り組む積極的な姿勢で指導力を発揮している。施設長は、社会の中で母子世帯が抱える問題が多様化してきていることを把握し、支援職員の業務内容が複雑になり支援方法に苦慮している現状から、専任の母子支援員や少年指導員を配置し、常に業務内容を話し合い情報を共有しチームワークを大切にして支援の質の向上に取り組んでいる。


【改善が求められる点】

(1)ほおずき荘における支援の標準的な実施方法を文書化し、その実施方法に基づいた支援が行われることが望まれる。

 当施設では、母子生活支援施設の運営指針の項目に沿って解説という形で記述された「母子生活支援施設運営ハンドブック」(厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 家庭福祉課発行)を職員一人ひとりが所持し、支援マニュアルとして位置付けている。「母子生活支援施設運営ハンドブック」は、運営指針の内容を掘り下げるとともに、事例や詳細な解説等を通じて、施設運営をできる限り可視化できるようにしたものである。施設運営や支援は、施設のおかれた環境や職員体制等によって異なるものであり、指針や運営ハンドブックをマニュアル等として位置付けるのではなく、当施設で利用者支援を行う際に必要な施設での標準的な支援方法、業務手順などを含んだ支援全般が標準的実施方法として定められることが求められている。当施設は、異動等で職員が変わることも想定されており、支援方法の標準化は利用者の利益を考慮すると欠かせないものといえる。今後は、施設の標準的実施方法の策定への着手に期待したい。

(2)ほおずき荘における利用者への体罰の禁止や権利侵害の防止を明記した規則等の策定と利用者への権利侵害に関する職員研修等の実施が望まれる。

 当施設では、母子生活支援施設運営ハンドブックをマニュアルとし、職員の母親や子どもに対する権利侵害が起きないように日々努めている。また、佐渡市立の施設であることから、市職員として条例の「服務規程」等の規則によって公人としてあるべき姿に従って職務についている。
 しかし、当該施設における利用者の権利侵害等に関する規定や、母親や子どもに対する不適切な関わりが発生した際の対応マニュアル等は作成されておらず、研修や話し合いの実施記録もなかった。権利侵害等は当然行われていないものとして扱うのではなく、いかなる場合においても、職員等による不適切なかかわりによる権利侵害が行われないように、また、権利侵害があった場合を想定して対応できるマニュアルや規定の策定が求められている。職員の異動等により引き継ぎが適切に行われなかったという経緯もあり、前回の第三者評価実施の際からの改善がなされておらず、早急な改善が望まれる。

(3)母子生活支援施設の運営指針に基づいた施設の理念や基本方針を明確にし、その内容に沿った施設全体の事業計画の策定が望まれる。

 当施設では、「全国母子生活支援施設協議会倫理綱領」を根底において、第三者評価基本調査票の中に「基本理念」「基本方針」が明文化されているが、施設内に掲示されているものと入所時に母親と子どもに説明している「しおり」の内容に関連性や統一性の不足が見られ「基本理念」「基本方針」が不明確であった。
 また、単年度の事業計画は策定されているが、行事計画的な要素が強く施設全体の事業計画としては不足である。「施設行事」「居室安全点検日」「避難訓練」「入所者面談」等の年間の実施予定日を事業計画としており、支援充実のための具体的な取り組みの計画や組織運営に関する具体的な事業の計画とまでは至っていない。「基本理念」「基本方針」を明確にし、その内容に沿った施設全体の事業計画の策定が望まれる。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  今回の第三者評価は、職員全員が初めての受審でしたが、一人ひとりが日頃の支援の振返りと現状把握に取組むことができ、大変有意義であったと感じています。評価機関の皆さまには、職員への聴き取り調査、入所者アンケートなどで丁寧な評価やアドバイスをいただき、心より感謝申し上げます。
 評価結果でご指摘をいただいた課題については、職員全員が真摯に受け止め、改善に向け取り組んでいきたいと思います。そして、利用者に安心・安全な生活環境を提供できるよう努めてまいります。
第三者評価結果はこちら