社会的養護施設第三者評価結果 検索

島根県立わかたけ学園

【1】第三者評価機関名 (有)保健情報サービス
評価調査者研修修了番号 SK15120
S24254
島-78


【2】種別 児童自立支援施設 定員 48名
施設長氏名 伊藤 進 所在地 島根県
URL http://www.pref.shimane.lg.jp/wakatake/
開設年月日 1939年04月01日 経営法人・設置主体 島根県
職員数 常勤職員 21名 非常勤職員 44名
専門職員 児童自立支援員 17名 児童心理司 2名
家庭支援員 1名 栄養士 1名
保健師 1名 嘱託医 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 寮舎(3棟)3人部屋×16室、ショートステイハウス(2棟) (イ)設備等 本館(事務室、園長室、教室)1棟
(ウ) 体育館、運動場、プール、農園 (エ) 食堂、調理場
【3】理念・基本方針 基本的考え方(運営方針より要約)
『児童の自立支援のための最適環境の創造
~環境のすべてが、児童自立のツールである~』
 相互の信頼を基本にした人間関係、安心・安全で快適な寮舎、整備され活動しやすい園庭運動場など、入園児童を取り巻くあらゆる環境が児童の自立支援にとって最適の機能を発揮するよう取り組んでいく。
【4】施設の特徴的な取組 ・「児童の権利擁護」「児童の最善の利益」を念頭に置き、施設運営が行なわれている。
・入所児童が生活支援・学習支援、自立に向けた支援、食育を通じ、社会生活に適応できるよう支援されている。
・段階別支援プログラムを児童・保護者に提示し、具体的取組について職員と個別面接する中、分校を含め組織的に児童の取り組むべき個々の目標を定め支援が行なわれている。
・入所児童と保護者との関係改善を図る為、可能な状況であれば月1回家庭実習を実施し、児童の成長や状況を保護者に見てもらい家庭復帰に向け支援されている。保護者に学園行事を周知し、参加を要請されている。
・地域から正しく理解されるよう、関係機関の行事参加を要請し、学園の取組みを見てもらい支援と協力を依頼されている。また、地域行事に児童や職員が参加し、理解を得られるよう取り組まれている。
【5】第三者評価の受審状況 2017年04月03日(契約日)~ 2017年10月17日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
平成29年3月に「わかたけ学園在り方検討委員会」の報告書がとりまとめられた。児童定員の見直しや施設整備及び機能強化、社会的ニーズと施設の設置目的が図られるよう施設環境整備、人的配置等を積極的に取り組まれているところである。第三者評価は2回目の受審である。

●「児童の権利擁護」「児童の最善の利益」の取り組み
・「各寮の家庭的な雰囲気づくりや施設全体の環境美化」「児童が落ち着いて暮らすことのできる環境整備」「入所児童の状況に対応した寮の活用」等、寮と分校がすり合わせをしながら、「児童の権利擁護」「児童の最善の利益」について積極的に取り組まれている。
 3年前は寮だけの個別面接だったが、分校と連携を図り職員によるフィードバック面接による個別支援の効果が見られる。
・職員が「信頼できる大人」として子ども達の信頼を築いており、アンケート結果でも職員に話せるという回答の数値も高く、無断外出等も無い。子ども同士や職員との会話や関わりが明るく、前回に比べ子ども達もよく挨拶できるようになっている。
・住環境個室化や持ち物等の工夫により、プライバシーの保護や子どもの情緒の安定が図られている。
・今年度より保健師を1名配置。健康診断や日常健康チェック、受診対応等子どもの健康管理等が充実されてきている。
・学校との協力体制の充実
3年前受審時は段階別支援プログラムの導入期であったが、現在はプログラムも軌道に乗り、重点的に子どもと職員、分校連携のフィードバック面接、きめ細かい話し合いや日頃の人間関係を構築し、組織的取り組みに成果が上がってきている。
発達障がい児童の入所もあり、その理解や子どもの自身の対応について、職員同士連携を図り共有に努められている。
・食事を通しての育み
家庭と同様に陶器の食器を使用。おかわり等もしやすく、子ども達は明るい雰囲気の中食事を楽しんでいる。
様々な食事メニュー、季節感、食材、作り方等への関心の高さが、子ども同士や職員との会話・姿から伺える。豊かな感性を育み、食事マナー、食事を作ってくださった方への感謝、食器を大切に扱う等、日々の積み重ねが感じとれ非常に高く評価される。職員・調理職員の方が育まれた季節感溢れる食事や味わいは、入所児童の一生の宝である。
業者導入により、食事中には調理者不在の施設もあるが、豊かな感性を育む重要な場であり、この雰囲気を継続されることを期待したい。

◇改善を求められる点
・支援の質の向上と職員配置
組織的にPDCAサイクルにもとづく支援の質の向上に関する取組が実施されているが、評価、問題提起で終わってしまうケースも多く、次の展開への取り組みやその連続性に期待したい。
入所に関して被虐待児やADHD、広汎性発達障害等の増加も著しく、個別支援対応の必要性が増してきている。個別支援を重点的に行っているにもかかわらず、毎年人事異動による職員の異動が行われるため、職員の人材育成・専門性の継続的向上について課題が残る。
・児童住環境の整備
各個室は床暖房が使用されているものの、老朽化しており十分効力を発揮できていない。その為、厳寒期は、子どもや寮職員にとっては非常に厳しい環境である。改築に合わせ暖房設備を検討する予定だが、子どもの人権尊重や健康管理上、各部屋の暖房設備の充実は早急な対応を期待したい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント わかたけ学園は、児童の自立支援の基本的な考えとして、環境のすべてが児童自立支援のツールであると位置づけ、相互の信頼を基本にした人間関係、安心・安全で快適な寮舎、整備され活動しやすい園庭、運動場など、入園児童を取り巻くあらゆる環境が児童の自立支援にとって最適の機能を発揮するよう取り組んでいくことを方針にしています。
対応方針として、
① 効果的で公正な予算執行
② 安全で安心して暮らすことのできる生活環境の確立
③ 学園と分校の共通認識に立つ、協働した取り組み
④ 関係機関や保護者との密接な連携による支援
⑤ 地域との交流をはかり、地域の人的、社会的資源の活用
⑥ 社会的使命と存在意義の啓蒙
 こうした方針のもとに、職員同士の共通理解と連携、一貫した援助と継続性に留意し、子どもが分かりやすい目標設定(段階別支援プログラム)を通じ、子どもたち一人ひとりが自己の課題の改善に取り組めるよう支援しているところです。
今年の3月、「わかたけ学園あり方検討委員会」の報告書がまとまり、施設環境の整備、人的配置等、子どもの家庭に代わる安心・安全な「家庭的で温かな雰囲気」のある生活環境の提供を目指したいと思います。
今回は2回目の受審でしたが現在の取り組み状況について理解が得られ、評価された点については、引き続き自己点検を図りながらしっかり取り組んでいきたいと考えています。
また、指摘を受けた点については、学園のみならず分校とも共有し、児童自立支援施設としてどのような取り組みが必要なのか、また現状でどんな取り組みが可能なのかについて論議し、改善を図っていく必要があると思います。特に、子どもへの個別支援については今後ますます重要になってくると思われ、支援内容の充実、検討が必要と思われます。
また、人事異動により職員の入れ替わりもあり、人材育成や専門性の向上については引き続き課題として捉え、対策を講じなければならないと感じました。園内研修はもとより、専門研修への積極的な参加を進めていきたいと思います。
 今回の児童アンケートからは、安心安全な施設として捉えている子どもも多く、更なる施設環境の向上をハード、ソフト両面で目指していきたいと思います。食育についても重要性を感じており、現状の体制が維持できるよう県に要望していく必要があると思います。
 地域支援・地域との交流について、当園の取り組みとして教育機関や福祉関係の研修の場として施設見学や研修場所として積極的に受け入れています。前回、受審後ボランティアの受け入れや地域へのボランティア活動の参加等、マニュアルを作成し積極的に取り組んできたところです。徐々にではありますが開かれた施設として地域から評価をいただいているところです。
 最後に、施設の中で子どもたちが安全・安心して生活する環境を整え、安定した生活を通じ職員との信頼関係を築き、それを基調とした児童の健全育成に取り組んでいきたいと思います。
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