社会的養護施設第三者評価結果 検索

神奈川県立おおいそ学園

【1】第三者評価機関名 (株)R-CORPORATION
評価調査者研修修了番号 SK15157
S24061



【2】種別 児童自立支援施設 定員 60名
施設長氏名 菊池 正敏 所在地 神奈川県
URL http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450049/p584931.html
開設年月日 1903年12月01日 経営法人・設置主体 神奈川県
職員数 常勤職員 40名 非常勤職員 18名
専門職員 児童自立支援専門員 27名 児童生活支援員 5名
栄養士 1名 看護師 1名
医師 3名 職業指導員 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 基本理念は「子どもの最善の利益の実現」を求めて
(1)子どもの健やかな心身の育成
(2)子どもの「生きる力」と「やさしさ」の育成
(3)子どもの基本的人材の擁護
【4】施設の特徴的な取組 (1) 人権に配慮した安心すべき生活の保障
(2) 自立支援:子どもの心身の健全な成長を促すとともに、個々の子どもが持っている課題の達成に向けた支援
(3) 専門的支援の推進:分校や学園スタッフの連携強化を図るとともに、スーパービジョン体制と職員の資質と専門性の向上
(4) 安全と環境に配慮した園運営
(5) 地域に開かれた学園づくり
(6) 健康管理:日常の健康管理と感染症予防
(7) 食育:健康な食生活とマナーと食事の大切さ
【5】第三者評価の受審状況 2017年06月06日(契約日)~ 2018年03月15日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 神奈川県立おおいそ学園は、明治36年の感化法による感化院として、神奈川県薫育院の名称で横浜市磯子区に設置され、現在地には、明治44年に国府分院を設置し、大正元年に国府分院を本院に、根岸本院を分院に変更しました。昭和9年の少年救護法による少年救護院に変更、昭和12年に神奈川県国府実習学校と改称し、昭和23年の児童福祉法で教護院に変更、平成10年に神奈川県立おおいそ学園と改称し、現在に至っています。平成15年に大磯町立国府小学校・国府中学校を分校として開設しています。神奈川県立おおいそ学園の設置目的は、児童福祉法による児童自立支援施設として、不良行為をなし、または、なすおそれのある児童及び家庭環境、その他の環境上の理由により、生活指導等を要する児童を入所させ、または保護者の下から通わせて指導し、自立を支援し、併せて退所した者についての相談その他の支援を行っています。基本方針に、子どもの最善の利益の実現を求めて、「1.子どもの健やかな心身の育成 2.子どもの「生きる力」と「やさしさ」の育成 3.子どもの基本的人権の擁護」を掲げ、子どもが安心できる生活を提供し、社会の担い手になる子どもの健全育成に努めています。

<特に評価が高い点>
●「おれの自立計画」の実施
おおいそ学園では、職員の行う支援・ケアについて定めた自立支援計画とは別に、子ども自身が「おれの自立計画」を策定し、展開しています。児童の支援方針は、自立支援計画に詳細に定めて子どもの自主性を支援していますが、施設として定められた計画とは別に、子ども自らが自主的に作る「おれの自立計画」は、自ら目標を決め、自立が根本的に推進できる面で評価が高く、おおいそ学園としても支援計画の2つの柱とし、推進して効果を上げています。


●「いちょう寮」を活用した家族再統合の支援
児童自立支援施設の最終目標は、家族再統合にあります。子ども本人または、家庭的な原因による不良行為を、子ども本人の自立と、家庭環境の改善により、家族再統合が望まれるところです。おおいそ学園では、家族再統合の為に施設に設けられた家族宿泊棟(いちょう寮)を活用しています。いちょう寮の活用は、児童自立支援施設としては先進的な事業展開であり、家族の再統合へ向け、互いに理解し合える体制を作り、家族自身が問題を解決して行けるように支援しています。

●「レインボーボックス」(意見箱)等の取り組み
子どもの権利擁護の仕組みとして、子どもが自由に意見を表明できるよう「意見箱」を設置し、親しみやすく「レインボーボックス」と命名し、子どもたちの意見・要望を汲み上げています。レインボーボックスの他にも、年2回、第三者委員が各寮に出向き、子どもから直接、話を聴いたり、第三者に相談できる機会を設けています。また、地域支援グループのファミリーケースワーカーがヒアリング形式でアンケートを実施し、子どもの悩みや要望を聞き取り、子どもたちに内在している課題の具体的改善に努めています。

<改善が求められる点・期待される点>
●児童自立支援施設における職員の役割
おおいそ学園では、職員の資質として、「①常識があること ②共感性 ③情緒的安定性」を求めています。職員は意識と向上を図り、達成に向けて努力していますが、現況、在籍年数の差、異動等で個人の意識に差異が表れることはやむを得ません。諸事情等含め、おおいそ学園の誇る職員として、養育者として、子どもの模範となり示す大人として、求められる資質を目指し、さらなる努力を期待します。特に、子どもとの境界を明確にしてかかわること、人としての敬意を払ってかかわることについて、大切な姿勢であると感じましたので、引き続き研鑚を積んでいただくことを期待します。

●児童自立支援施設における使命感・適確、適切な引継ぎ
児童自立支援施設の職員には、神奈川県内に数少ない児童の自立に携わる施設に勤務していることの自覚と、専門性を持つ職員として使命感を常に抱き、強く持って欲しいと考えます。おおいそ学園の職員は、神奈川県の福祉職員として採用を受けた県の職員であり、公務員として異動は必ずあり、異動サイクルは最近やや長くなっているとは言うものの、3~5年の範囲での異動があります。職種は福祉全般となるため、必ずしも社会的養護関係施設のみというわけではありません。そのため、長年にわたり、児童自立支援施設での業務のみに精通する機会は少ないと思われますが、福祉施設の中の児童自立支援施設の役割、それに伴う自分の役割を認識し、前任、同僚から綿密な引継ぎを受けた上で、前任以上の業務が推進できるよう、今後も研鑽を図られることを期待致しております。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 事業者コメント
施設名:神奈川県立おおいそ学園
園長名:菊池 正敏


当園では、毎年自己評価を行っていますが、今回、第三者評価を受審し、あらためて第三者の目で評価を行う意義を確認したところです。
評価結果につきましては、職員全員で議論を重ねよりよい支援に取組んでいきたいと考えています。
 
受審では、ヒアリングを通じて当園の機能や実態を説明しましたが、児童自立支援施設は全国で58ヶ所と施設数が少ないことや生活と教育を同じ
敷地内で実施する内部完結型の施設でもあり、外部からわかりにくい施設であることをあらためて認識しました。
評価にあたっては、児童自立支援施設を評価する機会が少ないことが理由と思われますが、事前に送付された評価基準が改正前のものであったことや、改正後の評価基準の中にも児童自立支援施設にはなじまないと思われる内容もあったこと、また、受審時には基本的な施設機能の説明にたくさんの
時間を要しました。
評価機関が、事前に児童自立支援施設の機能の確認や現場を見る機会を増やしたうえで評価が実施された場合は、さらに厳しい評価となったことと
思います。そうした背景もあると思いますが、一方で純粋に第三者の目で当園が評価されたものでもあり、その内容はしっかりと受け止める必要があると考えています。
 
第三者評価は、自己評価を行うことから始まり、職員全体で施設運営を振り返り、できていることやできていないことを洗い出し、外部の目で評価を
受けることを通じて、今後の取組課題を把握する。そうした目的を踏まえ、引き続き子どもの最善の利益の実現のために、取組んでまいります。






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