社会的養護施設第三者評価結果 検索

舞鶴学園

【1】第三者評価機関名 (社福)大阪府社会福祉協議会
評価調査者研修修了番号 SK15113
1601C029
S15131


【2】種別 児童養護施設 定員 70名
施設長氏名 桑原 教修 所在地 京都府
URL http://www.maizurugakuen.org/
開設年月日 1946年10月13日 経営法人・設置主体 舞鶴学園
職員数 常勤職員 30名 非常勤職員 6名
専門職員 社会福祉士 3名 保育士 15名
社会福祉主事 12名 高校教員免許 4名
心理職 1名 栄養士 2名
施設設備の概要 (ア)居室数 41室 (イ)設備等
(ウ) (エ)
【3】理念・基本方針 子どもは、社会によって守られるべき存在である。そして、人や建物を含めた適切な環境で育まれるべき存在である。本来、子どもは育つ力を有する。その力を引き出すためには、保育・養育という過程が、必須条件である。社会福祉法人舞鶴学園は、児童福祉法に則りすべての子どもの最善の利益を守るために、子どもの養育に携わるものである。
【4】施設の特徴的な取組 ①小舎制の導入(平成13年10月)
大舎制から小舎制に移行して16年目。各家に年間予算(水光熱費、日用品費、食費等)を渡して運営する。年間を通して毎日各家に大人が泊まるシステムがある。衣食住を媒体にメッセージ性をもって生活づくりに努めている。栄養士が立てた献立を週2回はケア職員が調理するほか、毎月各家で自分たちが立てた献立で買い物から調理までを行う取り組みも移転後から継続している。各家単位での取り組みや、出かける機会も増え、子どもたちが、自分の家を大切にするという意識が育っている。

②子ども会(昭和45年から)の取り組み
子どもたちが自分たちの暮らし全体を考える活動のほか、子ども会主催のコンテスト(食のコンテスト、ハウスコンテスト)や子ども会役員の合宿(1泊)の取り組み、そして子ども会だけでなく、全ての行事については、子どもの実行委員会と大人の実行委員会が一緒に取り組むことを原則としている。

③あしなが基金(平成3年~)&日韓交流事業(平成7年~)の取り組み
進学のための独自の自立支援基金がある。現在看護学生、専門学生2名を支援中。来年度以降についても進学の希望者は、年々増えつつある。
韓国児童福祉施設との交流は、平成5年開催のアジア交流事業(全国社会福祉協議会)以来23年になる。
ここ2年は夏に来日、訪韓と子どもたちの相互訪問交流(7日間)は途絶えることなく継続しており、子どもたちにとっての希望の事業となっている。この交流を通して子どもたちの可能性が開かれている。
【5】第三者評価の受審状況 2017年05月12日(契約日)~ 2017年10月31日(評価結果確定日)
受審回数 1回 前回の受審時期 平成26年度
【6】総評 ◇施設の概要
 児童養護施設 舞鶴学園(以下「当施設」という。)は、1946年、戦災孤児11名を保護し、事業を開始しました。2001年、創設55周年事業として、のどかな田園地帯の現在地に施設が移転する際に小舎制を導入し、7つの独立した家に分かれて、子どもの自主性や自立を尊重した養育・支援に取り組んでいます。どの家も整理、整頓が行き届いた家庭的で温かい環境づくりがなされています。「みんなの声を聞きながら生活を作っていく」といったスローガンのもと1970年から子ども会活動が取り組まれ、現在では高校生会、中学生会、小学生会の他、各家の代表や選挙で選ばれた子どもが子ども会の役員となり、食のコンテストやハウス・コンテスト、ガーデン・コンテスト等の行事等を通して、子どもたちの生活スキルや自主性等を育んでいます。施設長を中心に、副施設長、事務長やケアアドバイザー、家庭支援専門相談員、心理士、栄養士等および各家の職員全員が一丸となって取り組んでいる「育ち、育ち合い」を目標にした営みが、子どもの生き方に素晴らしい影響を与えています。

◇特に評価の高い点
園内業務評価会議の取り組み
 毎年1回、他舎の職員を中心に事務長や里親支援専門相談員、心理士等の職員が評価者となり、各舎の取り組みについて評価しています。評価対象は、建物(設備、整理・整頓、掲示等)、書類(児童記録、自立支援計画票、小遣い帳等)、各部会書類監査(検食簿、保健記録、会議録等)の広範囲にわたり、終日をかけて評価が執り行われています。この取り組みは各舎の独創性を尊重するとともに標準化に向けての配慮も促し、さらに、各舎で運営されている生活費の適正な使用等について内部組織を牽制するものとして高く評価されます。
 
充実した研修活動
 職員の質の向上を目指した研修・教育は、OJTをはじめOFFーJTを連携させ、総合的に取り組まれています。とりわけOJTは新任職員に対し3年間指導職員を張り付け、個別に丁寧に教育しています。また、施設内研修は、新任職員を対象とした研修を年間9回、一般職員を対象とした研修を年間10回実施し、その内容も施設長や様々な職員が担当者となり、DVDを用いた映像研修、テーマを設定した研究発表、ストレス解消のためのスポーツ行事等、多彩で実用性に富んでいます。その他、読書会や心理学研究会の開催、他施設との交換研修等、総合的で充実した研修活動は高く評価されます。

子どもが参画して作成する自立支援計画
 子どもの自立支援計画票策定時に、可能な子どもについては計画立案に参画し、計画内容について意向や意見を表明する場が設けられています。このことは子どもの知る権利、参加する権利を保障し、今年1年間の施設生活の目標設定、モチベーションを高めるための取り組みとして高く評価されます。

子どもたちによる「子どもの満足度」を上げるシステム
 「子ども会」「生活アンケート」「子ども会合宿」「高校生交流会」等、様々な取り組みに参加する中で、子どもたち自身が主体的に自分たちの権利や他者への尊重等について考える機会が設けられています。子どもたちの日々の生活環境の改善や行事等の参画、地域の活動(スイミング、茶道教室等)に参加する等について、職員と子どもが共生の意識を持ち、職員が子どもの意向を尊重しながら生活できるように取り組んでいることは高く評価できます。

食生活の充実
 夕食時にはできる限り職員と子どもが揃うことを意識して、一緒に会話を楽しみながら食事ができるよう配慮がなされています。各自の箸置き、陶器の食器等やランチョンマットの使用がなされ、盛りつけやテーブルの飾りつけを工夫しています。「食のコンテスト」の実施や施設外での食事等、食を楽しむ多様な機会が設けられています。また嗜好調査を年2回実施し、献立表に反映しています。特に、嗜好調査時に気分のばらつきのあった子どもの状態も考慮し、落ち着いた時に再度聞くなど、子ども一人ひとりに対する丁寧な関わりは高く評価できます。

心理職との密な連携
 心理職が生活空間に入る時は、個別心理療法との兼ね合いで、勤務の調整が図られており、定期的にホーム会議やケース会議等に参加し、各舎の職員と密な連携が図られています。また月1回の心理職だより(クローバー)の発行、定期的に職員研修やスーパービジョンも行われている職員体制は評価できます。また「大切なことノート」を活用し、担当職員と子どもとの関係修復のフォロー体制を整備していることも高く評価できます。

◇改善が求められる点
苦情内容等の公表
 苦情解決のための仕組みは整備され、意見箱に投函された意見や苦情等について、申出者にフィードバックしています。また、年に1?2回、第三者委員を招いての苦情解決委員会が実施され、報告や説明がなされています。しかし、寄せられた苦情や意見は、広く社会に対しても公表することが求められており、苦情等の申出者に配慮して、件数や内容、解決結果等を法人・施設のホームページや広報誌等に掲載して公表することが求められます。

自己評価のまとめ、分析と改善等に向けた取り組み
 施設の運営や養育・支援の質の向上に向けて、第三者評価や自己評価は決められたとおり取り組んでいます。第三者評価は3年毎に受審し、評価機関から評価の高い点や改善点等の評価結果が示され、計画的に改善に向けた取り組みがなされていますが、第三者評価を受審しない年度に実施している自己評価について、実施後の分析・検討、改善に向けた計画や取り組みがなされていないので、改善に向けて取り組むことが求められます。

性教育のカリキュラムの強化
 誕生学アドバイザーによるサロンが開設され、男子、女子に合わせた取り組み(命の大切さ、ガールズエンパワメント等)が行われています。しかし、今後は性についての正しい知識を得るために、個々の子どもの年齢・発達段階・状況に応じた教育プログラムの検討が求められます。

子どもに対する不適切なかかわりの防止の強化
 家会議や子ども会合宿等で不適切な関わりについて話し合いの場が設けられ、また子ども会により毎年度の暴力の禁止等も含めたスローガンが掲げられ、子どもたちに周知されています。しかし、対応マニュアル等において、虐待までに至らない「不適切なかかわり」を想定した具体的な例を示し、厳正に処分を行うような仕組みを整備すること、また施設長等に報告する体制を園独自のフローチャート図により可視化し、職員間で周知・徹底することが求められます。
【7】第三者評価結果に対する施設のコメント  評価機関の評価を受けた内容については、施設内で全職員に周知し、話し合いを行い今後の改善点など取り組みができる点を明確にし、着手しております。
新しく作成する書類などは、平成30年度の職員必携には、追加項目として取り入れ、園内研修で取り組んでいる研修内容とリンクさせながら、養育の質の向上に努めたいと考えております。
 舞鶴学園が大切にしている衣食住を根幹に据えた「あたりまえの生活」を営みながら、子どもたちの最善の利益が守られるよう取り組んでまいります。
第三者評価結果はこちら