社会的養護施設第三者評価結果 検索

山梨県立甲陽学園

【1】第三者評価機関名 (株)マスネットワーク
【2】種別 児童自立支援施設 定員 25名
施設長氏名 遠藤 篤子 所在地 山梨県
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【3】実施調査日 2014年07月15日~2014年10月30日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
◯(支援の基本と環境)
 学園は樹木や四季折々の草花に囲まれた自然豊かな環境と共にあり、自然が醸し出す雰囲気と、職員の人的環境との調和や相互関係が、学園が持つ雰囲気や個性となっている。職員の経験や勤務年数は様々であっても、一人一人の児童に向きあい、手を抜かず見守り続けて行く姿勢を持った職員が支援にあたっている。この良質な人的環境こそが、児童が大切にされていると感ずることや自己肯定感の育みに欠かせないと思われる。園長はじめ職員相互の認識の共有化、チームとしての支援、分校との連携、新人職員への指導、基幹職員の指導・助言などの体制があり、それらが学園の持つ強みとなり、この環境や体制が支援の基本を支えている。
◯(児童集会の取り組み)
 児童集会は、子どもの意見、要望を汲み取る場として有効に活用されている。児童集会は、月末に寮ごとに職員も参加して、子どもたちが自由に意見や要望を出して話し合い、記録し、記録は自由に閲覧できるようにしている。寮日課の決まり事や生活全般についての意見、要望に対しても迅速に回答できるように、開催日も検討している。また、自分の想いを表明することや相手を思いやることの練習の場になっており、自己表現力の向上、人間関係を学ぶ場としても役立っている。
◯(アフターケアの実施)
 家庭復帰後の支援に取り組んでいる。家庭復帰の子どもの退所後の支援体制は、本人、家族の意向を踏まえて、関係機関と連携してケース会議を開催し、実施要綱に基づきアフターケア計画を作成し、担当職員を決めて具体的な支援に取り組んでいる。家庭訪問、電話による定期的連絡、時には家族や関係機関との連携を図り、概ね1年を目処に支援のネットワークの構築を目指し、安定した生活が送れる様に配慮している。

◇改善が求められる点
●(中・長期計画と事業計画の策定)
 学園の将来像や組織体制、職員体制などの課題や問題点は明らかになっているが、課題解決に向けての具体的な中・長期計画や事業計画が策定されていない。特に事業計画は中・長期計画の年度別の具現化であり、財政的な裏付けを持った計画であることが求められる。
 年度途中で業務概要が作られ、実施状況の把握と評価が行われているので、これらを土台とした翌年度の事業計画の策定が望まれる。また、年度内では実現できない課題も多々あるので、それらが中・長期計画に反映されて、子どもが安心して安全に成長できる環境を整え、職員が意欲的に取り組める学園となるような長期展望に立った計画策定を期待したい。
●(地域に開かれた学園を目指して)
 子どもと地域との交流は学園の特殊性もあり、あたりまえの生活としての交流は困難が多く実現されていないが、学園行事への地域住民の招待、ボランティアの受け入れ、グラウンドの貸し出し、ヘリポートの整備など、可能な限り地域に開かれた学園作りに取り組んでいる。
 地域にとっては、当学園は思春期問題、非行や子育て問題、青少年育成などの専門的知識や技術を持っている貴重な存在であり、相談や助言(虐待・親子関係・自律性・自己肯定感・社会との協調性などの悩み)は地域の子育て支援に有効である。関係機関との調整を前提にして、地域貢献としての講演会、学習会、相談事業などの実現に向けて検討されることを期待したい。
●(性に関する教育)
 性に関する教育は、分校との連携や外部講師の活用などによる職員研修を通して職員の認識の統一を図ることが望まれる。学園に相応しい性教育のあり方について検討を深め、性教育を広くとらえ、いのちの教育として、毎日の支援の中に取り入れることが望ましい。全職員が認識を共有し、様々な角度からそのあり方をみつめ、一人一人の子どもの年齢や発達段階に応じた、学園としての性教育のプログラムを明文化するなどの具体的な取り組みを期待したい。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 施設としてはじめての第三者評価を受けました。今回の受審の過程で職員一人ひとりが日頃の業務を点検し、さまざまな気づきの中で支援の根拠や意味を改めて認識できたことが大きな成果であったと思います。また、客観的な状況把握とともに新たな視点により当学園の強みと弱い部分が明らかになりました。この評価結果を真摯に受け止め、評価の高かった点には更なる充実を目指し、改善が求められた事項については、課題を整理し、できるところから取り組み、子供たちの処遇の向上や施設運営の改善に努めて参りたいと思います。
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