社会的養護施設第三者評価結果 検索

栃木県済生会宇都宮乳児院

【1】第三者評価機関名 (特非)アスク
【2】種別 乳児院 定員 80名
施設長氏名 松本 栄 所在地 栃木県
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【3】実施調査日 2014年06月07日~2014年12月16日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
○子ども一人ひとりを大切にした養育・支援の取り組み
 養育・支援に関する各分野を網羅した「宇都宮乳児院養育指針」に基づき、職員は一定以上の水準を保ち共通の認識を持って日常の養育や支援に当たっている。入所当初より子どもの継続担当制をとる中で、職員は子どもとの愛着関係を育むことで情緒の安定を図り、基本的な生活習慣を身につけたり社会性の発達を促すための様々な経験の場を設ける等、子ども一人ひとりを大切にした養育・支援を目指し充実した取り組みが実践されている。
○子どもの健康と安全の確保に向けた体制の確立
 子どもの健康管理は、毎日慎重かつ丁寧に観察を行い、健康状態の変化が一目で把握できるよう記録されている。体調の悪い子や術後の経過観察が必要な子どもについては、隣接する済生会宇都宮病院で随時受診ができ、緊急時も対応してもらえる体制が整っている。また、事故防止については、想定されるリスク毎に対応マニュアルが整備され、各種委員会において運営状況について毎月検証を行なっている。養育場面におけるインシデントやアクシデントについては、、当事者がレポートを係長に提出し、安全衛生委員を中心にカンファレンスを行い、原因の把握や対策等の検討がなされている。その後、安全衛生委員会・リーダー会議・スタッフ会議で報告して情報共有化を図るなど、事故発生防止のための徹底した取り組みが行われている。
○施設運営と養育・支援の質の向上に向けた積極的な取り組み
 自己評価や第三者評価結果から明確になった課題については、各種委員会活動を中心として改善に向けての積極的な取り組みが行われている。具体例としては、施設運営面では、中・長期計画の策定、事業計画の充実、年度の運営内容を網羅した「業務概要」の作成及び職員への配付、「乳児院のご案内」の全面改訂、ホームページの開設、外庭の拡張整備等が挙げられる。養育・支援面では、心理療法担当職員を配置し心理支援プログラムを策定しての子どもや保護者等への支援、夜勤職員体制の強化、各種マニュアルの見直し等が挙げられる。

◇改善が求められる点
○各種記録類の見直しによる業務量軽減に向けての取り組み
 平成23年度の第三者評価結果で、記入すべき記録類や作成する書類・資料が多すぎることについて改善の必要性を指摘され、その後いくつかの見直し・改善が行われているが、今回の職員アンケート結果には、まだ改善が不十分であるという意見が多く寄せられている。今後は、各種記録類や作成資料等についての必要度・優先度等の見極め・記録の中の重複している項目や不必要な項目のチェック・記述欄の広さや記入頻度の見直しなどを行うと共に、手書きからパソコン利用による記入方法を取り入れて省力化・迅速化を図るなど、管理者層及び職員が一体となって総点検をして更なる改善に結びつけていくことを望みたい。
○子育て支援事業の更なる展開と地域交流の促進への取り組み
 現在、広域住民のニーズに応じた子育て支援事業として、「赤ちゃんすくすくテレフォン相談」・「病後児保育」・「子育て支援短期入所」等の様々な事業が展開されている。現在の養育・支援担当職員は乳幼児の養育経験が豊富で専門職としての意識も高いので、今後の更なる展開として、例えば近隣の子育て家庭を対象とした育児相談・子育てサロン・勉強会等の、より身近な子育て支援活動の取り組みについて検討することを期待したい。また、当施設は充実した施設設備を有していることから、これを一般開放して利用者と職員や入所している子どもとの交流を図るなど、地域との交流を促進する取り組みについても、今後検討をしていくことが望まれる。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 第三者評価(義務化)を受審することで、私達の業務を客観的に評価していただく意義を実感しました。また、評価に当たられた皆さんのパートナーシップに感謝します。当施設の課題の改善努力に一定の評価をいただき、求められる改善が着実に次の段階へアップしたことは確実な進歩です。とかく施設内の改善には、旧態依然とした業務の継続や自己流の方法等が伝承されてきましたが、社会の変化の中で本来あるべき姿の「基本」をこの機会に学び、職員に説明性のある改善の目標を設定できる価値は重要と考えます。
 今回、改善が求められた課題は、職員も日常的に問題視している点であり、社会福祉の最たる業務を担う乳児院の今後の地域社会におけるより高い社会的な貢献、役割を考え、原点に返って改善に努力して行きたいと思います。
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