社会的養護施設第三者評価結果 検索

大阪乳児院

【1】第三者評価機関名 (一財)大阪保育運動センター
評価調査者研修修了番号 S24193
SK18238
1501C003


【2】種別 乳児院 定員 70名
施設長氏名 大和 謙二 所在地 大阪府
URL
開設年月日 1951年08月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人恩賜財団済生会支部大阪府済生会
職員数 常勤職員 83名 非常勤職員 2名
有資格職員 保育士 47名 調理師 4名
看護師 16名 管理栄養士 1名
臨床心理士 家庭支援専門相談委員 里親支援専門相談委員 1名 1名 1名 医師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 *保育室 7 (イ)設備等 *プレイルーム*調理室*調乳室*食堂*浴室
(ウ) *面会室*面接室*診察室*病室*観察室*育児指導室 (エ) *ランドリー*院長室*看護長室*会議室
【3】理念・基本方針 運営理念:
①子どもの最善の利益を守ります。
②社会的養護の立場から、地域社会と協力して、子どもと家庭を支援します。
③子どもを一人の人格として尊重し、その権利を守ります。
基本方針:
①病院併設型の特徴を生かして、小児科やリハビリテーション科など中津病院各科との連携をはかりながら、医療的ケアを必要とする子どもの保育看護に努めます。
②施設擁護から、家庭的養護、個別化への移行を更に進めます。
③子どもたちにできる限りの愛情を注ぎ、愛着形成に努めます。情緒や行動、自己認知、対人認知などに難しさがあっても、愛着関係や信頼関係を基本にして、生きる力や自己肯定感を獲得し、健やかな身体的、精神的、社会的発達を遂げられるような養育を目指します。
④子どもの発育・発達を促す保育をいたします。身体的にハンディキャップを持つ子どもたちも、その能力を最大限伸ばせるような養育を目指します。
⑤地域社会との関わりを大切にする施設運営をはかり、社会に貢献いたします。
⑥事故防止・安全対策に努めます。
⑦個人情報の保護に努めます。
【4】施設の特徴的な取組  大阪唯一の病院併設型の乳児院として基礎疾患を持った子どもや、障がいを持った子ども、また1ヶ月以下の新生児など医療的ケアの必要な子どもが多く入所しています。医師、心理士がいずれも発達の専門家であり、乳児院全体で発達に課題のある子どもが健やかに育つための積極的な取組みを行っています。小規模化に向けて2023年度にはは新築移転を予定しており、さらに最新の家庭的養護を目指しています。
【5】第三者評価の受審状況 2019年07月10日(契約日)~ 2020年03月14日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成28年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
①健康管理、感染症対策、アレルギー対策など病院併設型の乳児院としての医療ケアの充実という特性の発揮
感染症リンクナースを配置し、感染症の予防対策、蔓延防止対策研修に努め診療は施設長と嘱託医が感染予防の視点から院内で診療を行うなど配慮しています。病児と障がい児の専門居室を設置し、リハビリは併設の医療機関から、毎日理学療法士などが来院し、きめ細かな訓練を実施しています。アレルギー対策は4名の小児アレルギーエデュケータ―を配置して、誤食防止の取組みやアレルギー食物負荷スケジュール表の作成など質の高い取組みをしています。
②勉強会を始めとする職員の自発的な専門知識習得への意欲と研修機会の確保
医療ニーズの高い乳児への養育・支援の必要性から、看護師と保育士の協業が図られ、各部屋での自主的勉強会や臨床心理士をスーパーバイザーに迎えてのケースカンファレンスの実施など、特に子どもの発達や医療的知識といった専門的知識の共有を図っています。外部研修についても、可能な限り職員の要望に沿って参加できるように取組んでいます。
③児童記録の改善
前回の第三者評価以降、児童記録が紙カルテからPCに移行し、記録方法もマニュアル化し、統一した記載方法による記録となり、職員間の情報の共有化の確立を図っています。さらに児童記録上での重要事項や養育・療育支援に必要な特記事項が強調できるようなフォーマットの開発にも取組んでいます。
④一時保護委託への対応
在院時期間が短いからこそ緻密なアセスメントを必要としているとの院長の対応によって感染症や既往歴などの丁寧なアセスメントを行い措置児と一時保護児を区別しないでクラスで対応しています。
⑤移転・新設計画の進行と並行した中・長期計画の具体化
他の施設では受け入れの困難な障がい児や病虚弱児を積極的に受け入れ「療育」に重点を置きつつも、小規模グループケアの推進を目指しています。中・長期計画にある、里親支援機能、産前・産後支援機能、定員削減、一時保護機能強化なども年次・数量ともに具体的かつ計画的な目標設定をしています。

◇改善を求める点
①研修内容が医療・療育的視点での研修に偏りがちなので乳幼児の発達・成長を促す保育や愛着の形成に関わる専門性を高める研修機会の検討を期待します。
②食事や入浴などの生活的場面における「家庭的養育」や「愛着形成」の内容を検討・検証し、移転後も活かしていくことを期待します。
③毎週行っている自己評価については、職員の自己肯定感が高められるような内容になることを期待します。
④部屋会議から幹部会に至る組織体系は民主的に運営していますが、全ての職員の意見が定期的、組織的に反映できるシステムの構築を期待します。

◇検証を要望する点
職員による週末里親については、乳幼児の情緒面や他児との関係性など様々な状況に対しての評価と検証を要望します。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  3年ぶりに第三者評価を受審して、特に自己評価を記入しながら、今更ながらまだ不十分なところに気付かされました。子どもたちを育てるということは、本来クリエイティブな作業であるはずなのですが、こどもの多様性を尊重するより、ついつい決まったルーチンワークに陥りがちであることに対して、もっと情報発信など施設長として積極的に取り組む必要を感じました。
 ただ病院で第三者評価を受けるときの医師の態度が、面倒なことしてくれるなと言うものだったのに比べて、乳児院での第三者評価の受審に対して、現場の職員が主体的に取り組んでくれていたことを大変頼もしく思いました。今回丁寧に評価いただいた諸点を、真摯に検討し、より良いこどもの育ちのために生かして行きたいと思います。
 
当院は病院併設型の乳児院として、管理者が歴代医師であり、また看護師の人数が多く、指示される事柄の中に医療的な内容が含まれることが多いことから、つい医療の視点で、ものを見る癖がついています。今回委員の方々の観察が、こども本来の育ちという視点で、あそびや、食事、夜間の睡眠の様子まで、保育全体を細かく見ていただいているのが印象的でした。また、その観察を踏まえて、講評の際に医療の視点には問題がないが、子どもたちの育ちに対する保育の視点を更に強化するようにと指摘を受けたのが、われわれの弱点を見抜かれたと痛感しました。本来の保育というわれわれが多少おろそかにしていた視点で審査をいただき大変ありがたいと思いました。
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