社会的養護施設第三者評価結果 検索

ななお乳児園

【1】第三者評価機関名 (特非)バリアフリー総合研究所
評価調査者研修修了番号 SK18201
518



【2】種別 乳児院 定員 9名
施設長氏名 佐伯 二美江 所在地 石川県
URL http://nanao-nyuuji.sakura.ne.jp
開設年月日 1972年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人七尾市社会事業協会
職員数 常勤職員 14名 非常勤職員 7名
有資格職員 保育士 10名 児童指導員 1名
家庭支援専門相談員 1名 看護師 2名
栄養士 2名 調理師 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 居室3室  (イ)設備等 食堂1室
(ウ) 面談室1室 (エ)
【3】理念・基本方針 【法人理念】「愛情」「健康」「清潔」 【事業所理念】「信じ愛」「支え愛」「学び愛」
【基本方針】「自分らしく生きる」
・施設は「信頼の基地」として、子どもは「生涯の基地」として、親は「心の基地」として役割を担いながら協働生活を営む
・私たちは子どもや保護者の権利、利益、プライバシーの保護に万全を尽くし、保護者の皆様や地域から信頼される施設づくりに努めます
【4】施設の特徴的な取組 ・児童相談所との連絡を密に行い、各ケースに沿ったきめ細かい対応をする。
・親子関係再構築では、家族の意向を踏まえながら、家庭復帰に向けた支援を行う。
・措置入所以外にも一時保護、緊急一時保護に対応し、地域の子育て短期支援事業に取り組んでいる。
・地域の特色を生かしながら、地域施設の利用や園内行事への地域の方の参加を大切にしている。
【5】第三者評価の受審状況 2020年06月17日(契約日)~ 2021年02月10日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成29年度
【6】総評 ◇特に評価の高い点
・「法人理念」に沿った「園理念」、その具現化に向けた「基本方針」「行動指針」を掲げ、「3年後を見据えた事業計画と収支計画」を毎年見直し、単年度計画として「事業計画」「運営計画」「収支計画」を策定し、また毎月「資金収支と事業活動計算書」を作成しているなど、第三者評価基準の基本的な考え方にそった具体的な取り組みを行っている。
・園として、園の運営を協議する「職員会議」、養育・支援の実際を検討する「処遇会議」、安定雇用、施設整備、専門性強化、組織体制の4委員会活動の事例・事案毎に検討する「検討委員会」、養育・支援の質の向上を目的とする「園内研修」に加え、全国乳児福祉協議会を参考に考案した「子どもと共に育つチェックリスト」や有識者と製作した「能力開発システム」を活用する「専門性の強化シート」など、養育・支援の質の向上に向けた独自の取り組みを組織的に行っている。
・今年はコロナ禍のため中止・自粛を余儀なくされている場合も多いが、委託事業として保護者等の支援をする「ショートステイ」「トワイライト・宿泊」「休日」の「子育て短期支援事業」の他、地域の同じ悩み持つ方々に「産後ママ支援」、「里親支援」、「育児相談」、地域の子育て家庭に向けて「ぽかぽかタイム」「離乳食講習会」を実施している。
・また、上記事業以外にも、一時保護、緊急一時保護に対応し、地域の子育て短期支援事業にも取り組んでおり、夜間・休日を問わず園としてできうる限りの対応を行っている。
・被災時には、町内会と近隣2寺院と避難先として、県内外の乳児院とは職員派遣や子どもの受け入れなど、万一の場合は互いに助け合う相互支援契約を締結している。
・令和2年10月、新型インフルエンザ等の感染防止対策のため職員向け避難宿泊所として、地域の空き家の借用契約を締結しており、今年はコロナ感染拡大に備えて業務継続計画を作成した。
・養育・支援提供では、園の基本的な実施方法を記載している「養育マニュアル」を毎年現場に即するよう年度当初に追加・修正等の見直しを図っており、児童相談所との連絡を密に里親支援や親子関係の再構築に向け、保護者等の様々な事情に応じながら、人生の乳幼児期に大人から愛情を注がれた事が子どもの心身のどこかにしっかりと根付くよう、全職員で真摯に取り組んでいる。
・また園では、さらなる養育・支援の向上を目指し、この10年程、毎年テーマを決めた独自の研究にも取り組んでおり、今年は養育(生活)研究「子ども1人ひとりが安心できる環境の中で育つ」と食事研究「こだわりのある子どもの食事を考える」の2つをテーマにし、結論を出す事を目的にせず、プロセスを大事に、実践現場での様々なエピソードを積み上げる事を目的に取り組んでいる。

◇改善を求められる点
・園のホームページやパンフレット、しおり等に、財務に関する情報公開や個人情報保護方針等の掲載も求められる。また当園のみならず6施設を経営する法人としてのホームページの開設も、社会福祉法人として社会的養護施設の運営法人としても、「見える化」に着手される事を期待したい。
・災害対策として、今年は気象庁の津波注意報発表を機に、実際に就寝していた在園児と短期利用児を、法人本部や職員、関係機関と連携しながら避難場所の駐車場まで行き車内退避している。災害の備えには限りがないため、今般の貴重体験も糧とされ、引き続き、災害時における子どもの安全確保のために、現在施している防災対策全般に渡り、より現実的かつ当地当園に即した対策をさらに深め強化されていく事を期待したい。
・職員の記録作業が多岐にわたっているため、簡素化を目的に各分野の書面様式の見直しや変更に着手されているが、依然、日々真摯に取り組む養育・支援の負担となっているのではないかと懸念される。引き続き、各書面の必要性や記入・入力の効率性を見直されて、誰もが見やすく解りやすくその表現に差異が生じない統一した表現方法や書き方を検討されるなど、より実効性を高められる手順や簡素化を進めて行かれる事を期待したい。
・園には心理療法担当職員がいないため、園内研修で中部ブロック児童養護施設・乳児院研究協議会の分科会(心理職の役割)参加職員による伝達研修や、心理職のガイドライン(全国乳児福祉協議会出版)を用いた勉強会を実施し、心理面を支える関わりについての理解を深め、また児童相談所の心理士職員との連携や助言・指導も受けているが、心身の発達状況の把握、子どもの心理的ケア、養育職と心理職との連携支援、里親・家族支援の現場に心理療法担当職員を配置する事も視野に含め、外部機関による心理療法委託や内外部の研修をより充実化させるなど、心理的支援に関わる体制整備の充足が求められる。
・退園する子どもに、移行する家庭や里親、児童養護施設等、及び退所先で通うことになる幼稚園、特別支援学校等々に養育情報提供書をお渡しし、本人・保護者等に渡す個別アルバムの最終ページには養育担当職員からのメッセージと当園連絡先を貼付し、またその後も様子伺いの電話やバースディ―カード、新1年生お祝いメッセージを送るなどをしている。園としてこれまで精一杯愛情を注いできた養育・支援の一貫性を確保しつつ、新しい生活へのスムーズな移行とその後も安定した生活を送ることができるよう、退園後にできる支援も改めて見直され、関係機関や支援団体との協力関係を構築しつつ、園としての出来る限りの支援体制を整え、実践されていかれる事を期待したい。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  当園にとっては、今回が3回目の受審となる。前回の受審での改善すべき点については、着手できる箇所から徐々に検討できたのではないかと感じている。日常の活動のありのままを見ていただくという思いで、気負うことなく取り組んできた。今回は、新型コロナウイルス感染症拡大防止が最優先であると同時の受審ということもあり、ケースの多様性に沿ったかかわりを求められる施設でありながら、現状に合わせた施設運営の中でのケースへのかかわりの困難さも痛感した。
入所児や保護者そして職員にとっての最善を目指すこと、今考えられる最善を継続することができるように、今後も職員が一丸となって取り組んでいく組織でありたいと思う。
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