社会的養護施設第三者評価結果 検索

ひまわり荘

【1】第三者評価機関名 (公社)新潟県社会福祉士会
【2】種別 母子生活支援施設 定員 8世帯
施設長氏名 保坂 敦子 所在地 新潟県
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【3】実施調査日 2014年06月26日~2014年11月07日
【4】総評 〈特に評価が高い点〉
●母親の子育てと子どもの育ちのニーズに対応した、きめ細やかな学童保育、乳幼児保育が実施されている。
 昭和29年「母子寮」として開設された歴史ある「ひまわり荘」では開設当初から乳幼児保育・学童保育が行われてきた。特に学童保育は対象者を小学生から中学生までとし、長期休暇においては学習指導や市営プールへの引率等が実施されており母親のニーズと子どもの育ちへの配慮した内容となっている。「子どもに関しての決まり約束事について職員の申し合わせ」という文書は記載されている内容から学童保育についての標準的な支援方法の文書として読み取れる。その内容は子どもの生活に則した具体的な支援の方法となっている。例えば友だちが施設に遊びに来た場合も安全に受け入れるために様々な場面を想定して明記され、子どものニーズに応えた内容となっている。
●福祉の人材を育成することを施設の社会的責務の一つと考え積極的に実習生を受け入れている。
 施設長は、実習生の受け入れは施設の社会的責務のひとつであると考えるとともに、これからの福祉人材となる人たちに母子生活支援施設への理解を深めてもらいたいと考え、体制を整備し可能な限り積極的に実習生を受け入れている。実習の意義と役割を明文化し、効果的な実習が行われるよう場面に即した3つのプログラムが用意されている。さらに実習にあたっての子どもとの関わりにおける注意事項など詳細に記入された文書が備えられている。

〈改善が求められる点〉
●「母子生活支援施設運営指針」に基づき、社会的養護の特性や子どもの権利擁護の推進の視点を盛り込んだ運営理念と基本方針を確立し、その実現に向けた中・長期計画の策定と中・長期計画の内容を反映させた事業計画の策定が望まれる。
 施設では「運営基本方針」「母子生活支援施設概要」「母子生活支援施設機能と役割」という表題の文書を作成しているが、その記載内容には一貫性がなく、運営理念・基本方針が確立しているとは言いがたい。また、上越市の第5次総合計画における児童福祉の項目には児童養護施設の記述はあるが母子生活支援施設に関する記述はなく、施設における年度の事業計画も月ごとの行事の記載に留まっており、施設が目指すべき支援の方向性等が明確にされるには至っていない。施設の方向性や計画が示されないことで、職員が支援を充実させることに難しさを感じていることも今回の第三者評価における訪問調査時の聞き取り調査において確認できた。
 社会的養護関係施設、母子生活支援施設に求められる社会的な役割が示されている「母子生活支援施設運営指針」に基づいて、上越市立ひまわり荘としての理念や基本方針を策定することが求められる。その際には実際に支援に携わる職員も参画し、住む場所の提供だけではなく『自立の促進のために生活を支援する』という視点から取り組むべき支援の方向性を検討することが望まれる。
 さらに、策定した施設の理念・基本方針に基づき、その実現に向けた中・長期計画と、中・長期計画の内容を反映した実効性のある事業計画を策定し、計画の実行と評価、より良い方法への見直しといったPDCAサイクルに則って支援の質を向上させる組織的な仕組みを構築することが期待される。
●施設長は職員による権利侵害などは行われていない事を確認しているが、今後さらに母親と子どもへのあらゆる人権侵害を許さず、その尊厳を尊重し生活を守ることを徹底して追求するため、「職員倫理規定」等に体罰の禁止や権利擁護の防止を盛り込むなどの取り組みが望まれる。
 母子生活支援施設運営指針の役割と理念の項目に示された人権侵害の内容は運営指針の中で特に大切な考え方となっており、施設長は当然、職員による権利侵害は行われていない事を確認しているが、「職員倫理規定」等に体罰の禁止や権利擁護の防止を明記し、発生した場合の対応マニュアル、不適切なかかわりによる権利侵害をしない援助技術の習得等の体制を整えることが望まれる。
【5】第三者評価結果に
対する施設のコメント
 今回はじめて第三者評価を受審するに当たり職員それぞれが自己評価を行ない職場全体で協議を行なってきました。その中で自分たちの取り組みに対しての問題点や課題点が数多くあることに驚かされました。この「気づき」を「改善」に結びつける機会とし今後も自己評価を計画的に実施し問題点、課題点を把握、改善し質の向上に努めていきたいと思います。
 今回の第三者評価受審に際し適切なアドバイスをいただいたことに大変感謝しています。
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