社会的養護施設第三者評価結果 検索

大阪市立阿武山学園

【1】第三者評価機関名 (特非)ふくてっく
評価調査者研修修了番号 SK18235
0501B093 大阪府
0601B010 大阪府
1102C009 大阪府
1201C029 大阪府
【2】種別 児童自立支援施設 定員 84 名
施設長氏名 林 功三 所在地 大阪府
URL https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000501023.html
開設年月日 1960年11月01日 経営法人・設置主体 大阪市
職員数 常勤職員 41名 非常勤職員 7名
有資格職員 児童自立支援専門員 29名 保育士 2名
社会福祉士 3名 看護師 1名
臨床心理士 2名 管理栄養士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 児童寮舎 7棟 各定員12名 82㎡ (イ)設備等 厨房棟 99㎡
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 理念:
~強きよりも、賢きよりも、まことなる人とならんと~
力関係に頼る人よりも、抜け目ない要領のよい人よりも、嘘、偽りのない誠実なひとになるように児童の人間性を育成する。
基本方針:
・非暴力・脱暴力を徹底し、児童が安心・安全・信頼を実感できる施設運営の実践
・小舎夫婦制を基本とした「共に暮らす教育」の実践
・心理的な発達及び社会的規範の再構築(育て直し)の実践
・一人ひとりの自主性・自律性を尊重し、「がんばる」ことを支援する実践
・児童の権利擁護を基本とした施設運営の実践
【4】施設の特徴的な取組 ・非暴力・脱暴力を徹底し、児童が安心・安全・信頼を実感できる施設運営の実践
・共に暮らす教育、育て直しの支援に基づき、児童との愛着形成を図る。
・性問題児動画増えているが、性加害治療プログラムを導入し、再犯率の抑止を実現。(新)
・組織的なアフターケアに取組みつつあり、退園生の支援についても高いレベルを目指している。(新)
・全国の児童自立支援施設の中では、各方面とのネットワークを当園は強化しつつあり、また精神科医の診察や心理士のカウンセリングも園内で実施可能であり、高いレベルでの支援を実現できていると自負している。
【5】第三者評価の受審状況 2020年11月25日(契約日)~ 2021年03月23日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 【特に優れた点】
■広大かつ豊かな自然に恵まれた立地と良質な施設環境、小舎夫婦制を基本とした家庭的環境の中、各寮それぞれにアタッチメントが図られ、職員は子どもから高い信頼感を得て、充実した「育て直し」の支援が行われています。
■児童自立支援施設をとりまく社会福祉の動向や子ども達の環境変化をしっかり把握・分析して、これに対応した支援体制の適応性や高機能化が図られています。
■第三者委員である弁護士の講和を聞く機会を設けて、子どもに権利について正しく理解するよう取組んでいます。
■非暴力・脱暴力を徹底するとともに、入園前に行った加害行動治療プログラムを導入した取組によって、退園後に高い治療効果が表れています。
■同敷地内に併設する小中学校における教育と、学園における「共に暮らす教育」が有機的に連携して、総合的な「育て直し」が実践されています。
■スポーツや体を使う作業における「がんばる」体験を通して、子どもの自己肯定感を芽生えさせ、一人ひとりの自主性・自律性を尊重した支援を行っています。

【改善すべき課題】
■夫婦小舎制の、特徴的な取組を徹底するなかで、寮長・寮母の負担軽減や生活リズムの確保、私生活上の事情で寮長・寮母になれない職員の経験知や能力を活かす役割の創設など、学園ならではの働き方改革の推進が課題となっています。
■子ども達の多様かつ奥深い支援ニーズに応えるためには、職員一人ひとりの個別性や、各寮の独自性が不可欠であることは理解できますが、並行して支援の標準化も重要です。「概要」には、学園が目指す支援目標や基本理念が記され、職員はその想いを共有し、それぞれに高い支援力を有していますが、組織としてその貴重な経験知を包含して、マニュアルを整備し、その実効性ある位置づけ・活用が求められます。
■第三者評価、自己評価、インシデント・アクシデント事例分析、各種会議等で把握された改善課題について、組織的なPDCAサイクルを定着・機能させる取組が求められます。
■大阪市立の施設でありながら市外に立地するという物理条件や、施設の設置ミッションの特性上、施設周辺地域との交流が希薄となりがちです。子どもの社会適応能力を高めるためにも、また、地域社会に施設を理解していただき、可能な地域貢献を果たしていくためにも、取組の検討が求められます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント ■当園の「共に暮らす教育」と「育て直し」の支援について、全体的にご理解と高評価をいただくことができ、嬉しく思っております。
■全国に58施設の児童自立支援施設がありますが、これまで当園は、開設の昭和35年より、支援の根幹として夫婦小舎制の運営の中で、入所児童を支援してまいりました。なり手不足などの影響から、夫婦制の継続がままならなかった施設がある中で、志のある若い職員がその継続を担ってくれていることは、感謝の気持ちしかなく、また当園の誇りでもあります。
■夫婦制を推進していく上での、困難さや課題については、今後さらに検討していきたいと考えます。また、評価の低い項目についても、次年度以降の課題として、さらに精進していきたいと考える所存です。早速、次年度から、危機管理委員会を発足させて、インシデント・アクシデントの分析や対応、そして避難訓練等にも注力すべき、体制強化を推進いたします。
■ケアニーズが高いとされる非行少年の支援について、「最後の砦」とも呼ばれた児童自立支援施設としての矜持を胸に秘めて、今後とも邁進したいと考えます。
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