【1】第三者評価機関名 | (公社)鹿児島県社会福祉士会 |
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評価調査者研修修了番号 | S15081 S18189 |
【2】種別 | 乳児院 | 定員 | 15名 | |
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施設長氏名 | 軀川 恒 | 所在地 | 鹿児島県 | |
URL | http://www.kanoya-nyujiin.jp/ | |||
開設年月日 | 1949年07月15日 | 経営法人・設置主体 | 社会福祉法人潤心会 | |
職員数 | 常勤職員 | 26名 | 非常勤職員 | 1名 |
有資格職員 | 看護師 | 8名(兼務2名) | 家庭支援専門員(FSW) | 1名 |
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心理療法担当職員 | 2名 | 保育士 | 6名(兼務1名) | |
里親支援専門相談員(SSW) | 1名 | 栄養士 | 2名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 1室(2カ所) | (イ)設備等 | 新生児用・虚弱児用 各1室 |
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(ウ) | 家庭生活訓練室 1室 | (エ) | ||
【3】理念・基本方針 | 基本理念 社会福祉法人潤心会の名のとおり、「潤いある心を以って、潤いある心を持った子に育てよう」を基本理念と定め、その実現のために法人並びに施設の目的達成に努めると共に、地域社会の様々な福祉活動に積極的に参画して、地域ニーズの把握に努め、法人並びに施設の持つ機能の及ぶ限り「社会的養育」という使命を果たすべく、今後も児童の福祉に寄与する。 運営方針(施設の基本方針) (乳児の画で3種類:けらけら、ごくごく・もぐもぐ、すーすー) ・乳児院での安心・安全・安定した生活、養育者との愛着関係、子どもの体調、保護者との面会や一時帰宅、積極的な里親委託など、子ども一人ひとりの幸せを目指します。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | ・子どもと家庭の最善の利益を目指した安心安全で安定した安らかな生活、家族との関わり、職員との関わり、地域との関わりを目指しており、社会的養育の中での当院の機能、役割としては次のことが挙げられる。 ①近年児童虐待が増加している中で、乳幼児の生命を守り、心身及び社会性の健全な発達を促進し、被虐待児・病児・障害児等への対応ができる専門的養育機能を有している。 ②乳幼児の一時保護に際して、入所時から退所後まで一貫して継続されるアセスメン トを重要視して対処している。 ③2019年度の退所児童7名の内訳は、家庭引き取り3名、里親委託2名とこの10年で約7割の子どもを家庭等へつなぎ、また入所児童の保護者等の面会等も年約400回程度と親子関係が途切れないように心掛けており、早期家庭復帰を視野に入れた保護者支援を軸とする親子関係育成機能を重視している。 ④家庭、里親、児童養護施設等の子どもを次の受け入れ先につなぐ再出発支援機能に注力しており、「つなぐアルバム」や「Telling絵本」を関係者の理解・協力を得ながら取り組んでいる。 ⑤家庭復帰、措置変更後、里親委託後の支援をするアフターケア機能を大切にし、2019年度はアフターケア記録に残しただけでも約70件に取り組んだ。 以上の5つを基本に据え、養育者とのアタッチメント(愛着関係)形成、を中心とした養育、家庭復帰に向けた親子関係再構築を中心に据えた支援、また家庭に代わる里親委託推進と地域の子育て関係者との様々な場面での連携・協働という部分に関して積極的に取り組んでいる。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2020年09月09日(契約日)~ 2021年01月23日(評価結果確定日) | |||
前回の受審時期 | 平成30年度 | |||
【6】総評 | ◇特に評価の高い点 ・法人の理念、基本方針に沿って、安心安全で安定した安らかな生活環境やケアの保障を実現すべく、施設のハード面から職員の養育・支援の実施や標準的養育マニュアル等のソフト面に至るまで、子どもの最善の利益を目指して温かい雰囲気のもとで細やかな配慮がなされています。 ・施設長は、全国・九州の乳児福祉協議会の役員であり、また県内の各種協議会等の役員、研修講師として、自己研鑽に励み専門性の向上に努めており、乳幼児の養育・支援については先駆的な取組を率先して実施しています。 ・専門職員、各種加算職員を計画的、積極的に配置し、専門的知識・技術を持った人員体制の充実に努めています。女性が多い職場ですが、産休、育休を取得しやすく休暇取得後に職場復帰しやすい職場環境の雰囲気づくりに心掛け、経験豊かな人材の継続確保を実現しています。 ・事故防止、防災・防犯等対策として定期的に実際の事故等を想定した訓練を実施し、乳幼児の体調変化の緊急対応への備えや、事故防止のためのハード、ソフト面への配慮など、子どもの安心安全な養育のため、リスクマネジメント体制が整備されています。 ・心理的な支援を要する乳幼児に対して、心理検査、面接交流、行動観察をもとに自立支援計画を立て、子どもが言葉で表現できない部分の見立てにより、発達遅延・被虐待の子ども、他施設から入所してきた子ども等に、心理療法担当職員が養育担当職員と協働して、心理面の支援を実施しています。 ・入所から退所まで一貫した担当養育制を取り、担当養育者との外出、担当職員宅への外泊等の実施、兄弟ケースへの意識付けなど個別の関わりを持つことができるよう、勤務シフトにも配慮しています。 ・入所時からのエピソードや写真に加えて、保護者や里親等の気持ち、関係職員等の写真、生活の状況、育ちの情報、その時の職員の支援、家族や里親が会いに来てくれたなどの具体的な事項を記載した「つなぐアルバム」を作成し、大人になって自分の生い立ちを知るツールとなり、心理職を中心に自己肯定感を持てるような「ライフストーリーワーク」に取り組んでいます。 ・当院の近年10年の対処実績では、家庭引き取り、里親委託の合計が76%と家庭等復帰を重視した取組が確認できています。家庭支援専門相談員が中心となり施設と家族の信頼関係を構築し、ショートステイを利用させるなど個別対応を取り、保護者との調整を慎重に行い実施されています。退所後のフォロー、アフターケアも十分に行われています。 ・子育て経験の乏しい実親や里親のため、広いスペースの家庭生活訓練室を設置しており、通常の家庭に近い環境でマッチング体験が無料で利用でき、親等にも子どもにとっても、不安解消に役立っていると思われます。遠隔地の里親等の宿泊所としても提供され、里親支援としても貢献しています。 ◇改善を求められる点 ・「新しい社会的養育ビジョン」「県社会的養育推進計画」では、乳児院の高機能化及び多機能化、機能転換などが謳われており、当院はこれまでも保護者の養育スキル獲得の支援やライフストーリーワークなど先駆的な取組を行っていることが伺われますが、今後の安定的継続経営のためにも中・長期事業計画及び収支計画の検討・策定が期待されます。 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 未知なる新型コロナウイルスの様々な影響が社会に及ぼされる中、2015年、2017年に続いて3回目となる社会的養護施設第三者評価を受審させていただきました。県内外の各種会議、県・九州・全国乳児福祉協議会の研修会や大会等も中止や延期が相次ぎ、職員には不要不急の外出や旅行等の自粛、保護者の面会までも制限せざるを得ない状況が続いており、また県の監査も書類提出と電話による聞き取りに変更されるなどの流れもあって、第三者評価を受審するかどうかも悩みました。しかし、コロナ禍がいつ落ち着くかは分かりませんし、今年度に同じようなことを考えた施設から申し込みが殺到して、もしかすると次年度も受審できないかも知れないと考えて思い切りました。 評価者の1名が前回も来られて当院のことを知っていらっしゃる方であったこともあり、3年前と現在では何がどう変わったのか、社会的養育を担う施設として果たしてちゃんと成長や進化ができているのか、2018年度に見直された評価項目についても見ていただける良い機会となりました。この3年間では記録データベースの導入、休暇日数や夜勤手当の見直し、職員増、職員の研修受講のより一層の充実、家庭支援・里親子支援・地域支援の充実、医療機関との連携、ソーシャルネットワーク構築やライフストーリーワークの実践など私たちの業務や役割の根幹となる子ども達の生活支援にプラスとなり得るものはできるだけ取り組んで来たつもりですので、その辺りを見て評価していただけたことがうれしいです。 今後は国や県の動向やBCP計画的なことなども睨みつつ、中・長期的な展望が持てるように努力しようと思います。 |