社会的養護施設第三者評価結果 検索

和泉乳児院

【1】第三者評価機関名 (社福)大阪府社会福祉協議会
【2】種別 乳児院 定員 40名
施設長氏名 栗延 雅彦 所在地 大阪府
URL http://www.nyuyouji.or.jp/
【3】実施調査日 2014年08月21日~2015年03月23日
【4】総評 ◆特に評価が高い点
◇地域ニーズへの積極的な対応
 法人としての事業ではありますが、子育て支援事業の施設内外受託、電話相談を含めた相談事業の実施など、地域の子育て支援に重点を置き、地域に対して大いに貢献するとともに、地域のネットワーク形成に尽力しています。施設創設時からの伝統として培われてきた民生委員や地域との密接な関係を活かして地域の福祉ニーズを把握し、それらに応えていくための体制が整っています。

◇ボランティアの積極的な受け入れ・態勢整備
 ボランティアを積極的に受け入れ、またそのための態勢が十分に整備されています。それによって子どもの養育・支援の向上と施設への理解促進に貢献しています。

◇民主的な施設運営への取り組み
 職員の参画の下、現代の社会的養護に求められる概念をふまえた運営理念・基本方針を策定し、事業計画策定においても職員の参画に取り組み始めるなど、民主的な施設運営に努めています。

◇標準的な実施方法(養育マニュアル)の策定・整備
 「養育マニュアル」は、施設の中での子どもの養育・支援を中心にまとめられたものですが、非常に丁寧なマニュアルになっており、使いやすいものとなっています。職員が中心となって養育・支援の標準的な実施方法を見直し、新たに策定したことは大きな意義があります。また、それを日常の養育・支援に活かし、確認するための自己点検を職員各自が行っていることも合わせて高く評価できます。今後も必要な箇所の改訂を繰り返しながら積極的に活用されることを願います。  

◇家庭的養護の推進
平成24年4月に本体施設の建て替え新築に際し、オールユニット制を実現し、生活単位の小規模化、家庭的養護の推進に積極的に取り組んでいます。機能的で使いやすい建物やどこからでも見回すことのできる園庭は、子どもたちが安心して安全に生活できる空間となっています。
「担当養育制」や、担当職員と担当児による「個別保育」の取り組みにより、集団生活の中でも子どもと一対一で関われる時間を増やしながら愛着や信頼関係の構築を深めています。
心理ケアが必要な子どもに対しても、プレイセラピーを有効に活用しながら、併設の幼児院(児童養護施設)とも連携した取り組みがなされています。
児童相談所とも連携しながら、里親も含めた家族との関係調整や家族再統合に向けた取り組みを積極的に進めています。

◆改善が求められる点
◇子どもの事故等のリスクを最小限に抑えるための組織としての取り組み
 子どもの事故や感染症等の予防、安全管理については、標準的な実施方法の中で留意し、リスクごとに防止に向けたマニュアルも整備して取り組んでいますが、組織としての責任や役割をより明確化していくことが望まれます。子どもの安全を脅かす事例の収集が始められていますので、今後はそれらを分析、検討していく体制を確立し、それらを各種マニュアルの見直しにつなげていく取り組みが望まれます。

◇職員の資質向上に向けての組織としての取り組み
 職員の育成については、個々に自らの養育・支援を振り返り、日常の養育・支援を通じて必要に応じた教育、指導、助言、スーパービジョン、メンタルヘルスを意識した関わり等を行っていることが伺えます。それらを組織として体系的に整備し、支援していくことが求められます。

◇中・長期計画及びそれを反映した各計画の策定
 中・長期計画に準じる計画が策定され、運営理念や基本方針に沿って幅広い項目が掲げられています。今後は、子どもの最善の利益を保障しながら事業計画をはじめとする各計画にそれを反映し、より明確性、具体性を持たせた各計画の策定が期待されます。

◇「被措置児童等虐待対応マニュアル」の整備
「養育マニュアル」の中に、被虐待児童、施設内虐待の届出・通告への支援の箇所がありますが、それだけでは不十分です。「被措置児童等虐待対応マニュアル」を整備することが求められます。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 平成24年度から義務付けられました第三者評価事業ですが、前2か年は院内で自主評価を行い、本年度初受審する運びとなりました。
 この3年間で良かった点は、これまで分業化していた職種の違う職員らが集うことで、お互いの業務への理解が深まり、協力体制が強化されたこと。また法人や施設運営といった従来あまり関心がなかった事柄に、広い視野から自分の業務等のあり方や改善点を見い出せたり、振り返りができたところです。その反面、各職員には日頃の業務する時間を超えて、話し合いや改善対応に費やす時間が、大幅に増えてしまったことがあげられます。

 今回の受審では、当院の足りない部分や今後の課題を明確にすることができ、大変有効でした。調査者の方も限りある時間のなかで、当院の愛着関係をベースにして個別性を尊重した家庭的な支援、また保護者と子どもを巻き込んだきめ細やかな日常支援を深く理解するには、時間的に足りなかったのではと思われますが、大変熱意をもって詳細な聞き取りやアドバイスをしていただきました。本当にありがとうございました。
 今後も引き続き、課題への対応(改善)に向けて全職員でシッカリと取り組んでいきたいと思います。
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