社会的養護施設第三者評価結果 検索

富士見乳児院

【1】第三者評価機関名 (株)IMSジャパン
評価調査者研修修了番号 SK2021080
SK2021090
H1801010


【2】種別 乳児院 定員 65名
施設長氏名 松田 賢治 所在地 埼玉県
URL http://www.fujimi-babyhome.or.jp/
開設年月日 1961年12月01日 経営法人・設置主体 社会福祉法人愛全会
職員数 常勤職員 50名 非常勤職員 6名
有資格職員 保育士 35名 看護師 9名
家庭支援専門相談員 2名 里親支援専門相談員 1名
栄養士 2名 調理師 2名
施設設備の概要 (ア)居室数 4部屋 (イ)設備等 幼児部 遊戯室,食堂、寝室、風呂、サンルーム、トイレ  乳児部 遊戯室、食堂、寝室、風呂、サンルーム
(ウ) 応接室、事務室、病室、調理室、洗濯室、実習生室、地域交流室、親子訓練室、ボランティア室、職員休憩室、仮眠室 (エ) テラス、屋上バルコニー
【3】理念・基本方針 (1)理念
一人ひとりの子どものかけがえのない生命を守り養育するとともに、安心した生活環境の中で心身共に健やかに成長できるように努める。

(2)基本方針
①子どもたちの基本的人権を守り、豊かな人間性を養う。
②愛情をもって接し、情緒の安定を図る。
③健康管理、事故防止に努め、心身ともに健やかな子に育てる。
④個々の発達に応じ、より多くの可能性を引き出すように努めること。
【4】施設の特徴的な取組 ・子育て短期支援事業を12市町村と受託契約を締結している。
・拠点施設と連携をとりながら、彩の国あんしんセーフティネット事業に伴う生計困難者自立支援相談事業を行っている。
・家庭裁判所からの委託で少年の再非行防止のための制度「補導委託」に協力している。
・要保護児童対策地域協議会への参加。
・今年度から乳幼児総合支援センター化準備室を設置し、小規模保育や縦割り保育の試行を開始した。
【5】第三者評価の受審状況 2022年07月22日(契約日)~ 2023年02月16日(評価結果確定日)
前回の受審時期 令和元年度
【6】総評 "【特に評価できる点】

[1] 子ども一人一人を大切にする気持ちが熟成され、愛情のこもったアルバムづくりなどへつながっています

 子どもたちの心身の発達状況、生活習慣の習得状況、健康状態など細部にわたって把握し記録をとっています。ホーム会議やケース会議など多くの会議にて子どもの状況や支援目標を明確にし、全職員で一人一人の子どもの育ちを支援しています。オムツ交換一つをとっても「これからおむつを取り替えようね、ズボン脱ぐよ」など次への行動を示す言葉がけをして子どもに安心感を与えています。衣類や寝具、食具、おもちゃなど個別化する範囲を広げ、あらゆる方面から、職員が子ども一人一人を大切にしている気持ちが伝わってきます。また、担当養育制をとり子どもとの愛着関係を育みながら、その時々の様子を写真に収め、愛情のこもったアルバム制作へとつなげています。


[2] 委員会活動は、確実な事業推進のほか、職員参加の実現や人材育成にもつながるなど施設運営の要となっており、今後も着実に成果をもたらしていくものと思われます

 研修委員会、事故防止委員会等11の委員会が設置されています。職員全員がいずれかの委員会に所属し、委員長には各室長が就任しています。各委員会は毎月開催され、年度始めに3~5の目標を設定し、年度中間で各委員会において進行管理を行い、年度末に検証し、「結果(実績)」としてまとめ、記録システムで共有しています。例えば「防火・防災委員会」は昨年度「BCPマニュアルの作成」との目標を掲げ、年度末に「作成した」と評価し、今年度は「BCP訓練の実施、マニュアルの検証」と次の段階の目標を掲げています。また、防犯については「実施できなかった」と評価し、今年度改めてより具体的な目標を掲げています。このように施設が重視するPDCAサイクルを確立させた取り組みとなっています。年度末の検証は施設長が中堅職員の育成を兼ねて委員長と一対一で行っています。委員会活動は、確実な事業推進のほか、職員参加の実現や人材育成にもつながるなど施設運営の要となっており、今後も着実に成果をもたらしていくものと思われます。


[3] 子どもの安心安全な生活を守るため、防災・防犯、事故防止、感染症対策などのリスクマネジメントに注力しています

 リスクマネジメントについて複数の委員会を設置し、多職種が協働しながら組織をあげて取り組んでいます。ヒヤリハットは業務日誌に掲載することで、朝礼で毎日周知される仕組みとし、提出数をホワイトボードに掲示することで増やせるようにしています。人工呼吸器ユニットやAEDを設置し、全員が使えるように定期的に学び、今年度は危険予知訓練(KYT訓練)も実施しました。新型コロナウイルス感染症対策として、感染レベルに基づくゾーン設定や、写真を用いたマニュアルの作成にも取り組んでいます。大規模災害に向けて「災害対応計画(BCP)」の作成も完了し、実地訓練を始めています。職員の緊急連絡網は、緊急レベルを3段階設定し、レベルに応じて誰を招集するするのか一目でわかるようになっています。地域との防災協定もあります。子どもの安心安全な生活を守るため一丸となって取り組み、職員からは、これらの取り組みが施設の特に良い点であるという評価を得ています。


【今後の課題と思われる点】

[1] 人事管理制度は、職員のモチベーションへの影響が大きいため、早期に仕組みを整えた上で確実に職員に周知していくことが期待されます

 施設では、人事管理制度に関し、就業規則に基づく採用・人事異動、勤務評価と昇給の仕組み等に加え、昨年度以降目標管理制度の導入、自己申告書の提出及び面接の実施、キャリアパスモデルの作成、「人事異動の基本的考え方」の周知等の施策を取り入れ、仕組みが着実に整ってきています。一方でこれら施設の人事管理の仕組みにはいくつかの課題が見受けられます。昇任・昇格の基準が定められていないこと、目標管理制度と併行して行われている人事考課には業績考課だけで、能力考課や情意考課が含まれてなく不完全であること、そのため評価基準が不明確であること、キャリアパスモデルが職員に周知されていないことなどです。職員からみると、どのような基準で評価され、どのような基準で昇任するか分かりにくいということになると思われ、実際に今回の職員自己評価においても、人事基準、評価基準、昇任・昇格基準が不明確という意見が出されています。人事管理制度は、職員のモチベーションへの影響が大きいため、早期に仕組みを整えた上で確実に職員に周知していくことが期待されます。


[2] 子どもの権利擁護に向け、さらに職員の意識が高まるような取り組みを深化させていくことが期待されます

 職員倫理綱領、乳児院倫理綱領、子どもの権利擁護規程などを「職員ハンドブック」に綴り、全職員に配布し、新任研修の教材とするとともに、各職員がいつでも見られるようにしています。また、11項目からなる「セルフチェックシート」を独自に作成し、年一回児童虐待防止月間の時に自己チェックを行い、集計結果は職員会議で説明し、職員の意識が高まるように取り組んでいます。一方で、職員個々により権利擁護について理解や意識に差があることを課題としています。倫理綱領や各規程を丁寧に読み合わせ実践と照合しながら振り返る機会を持つなどさらに共通理解を深めることが期待されます。また、各団体から出ている人権擁護のためのセルフチェックリストを活用して「セルフチェックシート」の内容や回数を充実させ、結果をもとにした話し合いの場をつくるなど、さらに取り組みを進めていくことが期待されます。


[3] 子どもの自主性や自発性を育む一つとして、遊具環境の設定がさらに進むことを期待します

 子どもの自主性や自発性を育む一つとして、遊具を子どもの視線の先や手の届くところに置くことの大切さがいわれています。現在、クリスマスのプレゼントを一人一人違うものにするなど、玩具の個別化の取り組みをしていますので、設置場所や遊ぶ時の工夫などさらに進めるとよいと思われます。子どもがじっくり遊べるようなコーナーづくりをする中で遊具の設定も可能になってくると思われます。ホームにより遊具設定をしているところもありますので、全体としてどのようにしたらよいのか検討してみてはいかがでしょうか。前向きに取り組んでいくことを期待します。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  当乳児院では、第三者評価を客観的な評価結果を受けるだけでなく、自らの日頃の実践をPDCAマネジメントサイクルに則り振り返り検証する機会と位置づけています。今回は、管理者や一般職員の別なく全項目に対し自己評価を行いました。
 一般職員の運営管理に関する理解度も測ることができ、これからの情報の共有や周知方法など考えさせられる機会になりました。
 受審により今後の課題が明らかになったのと同時に、今出来ていることやストロングポイントについても確認することができましたので、さらに良いものに進めてまいります。ウィークポイントについてはこれから十分検討を行った上で、役職員一体となって福祉サービスの質の向上に努めていきたい考えです。
第三者評価結果はこちら