社会的養護施設第三者評価結果 検索

相模原南児童ホーム

【1】第三者評価機関名 (特非)ニッポン・アクティブライフ・クラブ ナルク福祉調査センター
評価調査者研修修了番号 SK15068
S15023
SK15063


【2】種別 乳児院 定員 22名
施設長氏名 下鳥 善男 所在地 神奈川県
URL http://sagamihara-minami.chusinkai.net/
開設年月日 2014年04月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人中心会 
職員数 常勤職員 29名 非常勤職員 3名
専門職員 社会福祉士 2名 保育士 12名
看護師 4名 栄養士 1名
施設設備の概要 (ア)居室数 4室(ほふく室・リビング・寝室) 各ユニットに浴室、トイレ、台所あり (イ)設備等 鉄筋コンクリート3階建(児童養護施設と合築)2階部分を乳児院として使用
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 【私たちの使命】

 私たちは、私たちが活動する地域社会において、自分や自分の大切な人が抱える心身の障害や生活環境上の問題によって、様々な「不自由」「生きにくさ」を現に経験し、または経験するだろうリスクを有する人々に対して、適切な専門性の担保された養護、介護、及びこれに関連する諸サービスを提供することを通じて、誰もが自分の存在に誇りを持ち、生きる喜びを享受するとともに、自分の家族や隣人の存在を素直に喜ぶことができる社会づくりに貢献します。

【私たちの目指す姿】

 私たちは、常に前向きであり、成長すること、困難に立ち向かうこと、人の幸福に貢献することにこのうえのない喜びを感じる職員集団による、調和と活力に満ちた働きによって、私たちが活動する地域社会において、養護、介護、及び関連する諸サービスのもっとも信頼される提供者となることを目指します。

【私たちの信念】

 尊厳・・私たちは、すべての人間は、一人ひとりが「かけがいのない存在」であり、生きる価値を有するということを信じます。公正・・私たちは、私たちが地域社会において存在するためには、私たちの行う行動が常に公正なものでなければならないと信じます。有能・・私たちは、私たちの使命を実現するためには、私たちが、私たちの能力を常に向上させるために努力し、私たちの提供する養護、介護、及びこれに関連する諸サービスをより効果的なものとすることが必要であると信じます。協働・・私たちは、私たちの使命を実現するためには、私たちが、私たちの活動する地域社会に根を張り、地域社会を育てるとともに、地域社会に支えられるという、協働の精神を重んじるべきであると信じます。革新・・私たちは、私たちの使命を実現するためには、既成概念にとらわれず、新しい発想のもとで組織運営に取り組む努力が永続的に必要であると信じます。
【4】施設の特徴的な取組  常にサービスの質の向上を目指し、品質マネジメントシステムISO9001の認証取得をしています。これにより継続的改善を行いながらサービスの質の向上を目指しています。
早々に採用面接を行うなど、人材の確保には力を入れています。法人内で行う研修や、資格取得制度を活用して職員のスキルアップに努めています。
 具体的な取組として、法人内研修「ケガと疾病」「感染症対策」「安全運転者講習」「AED研修(心肺蘇生法)」を開催して、場合によっては、講師として教える立場も経験しながら職員の質の向上を図っています。OJTチェックリスト、態度マナー面接では、自分の日頃の仕事ぶりを上司と振り返って、その後の仕事に活かしています。
 地域の福祉ニーズについては、地域の高齢者、既に常勤の仕事で定年を迎えた方などが、ボランティアとして、乳児院への支援を希望してくれています。何かあった時の、お隣さんではないが、地域の子として「乳児院の子」たちを見守ってくれる人が多ければ多いほど良いと考え、ボランティア希望の方の受入れ体制をスムーズにしています。
【5】第三者評価の受審状況 2016年06月01日(契約日)~ 2017年01月25日(評価結果確定日)
受審回数 前回の受審時期
【6】総評 【優れていると思われる点】

1.アセスメントにもとづく自立支援計画の策定と評価・見直し

 入所時に関係機関からの情報をもとに児童相談所とのカンファレンスを行い、子どもの基本的生活習慣や発達、心理、情緒、健康、医療、家庭・里親との関係等についてアセスメントを実施しています。その後3か月ごとに「プラン検討会(担当職員、係長、家庭支援専門相談員、健康管理課看護師、心理職員、栄養士等で構成)」を開催し、子ども全員を対象として個別にカンファレンスを実施し、アセスメントにもとづく自立支援計画を策定しています。
 一人一人の自立支援計画には、長期と短期の計画票を策定しています。「長期児童自立支援計画票」には支援方針を記載し、「自立支援計画票(短期)」にはアセスメントにもとづく生活全般の解決すべき課題や目標、具体的支援内容を明示しています。また、「育成記録」をもとに自立支援計画の定期的な評価・見直しを行っています。ユニット会議や日常のなかで新たな課題が明確になり、緊急に見直しを行う場合は、随時「プラン検討会」を開催して支援方法を見直しています。「自立支援計画」の変更後は管理職の承認を得て、速やかに養育・支援に関わる部署に配付し、関係する職員への周知を図っています。

2.親子関係の再構築等のための家族支援への取り組み

 入所の際、家族と親子関係の再構築を基本として話し合い、それぞれのケースについて支援方針をもとに子どもと家族の関係性の現状のアセスメントを行い、具体的な方向性を定めています。必要な子どもについて、面会から外出、外泊、在宅生活に向けた「家族プラン」を策定し、計画に基づいて進めています。子どもと家族が外出や外泊した後は、振り返りや今後のことについて、家庭支援専門相談員や里親支援専門相談員、養育担当職員が、児童相談所との合同ミーティングを繰り返し行い、子どもと保護者が安心して交流できるよう支え、必要時には親子関係再構築のための新たなプログラムを作成して支援に取り組んでいます。また、それぞれが持つ課題によって児童相談所を中心に病院や母子支援施設等と連携を図り、再構築のための支援を行っています。
 在宅生活になった場合は「ショートステイ」の利用や「親子サロンみなみっこ」、「退所家庭の集い」を紹介して関係性を保ち、親子が交流する中で気軽に相談できる体制を整えています。

3.個々の子どもの発達を支援する環境

 職員は児童相談所から得た入所時確認書類をもとに、個々の子どもを理解し、乳幼児期の発達に応じた子どもへの対応に努めています。配慮を要する子どもは病院から言語療法士による訓練メニューを受け、子どもへの援助方法を図入りでユニットに掲示して、支援する職員全員が共有できるよう工夫しています。また、職員は子どもが通う区子ども家庭相談課の療育グループ担当職員から情報を得て支援に活かし、定期的に受診が必要な子どもには看護師が通院・同行して医師と連携して入院も含めた治療を進めています。
 心理検査や心理療法が必要な子どもには、心理職員が生活場面での遊びを通して乳幼児の情緒の安定と発達の促進を目指して対応を行ったり、子どもの発達状況の確認や支援方法について職員に助言し、ともに子どもの成長を育んでいます。


【改善が必要と思われる点】

1.期待される職員像の明確化と職員の教育・研修参加への配慮

 設置法人は人材育成計画「成長のステージ」で期待される職員像を明示していますが、現在は乳児院の職員像としての記載はなく、系列の児童養護施設の職員像を代用しています。乳児院の職員像を明確にしたうえで、職員の職務や必要とする知識・技術水準に応じた教育・研修計画を策定し、実施することが望まれます。また、職員が外部の研修に参加できるよう配慮と工夫が期待されます。

2.職員配置等体制の見直し

 施設ではユニットによる家庭的養護を目指し、定められた配置基準のもとに子どもの養育・支援を行っていますが、小規模化のため適正な職員配置の確保が難しく、子どもが戸外で遊びたい場合でも一人の職員で複数の子どもの対応をせざるをえなかったり、夜間、目が覚めたときに職員がそばにいないため不安になることがあるなど、個別対応が困難な状況にあります。子どもが充実した遊びや体験を積み重ね、職員と共感したり、応答的な関わりができるよう子どもの興味や欲求に応じて対応できる環境の検討が望まれます。また、子どもを見守る上で死角が生じないよう配慮するなど、職員配置等、体制の見直しが望まれます。

3.保護者への分かりやすい資料作成など工夫

 サービスの質の向上を目指して毎年、事業計画を策定していますが、保護者へは内容の一部を口頭で伝えるにとどまっています。保護者の協力を得るうえでも、主な内容を保護者に口頭だけでなく文書で伝え、理解と周知を図る工夫が望まれます。また、玄関に意見箱の設置はありますが、保護者が相談する際に、第三者委員や運営適正化委員会など、複数の方法を自由に選べることをわかりやすく説明した文書や苦情解決の仕組みを資料にして配付し、周知することが望まれます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  開設して3年目で、初めての「第三者評価」事業に取り組ませて頂きました。ナルク神奈川福祉サービス様からは、良い部分、改善が必要な部分、色々な角度からご指導を頂き、大変感謝しております。0歳から2歳の子どもたちが生活している私たち乳児院では、評価頂いたものすべてが、利用している赤ちゃんたちの声であり、彼らの幸せにつながるものと考え、今後もより一層の努力を積み、子どもたちの最善の利益のため、職員一丸となって精進していく所存です。
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