社会的養護施設第三者評価結果 検索

相模原南児童ホーム

【1】第三者評価機関名 (特非)ニッポン・アクティブライフ・クラブ ナルク福祉調査センター
評価調査者研修修了番号 SK18096
S18022
SK18094


【2】種別 乳児院 定員 22名
施設長氏名 曽我 幸央 所在地 神奈川県
URL http://www.chusinkai.net/
開設年月日 2014年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人 中心会
職員数 常勤職員 28名 非常勤職員 5名
有資格職員 社会福祉士 3名 保育士 15名
看護師 4名 栄養士 1名
児童指導員 6名 臨床心理士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 4ユニット 各ユニット(6名・18.38㎡)に、寝室、ほふく室、リビング・ダイニング (イ)設備等 観察室/病室/親子訓練室/相談室
(ウ) 鉄筋コンクリート3階建(児童養護施設と合築)2階部分を乳児院として使用 (エ)
【3】理念・基本方針 【理念】
私たちは、私たちが活動する地域社会において、自分や自分の大切な人が抱える心身の障害や生活環境上の問題によって、様々な「不自由」「生きにくさ」を現に経験し、または経験するだろうリスクを有する人々に対して、適切な専門性の担保された養護、介護、及びこれに関連する諸サービスを提供することを通じて、誰もが自分の存在に誇りを持ち、生きる喜びを享受するとともに、自分の家族や隣人の存在を素直に喜ぶことができる社会づくりに貢献します。

【基本方針】
1.子どもたちの分離不安をなくし、特定の大人との愛着関係を築くことにより、他者を信頼する基盤を形成します。
2.子どもたちが、力の支配によらない、安心して安全な生活を送れることにより、負の連鎖を断ち切り、将来に渡って、力の支配をしない人間になれるように支援します。
3.子どもたちが、愛されている実感がもて、自己肯定感が持てるように支援します。
4.子どもたちが、家庭に帰れるために、児童、保護者に対して最善の支援を行い、親子が「一緒に暮らせて良かった」と思えるような支援を行います。
【4】施設の特徴的な取組 ・地域向けの親子サロンや無料学習会の開催、ファシリティの貸し出し、生活困窮家庭の支援など、地域へのサービスを積極的に行っている。
【5】第三者評価の受審状況 2019年05月30日(契約日)~ 2020年01月10日(評価結果確定日)
前回の受審時期 平成28年度
【6】総評 【概要】
 社会福祉法人中心会相模原南児童ホーム乳児院は、児童養護施設との合築により2014年4月に小規模ユニットとして養育・支援を開始しました。定員は22名で0歳から就学前までの子どもが1ユニット6名の4ユニットで生活しています。より家庭に近い落ち着いた環境に中で、養育者との愛着関係を育み、安心・安全な生活を目指して養育・支援に取り組んでいます。心理療法担当職員・家庭支援専門相談員・里親支援専門相談員を配置し、退所後も子どもが安定した生活を送ることができるよう子どもや保護者への支援を行っています。

【特に優れていると思われる点】

1.子どもの発達や興味に応じて楽しく遊べるよう工夫しています
  職員は乳幼児の発達や好みに応じた遊びの導入や展開が出来るように、手遊びを学んだり、絵本の読み聞かせのスキルを学んだりして、子どもと楽しくかかわるための工夫をしています。研修会では他施設の職員との交流の中で情報交換を行い、子どもとの関わり方を学んでいます。また、子どもへの対応で発達に応じた関わりができているか、受容的な態度で関われているかなどを他部署からのアンケートを実施して振り返り、職員会議でスキルや環境についても話し合っています。
  異年齢の子どもが生活を共にしているのでユニット内の環境設定は難しい面もありますが、パーテーションで区切ってコーナーを設け、子どもがコーナーでままごとやブロックなど好みや発達に合った玩具を選んで遊べるようにしています。また、子どもが遊びたいおもちゃが分かるようにユニット内の収納棚をオープンにして、高いところにあるおもちゃは子どもの要求によって職員が出し入れし、低いところのおもちゃは口に入らない危なくないものを子どもが自分で取り出して遊べるよう工夫しています。

2.安心・安全な養育・支援の実施のための組織的な取組を行っています
  今年度、乳児課の目標にヒヤリハット対策を挙げ、安全確保に関する、原因と再発防止に向けて取り組んでいます。乳幼児の危険を回避し安全を守る活動として、職員は、ヒヤリハット、事故事例の振り返りを行うほか、KYT(危険予知トレーニング)研修などを行い、再発防止策の検討により養育・支援の質の向上に向けて、組織として取り組んでいます。
  散歩場面では丁字路、踏切付近等、室内ではキッチンや子どもの生活場面を写真に撮り、危険が予想される場面のデータの収集を行い、収集したヒヤリハット事例から養育内容・環境の検討を行い、改善のための実践に結び付けています。ヒヤリハット報告は毎月ユニット会議で取り上げ、これまでにユニット内のテレビボードを改良し事故に繋がらないよう検討、改善した事例もあります。そのほか職員は、AED操作研修、事故を発生させない運転担当者の役割、子どもの怪我及び疾病等への速やかな対応についてトレーニングを実施し、安心・安全な養育・支援のために取り組み、子どもの安全確保に努めています。

3.子どもと地域との交流を広げるために地域とのふれあいを大切にしています
  子どもたちが外界への興味を広げられるように日常的に戸外に出かけ、相模川河畔の散歩や遊歩道で芝桜や紫陽花、河津桜、菊の花の鑑賞などを行っています。田植えや稲刈りの見学でザリガニやバッタと遊んだり、草花で遊んだり、季節を感じ地域の人や自然との触れ合いを通じて、ルールのある遊びを知ったり、命の大切さを知るなど、豊かな生活を保障しています。また、地域の人からさつまいもほりに招待してもらったり、相模大凧祭りの見学に出かけたり、芝さくらの苗植えを行うなど地域の行事に参加しています。施設は地域との「協働」を理念に位置づけ、さまざまな場面で地域との協力関係を築き、地域貢献にも努力しています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】

1.理念の実現に向けてビジョンを明確にし、職員に方向性を示すことが望まれます
  法人の理念のもとに策定された10年ビジョンは平成30年度で終了となっています。法人や施設の理念のもとに養育・支援に取り組んでいますが、国の新しい社会的養育ビジョンの策定により31年度は単年度計画の策定にとどまり、明確なビジョンや中・長期計画が示されていません。国の政策が転換期であり相模原市との検討も必要で施設独自での策定には限界がありますが、法人や施設の理念の実現に向けて早期にビジョンを明確にし、職員にも方向性を示すことが望まれます。その上でビジョンを達成するための中・長期計画を策定し、中・長期計画を踏まえた単年度の計画策定が求められます。

2.子どもへのより質の高い養育・支援に向けて、継続して人材確保や定着化に取り組むことが期待されます
  人材確保や育成に関する方針は法人が定め、年間採用スケジュールをもとにホームページに採用説明会の日程等情報を掲載し人材確保に努めていますが、施設では必要な人材の確保や職員の定着化が十分ではない現状があり、課題となっています。特に夜間帯は職員数も少なく、子どもが泣いても、すぐに対応できない場合があります。また、子どもが満足感の得られる養育者との遊びの時間を十分確保し、言葉を獲得し始めた子どもが話しかけてきたときは、できるだけその場で聞くようにしていますが十分ではありません。施設では神奈川県や相模原市主催の保育者向けの説明会で仕事の紹介を行ったり、各学校での就職セミナーに参加して採用説明会等を実施し、ホームページやフェースブックでは、施設での活動を写真で紹介して施設のイメージアップを図っています。今後も、子どもへのより質の高い養育・支援に向けて、職員がやりがいや余裕を持ち安心して働けるよう、継続して人材確保や職員の定着化に取り組むことが期待されます。

3.乳児のプライバシー保護について職員が共通の認識を持ち、互いに検証することが望まれます
  施設としての管理規程や養育の質向上マニュアルに子どもの権利擁護や虐待防止について明文化し実施しています。子どものプライバシー保護について、職員が定期的に確認する「OJTチェックリスト」に内容は含まれていますが、乳児としてより具体化した内容の記載があると職員が共通の認識をもって子どもに接することができます。施設長が職員に養育ブックを使用した勉強会を開催し、「より適切なかかわりをするチェックポイント」の活用に取り組んでいますが、さらに、OJTチェックリストの内容を再確認するなど、乳児のプライバシー保護について、職員が共通の認識を持ち、互いに養育・支援の場面で感じた気持ちを共有し、検証することが期待されます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント 相模原南児童ホームを開設してから今回が2回目の第三者評価でした。「前回の時より、全体を通して質があがっている」といった評価をいただきました。しかし、まだまだ不備な点も多く、今回、指摘を受けた点の改善に努め、子どもたちの最善の利益のために職員と一丸となって取り組んでいきたいと思います。
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