社会的養護施設第三者評価結果 検索

奈良県立精華学院

【1】第三者評価機関名 (社福)大阪府社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK15186
1301C004



【2】種別 児童自立支援施設 定員 18名
施設長氏名 廣岡 幸夫 所在地 奈良県
URL http://www.pref.nara.jp/11974.htm
開設年月日 1908年12月20日 経営法人・設置主体 奈良県
職員数 常勤職員 17名 非常勤職員 6名
専門職員 社会福祉士 1名 保育士 2名
社会福祉主事 4名 中学校教員免許 7名
栄養士 1名 臨床心理士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 22室 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 小規模な家庭環境の中で、一人ひとりの気持ちを尊重した支援を行い、人間関係を通した信頼関係の形成、特定の大人との信頼関係の構築等により、「生きる力」を養い、希望を持って社会に自立していくための支援を行う。
【4】施設の特徴的な取組 ①平成29年4月1日からの学校教育導入が教員配置の少ない分教室形態になったことから、2名の教員を「児童自立支援施設型学校教育」対応職員として県職員に身分移管し配置(学科指導係、学科指導係主任主査)した。いわゆるフリーの職員としての勤務と併せ、市教育委員会の併任辞令による分教室の教員としての勤務も可能とした。
 職務は①学習指導、②スクールソーシャルワーカー的業務、③クラブ活動・院内共催行事の企画・実施、④児童自立支援専門員業務(フリー)である。
 施設と学校の調整機能の役割も果たし大変有効である。
 施設職員・学校教員の合同職員会議や教員による寮舎での給食指導、職員による分教室でのT・T、「精華タイム」(職員・教員が生徒朝礼でローテーションにて講和を行う)の実施、学級日誌の活用など、施設と学校が入所児童への支援強化のため、お互いが協力し合うという好循環スパイラルの実現を目指している。

②昨今の入所児童の特徴(発達障害を有する児童、被虐待児童の増加など)から、これまで以上に専門的支援が必要であるという認識に立ち、職員・教員の人材育成を重視している。
 平成28年度より新たに設置した生活指導係長に基幹的職員(SV及び研修責任者)を任命し、閉鎖的になりがちな寮職員を総括。また、研修担当者を指名(施設職員1名、学校職員1名)し職員・教員研修の充実化に努めている。
(平成28年度実績 院内研修4回(「性加害への対応」「大人の発達障害」など)院外研修への参加21回)

③児童の最善の利益を図り、児童の権利を保障する観点から、平成28年4月1日から第三者委員の一人に弁護士(奈良弁護士会子どもの権利委員会所属)を充て、毎学期に児童との面接(定期訪問活動)を実施している。また、院内に設置している意見箱の開封は当該弁護士が行うこととした。
 児童面接は、子どもの健全育成に造詣が深い弁護士であるため、児童の気持ちに配慮したものとなっている。
 面接結果は速やかに、施設職員・学校教員に伝え、共通理解を図っている。
【5】第三者評価の受審状況 2017年05月22日(契約日)~ 2017年12月26日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇施設の概要
 精華学院は、奈良市の南部にある奈良県立の児童自立支援施設です。建物は、寮舎(生活棟)、本館(教育棟)の他にグラウンド、体育館、プール等の設備があります。入所児童たちは、夫婦の職員と暮らしを共にしています。
 平成29年度から、施設内に小学校・中学校の分教室が設置され、入所児童は、教育棟の分教室で学習をしています。学院の生活を通して、子どもたちは「生きる力」と「社会に自立する力」を養っています。

◇特に評価の高い点
好循環スパイラル
 平成29年度から学校教育が実施されました。児童の権利擁護の推進を主軸に、「福祉と教育を共に必要としている子どもたち」「唯一無二の施設、唯一無二の学校」の行動規範を掲げ、施設長が中心となって運営・支援体制が整備され、「良質の支援枠組み」実践への具体的な取り組みが着々と進められています。

スーパービジョン体制も整えた小規模で家庭に近い雰囲気の施設運営
 これまで、小舎夫婦制で家庭に近い雰囲気で施設を運営してきて、子どもたちと家族のような信頼関係を築き、生活習慣、学習等、支援の効果を高めてきました。さらに、平成29年度より「生活指導係長」という役職名で基幹的職員を配置し、寮の担当職員が問題を抱え込まずに相談できるような、スーパービジョン体制を構築しています。

◇改善が求められる点
職員意識の拡張
 学校教育の実施にあたり、施設の役割・使命、組織・機能・職員スキルの資質の向上について、可視化に積極的に取り組んでいます。一方、公立施設として社会的養育ビジョンの具現に向け、従来の小舎夫婦制の寮担当者を中心にした支援から、教育と協働するチーム支援のあり方の模索と実践の更なる取り組みが望まれます。在籍・退所に関わらず、子ども一人ひとりに、社会人として「生きる力の強化」の取り組みの成果につながる中・長期支援の策定が望まれます。

学校教育の導入に伴う、施設と学校、関係機関のさらなる連携、職員配置
 平成29年度に学校教育を導入し、施設と学校の連携により、生活と学校教育の役割分担で子どもを多様な職員で支援していく体制が整ってきました。今後は、施設と学校の連携を一層深め、支援を高めるために、小学校の教師、保健師や養護教諭、常勤の心理職員の配置を県に対して希望し続けながら、本校の教師、学校と警察の連絡会等での連携、児童相談所とのアフターケアでの密な協力等、学校教育が導入されたことによる変化に対応していくことがさらに望まれます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  当院は第三者評価の受審を重要なPDCAサイクルの機会と捉え、前回受審以降、低評価項目の改善をめざしてきました。今回、新たな評価(Check)を頂き、その内容を早速施設内会議(合同会議、寮長会議、寮母会議等)にて周知しました。また改善できる項目につきましては翌日より着手(Action)しています。
 さらに、新たな取組内容を平成30年度事業計画(Plan)に組み込み、当院の基本方針である「入所児童の生きる力を養い自立を支援する」ことを推進(Do)して参ります。
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