社会的養護施設第三者評価結果 検索

ふじみ苑

【1】第三者評価機関名 (公社)新潟県社会福祉士会
評価調査者研修修了番号 S15030
S2020067



【2】種別 母子生活支援施設 定員 18世帯
施設長氏名 片野 文子 所在地 新潟県
URL
開設年月日 1949年04月01日 経営法人・設置主体 設置主体:新潟市、運営主体:社会福祉法人新潟市社会福祉協議会
職員数 常勤職員 6名 非常勤職員 0名
有資格職員 社会福祉士 2名 介護福祉士 1名
介護支援専門員 1名 保育士 3名
施設設備の概要 (ア)居室数 18室 (イ)設備等 一時保護室 2室
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 ■理念
子育てが困難な状況にある母子世帯や事実上の母子世帯の母親とその子どもを入所させて保護するとともに、様々な支援を通してその自立を促進する。
母子はDVはじめ、多くの課題を抱えており、長期かつ総合的な支援を必要としている。母子の立場を尊重して信頼関係を構築し、ともに課題を解決する視点を持って支援を行う。

■基本方針
・児童福祉法に基づく施設として、「子どもの最善の利益」を念頭に支援を行う。
・母子の希望や意志を尊重し、あたたかく、寄り添う立場で支援する。
・母子が共に生活できる施設の特徴を生かし、生活に密着した支援を行う。
・母子の退所後の地域での生活も含めた息の長い支援を行う。
・様々なニーズに対応するため、職員のスキルを向上させるとともにチームとして統一した支援を行う。
・入所者が心から安心でき、安全に暮らせるようマニュアル、環境を整える。
・関係機関との連携を重視し、協働して支援の充実を図る。
・入所者、及び第三者による評価を運営に生かす。
【4】施設の特徴的な取組 ・新潟県女性福祉相談所、新潟市配偶者暴力相談支援センターと連携したDV被害者などの一時保護事業に継続して取り組んでいる
・入所者の安全確保を最優先に考えて宿直員を配置し、施設・設備の充実を図っている。
・施設を運営する新潟市社会福祉協議会の人的ソースを活用して研修などに取り組んでいる。
・入所者伴走型支援を念頭に、職員全員でのチーム支援により柔軟な対応、支援を行っている。
・外部カウンセラーによるカウンセリングを入所者・退所者に提供している。
・退所者を対象として行事や寄贈品の案内などを通じニーズの掘り起こしや、退所後の来訪・相談に応じるアフターケアを取り組んでいる。
【5】第三者評価の受審状況 2021年08月10日(契約日)~ 2022年03月23日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成30年度
【6】総評 ■特に良いと思う点
〇退所後の母親と子どもが安定した生活を送ることができるように支援している。
 母子生活支援施設に対する法人の重点事業として、「永続的な安定した生活の保障」を実現するために退所者を対象にした「アフターケア事業」に取り組んでいる。コロナ禍であるが故の孤立化を防ぐためにも、退所者向けに施設行事を実施したり、助成金情報の提供や寄付品の配布、地域の社会福祉協議会などとの連携による地域に密着した生活支援などを実施している。退所が決定してから職員と母親で「退所後支援計画」を作成しており、退所先住所や退所後の不安なこと、施設から受けたい支援希望などが記載されている。退所後の母親と子どもが施設とつながっている中で、母親や子どもの思いに寄り添いながら、安定した生活ができるように丁寧に支援していることが伺える。
また、「退所者支援強化事業」として、感染対策をしながら退所者を施設に招待して「同窓会」を行っている。退所者の近況や新たな課題を把握し、途絶えた支援を復活させたり、現職員とのコミュニケーションを図り、来訪・相談しやすくする目的で支援を行っている。参加人数が多く、施設として退所者とつながることを大切に取り組んでいることがうかがえた。

〇子どもが様々な大人との関係の中で、心地よさを経験できるように支援を行っている。
 様々な職員が、入所時から子どもへ平等に声をかけるようにしたり、気持ちを受け止めることを大切にかかわることで、子どもが安心できる環境であることを理解できるように配慮している。「職員は話を聞いてくれる」と感じている子どもが多くいることを今回の第三者評価における利用者調査から確認することができた。また、学生ボランティアや実習生の受け入れを積極的に行っており、学生とのかかわりを子どもは楽しみにしている。心理士取得に向けて学んでいる大学院生が、学習支援および子どもとかかわる時間を設けている「チャレンジタイム」という機会を実施している。大学院生が子どもとの会話をすることで、子どもにとって年齢の近い人とのかかわりが悪意や暴力のない大人モデルの提供の一つとなり、自分を受け入れてもらう経験をしたり様々な大人像を確認できるきっかけとなっている。施設として、様々な大人との出会いの機会は子どもにとって、自分の存在を肯定することや社会性を養うために大切なかかわりであると考えている。

〇職員が働きやすい環境づくりに取り組んでいる。
 法人本部が労務管理を行っており、定期的(年1~2回)に本部の課長との面接が実施されている。福利厚生制度の充実などのほか、施設独自の取り組みとして利用者に提供されている苑内カウンセリングも受けることができるようになっている。時間外勤務の削減への取り組み、有給休暇取得の推奨、シフト作成時の配慮など、今回の第三者評価における自己評価では、ほとんどの職員が働きやすい職場だと感じていることがうかがえた。法人本部が策定した「次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画」は職員が仕事と子育てを両立させることができ、職員全員が働きやすい環境 を作ることによって、全ての職員がその能力を十分に発揮できるようにするための計画であり、職員の働きやすさに反映されている。

■特に改善が求められる点
〇施設としての中長期計画の文書化、明確化が望まれる。
 施設の母体である新潟市社会福祉協議会では、6か年ごとに総合計画を策定している。現在は「新潟市社会福祉協議会 福祉ビジョン2021」が2026年までの6年計画として、法人全体の課題解決に向けた活動指針として発出されている。当施設としては、新潟市の指定管理施設であるため委託期間の5年間の中期的な見通しをもって運営されているが、実際の施設運営は、その中期的な見通しが計画内容として文書化されていない中で進められている。職員も、法人の中長期計画はあるが施設の計画との連動性はないと感じており、今後は施設としての中長期の計画を文書化し明確にすることが望まれる。

〇新しい施設体制構築への取り組みについて
 当施設は、今年度(令和3年度)施設長が交代し新しい体制となっている。現施設長は、昨年度まで当施設で母子支援員として勤務し母親と子どもの支援を行っていたため、担当の変更などの切り替えの難しさ、職員の役割変更と継続した支援の在り方などへのとまどいがあることが、今回の第三者評価の訪問調査や職員の自己評価から課題としてうかがえた。まだ新しい体制になっての最初の1年であり、今後、スーパービジョンなどの体制を含め盤石な施設体制構築にむけての取り組みに期待したい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  今回の評価結果において細やかな分析のもと、改善点を多数ご指摘いただき、新たな気づきを得ることができました。また、前回の評価結果に対する改善に向けた取り組みについて一定の評価を受けたことは、職員にとって大変な励みとなりました。今後は新たな課題に真摯に向き合い、職員一同今まで以上に母子に寄り添い、チーム支援を軸に関係機関とも連携しながら支援の見直しを進めたいと考えています。
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