社会的養護施設第三者評価結果 検索

新潟天使園

【1】第三者評価機関名 (公社)新潟県社会福祉士会
【2】種別 児童養護施設 定員 40名
施設長氏名 髙野 善晴 所在地 新潟県
URL http://niigatacaritas.or.jp/
【3】実施調査日 2014年04月01日~2015年03月09日
【4】総評 【特に評価が高い点】
○子どもと職員の関係性を重視した家庭的な支援に努めている。
 施設本館の1階、2階、3階および、施設の近くの「グループホームにじの家」との4つの小さな生活単位で構成されている。本館の1~3階はそれぞれ10名程度、グループホームは6~8名の生活単位であり、1階は幼児と小学校低学年、その他は小学生から高校生が同居している。担当する職員もそれぞれ専任で配置されているため、職員と子どもとの関係性を築きやすく、子ども一人ひとりの性格や特性を踏まえ、子どもが表出する感情や言動も受け止めやすい支援体制となっている。また、子ども同士においても、年長者が年少者を気にかけて家事や勉強を教えたりと異年齢が交流する姿もうかがえた。夕食後などには子どもたちと職員とでお茶を飲みながら懇談することも日常的に行われており、家庭的な温かさを感じることが出来る。

○職員の良好なチームワークにより子どもへの支援が行われている。
 現施設で経験年数の長い職員が多く、子どもの課題や職員間での役割分担などは職員会議や日々のミーティング等で話し合ったうえで支援がなされている。また、会議等以外でも随時、園長や主任等の管理職員も含めた協議と職員間での意見交換が行われている。この体制によって、担当職員が子どもの課題や問題等への対応を一人で抱え込むのではなく、チームで検討して対応することができ、職員の心理的ストレスの軽減にもつながっている。近年の施設の職員構成として新人・中堅職員の比率も徐々に高まってきており、経験年数の少ない職員も含めたチームの充実に今後も意欲的に取り組んでいく予定である。

○グループホームでのケアに取り組んでいる。
 小規模グループケアを目指して平成22年に施設の近隣に「グループホームにじの家」を開設し、6~8名の子どもが本体施設から地域の街中に移り生活をしている。建物は普通の一軒家であり、自治会にも加入して地域のゴミ捨て場の清掃や班長、避難訓練などの活動にも地域住民として職員と子どもたちとで参加している。また、本体施設とグループホームは大きな行事や地域のイベント等には合同で参加したり、必要時には職員間の協力体制も含めて適宜連携しながら、子どもの生活を支えている。子どもたちはグループホームに移ったことで「自分のお部屋が出来た」「友達を家に呼べるようになった」など、より家庭的な生活を感じている。また、本体施設においてもグループホームを開設したことにより、1つの生活単位での利用者数の減少や多床室の解消など、より小規模で家庭的な療育環境の整備を進めることができ、成果を上げている。

【特に改善が求められる点】
○子どもにとってより有効な自立支援計画作成と、それに基づく子どもへの支援に向けて、自立支援計画に係る一連のプロセスの明確化が期待される。
 自立支援計画を作成するための会議や計画書を、子どもの情報と課題を職員全体で共有できる機会・ツールとしている。しかし、子どもの年齢や発達状況に合わせたアセスメントの実施や共有の方法、計画の見直し・評価の時期や方法などが明確でなく、施設として自立支援計画作成の手順を確立するまでには至っていない。
 子どもへの支援過程の中での気づきや変化などを適宜反映し、子どもにとってより有効な計画を策定するためにも、計画の評価・見直しを定期的および随時に行うことが求められ、それが適切に実施されるよう時期や方法、随時見直しの基準などを定めることが期待される。職員会議やミーティング等で検討された結果で、子ども一人ひとりへの支援方法が変更になった際にも、現状に合わせて自立支援計画に反映し、子どもへの支援方法がより適切に職員間で共有・統一されることが望まれる。

○法人・施設の目標への取り組みを職員全体が共有できるような具体的な事業計画の策定が期待される。
 法人・施設の目標や課題への取り組みに関しては、園長が口頭で職員に伝えると共に、外部研修への職員派遣や行事等にも反映されている。しかし、少人数の小規模ケアに向けた施設の先駆的な取り組みや、今後求められる職員の子どもへ専門的な支援等の具体的な目標、到達点が中・長期計画や事業計画の内容からは読み取りにくい。計画の目標や到達点を明確にすると共に、実施状況の把握や定期的な評価、見直しの方法・手順、職員の参画方法等を定め職員に周知し、施設全体で共有して目標達成に取り組むことが期待される。

○標準的な支援の実施方法の整備が求められる。
 職員の異動等がほとんどなく、当施設における勤続年数の長い職員が中心となって支援・業務が行われている。危機管理や感染症の対応についてはマニュアルが整備されている。子どもへの養育・支援に関しては、新任職員は先輩職員の助言や指導によって適切な業務等が出来るように配慮されているが、その支援の根拠や具体的な方法等を手順書やマニュアルなど明文化したものとして積極的に整備するまでには至っていない。
 マニュアル整備は手順等の確認だけでなく、施設の行動規範、内部統制の指針・規範ともなり外部への支援の透明性を確保するためにも重要である。現在の職員の専門的な養育・支援や基本的な取り組み方法について、基本方針や標準的な実施方法を整理し、定期的に見直し確認することによって、職員のこれまでの取り組みの維持、向上にも寄与すると考えられる。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
・今回の受審で、子どもの生活、職員の支援、体制等を全体で見直す良い機会となった。第三者からの視点でみてもらうことは大事なことだと思う。
・これまで気づかなかったことの明確化、現状の再確認、また他職種間の業務や施設運営について理解することができて良かった。共通理解を図り施設の考え方が統一され、より良い子どもたちへの支援を構築できるようになれればと思う。
・改善点に挙げられた自立支援に関することや標準的な支援の実施方法の整備等については真摯に受け止め、改善に努めていきたい。高く評価された点については、さらなる向上に努め、結果をこれからの業務につなげられるように、また今後に向けて新たな気持ちで取り組みたい。
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