社会的養護施設第三者評価結果 検索

奈良県立精華学院

【1】第三者評価機関名 (特非)NPOかんなびの丘
評価調査者研修修了番号 SK18143
SK18224



【2】種別 児童自立支援施設 定員 18名
施設長氏名 廣岡 幸夫 所在地 奈良県
URL http://www.pref.nara.jp/11974.htm
開設年月日 1908年12月20日 経営法人・設置主体 奈良県
職員数 常勤職員 17名 非常勤職員 1名
有資格職員 社会福祉士 1名 臨床心理士 1名
児童自立支援専門員 4名 児童生活支援員 3名
調理師 3名
施設設備の概要 (ア)居室数 22室 (イ)設備等 交流プラザ、分校・分教室
(ウ) 体育館、グラウンド (エ) プール
【3】理念・基本方針 理念:小規模な家庭環境の中で、一人ひとりの気持ちを尊重した支援を行い、人間関係を通した信頼関係の形成、特定の大人との信頼関係の構築等により、「生きる力」を養い、希望をもって社会に自立していくための支援を行います。
基本方針:1 生きる力の育成
     2 共生できる社会性の育成
     3 学力の向上・人間関係の構築
【4】施設の特徴的な取組 1 「児童自立支援型学校教育」対応職員(教員)を配置することにより施設と学校との連携を充実させています。
2 施設職員・学校職員の合同職員会議や教員による寮舎での給食指導、「精華タイム」の実施など、施設と学校が互いに協力し合って児童の支援にあたっています。
3 基幹的職員による寮担当職員へのスーパーバイズと職員・教員の研修体制を充実しています。
4 第三者委員(子どもの権利委員会所属弁護士)が、学期ごとに児童面談を実施し、また、意見箱の開封を担当するなど、児童の最善の利益を図り権利を保障する取り組みを実施しています。
【5】第三者評価の受審状況 2021年11月22日(契約日)~ 2022年02月10日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 【施設概要】施設は奈良市の中心部から南東方向の丘陵地、市内とは言え公共交通機関を用いてJR奈良駅に出るには約1時間、最寄りのバス停までも徒歩20分余りというアクセスの不便な位置にあります。生活寮舎は5棟ありますが、現在は、常時使用は生活棟男女各1棟と職員の休日確保のための交替寮1棟で、感染症対策用として1棟が準備されています。ニーズ変化や職員確保等の事情で入所定員を大幅に減じ(18名)令和3年10月の時点で11名(小・中学生のみ)です。支援形態は開設以来「夫婦小舎制」を採っていて、平成29年度には施設内に学校教育を導入、両者の緊密な連携が図られて成長発達と学習増進はじめ子どもたちの生活全般にわたる安定が保持されています。
【特に評価の高い点】
◆生活寮と教育との具体的場面での連携
 寮担当職員の教室へのTT参画、教員の寮舎での児童と共に昼食をとる日課や職員と教員が定期的に児童ひとり一人の情報を共有し寮舎と教室での支援に反映する取り組みを行っています。また、登校時の朝礼、昼休み前後登下校時の中礼、終礼を持ち、寮担当職員から教員へ、教員から寮担当職員に、毎日3回の児童を見守る引継ぎの取り組みは高く評価できます。
◆アフターケアへの注力
 退所後の多い移行先は、①家庭、②児童養護施設、③全寮制高校の順になっていますが、「実施要領」に基づいて丁寧なアフターケアが行なわれています。関係機関との連携はもとより、LINEや電話・手紙のほか、家庭・職場・学校等への訪問、また、児童によっては、施設への来所、会食の場を設けることもあります。
◆心理的ケアの充実
 入所児童全員を対象とした心理カウンセリング時間が確保され、心理療法職員により児童の状況に適した方法(言語面接・プレイ等)によって実施されています。また、学期ごとに見直される自立支援計画にも心理支援の記載枠が設けられ、カウンセリングによる児童の状況や変化・成長が記され日ごろの生活や学習支援に反映されています。また心理療法職員は、児童の心情をより的確に把握するためケースカンファレンスはじめ、学院行事や食事場面にも積極的に参加しています。
◆バランスのとれた生活支援
 夫婦職員が住み込みで児童と共に生活する中「健全な枠のある生活」を通して「WITHの精神」で児童に寄り添い、大人として、親として、社会人としてのロールモデルを示しています。また、日々生活場面で派生する出来事に、グループ対象には就寝前のミーティングや生活場面面接を、個人ひとり一人には個別面接や日記指導を通して、児童の発達や課題に応じた支援の取り組みがしっかりとなされています。
【改善が求められる点】
◆施設としての「事業計画書」「事業報告書」の作成
 あらゆる運営・支援についての諸計画が各々の部門で作成され、一定の共有もなされているようですが、施設としての「事業計画書」が作成されていないため、そのことが組織的に行なわれているのかどうかの確認ができません。それぞれの年度に行なってきた支援活動等を含む諸事業のまとめ(「事業報告」)が書面として作成されていないのも、組織としては問題があります。前年の事業まとめが基となって次年度の方針が検討されます。まずは今年度の「事業報告書」の作成が強く求められます。
◆リスクマネジメント体制の強化
 意識を向けてみると、「ヒヤリハット」事例は意外にたくさん起きているものです。事故や事件に発展することを避けるためにも、まずは、その収集に努めることが大切です。リスクマネジメントに係る担当者を決め、ヒヤリハットの整理を行なうことと、分析や対応等について検討する定例的な会議を設ける必要があります。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  第三者評価の受審を業務改善の重要な機会とし、今回ご指摘を頂いたことについて改善するため、以下の取り組みの充実を図って参ります。
・当院の理念・基本方針について、こどもや保護者等へのより一層の周知や、職員間の共有化を図ととともに、会議等において確認することを進めていきます。
・中長期的なビジョンと計画を検討し、それに基づき各年度の事業計画を策定することにより、PDCAサイクルの中でこともたちへの支援の改善を進めていきます。
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