【1】第三者評価機関名 | (特非)アスク |
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評価調査者研修修了番号 | SK15023 T05028 SK15026 |
【2】種別 | 乳児院 | 定員 | 80名 | |
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施設長氏名 | 松本 栄 | 所在地 | 栃木県 | |
URL | http://www.sunyuuji.org/ | |||
開設年月日 | 1951年03月01日 | 経営法人・設置主体 | 社会福祉法人恩賜財団済生会支部 栃木県済生会 | |
職員数 | 常勤職員 | 73名 | 非常勤職員 | 2名 |
専門職員 | 看護師 | 16名 | 保育士 | 39名 |
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児童指導員 | 2名 | 社会福祉士 | 1名 | |
臨床心理士 | 2名 | 栄養士 | 1名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 幼児室4室、プレイルーム4室、乳児室2室、ほふく室2室 | (イ)設備等 | 整備された広い園庭 |
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(ウ) | 屋内外への防犯カメラの設置 | (エ) | ||
【3】理念・基本方針 | ○理念:子どもたちの基本的人権を守り家庭にかわって、安定した人間関係の中で心身共に健康で、心豊かな子どもを育成する。 ○基本方針: 1.健康な身体に育てる。 2.豊かな愛情で、情緒の安定をはかり、自主性と思いやりを育てる。 3.豊かな生活体験ができる環境を、安全に整える。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | ○済生会宇都宮病院との関わりから、医療型乳児院として病・虚弱児、障がい児等の受入れを行っており、万全を期するため保育 士を中心に看護師を他施設よりも手厚く配置して「保育看護」に当たっている。 ○平成27年4月1日から、栃木県初の乳児院併設型の児童家庭支援センターを設置し、相談支援員(看護師)、臨床心理士等の専門スタッフが、電話相談・来所相談(家族の心配事・子どもに関する悩み・子ども自身の悩み等)、県や児童相談所からの受託による指導、関係機関との連携、里親等の支援などを行っている。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2017年08月23日(契約日)~ 2018年01月18日(評価結果確定日) | |||
受審回数 | 1回 | 前回の受審時期 | 平成26年度 | |
【6】総評 | ◇特に評価の高い点 ○子どもの満足の向上を目的とする仕組みの整備と取組 職員は、日常の養育・支援場面で子どもの様子を観察しながら、子どもが楽しく満足した生活が送れるよう関わり方等を工夫しており、訪問時には整備された広い芝生の庭で子どもたちが元気に遊びまわる姿が見られた。色々な体験ができる機会や行事を設け、その際の子どもの様子や反応を観察した報告書を分析し、検討結果を子どもがもっと満足できるよう次年度の行事計画に反映している。また、保護者等の面会時には、和やかな雰囲気作りを心掛け、子どもと保護者等が満足のいくまで過ごせるよう努めており、家庭復帰室を活用して子どもと保護者が一緒に入浴する機会なども設けている。また、年4回保護者等あてに子どもの様子等を書いた「おたより」を送り、そのうち2回は子どもの写真を添えて日々の成長の姿を伝えている。お宮参り・お食い初め・健康診断・外来受診・誕生日会・遠足等がある場合は、保護者に参加を働きかけて、子どもと保護者が直接触れ合う機会ができるだけ増えるよう取り組んでいる。 ○職員一人ひとりの効果的な教育・研修体制の構築 教育・研修の方針、考え方を示すものとして、教育規程「乳児院教育概要」があり、教育の目的・目標、教育方針、期待する人材像、院内教育プログラム、院外教育プログラム、新人教育計画から構成されている。平成29年度の事業計画においては、3つの主要事業の一つとして「人材の育成確保」があり、具体的な実施事項として「改訂乳児院職員の研修体系(9領域)のレベルに応じた資質向上」を挙げている。職員一人ひとりの積極的な教育・研修に向けては、階層別、個人別の「研修レベル表」が運用されて、ケースカンファレンス、日常業務内OJT、OFF-JT、施設外研修、任意の勉強等の受講に応じてポイントを獲得する仕組みを設けて職員の意欲向上を図っている。また、教育委員会を中心に職員からテーマを募り勉強会を計画して教育・研修を実施しており、個別の職員の知識、技術水準、専門資格の取得状況については、乳児院人事報告書としてまとめられている。 ○適切な健康管理と医療機関との連携 毎日、個々の子どもの検温を行い、全身状態や排泄等の健康状態について観察した結果を保育日誌に記録し、職員で共有して慎重かつ丁寧な健康管理に努めている。また、ナース委員会において、清潔・健康・感染予防・安全な環境維持等について改善策や対応策を検討して職員に周知を図り、実施した結果を報告するなど、よりよい健康管理に向けた取組を行っている。子どもに異常がある場合は、連携している隣接の済生会宇都宮病院で外来・院内診察・発達フォロー等が受けられる体制が整っており、カルテはデジタル化され、職員は病状や服薬について随時確認して、医師の指示通りの援助ができるようになっている。訪問時に、入所間もない子どもが夕食後に口の周りにアレルギー症状が出たが、速やかに看護師である養育担当職員と保育課長が状況確認の上協議し、後日医師に相談するなどの対応策を講じるなど、いつでも適切な対応が取れるよう取り組んでいる。 ◇改善を求められる点 ○子どもと地域との交流を広げるための取組 子どもが施設の外に出る機会としては、買い物体験・誕生日外出・病院や高齢者ケアセンターへのひまわりのプレゼント・隣接する看護学校文化祭の見学・近所の保育園園庭での遊びなどがあり、施設が開催するクリスマス会や夕涼み会には、保護者や関係機関職員等が訪れている。しかし、施設や子どもへの理解を得るための地域住民との交流と言えるような取組が実施されていない。今後、地域との関わり方や交流の必要性等を事業計画等に明確に示し、職員への周知と理解を図ったうえで、地域との交流を広げるための取組をしていくことが必要である。 ○職員の働きやすい職場環境の整備 職場の問題点、課題への取組については、毎月の運営会議で院長の指導のもと、改善策が話し合われている。職員の就業状況については、有給休暇取得状況一覧表による取得状況の確認、時間外勤務命令書による就業状況の確認と把握を行い、院長、保育課長による個別面接が実施され職員の意向を確認している。しかし、職員の働きやすい環境整備に関しては、職員アンケートの結果からは、「いいえ」という回答が過半数であり、有給休暇の取得、時間外勤務、休日出勤等についての不満も窺えるので十分な現状説明及び改善に向けての一層の取組が望まれる。特に職員の採用が大きな課題となっており、充足に向けて工夫するとともに、福利厚生についても職員の希望聴取等を踏まえての余暇活動や日常生活の充実に向けた支援を期待したい。また、ワークライフバランスに配慮した取組も早期の着手が望まれる。労働安全衛生法では指針として、「仕事による疲労やストレスを感じることの少ない、働きやすい職場づくり」の実現に向けて、職場環境の改善に取り組むことを推奨しており、働きやすい職場環境は、職員の意欲向上をもたらし、また職場の活性化をもたらすことにもなるので積極的な取組が期待される。 ○スーパービジョン体制の確立と職員・施設の支援の質の向上 基幹的職員5名(保育係長3名・保育係リーダー2名)をスーパーバイザーとして位置づけ、日常的に職員に対する助言や支援を行い、職員一人ひとりの支援技術と施設全体の支援の質の向上に取り組んでいるが、スーパービジョン体制としては十分と言えない。また、職員アンケートでも、「スーパービジョン体制の確立が十分でない・よく分からない」との回答が多数を占めている。今後は、職務分担表の中でスーパーバイザーを担当する職員を明示し、スーパービジョンそのものへの理解を図る研修等を実施するとともに、職員相互が評価・助言し合う取組やスーパーバイザーによる職員への定期的な面接と継続的な支援の仕組みを構築するなど、職員の専門性及び組織としての支援の質の向上への取組を強化することが求められる。 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 3年に1回、義務化された第三者評価の重要性は、外部の客観的な診断をいただく機会であり今回当院は3回目の受審です。調査員の先生方には温かい対応で、現場を第一に当乳児院養育活動の本質的な部分を評価していただいたことはとても職員にとって励みとなります。一方、ご指摘いただきました改善面はどれも直面する課題と認識しているところです。また、職員意識調査アンケートやヒアリングで得た情報でも、改善が進まない実態を反省しております。 今回の調査を受けて、平成30年度事業計画には、今回第三者評価で得られた結果をもとに、業務改善の推進として全面的に指摘事項の履行を盛り込み、課題に対するPDCA実践を掲げることにし、継続的改善を目指します。職員意識改革も必要かつ不可欠で、今後「新しい養育ビジョン」で検討されている乳児院の多機能化・機能転換の対応には、専門性の活用に留意をしていく所存です。今まさに社会的にも地域、職場、人材育成等の総合的な対応も必要な時期にあり、個であれば自己啓発、集団であれば組織協働の下での当乳児院の組織改革が求められている時と考えられます。その意味でも第三者評価の支援を通じて得られたヒントを生かし、当乳児院の進化に努めます。 |