社会的養護施設第三者評価結果 検索

宮城県さくらハイツ

【1】第三者評価機関名 (社福)宮城県社会福祉協議会
【2】種別 母子生活支援施設 定員 20世帯(60名)
施設長氏名 渡部 秀樹 所在地 宮城県
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【3】実施調査日 2014年05月26日~2014年10月23日
【4】総評 ◇特に評価が高い点
<母親と子ども一人ひとりを主役とし、自立生活を意識した支援に取り組んでいます>
 施設では、母親と子ども一人ひとりが主役であることを基本とし、職員会議で共通認識を持つよう確認しています。また、施設における生活支援は、将来に向けた地域での自立生活を意識した取り組みを行っています。
 母親への支援では、保育所利用は地域での自立生活を見据えて地域の保育所利用を原則としていますが、母子世帯の早期の社会自立を支援するため、施設内保育や学童保育も実施しており、母親と子どもの状況に合わせて柔軟に対応しています。また、金銭の計画的な使い方や預貯金等の経済的自立を目指した利用者の同意のもと金銭管理支援も行っています。
 子どもへの支援では、豊かな人間性と健全な成長を促すよう「児童会」を組織し、行事などの活動を支援しています。基本的生活習慣の未確立な親子に対しては職員が、実際の生活場面に入り、一緒に行うことで自立に向けた具体的な支援を行っています。また、小学生に対しては、職員と学習ボランティアの活用による学習指導、中学生に対しては外部講師による週1回の施設内学習塾を設け、学力の向上に向けた取り組みを行っています。

<DV被害からの回復の支援に努めています>
 心理的ケアについては、常勤の心理員と非常勤の臨床心理士としてスーパーバイザーを配置し、心理面接や心理テスト・心理療法・生活場面面接等に取り組んでいます。特に「さくらのはなし」という冊子を作成し、子どもとの対話や心の整理に繋げており、効果的な支援をしています。また、入所理由の殆どが男性によるDV被害を体験していることから、男性職員が悪意や暴力のない大人モデルになるような関わり方をすることで、男性に対する偏った意識を変えるように取り組んでいます。

<子どもの権利を学ぶ場が保障されています>
 子どもの権利を学ぶ場として、年1回、外部講師によるCAP勉強会を実施しています。年齢別3グループに分かれ、年齢に応じた話をしています。また、ホールや学習室には子どもの権利のポスターが掲示されており、特に学習室は手書きでイラストも入れ、子どもに解りやすいものを作成して掲示しています。

<母親と子ども一人ひとりの課題を明確にした自立支援計画を策定しています>
 アセスメントと自立支援計画については、母親と子ども一人ひとりについて施設が定めた様式で作成しています。アセスメントは、関係機関で心理面も対応しており、情報提供を受けることで詳細な内容になっています。自立支援計画は、母親の聞き取りと子どもの日頃の生活から意向を把握した上で作成し、具体的な内容になっています。実施状況の振り返りや見直しは、母親との定期的な面談と2か月ごとのケースカンファレンスで検討しています。自立支援計画に基づく支援の記録は、個別のケース記録のほか、自立支援計画に達成状況を朱書きで記入し、分りやすく整理されています。

◇改善が求められる点
<母親と子どもが苦情を申し出やすい工夫を期待します>
 苦情解決の仕組みについては、入所時に説明しており、担当職員以外でも相談できる環境を提供し、日常の会話の中から相談になる事もあるなど母親と子どもとの関係づくりにも配慮しています。しかし、苦情記入カードの配布や匿名アンケートの実施など、母親と子どもが苦情を出しやすい工夫が十分とは言えません。苦情の申し出の選択肢を広げる工夫を望みます。

<業務マニュアルの見直しの仕組みを整備されることを期待します>
 施設では、標準的な実施方法として「業務マニュアル」を作成しており、少年指導員、母子指導員等の職種ごとに業務の内容が整理されています。また、「業務マニュアル」は事務室に設置され、職員が必要な時にいつでも確認することができるようになっています。しかし、見直しに関しては時期や方法が明確化していないため、組織として定期的に検証し、必要な見直しが実施できる仕組みづくりを期待します。

<一人ひとりの研修計画を作成し、質の高い職員育成を期待します>
 施設では、DV被害家族や重複した課題を抱えた家族など支援の難しい家族が増えている中で、より高い支援技術や専門性が職員に求められてくることから、それらを補完するために研修が大事であると考えています。今後、施設としてまとめられた研修体制の基盤整備を活用しながら職員育成のためにも一人ひとりの研修計画を作成されることを期待します。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 今回の評価では、当施設が抱える特殊性に対し、十分な聞き取りと綿密な審査が行われ、施設と評価機関の意思疎通が十分図られた平等で公平な評価を頂いたものと受け止めています。改善内容についても施設の実態がよく精査された中での的確な指摘であり、納得できる内容となっています。今回の評価結果について全職員で課題を共有しながら支援の在り方について、もう一度検証し、利用者支援の向上に努めたいと考えています。丁寧な審査の進め方と理解ある対応に改めて感謝致します。
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