【1】第三者評価機関名 | (特非)介護・福祉サービス非営利団体ネットワークみやぎ |
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評価調査者研修修了番号 | SK18011、第92号 第93号 第116号 |
【2】種別 | 児童自立支援施設 | 定員 | 28名 | |
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施設長氏名 | 杉山 謙治 | 所在地 | 宮城県 | |
URL | http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/sawarabi/ | |||
開設年月日 | 1909年05月23日 | 経営法人・設置主体 | 宮城県 | |
職員数 | 常勤職員 | 28名 | 非常勤職員 | 32名 |
有資格職員 | 児童自立支援専門員 | 6名 | 保育士 | 8名 |
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社会福祉士 | 3名 | 心理士 | 2名 | |
医師 | 2名 | 栄養士、家庭支援専門相談員 | 各1名 |
施設設備の概要 | (ア)居室数 | 広瀬寮:5室、青葉寮:5室、すみれ寮:4室 | (イ)設備等 | 本館(事務室、分教室等)、給食棟、体育館 |
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(ウ) | プール、宿泊訓練棟、作業棟、職員宿舎 | (エ) | ||
【3】理念・基本方針 | 【宮城県さわらび学園管理運営要綱】 (運営理念) 第3条 社会において,非行等の問題行動あるいは環境不適応を起こしている児童を家庭に代わり預かり,特別の保護及び教育 あるいは心理的・精神医学的な治療などにより一日も早い社会への復帰を目指す。 2 児童の心を癒し自立を支援するため,職員と児童が共に学び,共に働き,共に汗して生活を共有するとともに「さわらび学園倫理綱領」に基づき児童の権利擁護に努め,「児童の最善の利益」を追求する。 3 児童の自立と健全な社会適応力を高めることに努めるとともに,社会のニーズに応え得る機能を持った施設運営にあたる。 4 さわらび学園長(以下,「園長」という。)は,開かれた学園運営に努めなければならない。 (運営の基本方針) 第4条 学園は,児童に安全安心な生活環境を提供し,個々の児童の問題点を把握し,児童と職員がともに生活をしながら,指導・援助を行う。 2 学園は,児童の自立のため地域社会,関係機関と連携し支援するとともに,児童と家族との関係の再構築を図るための支援を行う。 3 施設は社会資源の1つであるとの認識に立ち,学園の地域開放及び地域交流を積極的に行う。 4 学園は,職場内会議,研修会を定例的に開催するほか,外部での各種研修会・学会・研究会等へ積極的に参加し,児童処遇の向上及び職員の資質向上に努める。 5 学園は,自ら処遇及び支援の質の点検・評価を行い,常にその向上のための改善に努める。 |
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【4】施設の特徴的な取組 | 本施設は、仙台市の南西部丘陵の住宅地帯に位置し、隣接する救護施設「太白荘」など周辺には宮城大学(食産業学部)をはじめ、仙台市立小・中学校など公立施設が多く立地している。本施設の沿革は、明治42年に開設された「感化院」にあり、昭和39年現在地に移転、平成10年の改築工事を経て、平成21年に100周年を迎えている。平成10年の児童福祉法改正により「教護院」から「児童自立支援施設」と名称変更し、現在に至っている。定員は、時代により変遷(70名・50名)したが、現在28名となっている。近年、入所児童は非行型から発達障害等の児童が多数となり、被虐待児童数が過半数を占める状況となっている。従って、児童の社会復帰を目指す本施設の指導・支援活動は、安定した児童集団の構築優先から個別支援の充実に重心を置いたものに変化している。このように、被虐待児童数等の著しい増加から、本施設においても「児童の権利擁護」が指導・支援の際の最大の懸案となっている。そのため、本施設においては、精神科医を兼務させるとともに平成21年には常勤心理職1名を、翌年には家族支援担当の専任職員1名を配置し、全職員28名で日夜対応している。 代表的な取り組みとしては、「自立支援プログラム」に基づく個別的指導・支援の充実・強化、逸脱行動があった場合の「生活指導委員会」による児童への適切なサンクション、児童の苦情・相談を丁寧に受け入れる風土づくりと外部の第三者が入る「自立支援向上委員会」の活発な活動などが挙げられる。園長をはじめ全職員が忍耐強く、専門性を発揮しつつ困難な職務に携わり、本施設の歴史を継承して日夜奮闘していることは特筆に値するところである。 |
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【5】第三者評価の受審状況 | 2018年09月27日(契約日)~ 2019年03月12日(評価結果確定日) | |||
前回の受審時期 | 平成27年度 | |||
【6】総評 | ◇特に評価の高い点 1.職員が専門性を発揮しながら困難な職務に取り組み、チームワークが良好である点 園では、児童の「権利擁護」「児童の最善の利益」のため、毎月の職員会議で「倫理綱領」の読み合わせを行い、6つの重要課題に精力的に取り組んでおり、人員配置や施設整備等に一定の成果を上げている。 園長は、自らカンファレンスなどの現場に入り適切な助言を行うとともに、職員の悩みを聴いて解決に導いており、職場の人間関係が非常に良いことが認められる。 このようなことは、職員アンケートやヒアリングでも確認することができ、管理者をトップとするリーダーシップ及び各職員のモチベーションの高さが、本施設の使命に沿った指導・支援の質の向上に大きく寄与している。 2.相談・苦情と子どもの満足の向上の仕組みが相乗的に機能しており、指導・支援に効果を発揮している点 各寮面談室での面談、年2~3ヶ月毎の「いじめアンケート」をはじめ各種のアンケートを実施し、子どもの気持ち・意見を丁寧に聴いている。子ども会が組織され、職員の助言を受けながら、イベント等行事の内容を主体的に話し合う機会が持たれている。 苦情については、平成29年度は「ニコニコ相談シート」により55件と多くを把握し、全てについて本人と園長・班長が面談し、子どもが納得できるよう話を聴いている。また、本人の希望に応じて外部の第三者委員である「自立支援向上委員」との面談も保障され、寮毎の面談も定期に実施されるなど一連の指導・支援が相乗的に効果を発揮している。 ◇改善を求められる点 1.中・長期的なビジョンと計画が明確にされていない点 「中・長期事業計画」が策定されておらず、中・長期計画を踏まえた「単年度計画」も策定されていない。このことは、前回の第三者評価の改善点として指摘済みであり、今回受審までに改善されなかったことは残念である。県の「中・長期事業計画」の有無にかかわらず、「さわらび学園の中・長期計画」を策定することが急務である。 「中・長期事業計画」は、子どもを取り巻く環境や地域のニーズ、職員の意見等を十分把握した上で、「さわらび学園」としての目標(ビジョン)を明確にすると共に、ビジョンを実現するための重点課題を抽出し、3年~5年に分けた実施プログラムを課題毎に具体的計画に練り上げて策定することが望まれる。 2.子どものプライバシー保護について規程・マニュアル等が整備されていない点 プライバシー保護については、園としては「学園生活のしおり」で、子どもの権利と禁止行為の関係、寮生活のルールなどを説明する中で、子どもや保護者の同意を得て行われている。しかし、「プライバシー」の言葉の記載が無く、専ら権利の制限に重点がある記述になっており十分とは言えない。 今後については、プライバシー保護の観点から子どもを尊重した支援の姿勢を全面的に見直すことが期待され、プライバシー保護についてのマニュアル等を整備することが望まれる。 |
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【7】第三者評価結果に対する施設のコメント | 今回の評価結果で、職員が専門性を発揮し困難な職務に取り組んでいることやチームワークの良さ、相談・苦情への対応と子どもの満足の向上への取り組み等について、高い評価をいただいたことは、職員にとっても自信となるものであり、今後も児童の最善の利益のため、さらなる支援の向上に取り組んでいきたいと考えております。 一方、改善が求められている事項につきましては、改めて分析・検討を行い、改善に向けた取り組みを行いながら、より質の高い施設運営に努めてまいります。 |