社会的養護施設第三者評価結果 検索

福岡子供の家みずほ乳児院

【1】第三者評価機関名 (特非)北九州シーダブル協会
評価調査者研修修了番号 SK2021257
14-a00026
SK2021256


【2】種別 乳児院 定員 18名
施設長氏名 大神 嘉 所在地 福岡県
URL www.mizuho-fukuokacity.com/
開設年月日 2002年11月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 仏心会
職員数 常勤職員 28名 非常勤職員 7名
有資格職員 看護師 4名 保育士 9名
児童指導員 3名 家庭支援専門相談員 2名
心理士 2名 栄養士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 高度ケア室・相談室 (イ)設備等 調理室・洗濯・リネン室
(ウ) 一時保護室・心理療法室・ショートスティ室・院長室・事務室 (エ) 地域交流室・スタップ室
【3】理念・基本方針 児童憲章
  児童は、人として尊ばれる。
  児童は、社会の一員として重んじられる。
  児童は、よい環境のなかで育てられる。
に則り、乳児の健全な発育を促進し、その人格の形成に資することを目標に、
イ、安心感のある、共感的な生活環境を作ること。
ロ、乳幼児一人ひとりの個性や成長発達の歩みを尊重すること。
ハ、遊びや自然との体験を通じて、運動・認知・言語・対人・情緒等の発達を促すこと。
ニ、親と子の愛着関係、養育意欲の形成を援助すること。
を運営の理念とする。
(2)基本方針
乳児院に入所する乳幼児の処遇の基本は、
イ、誕生が祝福され、乳児院での出会いに感謝すること。
ロ、人格形成の基盤となる、家庭的な養育環境(個別的な関係及び衣食住)が保障されていること。
ハ、子どもの権利条約で具体的に示されている、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利を意思表示ができない乳児院入所年齢のこどもであっても丁寧に尊重すること。
そのためには、子どもは子どもとして育ち、子どもらしく生きる権利を有しているという、権利の主体者としての子ども観を持つこと。
ニ、子どもの入所が長期になる場合や家庭環境での養育が最善と考慮される場合には、保護者の意向を確認しながら里親(家庭養護)での養育委託ができるように最大限の努力を行うこと。
等が考えられる。不安定な家庭環境の中で入所してくる子どもたちであるが、その存在を祝福され愛情に包まれた家庭的な処遇や環境を保障することで、人生の基盤となる安心感や信頼感、未来への志向性等を育むこと。
  また、入所のあたっては家庭環境的にも健康的にも複雑な経過や環境、病状を有している子どもたちが多くいるので、部外に漏れることで子どもたちの不利益にならないようプライバシーの管理に勤めること。
【4】施設の特徴的な取組  乳児院による養育は、直接処遇スタッフとしての看護師・保育士・児童指導員をはじめとして、施設長や嘱託医、家庭支援専門指導員、個別対応職員、里親支援専門相談員・心理士・栄養士・調理員・洗濯要員、あるいは事務
担当スタッフ等によって包括的なケアによってなされている。これらの各専門スタッフが相互に力を合わせて一体的な養育体制が取れるチームワーク、協調性を第一にした職員処遇や職員研修を実施すること。
具体的に、
イ、「社会的養護の課題と将来像」の取り組みの中でまとめられた、「乳児院運営指針」を基本に据えて、みずほ乳児院の保育・看護マニュアル、ケア基準を共に考えながら作成しその浸透を図ることで、乳児院職員としての役割や自覚を高めること。
ロ、保育看護の専門性を高めるため、乳児院や児童養護施設等との交流や各種の研修会に参加し研鑽に努めること。
ハ、乳幼児の最善の処遇を考え合うこと適切な関わりについて話し合うことが、ひいては職員処遇の充実につながるように努めること。
ニ、地域とのつながりを大切にしながら、大災害が発生した時甚大な被害を未然に防ぐこと、その被害を最小限にとどめ、乳幼児と職員の命を守るための避難・状況把握、安心安全の生活環境の早期復旧・整備を目指すこと、及び外部からの不審者等の侵入防止を図ること、等の措置や訓練、体制について職員間で共有すること。
【5】第三者評価の受審状況 2023年03月01日(契約日)~ 2023年09月25日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成元年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
〇入所から退所まで同じ養育者で子どもを担当する養育担当制を実施し、愛着関係や安心感の形成に取り組んでいる。また、退所後も年賀状や誕生日カード、人生の節目に手紙を送り、コロナ禍以前は、毎年クリスマス会を兼ねた里帰り交流に30名近くが参加する等、退所後の関係継続とアフターケアに取り組んでいる。

〇お出かけ行事が充実し、(動物園、海の中道海浜公園、能古島、大宰府園、マリンワールド、アンパンマンミュージアム、いのちのたび博物館等)屋外での豊かな体験が出来るよう配慮している。

〇季節の食材を取り入れ、子ども達が喜ぶメニューの提供を心がけている。特に行事食(誕生日、節分の日、桃の節句、端午の節句、七夕、クリスマス、バイキングの日等)は子ども達の楽しみとなっている。また、現在は施設を建て替え中で畑はないが、以前はみずほ農園で野菜を育て、子ども達と一緒に収穫して食べる食育にも力を入れていた。取れた梅で梅シロップを作り、生地から作るうどんやパン作りにも取り組み、工夫して色々な体験が出来るように取り組んでいる。

〇思いやりがあり意識の高い職員が定着し、主任を中心に各専門職の連携もスムーズに行われている。令和5年度より、「福岡市親子関係づくりサポート事業」を受託し、親子ショートスティ事業、里親サロン事業の運用を開始する。親子生活訓練室、親子ショートスティ室、里親サロン室、親子相互交流療法室等、ハード面での環境を整え、専門職員による伴走型相談業務の実践等、これからの乳児院の役割としての多機能化にチームで意欲的に取り組み始めている。

◇改善を求められる点
〇新型コロナウイルス感染症対策や施設整備に伴う一時的な環境の変化により、以前と比べ職員が集まって話し合う機会が減少し、多くの場面において職員の参画が出来ていない。個別に面談を行う機会を定期的に設ける等して、施設長と職員間のコミュニケーションに努め、新しい事業に伴う新体制に向けてチームで取り組んでいく事を期待したい。

〇非常勤職員も含め、職員一人ひとりが目標を設定し、面接で目標の達成度を確認する仕組みを作ると共に、職員各自の目標に沿った教育、研修計画を作成し、スーパービジョン体制を整える等して、職員の質の向上に取り組んでいく事を期待したい。

〇移転前は、公民館での子育てサロンに参加し、七夕飾りや園庭の桜の花見に地域の方が来苑する等、地域との交流も盛んに行われていた。令和5年9月完成予定の本園に設置される地域交流室を開放し、地域の方が訪れて子ども達と交流できるイベントを定期的に開催し、公民館に出向いて地域の情報を収集し、関わる事の出来そうな活動に参加する等して少しずつ地域との信頼関係を築き、開かれた乳児院を目指していく事を期待したい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント これまでの評価・ご助言を参考に施設運営に取り組んできましたが、不足している点・改善の工夫を再確認することができました。
今回の第三者評価を職員一人ひとりが真摯に受け止め、子どもの権利擁護に重点を置くとともに、子どもたちにとってより良い生活環境を目指し、職員一同力を合わせて取り組んでいきたいと思います。
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