社会的養護施設第三者評価結果 検索

双葉寮

【1】第三者評価機関名 (公社)新潟県社会福祉士会
【2】種別 児童養護施設 定員 30名
施設長氏名 林 直 所在地 新潟県
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【3】実施調査日 2013年10月01日~2014年03月03日
【4】総評 【特に評価が高い点】
○子どもが自己や他者の権利を尊重できるように援助している。
 職員と子どもの日頃の関わりを通して、子どもが自身の考えを言いやすい雰囲気をつくっている。個別の買い物同行や学習支援の場面で子どもからの意向が聞かれることも多い。子どもからの意向や希望については、希望に添える、添えないに関わらず、子どもにしっかりと口頭や文書で説明している。居室単位の小グループでの話し合いの場も定期的に設けられて意向の把握に取り組んでいる。
 また、職員は子どもが良好な人間関係を築く経験を積めるように、職員との個別的な関わりや子ども間のトラブルの際も子ども同士で解決できるように側面的な支援を行っている。このような日常的な支援によって、職員は子どもが自己や他者の権利を尊重できるように努めている。なお、子どもへのアンケート調査においても、ほとんどの子どもが「施設で自分は大切にされている」と答えている。

○子どもへの学習支援と、発達段階と嗜好に沿った余暇支援に積極的に取り組んでいる。
 施設では、子どもの学力はその子どもの将来の最善の利益に繋がる重要事項であると考え、学習支援に積極的に取り組んでいる。子どもと職員とで目標を定めて日常的な宿題等の学習支援を行ったり、中高生には学習ボランティア、塾なども取り入れ、職員は子どもに合わせた効果的な学習指導について試行錯誤しながら取り組んでいる。
 子どもの生活が豊かなものとなるように、施設として余暇活動の支援にも積極的に取り組んでいる。職員の特技、趣味なども取り入れ、職員が登山やアウトドアなどのインストラクターとなり一緒に楽しんでいる。また、学校の野球やサッカーなどのクラブ活動にも子どもの参加を進めている。地域のボランティアが提供するお茶やお花などの各種の文化活動への参加も子どもが自由に選択している。

○寮長は養育・支援の質の向上のために指導力を発揮している。
 寮長は常に現在の施設運営や養育・支援に対して、自らの子どもの支援者としての経験と、それを裏打ちする児童養護に必要な知識等を積極的に身に付け、専門的な見識を大切にして職員を指揮、指導している。子どもの特性や職員間の話し合いによって、子どもの最善利益を考えた寮長としての対応を日々心掛けている。
 また、施設の老朽化や子どもの住環境、就職・進学などの施設の課題に対しても、小中学校をはじめとする多くの関係機関や社会資源と連携することで、様々な方向性や方法を検討して柔軟に前向きに対応している。

【特に改善が求められる点】
○子どもの最善の利益のために、チームとしてさらなる働きかけが期待される。
 子どもの問題や課題に対しては、寮長及び副寮長のリーダーシップの下で、子どもの状況や職員の関係性等を勘案して即時対応している。しかし、職員の知識や経験の差や子どもと職員の信頼関係の状況の違い等があることから、支援する職員によっては、子どもの問題行動に対応する時に、緊張や憤り、ストレスを感じる職員も少なくないことが職員アンケートから窺える。
 職員一人ひとりの研修計画の作成や、指導的職員からの継続的・支持的な指導や支援体制の整備、事業計画や自立支援計画による目標の明確化、話し合いやコミュニケーション等によって職員一人ひとりの育成と、職員間のチームワークの強化によって職員の不安の軽減が望まれる。これらの取り組みによって、実際の支援の場面で職員全員で知識と技術の見直しを絶えず行い、子どもの日常生活に根差した養育・支援の質の追及がなされていくことを期待したい。

○アセスメントと自立支援計画をより活用した子どもへの支援が望まれる。
 アセスメントの情報は、学力や生活能力、日々の生活記録等の情報を勘案して担当者が作成している。このアセスメントを受けて、自立支援計画を担当者が作成して、寮長及び副寮長が専門的な視点で確認して完成させている。内容は子どもの自立に向けて当面取り組むべきことが掲げられ、生活記録や職員間の申し送り記録において実施状況も確認することが出来る。
 しかし、施設として定められたアセスメントの実施や職員間での協議等についての手順や、子ども自身へ説明して合意と納得を得る仕組みや、計画の実施状況について職員間で確認、共有する仕組みが課題であり、これらの書式や様式、作成方法、子どもにも分かりやすい記載等についての職員間で確認、共有し、自立支援計画をより活かした子どもへの支援が望まれる。


○標準的な実施方法の必要性の検討、整備が求められる。
 施設の養育・支援に対しての基本的な方針や考え方については、運営規程や寮長からの定期的及び随時の説明や指導によって、職員に周知されている。災害発生時の基本行動や衛生管理、感染症対応、事故対応マニュアル等の危機管理等のマニュアルは整備されているが、食生活や学習・進路等の具体的な子どもへの養育・支援マニュアルを整備するまでには至っていない。
 マニュアル整備は手順等の確認だけでなく、施設の行動規範、内部統制指針・規範ともなり外部への透明性の確保としても有効である。子どもへの対応は臨機に専門的な判断や技術が求められるため、どの業務のマニュアル作成が可能か、または必要なのかについて職員間で話し合う機会を持つなどして、標準的な実施方法を文書化することが求められる。
 
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 双葉寮は、社会的自立を目指し、生きがいを見つける支援・安心できる家庭的な環境の提供を目指している。
 この度の第三者評価は日々の営みをとらえなおす、よい機会となった。結果を全職員でよく検証し、今後の支援に活用していきたい。
 高く評価された、子どもが自己や他者の権利を尊重できるよう援助していること、子どもへの学習支援と発達段階と嗜好に沿った余暇支援に積極的に取り組んでいることについては、今後も継続していきたい。
 チームとしての支援力の向上、アセスメントと自立支援計画の活用、未整備なマニュアルの作成についての指摘は、真摯に受け止め、改善に努めたい。
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